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【実例】2階リビングのメリットデメリットは?間取りや後悔しないためのポイントを解説

【実例】2階リビングのメリットデメリットは?間取りや後悔しないためのポイントを解説
近年、2階にリビングを設置する家が増えているといいます。注文住宅を検討中の方のなかには「2階にリビングを設けたい」という方も少なくないでしょう。リビングを2階に設けるとさまざまなメリットがある反面、いくつかのデメリットも発生します。入居後に後悔しないためにも、2階リビングの間取りが自分たちのライフスタイルに合うか考える必要があります。
本記事では、2階リビングの特徴や、メリットとデメリットについて解説します。2階リビングの家を検討中の方は、記事を参考にしてマイホームの設計を進めてみてください。

2階リビングとは

2階リビングとは、リビングルームを2階に設置した間取りをいいます。
リビングルームは一般的に家族が集まりやすい1階に設置されますが、近年は2階に設置されることも多くなりました。
郊外であれば地価も安価で広い土地が手に入りやすいため、1階でも日当たりがよく、家族がくつろぐための広々としたリビングが設置できるでしょう。
しかし、都心部の場合は隣の家との距離も近く、外部からの目が気になる、周辺に高い建物も多いことから日当たりが悪いなどの理由から1階にリビングを設置しづらいという問題があります。家族がリラックスして集まる場所としての機能が損なわれるという問題を解消するため、2階リビングを採用する家庭が増えています。

2階リビングのメリット

2階リビングのメリットとは?
2階リビングのメリットとは?

2階リビングには、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で見ていきましょう

採光がよい

2階リビングの最大の特徴といえるのが、採光のよさです。一般的に住宅の1階の高さは3m程度あり、1階と2階では高さが異なります。3mもの違いがあると、周辺の建物の影になりにくく、日中でも日の当たる空間にしやすくなります。
1階リビングでも吹き抜けを設ければ、ある程度日当たりを改善できるでしょう。しかし、1階部分のカーテンを閉め切らざるを得ない立地の場合は、あまり効果的とはいえません。しかし、2階リビングなら仮に窓を大きく取れない立地だとしても、高窓や天窓を設置しやすく、より多くの光を取り入れられます。

通気性がいい

2階リビングは通気性がよく、心地よい空間を実現できます。風は高い位置ほど強く吹くため、1階リビングよりも2階のほうが風通しのよい間取りになります。また、周辺に建物が存在している場合、よりいっそう風通しが悪くなり、1階リビングだと快適性の低い空間になるかもしれません。風通しが悪くなると室内に湿気が溜まってジメジメするだけでなく、冬場には結露の原因ともなります。2階にリビングを設ければ、湿度の低い快適な空間を実現できる可能性が高まります。

眺望がよい

2階リビングにすれば、リビングルームが景色を楽しめる眺望のよい空間になる場合もあります。高い位置から遠くを見渡せるため、自然の移り変わりや夜景を楽しめる間取りになります。リビングから眺望を楽しめる空間になるかどうかも考慮しながら設計するとよいでしょう。例えば、眺望のよい方角にベランダを設けたり、大型の窓を設置したりすれば、リビングルームで過ごす時間がより楽しくなるはずです。

耐震性が高まりやすい

2階リビングにすると、耐震性が高い住宅になる場合があります。2階にリビングルームを設置する場合、1階に個室を配置する必要があり、1階の壁の量が増えます。2階部分は1階の壁や柱で支えられているため、建物の安定性が高くなるわけです。安定した建物は地震の揺れに強くなる傾向があり、耐震性が高まりやすいと言われています。耐震性の観点から、1階全体をリビングルームにするのは難しいですが、2階であればある程度広い空間を設けることができるのもメリットです。

プライバシーを確保できる

2階リビングは1階よりも、プライバシーを確保しやすい間取りです。通行量の多い道路に面している場合、通行人の視線が気になり、カーテンを閉め切って生活せざるを得なくなるかもしれません。また、周辺に建物が多ければ、隣家などからの視線が気になることもあるでしょう。カーテンを閉め切ったままの空間で過ごすのは閉塞感があり、決して快適とはいえません。その点、2階リビングなら視線を気にせずに過ごせる場合が多く、開放的な暮らしが実現できます。

天井を高くすることができる

2階リビングは小屋裏を活用できるため、天井の高い開放的な空間が実現できます。一般的に、1階の天井高は2m20cm~2m40cm程度に設定されており、高さに制限があります。吹き抜けを設置すれば開放的な空間になりますが、吹き抜けにした空間は居住スペースや物置スペースとして有効に活用できません。
一方、2階リビングなら天井から屋根までの空間を活用できるため、天井の高いスペースを確保できます。リビングルームの上部をロフトにして収納スペースを広げたり、屋根の勾配を活かしておしゃれな空間にしたりするのもおすすめです。

ベランダやバルコニーをアウトドアリビングとして使える

2階リビングにベランダやバルコニーを設置すれば、アウトドアリビングとして利用できます。アウトドアリビングとは、リビングルームにベランダや中庭をつなげて屋外に共有空間を創出した間取りです。リビングルームとベランダなどが一体化すると、より開放的な空間になります。
また、リビングルームから料理や物を運びやすくなるため、バーベキューや子どもの遊び場としても活用できます。アウトドアリビングがあれば、より楽しく生活できるようになるでしょう。

災害時に生活空間を確保しやすい

2階リビングを設置しておけば、災害時に生活空間を確保しやすくなります。豪雨被害が発生した場合、1階は浸水したり土砂が流入したりするかもしれません。また、大地震が発生した場合、建物の重さを支える1階は損傷しやすく、危険な場所となるおそれもあります。
また、1階にパントリーを設置すると、災害時に非常食や避難道具が使えなくなる可能性もありますが、2階に設置しておけば安心です。2階は1階に比べて比較的災害に強く、避難場所としても適しているといえるでしょう。

2階リビングのデメリット

2階リビングのデメリットとは?
2階リビングのデメリットとは?

続いて2階リビングのデメリットを見ていきましょう。

階段を上り下りしなければならない

2階にリビングルームを設けると、階段を上り下りする機会が増えます。キッチンが2階にあると食材を運ばなければならない、宅配便を1階に取りに行かなければならないなど、階段を利用する回数が増えます。特に足腰を痛めた時には階段の上り下りが億劫になり、リビングルームを利用しなくなる方もいらっしゃるかもしれません。階段の上り下りは避けられないため、階段の段数を増やして傾斜を緩やかにする、将来的にホームリフトを設置できるようにしておくなどの対策が必要です。

家族間のコミュニケーションが取りにくくなる

1階に自室を設けると、家族間のコミュニケーションが取りにくくなる可能性があります。なぜなら玄関からリビングルームを通過することなく自室に入れるようになるためです。
帰宅してすぐに自室に入れるような間取りだと、家族と顔を合わせる時間が減ってしまうかもしれません。コミュニケーションの時間を増やすためにも、浴室やトイレに行くにはリビングルームを通らなければならない、玄関を吹き抜けにして帰宅したかどうか確認しやすくするなどの対策を講じましょう。

夏は熱がこもりやすい

2階リビングは熱がこもりやすく、夏場は不快な空間になるかもしれません。空気は温まると上昇する性質があり、1階で熱せられた空気は2階に集まりやすくなります。また、2階は1階よりも直射日光が入りやすく、室温が高くなりがちです。
暑さ対策をする場合は、断熱性と気密性の高いリビングルームにすることが重要です。断熱性が高いほど外気の熱が侵入しにくくなり、気密性が高くなるほど室内の冷たい空気が外に流れにくくなります。断熱性と気密性が高いスペースは冷暖房効率が高くなり、室内が涼しくなるまでの時間を短縮できます。
また、シーリングファンやサーキュレータをあわせて使うことで、冷暖房の効率をあげるだけでなく電気代の節約にもなります。

防犯面で不安になりがち

2階リビングを中心とした生活になると1階の様子がわかりにくくなり、防犯面で不安になる場合があります。近年の建物は防音性が高く、2階にいると1階からの音が伝わりにくくなっています。例えば2階リビングで音楽を聞いたり映画を観ている時に、家族が帰宅したことにも気付かないこともあります。
防犯面が不安な場合は、スマートコントロールキー搭載の玄関ドアにする、庭や玄関にセンサーを付けるなどの対策が効果的です。

建築費用が高くなる傾向にある

2階リビングを設置する場合、建築費用が高くなる傾向にあります。建築費用が高くなる主な原因は、以下のとおりです。

  • 各種配管を1階から2階に上げなければならない
  • 断熱性と気密性の強化が必要になる
  • 1階に耐力壁や柱を配置しなければならない

2階リビングにするためには、設備工事が複雑になるうえ、建物の構造強化も必要です。建築費用がどの程度かかるのか、見積もりの段階でしっかり確認し、予算を超えないかどうかもチェックしておきましょう。

寝室が1階の場合、排水の音が気になる

寝室を1階に配置する場合、2階で発生する排水の音が気になる場合もあります。2階で使用した水を下方向に流す際には大きな音が発生し、その音が壁や柱などの構造に伝わって響きます。特に深夜だと周辺が静かであるため、より排水の音が気になってしまうかもしれません。排水の音が気にならないよう、2階の水回りの下には寝室を配置しないよう工夫しましょう。どうしても水回りの直下に寝室を配置する必要がある場合、寝室の防音性を高めておくことが大切です。

売却する際に売りにくい場合もある

2階リビングの住宅は、売却しにくい場合もあります。リビングルームを2階に設置すれば、日当たりや通気性がよくなるなどのメリットを得られます。しかし、一般的には「リビングルームは1階にあるもの」と考えている方は多いでしょう。そうした場合、2階リビングのデメリットに目が向いてしまうことがあるため注意が必要です。メリットをしっかり伝えることで売却できる可能性が高まります。不動産会社を通じて、買い手に2階リビングの魅力を伝えてもらうようにしましょう。

2階リビングで後悔しないためのポイント

2階にリビングを設置するうえで注意すべきこととは?
2階にリビングを設置するうえで注意すべきこととは?

2階リビングで後悔しないためのポイントは、以下のとおりです。各ポイントを押さえたうえで設計を進め、理想の間取りを目指しましょう。

高気密・高断熱に配慮する

2階リビングは直射日光が入りやすいため、高気密・高断熱になるよう配慮しましょう。高気密・高断熱の住宅にするには、以下の方法が効果的です。

アルミ樹脂の複合サッシを設置する
複層ガラスの窓を採用する
断熱材の質にこだわる

高気密・高断熱の住宅を建築すれば、室温が外気の影響を受けにくくなります。なお、高気密・高断熱の建物以外にも、庇や軒で日陰を作る、シンプルな間取りにして間仕切り壁を減らし通気性を高めるなどの対策も有効です。室内にサーキュレーターやシーリングファンを設置するのもよいでしょう。

家事動線・生活動線を考える

家事動線・生活動線を考えれば、2階リビングにしても生活に不便さを感じなくなります。リビングルームを2階に設置し、1階に水回りを配置すると、生活の際に階段の上り下りが発生します。階段の上り下りは負担になるため、家事動線や生活動線の中に階段が含まれないように設計することが大切です。設計図が完成した際には、実際に生活した時をイメージして不便だと感じる箇所はないか確認しましょう。

寝室の上に水回りを配置しない

排水の音は響くため、寝室の上には水回りを配置しないよう気を付けましょう。トイレや浴室は深夜帯に利用される場合も多く、就寝中に起きてしまうことがあるかもしれません。何度も起きてしまうと、体調を崩してしまう場合もあるため注意が必要です。
間取りを設計する際は、1階と2階を分けて考えることが多いですが、時には立体的に検討することも大切です。間取りを立体的に検討することで、設計上の問題点が見つかることもあります。

老後のことも考慮する

2階リビングを検討する際は、老後のことも考慮しましょう。現在は足腰に問題がなく、階段の上り下りに負担がかからなくても、将来的にどのようになるかはわかりません。足腰が弱くなった時のことまで考え、階段に手すりを付ける、ホームエレベーターを設置できるスペースを用意しておくなどの対策が必要です。ホームエレベーターは1~2畳程度の広さで設置できるため、設置工事するまでは収納スペースとして活用するとよいでしょう。

【実例】おしゃれで実用的な2階リビングの間取りをご紹介

“隠す”収納で生活感をなくした、こだわりのスタイリッシュなLDK(出典:(株)アークホーム)
“隠す”収納で生活感をなくした、こだわりのスタイリッシュなLDK(出典:(株)アークホーム

ここからは、おしゃれで実用的な2階リビングの間取りを紹介します。実例を写真付きで紹介しますので、設計する際の参考にしてみてください。

極寒対策・災害対策にもこだわった住まい

こだわり抜いた2階リビングの住まい。(出典:(株)一条工務店)
こだわり抜いた2階リビングの住まい。(出典:(株)一条工務店

こちらは、極寒対策・災害対策にもこだわった住まいです。2階リビングは屋根からの距離が近く、部屋が暖まりにくいため、一般的に寒冷地では2階リビングが採用されることは多くありません。しかし、こちらの家では極寒対策のために断熱性・気密性にこだわって建築したことにより、2階にリビングを設けても快適な生活を送れる空間となっています。
また、壁や床、天井を一体化させた箱型構造になっており、外力を面全体で受け止める力が強いのもこちらの住まいの特徴のひとつです。積雪量が多い場合、雪の重みで家に損傷を与える可能性があります。しかし、外力を受け止める力が強いため、雪の重さを心配することなく生活できます。

四季の移り変わりが楽しめるリビング

眺望を楽しめる2階リビングのお家(出典:(株)豊木工舎)
眺望を楽しめる2階リビングのお家(出典:(株)豊木工舎

こちらは、大きな窓から外が眺望できるリビングのある家です。リビングルームを高い位置に配置することで、自然の景色を窓から眺められるようにしてあります。また、リビングルームの開放感を演出するために、高い天井にしているのも特徴のひとつです。日常生活のなかで、開放的な空間から美しい自然を眺められるのは、2階リビングならではの魅力といえるでしょう。

駅チカな住宅密集地域でも明るいリビングを実現

【2階建て 4LDK】白が際立つ2階リビングの家(出典:(株)アーキテックプランニング)
【2階建て 4LDK】白が際立つ2階リビングの家(出典:(株)アーキテックプランニング

こちらは、駅チカな住宅密集地域でも明るいリビングを実現した家です。駅が近く、周辺に住宅が密集しているため日当たりの確保が難しい立地でしたが、2階リビングに大型窓を設けることで日当たりを確保することに成功しました。
大型窓を設置すると日当たりはよくなるものの、外からの音が入りやすくなるというデメリットがあります。しかし、こちらの住宅では防音性の高いトリプルサッシの大型窓を採用し、電車の通過音が気にならないほどの防音性を実現しています。

解放感あふれる勾配天井のリビング

【2階リビングの34坪】リビングに6帖のロフトスペースがある家(出典:栄和住建(有))
【2階リビングの34坪】リビングに6帖のロフトスペースがある家(出典:栄和住建(有)

こちらは、解放感あふれる勾配天井のリビングのある家です。天井を抜いて小屋裏のスペースを活用し、開放感あふれるリビングルームを実現しています。屋根の勾配に合わせた木目のデザインもおしゃれです。
また、空間をうまく活用し小屋裏部分にはロフト、キッチンの横には子どものスタディスペースも設けてあります。収納スペースを確保しつつ、キッチンにいながらも子どもの様子を見られるという、利便性を兼ねているのも特徴のひとつです。

バルコニーとつなげてアウトドアリビングとしても利用可能

ゆったりと家族で寛げる2階LDK+アウトドアリビングのある家((有)あすなろ工房)
ゆったりと家族で寛げる2階LDK+アウトドアリビングのある家((有)あすなろ工房

こちらは、バルコニーとつながったアウトドアリビングのある住まいです。インナーバルコニーのように上下左右に壁があり、雨が侵入しにくい構造をしているため、風が弱い少雨の日には窓を開けたままでも室内に入り込む心配はないでしょう。周囲の住宅から⾒えにくいように設計されているため、ハンモックを設置してお昼寝するなどさまざまな楽しみ方できそうですね。

まとめ

最後に、おさらいとして2階リビングについてまとめてみました。

2階リビングとは?

1階にリビングが設置されていることが一般的ですが、2階部分にリビングを設けた間取りのことをいいます。最近では、隣の家との間が狭い都心部の住まいに採用されることが多い傾向にあります。

2階リビングのメリットは?

2階リビングは日当たりや通気性がよく、プライバシーを確保しやすい間取りです。周辺の建物の影響で1階にリビングルームを設置してもくつろげる空間にならない土地の場合は、2階リビングを検討してみるとよいでしょう。

2階リビングのデメリットは?

階段の上り下りが増えるため、買い物時など重い荷物を運ぶ際には不便に感じることも。空気は温まると上昇する性質があるため、1階より2階の方が夏は暑くなる傾向にあるため冷暖房費用が増加する可能性もあります。

2階リビングを検討する際はデメリットや設置時の注意点を把握したうえで設計してください。後から後悔しないためにも、工務店やハウスメーカーの担当者に相談したり、住宅展示場で体感するなどして対策を考えながら快適な2階リビングを設計することが大切です。

執筆者

渥美 誠

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テナント誘致などに携わる。これらの業務に18年間携わり、不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産・金融webライターとして執筆活動中。愛知県出身。

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