【事例あり】注文住宅のお風呂の決め方を徹底解説!デザインの種類や失敗しないためのポイントとは?

記事の目次
注文住宅のお風呂の種類

注文住宅のお風呂には以下のような種類があり、それぞれのメリット・デメリットを理解してから設計する必要があります。
- ユニットバス(システムバス)
- ハーフユニットバス
- 造作風呂
まずは、各お風呂の特徴とメリット・デメリットをご紹介します。
ユニットバス(システムバス)

ユニットバス(システムバス)とは、浴槽や天井、床などが一体化されている浴室です。建築現場にユニットごと搬入して設置することから、ユニットバスと呼ばれます。
メリット
- 費用を安く抑えることができる
- 掃除がしやすい
- 安全性が高い
- 事前に実物を見て検討できる
ユニットバスは工場で成形したものを設置するため、工事の手間が少なく建築費用を抑えられます。また、工場で大量生産するため、ユニットバス自体の価格も他の種類に比べて安くなります。
ユニットバスは天井・床・壁・浴槽が一体化しているので、部材間の隙間とされる目地(めじ)がなく、清掃しやすいのも魅力です。目地は水分が残りやすく、カビが発生しやすい場所。カビを清掃するにはブラシに洗剤を含ませて、こするなど対処が必要になり手間がかかります。
工場で成形・検品しているため不具合を起こしにくく、バリアフリーに対応しており転倒防止につながるなど、安全性も高い浴室です。その他に、設計検討時に完成品を比較でき、理想と現実を設置前にすり合わせできるのもユニットバスのメリットといえます。
デメリット
- オプションや部材の自由度が低い
- 浴室は特殊な形に対応していない
- 露天風呂を作ることができない
ユニットバスは成形されているため、オプションや部材の自由度が低く、差別化しにくいという点はデメリットです。箱の部分は既製品であり、棚や手すりなど付属品を付けるかという狭い範囲でのオプション選択となります。
また、四角形が基本のため、特殊な形の浴室にはできません。設計上、お風呂を特殊な形にしなければならない場合、ユニットバス以外の浴室を選択する必要があります。また、ユニットバスには壁や天井があるため、露天風呂にすることもできません。
ハーフユニットバス

ハーフユニットバスとは、浴槽から下部分のみ成形されているユニットバスです。浴槽より上の壁と天井はなく、下半分しかないため、ハーフユニットバスと呼ばれています。
メリット
- デザインの自由度が比較的高い
- メンテンナンスが比較的容易
- 機能性とデザイン性の両立が可能
ハーフユニットバスは浴槽の高さより上部分がなく、設計に合わせてデザインを変更できます。天井が低い、天井に傾斜がある場合も設置できます。
ハーフユニットバスは浴槽から下部分が成形されており、タイル張りといった造作風呂よりも手入れしやすくメンテナンスが比較的容易です。ユニットバスに比べ設計の柔軟性と機能性が高いお風呂といえます。
デメリット
- ユニットバスより費用がかかる
- 商品のバリエーションが少ない
- 防水性が低い
ハーフユニットバスは、浴室の半分をオーダーメイドで設計・建築しなければなりません。そのため、ユニットバスよりも高額になります。デザインにもよりますが、ユニットバスと比べて費用は約1.2~1.5倍程度になるといわれています。
また、お風呂の主流はユニットバスであり、ハーフユニットバスを取り扱っているメーカーはあまり多くありません。種類も少なく、選択肢は少ないと考えておくべきでしょう。そして、ハーフユニットバスは必ず継ぎ目ができてしまい、防水対策を怠ると水漏れ事故を起こす可能性も。
造作風呂

造作風呂とは、建築現場で組み立てるお風呂です。浴槽やタイルなど造作材を組み合わせて制作することから、造作風呂と呼ばれています。
メリット
- 自由にデザインを決めることができる
- 広さの調整が可能
- 素材の選択肢が豊富
造作風呂は一から設計できるため、デザインを自由に決められます。木材を利用したりタイルを張ったりすることで、お風呂の雰囲気を変えられます。もちろん、空間の広さも調整でき、天井を高くする、傾斜を付けて天窓を設置するといった設計も可能です。ユニットバスやハーフユニットバスでは対応できないサイズでも、造作風呂なら対応することができます。
造作材の種類は多く、組み合わせのパターンはさまざま。お風呂のデザイン性を高めたい方におすすめです。
デメリット
- 費用が高い
- 施工期間が長い
- ユニットバスより機能性が劣る可能性がある
- メンテナンスに手間がかかる
造作風呂は規格がなく、ユニットバスのように大量生産できません。そして、造作材を建築現場で組み立てなければならず、材料費も建築費も高くなり、建築現場での作業が増えて施工期間も長くなります。
また、施主が自ら設計することで機能性が劣る可能性もあります。例えば、広い浴室にしたいと考えた結果、シャワーと浴槽が遠くなり掃除しにくくなってしまうかもしれません。設計で特殊な形状の天井にすると、メンテナンスに手間がかかるといった負担が増えるケースもあります。
注文住宅のお風呂サイズの選び方
注文住宅のお風呂で採用されている代表的なサイズは、以下の通りです。
お風呂のサイズ | 浴室の内法寸法 |
---|---|
1216サイズ(0.75坪) | 1,200mm×1,600mm |
1616サイズ(1坪) | 1,600mm×1,600mm |
1620サイズ(1.25坪) | 1,600mm×2,000mm |
1624サイズ(1.5坪) | 1,600mm×2,400mm |
出典:「株式会社じげん」より
1216サイズは小さめのお風呂であり、建物面積を取りにくい狭小地での建築によく用いられます。一般的な土地であれば、1616サイズもしくは1620サイズを採用します。1620サイズは子どもと一緒に入浴できるくらいのスペースがあり、ファミリーにおすすめのサイズです。
また、快適な入浴時間を過ごしたいという方は、1624サイズを選択してもよいでしょう。スペースにかなり余裕があり、身長180cmくらいの方でもゆったりと入浴できるでしょう。
注文住宅のお風呂をおしゃれにするための選び方

注文住宅の浴室をおしゃれな空間にするには、お風呂の選び方が重要です。お風呂の選ぶ際は、以下のように進めていきます。
- デザインの方向性を固める
- 素材・カラーを選定する
- 照明を選定する
それでは、お風呂をおしゃれにするための選び方を見ていきましょう。
デザインの方向性を固める
お風呂を選ぶ際は、まずデザインの方向性を固めます。一般的なデザインでよいのであればユニットバス、デザインに少しこだわりたいならハーフユニットバスを選択するとよいでしょう。そして、お風呂をすべて自分でデザインしたい場合は、造作風呂を選びます。デザインの方向性を固めると、どの種類のお風呂を選択すればよいのかが明確になるはずです。
素材・カラーを選定する
デザインの方向性を決めたら、次に素材やカラーを選定します。ユニットバスを選択したとしても、壁や天井の素材やカラーを選ばなければなりません。ユニットバスならショールームで完成品を確認し、ハーフユニットバスや造作風呂なら素材やカラーをパンフレットで調査しましょう。素材を選択する際には、メンテナンス方法も確認しておきましょう。
照明を選定する
素材やカラーを選定したら、照明を選びましょう。照明の種類によって光の色が変わり、お風呂の雰囲気も変化します。
昼光色の照明であれば青みがかった白色の光で浴室内がはっきりと照らし出され、電球色ならオレンジがかった光となり、リラックス効果が得られるスペースとなります。照明の色が選んだ素材やカラーに合うのか、理想の雰囲気に適している光の色なのか確認し、選択するとよいでしょう。
注文住宅のお風呂のオプションの選び方

注文住宅の設計の際には浴室のオプションを選びますが、選択するものによってお風呂の使い勝手が大きく変わります。ここからはお風呂のオプションを紹介しますので、より快適で使い勝手のよい浴室を設計していきましょう。
棚・ミラー・カウンター
お風呂はシャンプーや清掃用洗剤、清掃道具などさまざまなものを置く場所です。棚やカウンターを設置すればものが散乱せず、使い勝手が向上します。また、ものをまとめることで清掃しやすくなり、メンテナンスの手間も省けます。
そして、ミラーにもオプションがあり、全身が見えるワイドタイプのミラーやカビやサビが発生しにくく、メンテナンスの負担を軽減できる防湿タイプなど変更が可能です。
手すり
浴槽に出入りする際には体全体を使うため、手すりがあるかで使い勝手のよさが変わります。特に高齢の方や体を動かすのが難しい方がいるファミリーであれば、手すりは必須のオプションといえます。
手すりを設置する際は、浴槽からの出入りに必要な一連の動きをサポートできる位置に設置するなど、どの位置に設置するのかを考え設置しましょう。
扉の種類
お風呂の扉には、主に以下の3つの種類があります。
種類 | 特徴 |
---|---|
折れ戸 | 開閉スペースが最小限で済む 汚れが溝に溜まりやすい |
開き戸 | 床に溝がなく掃除しやすい 開閉のためのスペースが必要 |
引き戸 | 入口の間口を確保しやすい ドア自体が高価 |
扉はお風呂と洗面所の大きさ、清掃のしやすさ、金額の3点を総合して選ぶとよいでしょう。
浴槽の形状・素材・保温性能
浴槽の形状は一つではなく、底が浅いもの、段差が付いているものもあります。足を伸ばして入浴したい、半身浴したいなど、自分のバススタイルに合わせて選択しましょう。
また、素材は基本的に強化プラスチックであるFRP(エフアールピー)が標準装備となっているものの、ホーローや人造大理石を選択できるものもあります。ホーローは耐久性が高い、清掃しやすいという特徴があり、人造大理石はデザイン性が高い、傷が付きにくいというメリットがあります。保温性能を含め、各種素材の特徴を把握し、自分の理想に合うものを選択することが大切です。
多機能シャワー
多機能シャワーは水圧や水流を変えられたり、塩素除去や浄水といった機能を備えていたりするものもあります。水圧を強くすれば洗浄力が高くなり清掃が楽になる、水流を変えてミストにすれば髪や肌に潤いを与えるといった効果が期待できます。また、塩素除去の機能を使えば、肌の弱い方でも安心です。
浴室暖房・乾燥機能
浴室暖房はヒートショックを防ぐ効果があります。ヒートショックとは、急激な気温の変化で脳卒中や心筋梗塞を引き起こす健康障害です。暖房で暖かい部屋から寒い洗面所・浴室に行き、高温の湯船に浸かると血圧が一気に上下します。浴室暖房を使用すれば、気温差が生まれにくくなり、ヒートショックの防止が可能です。
また、乾燥機能を付けておけば、梅雨や冬場といった洗濯物が乾きにくい時に役立ちます。外干しに適さない衣類も室内で乾かせるといった使い方もできます。
ジェットバス
ジェットバスは浴槽の下や側面から強い気泡、もしくは水流を出す浴槽です。気泡や水流を受けるとマッサージ効果により、血流が良くなってリラックスや美肌効果を生み出すとされています。
ジェットバスは高額なイメージがあるものの、取り付け式やマット式の設備であれば比較的安価に設置できます。お風呂でゆったりとリラックスしたい方は、後付け設備を検討してみるとよいでしょう。
浴室テレビ
浴室テレビは、大きく3つの種類に分けられます。
タイプ | 特徴 |
---|---|
壁掛け タイプ |
室内テレビと同じような高画質で映像を楽しめる 埋め込みタイプより安い |
埋め込み タイプ |
室内テレビと同じような高画質で映像を楽しめる 浴室内がすっきりする 設置費用が高くなりがち |
ポータブル タイプ |
持ち運びでき浴室以外でも使える 画質があまりよくない 設置費用がもっとも安くなる |
また、サイズの大きさや種類によって費用が変わります。設置費用と比較して自分に適した浴室テレビを導入しましょう。
注文住宅のお風呂で失敗しないためのポイントとは?

注文住宅のお風呂で後悔しないようにするには、失敗しないためのポイントを押さえておく必要があります。ここからは失敗しないためのポイントをご紹介しますので、お風呂の設計を進める際に実践してみてください。
お風呂の設計を後回しにしない
お風呂の設計を後回しにすると、居室のスペースを優先してしまい、浴室が狭くなってしまうケースもあります。例えば居室を優先して設計すると、リビングや寝室の面積が広くなり、浴室や洗面所に取れる面積が減ってしまいます。浴室が狭くなると、快適な入浴時間が過ごせなくなってしまうかもしれません。設計する際には居室だけでなく、水回りを含めて総合的に判断して進めることが大切です。
コストや工期を見据えて計画する
デザイン性が高く広々としたお風呂にしようと考えると、その分コストが高くなり工期も長くなります。
予算を超えたり工期が伸びたりしないように、自分のなかで優先順位を付けておきましょう。
床や壁紙・天井のデザインや素材にこだわる
お風呂の雰囲気は、床や壁紙、天井のデザイン・素材によって大きく変わります。床や天井には白やグレー、木目などさまざまな色が用意されています。
また、素材は見た目だけでなく、メンテナンスのしやすさに影響します。お風呂はカビが発生しやすい場所であるため、メンテナンスのしやすさは非常に重要です。床や壁紙・天井のデザイン、素材にこだわり、メンテナンスしやすいお風呂を手に入れましょう。
浴槽のデザインや素材にこだわる
浴槽は基本的に強化プラスチックであるFRPが使われているものの、メーカーによってはホーローや人工大理石を用いたお風呂も用意しています。素材によって特性があり、ホーローは保温性が高く、人工大理石は熱を蓄えるのに時間がかかって、入れた瞬間はお湯を冷ます特徴を持っています。
一方、ホーローはシンプルな浴槽ですが、人工大理石はデザイン性が高く見た目のよい素材です。素材によって快適性、見た目が大きく変わるため、特徴を理解して浴槽を選択しましょう。
配色を意識する
お風呂をどのように使うか考え、配色を意識しましょう。お風呂でリラックスタイムを楽しみたいなら落ち着いた色合いがよいでしょうし、テレビを見て過ごしたいなら照明は反射し過ぎない色が合っています。
また、お風呂を設計する際には、洗面所も含めて配色を意識しましょう。お風呂の配色だけこだわってしまうと、洗面所の雰囲気と合わず浴室が浮いてしまいます。お風呂だけでなく、洗面所と浴室の配色が合っているか確認することが大切です。
換気の仕方に注意する
お風呂を選ぶ際には、換気の仕方に注意が必要です。換気の方法として窓の設置を検討する方がいるものの、2つ以上の窓を設置しないとあまり意味がありません。1箇所だと空気が入り込むだけで、湿気を逃がす道が作れないからです。また、防犯の面から見ても窓の設置はよいことばかりとはいえません。
換気をするには、浴室を密閉した上で換気扇を付けるのがよい方法です。設置するお風呂に換気機能が付いているか確認しておきましょう。
オプションは必要なものだけを採用する
お風呂のオプションは本当に必要なものだけを採用しましょう。お風呂での過ごし方が重視されてきており、浴室テレビやジェットバスなど多くの製品が販売されています。快適性を追求するとオプションの数が多くなり、建築費が跳ね上がってしまいます。
建築費と希望とのバランスを取るためには、優先順位を付けるとよいでしょう。優先順位を付けておけば、本当に必要な設備が何か明確になり、予算内で理想のお風呂を設置できます。
バリアフリーも必要に応じて取り入れる
お風呂の設計をする際には、バリアフリーにする必要があるか検討しましょう。浴槽に出入りする際には、一定の高さまで足を上げて入らなければなりません。しかし、高齢の方や怪我をしている方にとって、足を高く上げるという行動は危険を伴います。手すりが付いていれば、足を上げても体が安定し、転倒するリスクを抑えられます。また、滑りにくい床材を使用するのもよいでしょう。
【実例5選】注文住宅のお風呂デザインをご紹介!
浴室の設計に迷った時は、実際に施工されたお風呂のデザインを参考にするのもおすすめです。ここからは実例を5つ紹介しますので、お風呂の設計の参考にしてみてください。
バリアフリー対応の落ち着いたバスルーム

バリアフリー対応の落ち着いたバスルームです。洗い場に手すりを設置することで、転倒リスクを低減できます。また、浴槽の高さを低くすることで、足をあまり上げずに入浴できるように配慮しています。バリアフリー対応にすると、段差がなくなって掃除しやすくなるのもメリットといえるでしょう。また、白を基調とした落ち着いた色合いですが、正面奥の部分にアクセントカラーとして茶色の壁面にしています。
全面白色を基調とした開放感のあるバスルーム

全面白色を基調とした開放感のあるバスルームです。白は膨張色であり、室内を大きく見せる効果があります。
白だけだと光の反射率が高くなるため、壁面の一部にグレーを配色して明るさを調整しています。
大理石調の壁パネルが高級感を演出するシックなバスルーム

大理石調の壁パネルが高級感を演出するシックなバスルームです。人工大理石はポリエステルやアクリルなどの樹脂を固めたもので、カラーが豊富にある素材です。人工大理石の色を活かすために、浴槽の側面やカウンターなどに黒を配色しています。また、人工大理石は汚れが付きにくく、掃除しやすいというメリットもあります。
大きな窓から観葉植物やTVが楽しめるバスルーム

こちらは、大きな窓から観葉植物やTVが楽しめるバスルームです。ユニットバスのなかでも高級な製品を採用し、通常のシャワーに加え、天井から打たせ湯もできるレインシャワーも完備しています。また、高級感のあるシックな配色になっており、お風呂時間を楽しむための要素を詰め込んでいます。
機能性・デザイン性の高いバスルーム

機能性・デザイン性の高いバスルームです。一般的な浴槽に見えますが、汚れを落としやすい加工がしてあります。シャワーで流すだけで汚れが取れるように加工してあり、メンテナンスの手間がかかりません。また、床も同様に加工してあるため、体への負担が軽くなります。
まとめ
注文住宅を設計する際、お風呂のデザインや使い勝手まで検討しなければなりません。しかし、リビングスペースや居室に比べると、あまり優先度が高くない場合もあるでしょう。入浴時間は生活の質にも影響するため、後悔しないためにも、注文住宅のお風呂を決める際の基本的な情報、ポイントを押さえておきましょう。本記事を参考に、理想のお風呂を手に入れましょう。
注文住宅を建てる