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キューブ型の家で後悔する理由は?デメリットを対策する方法を解説

キューブ型の家は外観で選ぶと後悔する可能性があります
キューブ型の家とは、箱のような四角いフォルムをしたデザイン住宅のことを言います。傾斜のないフラットな屋根を採用しているため、一般的な住宅と比較してスタイリッシュな印象を持ちやすく、昨今人気を集めています。しかし、外観の魅力で選んだ人のなかには、キューブ型の家を建てて後悔した人も少なくありません。

本記事では、キューブ型の家を建てて後悔する理由と、後悔につながりやすいデメリットの対策方法を紹介します。この記事を読んで、しっかりとキューブ型の家について理解し、後悔しない家づくりを実現させましょう。

キューブ型の家で後悔する理由

キューブ型の家で後悔する理由を紹介します
キューブ型の家で後悔する理由を紹介します

キューブ型の家で後悔する理由を5つ紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

雨漏りしやすい

キューブ型の家は屋根の形状から、雨漏りが発生しやすいデメリットがあります。一般的な住宅に採用される切妻屋根は、雨水が自然に流れ落ちます。

一方で、キューブ型の家は傾斜がほとんどないフラットな構造である陸屋根を採用。水の逃げ場が少なく、排水が滞留して防水層に負担がかかります。

そのため防水層の劣化により、キューブ型の家は雨漏りが発生しやすくなります。建築の段階で雨漏りに弱いことを知らない場合、想定していなかった雨漏りに後悔するかもしれません。

エアコンが効きづらい

キューブ型の家は、屋根に軒がないため、直射日光の影響を受けやすく、熱が室内にこもりやすい特徴があります。屋根と天井のスペースが少ないため、熱が天井から室内に伝わりやすく、夏は暑くなりやすいでしょう。また、窓に日差しが直接差し込むため、冷房が効きづらかったり家具の色あせなどが気になるケースも。

冬においても、風や雪などの冷気が伝わりやすくなるため、暖房が効きづらいうえ、窓が結露しやすくなるためカビが発生しやすくなります。そのため、暑さや寒さに対応できる断熱性の高い家を設計する必要があります。

外壁の汚れが目立ちやすい

屋根に軒がないデメリットは、外壁の汚れが目立ちやすいことも挙げられます。雨が降った際に、軒があると雨水が外壁に直接当たることを防いでくれます。しかし、軒がない場合は外壁に雨水が当たるため、雨だれができるかもしれません。

新築時のデザインの美しさも外壁の劣化によって損失する可能性も。外壁の劣化が進行して、塗装の剥がれやひび割れを放置すると、雨漏りする危険性も高まります。

デザインのよし悪しは流行に左右されやすい

現在は新しさから新鮮な印象を感じ、スタイリッシュでおしゃれと言われるキューブ型の家のデザインも、10年後の将来を想定した場合は古く思えるかもしれません。デザインのよし悪しは流行に左右されやすいものです。

長期的に生活する住宅で、現在の人気を理由にデザインを選ぶと後悔しやすくなるでしょう。住宅をデザインで選ぶ場合は、流行だけではなく長く愛せる形を考えることが重要です。

キューブ型の家のデメリットを対策する方法

キューブ型の家のデメリットを対策する方法を解説します
キューブ型の家のデメリットを対策する方法を解説します

キューブ型の家には、後悔につながりやすいデメリットが複数存在します。そのため、住んでから後悔しないためには、デメリットを対策する方法を考えることが重要です。キューブ型の家のデメリットを対策する方法をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

片流れ屋根を採用し定期的な防水点検をおこなう

キューブ型の家は、雨漏りしやすいことがデメリットになります。雨漏りしやすい理由は、屋根の構造がフラットな陸屋根であることが原因です。そのため、陸屋根ではなく片流れ屋根を採用すれば、雨水の排水経路を確保できます。

片流れ屋根とは、一方向にだけ傾斜をつけることによって雨水が滞留せず、自然に一方向へ流れる構造の屋根のこと。キューブ型の家で採用する場合は、背面側に傾斜をつける構造にします。正面から見た時、陸屋根を採用した場合と同様にフラットなキューブ型の家に見えるでしょう。

また、雨漏りの対策では、定期的な防水点検の実施が重要です。屋根が劣化する前に修繕すれば、雨漏りに悩まされるリスクを減らせます。雨漏りに弱いことを前提に、設計段階から対策を練るようにしましょう。

断熱性を重視して設計する

キューブ型の家で夏や冬を快適に過ごすためには、断熱性を重視した設計が重要になります。前途のとおり天井や屋根、壁の断熱や二重窓にするなど対策が必要となります。

ハウスメーカー・工務店と相談して設計する際には断熱性にこだわり、できる限り断熱性能が高い断熱材を使用しましょう。建築コストが高くなる可能性もありますが、住んだあとの快適性につながります。

外壁材の選び方を工夫する

外壁の汚れが目立ちやすいキューブ型の家ですが、外壁材の選び方を工夫すれば、緩和しやすくなります。例えば、汚れの付着を前提に外壁の色を選ぶだけでも目立ちにくいでしょう。黒・白などの色は、劣化による汚れや色のムラがわかりやすい色です。外壁の色にグレーなどの中間色を選ぶと、経年による汚れが目立たなくなります。

素材はガルバリウムを選ぶと、防汚性・耐久性に優れるため、外壁に雨だれが残りにくくなります。ただし、どのような外壁材を使用しても、経年劣化は避けられないため、修繕を前提に考えることが重要です。再塗装を前提に塗装周期が長くなるように外壁を設計すれば、景観を維持したうえで、維持コストの節約にもつながるでしょう。

インナーバルコニーを設置する

軒やひさしがないキューブ型の家では、インナーバルコニーの設置で日差しを対策する方法があります。インナーバルコニーとは、屋根や外壁の一部に囲まれた半屋外スペースであり、建物の内部に取り込まれたバルコニーのこと。

窓が外壁より内側に入るため、日差しを対策できます。外部からの視線もさえぎられるため、プライバシーの確保にも役立ちます。

キューブ型の家でも外観のアクセントになることから採用しやすく、デザイン性を損なわずに、住宅の機能性を向上できることがメリットです。生活の快適さと外観の美しさを両立できるため、キューブ型の家を建てる際にはインナーバルコニーの設置を検討しましょう。

キューブ型の家のメリット

キューブ型の家のメリットを紹介します
キューブ型の家のメリットを紹介します

キューブ型の家を建てて後悔した声がある一方で、複数のメリットがあります。デザインが魅力的であるだけでなく、実用的な点を備えていることも選ばれている理由です。キューブ型の家のメリットをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

建築コストを抑えやすい

住宅の建築費は、形状の複雑さに比例して高くなります。キューブ型の家は、見た目のデザインがシンプルで、屋根や外壁の形状に無駄が少ないため、建築コストを抑えやすい特徴があります。よって、コストパフォーマンスが高いことも、キューブ型の家が人気である理由の一つです。

ただし、雨漏り対策、断熱性能、外壁材にこだわって住宅の性能を向上させ、定期メンテナンス・修繕を前提に維持コストを考える場合、トータルコストは増加します。中庭・インナーバルコニーなど、設備を充実させるほど建築費も増加するため、必ずしもコストが安くなるとは限りません。しかし、シンプルな形状であることから、コスト削減を重視して設計する場合、予算内に収まりやすい家と考えられます。

限られた敷地で居住スペースを最大化できる

都市部など土地が限られたエリアでは、限られた敷地を最大限に活かす設計が求められます。キューブ型の家は、立方体で四角い形状の家です。

この形状は敷地を無駄なく使用できるため、限られた敷地で居住スペースを最大化できるメリットがあります。また、キューブ型の家は上下方向に空間を伸ばしやすく、2階建て・3階建てで設計すれば、小さな土地でも居住スペースを広く確保できるでしょう。

耐震性を高めやすい

キューブ型の家はシンプルな構造であるため、耐震性の高い住宅です。四角い形状は、建物全体にかかる地震の力を均等に分散しやすく、ねじれや歪みが起こりにくい特徴があります。よって、L字型や凹凸のある家と比較すると、揺れが特定の方向に集中せず安定しやすいでしょう。

地震が多い日本で災害に対する備えを考えた時、地震に強い点は大きなメリットになります。耐震性を重視して住宅を設計したい場合、シンプルな構造であることから、キューブ型の家は有力な候補です。

屋上を活用できる

キューブ型の家はフラットな屋根であることから、屋上を活用できます。さまざまな用途で使用できる屋外のスペースになるでしょう。例えば、屋上に物干しスペースを設ければ、洗濯物が乾きやすく、数が多い場合も干しやすいです。

子どもの遊び場として活用できるだけでなく、家庭菜園・ガーデニング、バーベキューなどアウトドアな趣味を楽しめる場にもなります。室内だけでなく、屋外のスペースも活用できるため、限られた敷地でより広い居住空間を確保しやすいでしょう。

省エネ設計に適している

キューブ型の家は、総合的に省エネ設計に適しています。構造的に隙間が少なく、冷暖房効率が高くなるため、光熱費の削減につながります。また、屋上に太陽光パネルを設置しやすいため、自家発電ができる環境も整えやすいでしょう。断熱性を確保すれば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化をしやすい構造であるため、環境にやさしい住まいを実現できます。

キューブ型の家を建てる際の注意点

キューブ型の家を建てる際の注意点を解説します
キューブ型の家を建てる際の注意点を解説します

キューブ型の家を建てる際の注意点を以下にまとめました。それぞれ詳しく解説します。

周辺環境を考慮して個別に対策を練る

キューブ型の家を建てる場合、建設予定地の地域環境を正しく理解して、個別に対策を取ることが重要です。日本は南北に長く、気候条件が大きく異なるため、雪が多い地域、台風が頻発する地域で建築上の課題が異なります。

積雪量が多い地域では、フラットな屋根に雪が積もり、雪の重みで防水層が傷つき、雨漏りを引き起こすリスクも。台風が多い地域では、強風の影響で外壁が劣化しやすくなります。キューブ型の家は建てる場所によって、必要な性能や対策は異なるため、環境データを踏まえた設計をおこなうことが重要です。

長期的に住むことを考えてデザインを選ぶ

キューブ型の家をデザインで選ぶ場合、長い目で考えることが重要です。目新しい印象から魅力的に見えるキューブ型の家も、時が経てば古いデザインに感じられることも少なくありません。住宅のデザインは、10年後・20年後も住み続けるかも考慮しましょう。

短期的な流行に流されて、キューブ型の家を選ぶと後悔する原因になります。ただし、キューブ型の家はデザイン以外にも実用的なメリットがあるため、実用性を重視して選ぶ選択肢もあります。キューブ型の家を選んでデザインで後悔しないためには、落ち着いた色調にすると奇抜な印象を抱きにくいため、自然に見えやすいでしょう。

維持コストも含めてコストを考慮する

キューブ型の家は、建築コストを抑えやすいメリットがありますが、維持コストがかかります。そのため、建築コストのみを見て建築すると、あとから多くの費用がかかることに後悔するかもしれません。

建てたあとに想定される定期メンテナンス・修繕費も含めて、コストを考慮するようにしましょう。長期的にコストを抑えるためには、初期投資で耐久性の高い素材を選ぶことが重要です。維持コストを設計段階でコントロールできれば、コストパフォーマンスを高められるでしょう。

ハウスメーカー・工務店を比較して選定する

キューブ型の家はシンプルな構造ですが、雨漏りなどの対策を考えるうえで、施工精度が重要です。そのため、キューブ型の家の施工事例があり、施工の品質とアフターサポートに優れたハウスメーカー・工務店を比較して選定しましょう。

外観のみを重視する施工会社に任せると、防水処理・断熱性に関する設計が十分でないことがあり、後悔する原因になります。3社以上に見積もりを取って比較したうえで、適切な設計ができるハウスメーカー・工務店を選ぶことが後悔を避けることにつながります。

キューブ型の家に関するよくある質問

キューブ型の家に関するよくある質問をまとめました。

キューブ型の家が危険と言われる理由は?

屋根がフラットであるため、雨漏りや積雪のリスクが高いことが、危険と言われる理由として考えられます。万が一雨漏りが発生すれば、屋根や外壁の修理だけでなく、室内の修繕も必要になるため、対策は必須です。

キューブ型の家はデザイン性・実用性のどちらに魅力がある?

キューブ型の家はデザイン性の高さだけでなく、限られた敷地を最大限に活用しやすく耐震性も高いため、実用的な構造です。デザイン性・実用性の両方を備えているため、丁寧に設計すれば理想の住まいを実現しやすいでしょう。

キューブ型の家のデメリットは?

キューブ型の家は雨や暑さに弱く、外壁の汚れが目立ちやすいデメリットがあります。しかし、防水・断熱を重視して設計し、外壁材の選び方を工夫すれば、デメリットを対策できるでしょう。

まとめ

キューブ型の家は、シンプルで洗練されたデザインが魅力の一方で、構造的な課題も多い住宅です。しかし、設計段階で対策を講じれば十分に改善できるため、後悔しない家づくりができます。

シンプルな構造であることから、建築コストを抑えられるため、コストパフォーマンスを重視して家を設計したい場合にも向いています。長期的な目線では、雨漏りの懸念や外壁の劣化が気になりますが、定期メンテナンス・修繕を前提に建築すれば、快適に暮らし続けることができるでしょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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