【実例】書斎の快適なレイアウトは?ポイントや注意点を解説
記事の目次
書斎とは

「書斎」とは、本来は読書や執筆に集中する小部屋を指し、おもにデスクと本棚を中心として構成される空間です。ただし近年における書斎は幅広い用途で使われるようになっており、お子さんの学習部屋・在宅仕事用のワークスペース・趣味やコレクションを楽しむ空間など、活用方法は多彩です。また書斎の使い方に応じて、間取りや広さなどもさまざまで、多様なパターンが考えられます。まずは書斎をどのような空間にすれば居心地よく過ごせるスペースになるのか、理想のライフスタイルもイメージしながら検討してみましょう。
書斎レイアウトのおもなパターン

書斎を配置する方法としては、大きく分けて3つのパターンが考えられます。
個室
一つ目は、しっかりと仕切りを設けた独立的な間取りとして書斎を配置し、他の居室と似たような形式で個室にするパターンです。個室にしてしまえば、プライベートな空間にでき、周りの視線や物音も気にせずに個人の時間を過ごすことができます。できるだけ没入感を重視したい場合には、個室タイプで考えてみるのも一つの方法です。
個室を設けるメリット・デメリット
個室として書斎を設ける際には、次のようなメリット・デメリットがある部分も考慮しながら検討してみましょう。
| メリット | デメリット |
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・一人の時間を静かに集中しやすい
・個人の好みのレイアウトができる
・声や音が出しやすい・気になりにくい
・プライベート空間が確保できる
・収納にも使いやすい
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・コミュニケーションがとりにくい
・間取りが大きくなりやすい
・空調機器などを個別で用意する必要がある
・費用がかかる
・開放感が出にくい
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個室にする大きな利点は、しっかりと閉ざされた空間にできることで、仕事や勉強に専念する時に集中しやすいことです。十分なゆとりを持てる広さがある個室にすれば、家具の配置などの自由度も高く、また一時的な物置などにも使いやすいでしょう。ただし完全個室にする場合には、部屋数が増える分、他の居室の面積が確保しづらく施工費用がかさみやすい一面も。他の居室の面積や予算とのバランス感も含めて、十分に検討しておくことも大切です。
リビングダイニング・寝室などの部屋の一角
二つ目は、リビングダイニング・寝室・和室など、家族と共有する居室の一部を書斎にするパターンです。オープンな空間にできるため、仕事・勉強や細かな作業に集中しつつも、圧迫感の少ない書斎にできる特徴もあります。
部屋の一角を活用して書斎を設けるメリット・デメリット
家族と共有の居室に書斎を設ける場合には、次のようなメリット・デメリットが考えられます。
| メリット | デメリット |
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・家族とのコミュニケーションが取りやすい
・他の居室への影響が少ない
・開放的な雰囲気にできる
・子どもの様子を伺いやすい
・施工費用を抑えやすい
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・周りの音や視線が気になる可能性がある
・書斎を併設する居室が狭くなりやすい
・片付いていないと生活感が見えやすい
・やや没入感に欠ける
・集中しやすくする工夫が必要
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特にリビングダイニングのような家族が集まる空間に書斎があると、お子さんを見ながら作業ができたり、子どもの学習スペースにして勉強を見守ったりも可能です。また他の居室と空間を共有して併設するような配置になるため、施工のハードル感も下がり、費用も抑えやすい利点があります。ただし個室に比べてプライバシーは守りづらく、周りの様子が気になって集中しにくい可能性も。そのため大きな家具・パーテーション・ついたてを配置するなど、ちょっとした仕切りや目隠しができる工夫も必要です。
廊下などの空いたスペース
三つ目は、廊下をはじめ、階段の下・踊り場・玄関ホールなどのスペースに書斎を設けるパターンです。さほど広さを要さない書斎であれば、使い方に迷う場所を活用する方法も考えられます。例えばリビングダイニングから少し離れた場所に設置すれば、オープンながらも周りの音や視線が気になりにくい書斎にできるでしょう。
家の空いたスペースを活用して書斎を設けるメリット・デメリット
家の空いたスペースに書斎を設ける際には、次のようなメリット・デメリットが想定されます。
| メリット | デメリット |
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・デッドスペースを有効活用できる
・他の居室への影響が少ない
・開放感と集中度を両立しやすい
・子どもが使う時も家族の目が行き届きやすい
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・場所によっては窮屈に感じやすい
・広い書斎にしたい時には不向き
・あまり家具が置けない可能性がある
・片付いていないと生活感が見えやすい
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家の中の空いた空間を使うことで、わざわざ書斎の分のスペースを確保する必要がなく、部屋数や他の居室の広さに影響しにくい利点があります。またオープンで目の届きやすいスペースにしておけば、例えばお子さんが勉強に集中しようと書斎を使う場合にも、ほどよく様子を見ることができ、コミュニケーションも適度に取ることができます。空いたスペースを活用した書斎は狭くなりやすく、広さを取るのは難しい一面もありますが収納などの周りに手の届きやすい、コンパクトな書斎にしたい時におすすめできるレイアウトです。
書斎を設ける時の注意点

せっかく書斎を作っても、あらかじめ計画的に設置しないと、いざ使いはじめてから後悔してしまう可能性も。できるだけ利便性が高く快適な書斎にするためにも、次のような部分を事前に検討しておきましょう。
用途を明確にする
「モデルルームで見かけていい感じだった」「SNSの投稿に出てきて憧れる」など、漠然としたイメージだけで書斎を設置してしまうと、結局は使わないままデッドスペースになるパターンも。どのような目的で書斎がほしいのか明確にしておかないと、持て余してしまう恐れがあります。書斎を設ける分、当然ながら費用もスペースも取られてしまうため、後悔しないように、書斎を設けるべきかどうかご家庭での過ごし方を十分に想定したうえで検討しましょう。
用途を考慮した場所に書斎を設ける
どのような使い方をするのか決めたら、その用途に応じた場所に書斎を設けることも重要です。仮に夜間・早朝の時間を書斎で過ごす想定なら、寝室に設けてしまうと、家族の睡眠を妨げる可能性も考えられるでしょう。また家族でくつろぐなど人が集まりやすい空間に近いと、「気が散って仕事や勉強に集中できない」など、不便に感じて結局使わなくなるケースもあります。書斎の用途を決めたあとには、実際の活用方法に合わせて、どの場所に設置するべきなのか十分に考慮しておきましょう。
コンセントの数や位置を確認する
書斎の用途・ライフスタイルなどにもよりますが、なかにはパソコン・オーディオ・プロジェクターをはじめ、さまざまな電子機器を置くパターンも考えられます。またデスクライトなどの間接照明を取り入れたい場合には、その分の電源も確保しておく必要があります。コンセントの数が不足していたり位置が悪かったりすると、想定どおりの使い方ができなくなってしまいます。家具・家電のレイアウトと同時に、コンセントの付け方も計画しておきましょう。
作業内容に対して広さ・設備が適切か確認する
書斎の広さや設備が足りないと、いざ使ってみたら不便に感じてしまい、日が経つにつれてデッドスペースになってしまうケースも。「ここにコレクションを飾りたいのに場所が足りない」「作業用の道具や機材を置ける広さがない」など、思うような活用方法ができない可能性も出てきます。またパソコンなどの通信端末を使う場合には、インターネットに接続できる設備も欠かせません。デスクをはじめとした家具・家電や必要な収納、作業に使用するアイテムなども考慮しながら、書斎の広さや設備を決めていくのがおすすめです。
空調や採光も考慮しておく
書斎の設置方法や場所によって異なりますが、場合によっては、個別にエアコンなどの空調や窓が必要となるケースも。他のスペースからの空気や明かりが届きづらかったり、じっくり一人でこもる個室型の書斎では、空調や窓がないとうまく室温の調整や採光ができない可能性もあります。作業への集中しやすさや過ごしやすさなども十分にイメージしておくと、より心地よい空間にできます。
使用する際のルールを決めておく
快適な書斎があることは、毎日の生活にとってプラスになりますが、使い方次第では家族がギクシャクしてしまうことも。「あまりに書斎にこもりすぎてコミュニケーションが薄れる」など、せっかくの家族団らんの時間が減ってしまうこともあります。例えば「食事の時にはなるべく集まる」「仕事が終わったらリビングで集まってくつろぐようにする」など、書斎での過ごし方には、ある程度のルールを決めておくのもおすすめです。
居心地のいい書斎にするための家具配置のポイント

ここからは、より過ごしやすくおしゃれな書斎にするために、知っておきたい家具のレイアウト術もご紹介していきます。
集中・リラックスしやすい配置にする
デスクの広さや向き、収納棚の場所などによって、仕事・勉強・作業への集中度も変わってきます。「デスクと壁が狭すぎて座りづらい」「収納棚に手が届きづらく作業しにくい」など、不便に感じてしまうと、なかなか思うように集中できません。家具を配置する際には、動線や採光なども考慮しながら、快適に過ごしやすいレイアウトを検討していきましょう。
整理整頓しやすい配置にする
収納が他の家具や建具と干渉し合ったり、棚の位置が悪かったりすると、整理整とんがしづらくなってしまうため要注意。「ドアを開けた時に扉が棚にぶつかる」「収納の背が高すぎて手が届きづらい」など、それぞれのアイテムの配置次第で片付けやすさも異なります。他の家具や建具と収納との距離が狭すぎると、出し入れがしにくくなってしまうので、無理のない使い方ができるようにレイアウトを工夫するのも重要です。
ライフスタイルの変化を見据えた配置にする
場合によっては、ライフスタイルの変化に応じて、当初考えていた用途から変わっていく可能性もあります。もし書斎の活用方法が変わることを想定するのであれば、できるだけ使い方を調整できる工夫をしておくのがベスト。最初は父親や母親が使用して、子どもが大きくなったら子ども部屋として活用するなどのケースもあるでしょう。ライフスタイルの変化に対応できる柔軟性のあるレイアウトを検討してみるのもおすすめです。
愛着のある家具など気分が上がるものを設置する
書斎は落ち着いてこもる空間だからこそ、こだわりの家具などを置いておしゃれな雰囲気に演出したいもの。愛着の持てる家具や、趣味に合った小物などのアイテムを中心に配置していくことで、より心地よく過ごせる空間にできます。とはいえ、それぞれに統一感がないと雑多な印象に見えやすいため、書斎に置くアイテムは同じようなテイストにするのがおすすめ。カラーリングも揃えておくと、スタイリッシュでセンスのある空間を実現できます。
できるだけ生活感が見えない配置にする
照明や家電などを置く際には、電源ケーブルをなるべく隠せるような配置にするのがおすすめ。電源ケーブルやコンセントが丸見えになっていると、生活感が醸し出されてしまい、あまりすっきりとした印象に見えません。快適に落ち着いた時間を過ごす書斎だからこそ、できるだけ生活感のない空間にできる工夫をしておくのがベストです。
【広さ別】書斎のレイアウトイメージ

実際に、居心地のいい書斎に向けたレイアウト方法として、よくあるパターン例をご紹介。書斎で使われやすい広さ別に、大まかな家具配置のイメージを見ていきましょう。
【2畳以下】デッドスペースを活かした書斎

2畳程度の広さの書斎にする場合には、作業用のデスクと椅子に加えて、収納用のチェストやラックを置くレイアウトになるのが一般的です。かなりコンパクトな書斎なので、限られた空間を有効活用して家具を配置するのがポイントとなります。やはり書斎といえば、デスクと椅子は欠かせないので、収納のレイアウトを工夫するのがおすすめ。例えばデスクの下に入れられるキャスター付きにする、デスクを置いた壁面にラックを設けて見える収納にするなど、省スペース化ができると狭くても窮屈に感じないでしょう。また2畳以下の書斎であれば、階段下・リビングダイニングや寝室の一角・廊下・踊り場・玄関ホールなど、デッドスペースになりやすい場所を使って設置できます。
【3畳】机や椅子・収納を置いてもゆとりのあるスペース

3畳ほどある書斎では、机・椅子・収納に加えて、もう一つちょっとした家具なども置くレイアウトができます。例えば自立型の間接照明・コートラック・観葉植物など、さほどスペースを取らないアイテムであれば、広さとしてもさほど問題ないでしょう。もしくは、デスクをL字型などに広げてオーディオやプリンターをはじめとした小型機器を置いたり、収納とは別のコレクション棚を作ったりなども可能。また3畳程度の広さが必要だと、デッドスペースの活用が難しい可能性もありますが、広々としたリビングダイニングなどの一角を使って設置する方法も考えられます。
【6畳】一部屋分の広さで広々作業ができる空間

6畳の広さになれば通常の個室のように使えるので、机・椅子・収納だけでなく、ソファやハンガーラックなどの大きめの家具を置いても比較的ゆとりがあります。またデスクスペースの配置も壁付けだけでなく、室内の中央あたりを向くようなレイアウトができ、より柔軟な空間デザインができるのもメリットです。なお狭い書斎では、スペースを確保するために出入り口はスライド式の引き戸や扉のないレイアウトになりがちですが、6畳の場合は広さに余裕があるため押戸のドアも選びやすくなります。書斎に置きたいアイテムが多かったり、できるだけ開放的な空間にしたかったりする際には、6畳ほどの広さにするのもおすすめです。
おしゃれな書斎のレイアウト実例
ここからは、おしゃれな空間デザインを実現している、さまざまなタイプの書斎のレイアウト実例をご紹介していきます。
リビングダイニングに設けた家族の顔が見える書斎

こちらは、リビングダイニングの一角を活用し、キッチンと対面になるように配置している書斎です。デスク側に顔が隠れる程度の低い壁を設置し、オープンながらも集中しやすい空間を実現。家族の目が届きやすく、お子さんの学習スペースにも使いやすい書斎になっています。またデスクの背後一面を収納に設けることで、整理整とんもしやすくなっているのが特徴です。
小さなスペースでもシックで落ち着く書斎

こちらは、独立した個室として配置しているクローズドなタイプの書斎です。上方部分に小さな窓を設けることで採光を確保し、コンパクトながらも窮屈に感じにくい空間を実現。デスクと椅子だけのシンプルなレイアウトで、シックな雰囲気かつ集中しやすい空間になっています。またちょっとした作業や小物の配置などもしやすい、L字型の広いデスクを設けているのも特徴です。
集中できる半地下の書斎

こちらは、リビングダイニング内にある、スキップフロアの階段下に配置された書斎です。家族とのコミュニケーションが取りやすいオープンタイプながらも、書斎の床をリビングダイニングよりも下方に少し下げることで、プライベート感のある空間を実現しています。アーチ形にくりぬかれた入り口もおしゃれな雰囲気を演出しています。
ママのセンスが光る書斎

こちらは、キッチン横の空間に設けた、作業スペース型の書斎です。デスクのすぐ上に横長の小さな窓を設けることで、柔らかな採光を実現。また机や棚などの造作を白ベースで統一しつつ、ウッド調の床材や家具を取り入れることで、ナチュラルな雰囲気の心地よい空間になっています。
趣味を詰め込んだ書斎

こちらは、趣味を楽しむこだわりの空間を実現している、個室型の書斎です。机・椅子・収納棚などダークトーンで統一し、落ち着いた雰囲気でくつろげる空間を実現。またL字型の広いデスクも活用しながら、お気に入りのアイテムを取り入れることで、好みを追求した空間になっています。
書斎のレイアウトに関するよくある質問
では最後に、より快適な書斎を作るためのポイントをQ&A方式でまとめていきます。
書斎のレイアウトのおもな種類は?
書斎の配置パターンの代表例は、完全に独立した個室型、リビングダイニングといった他の居室内に設ける併設型、廊下や階段下などの空いた空間に設置するデッドスペース活用型の3つです
書斎をレイアウトする際のポイントは?
書斎をレイアウトする際には、まずは用途を明確にしたうえで、その目的に応じた場所・広さ・配置するアイテムを検討していきます。電源を取るコンセントをはじめ、空調や採光なども考慮しながら必要な設備を整えていきましょう。また家具の配置では、書斎内での動線をイメージしつつ、窮屈に感じることなく動きやすいかの確認も重要。さらに将来的な使い方や、好みのアイテムなども考えながらレイアウトしていくと、より使い勝手のいい快適な書斎にできます。
書斎はどのくらいのスペースがあれば作れる?
書斎は、2畳前後の広さがあれば設置できます。なお2畳程度なら、机と椅子に加えて、小さめの家具などのアイテムを置くことが可能。3畳になると、机・椅子・収納棚を配置しても、少しゆとりが残るイメージです。
まとめ
書斎は読書・仕事・勉強などプライベートな時間を過ごす空間ですが、完全にクローズドな個室の形式だけでなく、さまざまなレイアウト方法が考えられます。より快適で使いやすい書斎にするためには、まずはどのように過ごす空間にしたいのか、普段のライフスタイルや将来設計なども考慮してレイアウトしていくことが大切です。書斎の配置をお考えの際には、ぜひ本記事も参考に、心地よい空間を叶えていきましょう。
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