【実例】注文住宅の玄関の間取りアイデアと失敗しやすいポイントを解説

本記事では、玄関の間取りのアイデア、そして失敗しないためのコツを分かりやすく解説します。実例も取り上げているので、理想のイメージを思い浮かべながら、おしゃれにするコツをぜひ掴んでください。
記事の目次
注文住宅の顔となる「玄関」

注文住宅において、玄関はまさに家の顔といえます。特に来客があったとき、まず目にする内観は玄関です。そのため、家の印象を左右する重要な場所といっても過言ではありません。ごちゃごちゃしていたら、「整理整頓が苦手なのかな」と思われかねません。逆に、すっきりとしていてすてきな雰囲気であれば、「玄関の先にもおしゃれな空間が広がっていそう」とポジティブな印象を持ってもらえるでしょう。
玄関の間取り選びで重要なポイント

それでは玄関を考える際、どのようなことを意識するとよいのでしょうか。玄関の間取りを検討するときにおさえたい、重要なポイントをまとめました。
世帯人数に対して十分な広さがある
まず考えるべきは、玄関の広さです。玄関は広すぎると間延びしますし、空間を有効活用しきれない場合もあります。そのため、広すぎず狭すぎず、程よい広さを確保しましょう。どのくらいの広さが最適かは、世帯人数を踏まえて検討するのがおすすめです。

- 【目安】
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・2~4人家族…2畳
・4~5人家族…3畳
・5人以上、来客が多い…4畳以上
広さの目安としては、一般的に上記のようにいわれています。ただし、家族の状況によっても吟味することが大切です。
例えば4人家族で家を出る時間が一緒の場合、全員が同じタイミングで玄関を利用するのであれば、2畳や3畳では玄関が大渋滞してしまうかもしれません。また、降雪の多い地域だと、暖かい季節はよくてもスノーブーツが並ぶ季節が訪れると狭すぎて使い勝手が悪くなる可能性があります。実際に、どういったものが玄関に置かれるかを具体的にイメージしたうえで、具体的な広さを決めていきましょう。
生活動線がよい
玄関は、生活動線にも配慮して考えましょう。例えば、子どもがスポーツをしているのであれば、泥んこのまま家をあちこち歩かなくてもいいように玄関の近くにお風呂場があると理想かもしれません。また、食料品や日用品を休日にまとめて購入する傾向にあるならば、キッチンやパントリーまでの動線を重視すると片付けがスムーズでしょう。
収納力がある
玄関にはさまざまなものが置かれるため、収納力にもこだわりたいところです。例えば靴だけでなく、傘やレインコートなどを置くケースは多いでしょう。また、小さいお子さんがいる場合はベビーカー、アウトドアが好きな人は釣り具やゴルフバッグなどを、玄関に置きたいと考えるかもしれません。こうしたものを全てきれいに片付けられるよう、それぞれの家族構成やライフスタイルをイメージしながら、どのくらいの収納スペースが必要かしっかり吟味することが大切です。
安全である
意外と盲点になりがちなのが、玄関の安全性です。物が置かれていたり段差があったりするため、家の中でも特に怪我をしやすい場所であるといわれています。高齢者、あるいは小さいお子さんがいる場合は、上がり框のない玄関にするとつまずきにくく怪我のリスクを減らせます。
方角がいい
玄関を決める際は、方角を意識しましょう。具体的に、おすすめなのは東・東南・南です。東から南までは日当たりがよくて西日が当たりにくいため、風水的にも吉方位とされています。感覚的にも、日の当たりやすい玄関のほうが気持ちよく出入りできるのではないでしょうか。
【注文住宅】玄関収納の種類

玄関の大まかな方向性が決まったら、収納について考えましょう。玄関収納は、大別すると次の4種類に分かれます。
クローズタイプ

扉などがあり、中身がしっかり隠れるタイプの収納をクローズタイプと呼びます。クローズタイプは中身が見えないため、すっきりとした印象になりやすいのが特徴です。ただ、閉めっぱなしにしておくと内部に湿気がこもりやすく、カビやにおいが生まれやすいため定期的に換気させましょう。
オープンタイプ

扉などがなく、中身が見えるタイプがオープンタイプに当たります。クローズタイプに比べて通気性に優れ、湿気はこもりにくいでしょう。また、扉を開け閉めせず、スムーズにしまえる点もオープンタイプのメリットです。一方、ものがきれいに置かれていないと、乱雑な印象になってしまうので注意しましょう。
ウォークインタイプ

ウォークインタイプは、玄関の土間に隣接したかたちで設けられる収納部屋です。スペースを広く確保できるため、靴が多い人、そしてベビーカーや自転車、アウトドア用品などさまざまなものを収納したい人におすすめです。
ウォークスルータイプ

玄関の土間、そして玄関ホールの2カ所に入り口のある収納部屋がウォークスルータイプです。ウォークインタイプに比べて、動線がスムーズになります。ただし、入り口が1カ所増える分だけ、収納容量が減る可能性がある点に注意してください。
【注文住宅】玄関ドアの種類
続いて、玄関ドアのタイプについて解説します。
片開きドア

もっとも一般的なのが、左右どちらか一方に開け閉めする片開きドアです。丁番が室外から向かって右にあるものを「右勝手」、左にあるものを「左勝手」と呼びます。

道路から玄関まで真っ直ぐであればどちらでも問題ないですが、上記の図のように道路から玄関ドアの動線を考えて決めるとよいでしょう。
両開きドア

同じ大きさのドアが2枚あり、左右に開閉するタイプを両開きドアといいます。豪華な印象になるだけでなく、大きな荷物を運び入れやすいというメリットもあります。
親子ドア

両開きドアの左右の大きさが異なるものを、親子ドアと呼びます。日常では小さい方をロックし、大きい方だけを使うのが一般的です。
スライディングドア

溝の上を左右にスライドさせて開閉するタイプが、スライディングドアです。スライディングドアは開閉にともなうデッドスペースがないのが特徴です。開閉がスムーズなので、玄関の換気もしやすくなります。
玄関の間取り選びで失敗しやすいポイント

玄関の間取りは、どういった点が失敗の理由になりやすいのでしょうか。よくいわれる代表例を、ここで8つ紹介します。
土間が狭すぎる・広すぎる
一つ目は、土間の広さに関する失敗談です。ポイントは、「狭すぎる」だけでなく「広すぎる」という点になります。土間が広すぎると、掃除が大変になる、冷暖房効率が低下する可能性もあるため家族の人数やライフスタイルを考慮して決めるとよいでしょう。
光が入りづらい
次に多いのが、採光性の低さに関する失敗談です。冬は思っていた以上に日が入らないこともありますので、小窓を作る、ガラスの使われている採光ドアを採用するなど工夫しましょう。
風通しが悪い
玄関は、ただでさえ湿度が高くなりやすい場所です。また、玄関の風通しが悪いと、家全体にも影響が出ます。換気性能のあるドアを採用する、網戸を設置するなどして通風性に配慮しましょう。
収納が少ない
特にお子さんがいるご家庭だと、子どもが幼い頃は2〜3足の靴で足りていたとしても、小学生、中学生と成長するにつれて、運動靴やおしゃれ靴などさまざまな靴が必要になります。また、足のサイズも大きくなるため収納スペースが足りなくなってしまうケースも。収納は、現在だけでなく将来を見通して検討しましょう。
においがこもる
一日中履いた靴は、汗や皮脂が付着しているため放っておくと雑菌も繁殖しやすくなります。玄関のにおいは、前述した風通しの悪さでにおいがこもることもあれば、クローズタイプの収納に湿気がたまりにおいがちになることもあります。消臭グッズを使うという手もありますが、できれば玄関を決める時点でにおいがこもらないよう設計しておくとよいでしょう。
生活・家事動線が悪い
玄関の位置や広さで、生活・家事動線がイマイチになってしまうということも考えられます。外出先から帰ってきた直後、どういった行動を取るか、しっかりイメージして暮らしやすい家を建てましょう。
コンセントの高さや位置が悪い
「この位置にコンセントがあればよかった」「もう少し低い場所に設置すればよかった」などコンセントの高さや位置などは実際に生活をしてから気づくこともあります。
例えば、玄関のカウンターの上にコンセントがあれば、季節の飾りつけを楽しむことができますし、低い位置にあれば、電動自転車や電動工具のバッテリーの充電にも便利です。今あるものだけでなく今後購入する可能性のあるものも含めて、コンセントの位置や数を決定しましょう。
玄関が外から丸見え
玄関が外から丸見えであるため、「玄関を開けると正面の公道を歩いている人と目が合う」「防犯面が不安」と感じることも。周りの環境に応じて、玄関前に目隠し用のフェンスを設置する、玄関の向きを変えるなど、外からの目線も意識しましょう。
【注文住宅】おしゃれな玄関間取りアイデア実例

注文住宅を建てるときは、機能性だけでなくデザイン性にもこだわりたいものです。ここから紹介する玄関間取りの事例を参考に、是非おしゃれな玄関のイメージを膨らませてみてください。
ロールスクリーンで収納を隠せる2WAY玄関

ウォークスルータイプの収納には、靴をたっぷり置けるシューズクロークとハンガーポールを設置しています。玄関土間との間にロールスクリーンを配すことで、換気も目隠しもスムーズにおこなえます。
収納力たっぷりな壁一面収納が設置された玄関

壁一面を使い、クローズドタイプの大きな収納スペースを設けた玄関です。玄関ホールを吹き抜けにし、高窓を設置することで、明るく開放的な印象を作り出しています。
帰宅後すぐに手洗いできる洗面台のある玄関

ウォークスルータイプの収納スペースは、ゴルフバッグやスポーツ用品を収納できるようにと広めに確保しています。すぐ隣に洗面台を設置することで、衛生面にも配慮されています。
自転車も収納できるガレージ付きの玄関

左一面の壁にフロートタイプのシューズクロークを設け、靴をたっぷり収納できる設計になっている玄関です。玄関土間の奥には自転車などを収納できるガレージ収納を設置し、すっきりとしたおしゃれな雰囲気でまとめられています。
子どもの成長に合わせて収納を変えられる玄関

こちらの玄関のポイントは、玄関土間の壁面に設置されたシュークロークに可動式棚を採用している点です。ハンガーポールを備え付け、雨具やコートまで片付けられる収納力を設けています。季節の変化や子どもの成長に合わせて使い方を変えられる魅力的な玄関です。
光をたっぷり取り込める採光窓で明るい玄関

クローズタイプの収納棚の上に高窓、玄関ホールにはスリット窓を設置し、光をたっぷり取り込む設計になっています。玄関からリビングへと続く扉を透明のアクリル板にすることで、リビングの奥に広がる庭までを見通すことができ、開放感あふれる空間を実現させています。
旅館や料亭のようなモダンな玄関

日本の気候・風土で育った国産材をふんだんに使った和モダンな平屋の一軒家の玄関です。まるで、旅館や料亭を思わせる、趣ある佇まいになっています。引き戸の収納棚、そして玄関ホールには飾り棚を設け、古き良き日本を思わせるおもてなし空間に仕上げています。
収納にこだわった無駄のないすっきりとした玄関

グレーと白を基調とした、おしゃれな雰囲気の一軒家です。玄関は、生活動線を徹底的に追求しています。玄関土間の扉を開けるとシューズクローク、そしてファミリー収納まで設けられ、お出かけの準備も帰宅後の片付けも、ワンストップで完了するよう考え抜かれています。
子どもが遊べる広々とした土間スペースの玄関

幼い子どもがのびのび過ごせるようにと、土間スペースを併設した個性的な玄関です。土間の高さは、子どもが腰掛けやすいようにと細部までこだわって微調整しています。大開口の窓から室内に光がたっぷり入り込み、家全体を明るい雰囲気で包み込んでくれます。
吹き抜けを設けた解放感あふれる玄関

玄関を吹き抜けにし、大きな窓を複数設置することで、明るい雰囲気が作られています。玄関ホールに階段をレイアウトし、上階の廊下から玄関を見下ろせる設計になっています。そのため、2階にいても「おかえり」と声をかけ、さっと玄関に降りて出迎えることが可能です。
注文住宅の玄関間取りアイデアに関するまとめ
最後に、注文住宅の玄関の間取りを考える際に挙がりがちな質問への回答を見ながら、本記事のポイントをおさらいしましょう。
4人家族の場合、玄関はどれくらいの広さがあるとよい?
玄関の広さは、以下が目安となります。例えば4人家族なら、2〜3畳の広さがちょうどいいでしょう。
【目安】
- 2~4人家族…2畳
- 4~5人家族…3畳
- 5人以上、来客が多い…4畳以上
ただし、玄関の使い方によってはこれでは狭い場合もあります。一方、広すぎると玄関以外のスペースが狭くなる可能性もあるので注意が必要です。玄関での過ごし方を具体的にシミュレーションしながら、最適なスペースを検討しましょう。
玄関でコートを脱着したい場合、どんな収納がおすすめ?
玄関でコートを脱着したいのであれば、ウォークスルータイプの収納がおすすめです。ウォークスルータイプであれば、玄関ホールと土間を行き来できるため利便性が高いでしょう。
玄関を作るにあたり見落としやすいポイントは?
玄関を作るに当たって、コンセントの位置や高さは見落としやすいポイントです。玄関のコンセントは、これからどのような生活を送るのかイメージしながら決めるとよいでしょう。
そのほか、採光や風通しなども、快適な玄関を保つうえで大切です。また、生活動線も考え、使いやすさを意識してください。
玄関は、家の顔となる重要な場所です。まずは必要十分な広さを明確にし、玄関以外のスペースとの動線や安全性を踏まえて、大まかな方向性を決めましょう。玄関収納や玄関ドアも、タイプごとにメリットとデメリットもありますので、特徴を理解したうえで選ぶのが重要です。
また、失敗しないためには採光性や通風性を考えながら、コンセントの位置、そして外からの見え方を意識しながら検討する必要があります。本記事で取り上げた事例を参考にしながら、機能性とデザイン性を兼ね備えた、自分たちらしい玄関とは何かをじっくり考えてみてください。
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