このページの一番上へ

太陽光発電の設備に固定資産税はかかる?計算方法からシミュレーションまで

太陽光発電の設備に固定資産税がかかるかどうかは設置方法などによって異なります
地球温暖化対策や再生可能エネルギーの普及促進のため、地球にやさしい家づくりが国全体で進められています。その一環として、東京都や神奈川県川崎市では2025年4月から要件を満たす建物に対して、太陽光発電設備の設置を義務付けました。注文住宅を検討している方のなかには、太陽光発電設備の設置を考えている方もいるでしょう。しかし、土地や建物などの固定資産を所有すると、固定資産税を納めなければなりません。太陽光発電設備の場合はどうなるのでしょうか。

本記事では、太陽光発電の設備に固定資産税がかかるのかどうか、固定資産税はいくらかかるのかを解説します。また、太陽光発電の設備にかかる固定資産税を抑える方法も解説するため、住宅購入後の資金計画のためにも押さえておきましょう。

太陽光発電の設備にかかる固定資産税とは

太陽光発電設備の出力容量が10kw以下であれば固定資産税はかかりません
太陽光発電設備の出力容量が10kw以下であれば固定資産税はかかりません

結論をいうと、太陽光発電の設備に固定資産税がかかるかどうかは、種類や設置方法によって異なります。詳しく解説する前に、固定資産税の基本を理解しておきましょう。

固定資産税とは

固定資産税とは、土地や建物、償却資産を所有する人に課される税金のことです。毎年1月1日時点の所有者が、固定資産が所在する市区町村に納めます。償却資産とは、事業に用いることができる資産のこと。事業は必ずしも利益を得るものではなく、一定の目的のために一定の行為を反復、継続しておこなうことをさすため、ボランティア活動なども含まれます。償却資産の具体例としては、パソコンや工具、車両などが挙げられます。

住宅用と産業用の違い

太陽光発電には、住宅用と産業用の2種類があります。主な違いは出力容量で、10kw(キロワット)未満が住宅用、10kw以上のものが産業用となります。設置者別の住宅用と産業用の2つに分けて固定資産税の課税状況を下表にまとめました。

設置者 10kw以上の
太陽光発電設備
10kw未満の
太陽光発電設備
個人
(住宅用)
売電するための事業用資産となるため
申告対象
個人利用を主な目的とした資産となるため
申告対象外
個人事業主
(事業用)
個人でも事業の用に供している資産は、
発電出力量や余剰売電・全量売電に関わらず申告対象
法人 事業の用に供している資産になるため、
発電出力量や余剰売電・全量売電に関わらず申告対象

なお、余剰売電とは自宅で消費して余った電力を売ること。全量売電とは、発電した電力をすべて売ることです。10kw未満で個人利用のために設置するのであれば、固定資産税はかかりません。しかし、10kw以上の産業用であれば、誰が設置をしても事業目的とみなされ、固定資産税がかかります。

設置形態による違い

太陽光発電の設備に固定資産税がかかるかどうかは、設置方法によっても異なります。設置方法別の固定資産税の取り扱い方法を表にまとめました。

設置者 売電

有無
設置方法 申告区分
個人 売電
しない
架台に乗せて
設置
事業用に該当しないため、申告不要
屋根材として
設置
事業用に該当しないため、申告不要
建材として家屋の評価に含まれる
売電
する
架台に乗せて
設置
事業用の償却資産として申告が必要
屋根材として
設置
償却資産としての申告不要
家屋の一部として評価される
法人または
個人事業主
架台に乗せて
設置
事業用の償却資産として申告が必要
屋根材として
設置
家屋の一部として評価される

設置者が個人または法人、売電する・しないにかかわらず、太陽光発電設備を屋根材として設置している場合は家屋の一部とみなされ、固定資産税がかかります。この場合、10kw未満の太陽光発電で自家用であっても、家屋として評価されるため、固定資産税を納めなければなりません。

ただし、太陽光発電設備を架台に乗せて設置し、売電しない場合は事業用にあたらないため、申告をする必要はありません。しかし、個人であっても架台に乗せて設置し、売電する場合は償却資産となるため申告が必要です。

設置者や売電の有無、設置方法によって固定資産税がかかるかどうかが異なります。太陽光発電の設備を設置する際は、設置方法も検討しましょう。

太陽光発電の設備にかかる固定資産税はいくら?

太陽光発電の設備に固定資産税はいくらかかるのでしょうか
太陽光発電の設備に固定資産税はいくらかかるのでしょうか

太陽光発電の設備には、償却資産または家屋の一部として固定資産税がかかります。本章では、固定資産税の計算方法を解説します。

固定資産税の計算式

固定資産税の計算式は次のとおりです。
固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%

太陽光発電の設備が家屋の一部とみなされる場合、建物に対する固定資産税額に含まれています。なお、償却資産とみなされる場合は、取得後の経過年数に応じて価値の減少を考慮して評価がおこなわれます。そのため、評価額を次の計算式で求めます。

前年中に取得した場合:評価額 = 取得価額 ×(1ー 減価率 ÷2)
前年より前に取得した場合:評価額 = 前年度の価格 ×(1ー 減価率)

太陽光発電設備の耐用年数は17年のため、前年中に取得した場合の減価残存率(1ー 減価率 ÷2)は、0.936、前年より前に取得した場合の減価残存率(1ー 減価率)は0.873となります。

1年目にかかる固定資産税

償却資産の場合、経過年数に応じて価値が減少していくため、固定資産税額も減少していきます。まずは、太陽光発電の設備を設置した年の固定資産税額を計算してみましょう。なお、今回は取得価額を500万円としてシミュレーションします。

まずは固定資産税額を計算する際に必要な評価額を求めます。
500万円 × 0.936 = 468万円

評価額を求めてから、固定資産税額を計算します。
468万円 × 1.4% =6万5,520円

100円未満は切り捨てのため、今回の場合、固定資産税額は6万5,500円となります。

2年目にかかる固定資産税

次に、2年目にかかる固定資産税額を計算してみましょう。前年度の価格をもとに、評価額を求めます。計算式は次のとおり。
468万円 × 0.873 = 408万5,640円

1,000円未満を切り捨てた金額が課税標準額となるため、408万5,000円が評価額となります。最後に固定資産税額を求めてみましょう。
408万5,000円×1.4% =5万7,190円

先ほどと同様、100円未満は切り捨てのため、5万7,100円となります。1年目と比較して、8,000円ほど安くなったことがわかります。

3年目にかかる固定資産税

最後に、3年目にかかる固定資産税を計算してみましょう。まずは評価額を求めます。
408万5,000円 × 0.873 = 356万6,205円

1,000円未満は切り捨てのため、356万6,000円となります。次に固定資産税額を求めます。
356万6,000円 × 1.4% =4万9,924円

100円未満は切り捨てのため、4万9,900円となります。1年目と比較して1万5,300円、2年目と比較して7,200円下がりました。なお、課税標準額が150万円未満になると、固定資産税は課税されません。

太陽光発電設備の減税特例

太陽光発電設備には、固定資産税を抑えるための特例措置が用意されています。固定資産税を課されることになった年度から3年間、軽減されます。具体的な条件と軽減率を下表にまとめました。

対象設備
・自家消費型
・固定価格買取制度の対象外の設備
・ペロブスカイト太陽電池を使用した設備
・地球温暖化対策の推進に関する法律に規定する認定地域脱炭素化促進事業計画にしたがって取得した設備
軽減率 ・1,000kw未満:2/3
・1,000kw以上:3/4

なお、すべて10kw以上の太陽光発電の設備で、2026年3月31日までに取得したものが対象となります。

また、自治体によって軽減率を独自に設定できるわがまち特例が適用される場合があります。例えば、東京都西多摩郡瑞穂町の場合、1,000kw未満の太陽光発電設備であれば、軽減率は1/2となります。

太陽光発電設備にかかる固定資産税を抑える方法

太陽光発電の設備にかかる固定資産税を抑えるための方法を解説します
太陽光発電の設備にかかる固定資産税を抑えるための方法を解説します

太陽光発電の設備が償却資産とみなされた場合、年数に応じた価値の減少が考慮されるため、固定資産税額は低くなっていきます。しかし、所有している限りは固定資産税を納め続けなければなりません。そのため、できるだけ負担を抑えたいと考える方もいるでしょう。固定資産税を抑える方法は、次の2つです。

  • 太陽光発電の設備を10kw未満にする
  • 太陽光発電の設備をあと付け式のものにする

太陽光発電の出力容量が10kw未満であれば、個人利用とみなされるため、固定資産税がかかりません。また、新築時に太陽光発電の設備を設置する際、屋根材そのものに太陽光パネルが組み込まれる屋根一体型が一般的です。この場合、太陽光発電の設備は家屋の一部とみなされ、固定資産税がかかります。しかし、屋根材に架台を置き、その上に太陽光パネルを設置する場合には、固定資産税がかかりません。固定資産税の負担を抑えたいのであれば、これらの2つを意識するといいでしょう。

太陽光発電の設備にかかる固定資産税の申告方法

太陽光発電の設備が償却資産とみなされる場合は申告が必要です
太陽光発電の設備が償却資産とみなされる場合は申告が必要です

売電しない場合であっても、10kw以上の太陽光発電の設備は償却資産に該当するため、固定資産税の申告が必要です。原則として、設置した翌年の1月末が申告期限となります。自治体によって様式は異なりますが、償却資産申告書、種類別明細書の書類を提出しなければなりません。

償却資産申告書には、所有者の住所・名前、資産の取得価額や所在地を記入します。また、種類別明細書には、資産の名前や取得した日、取得価額などを記入します。さらに、特例の適用を受ける際は、固定資産税の申告とは別に届け出が必要です。例えば、長野県長野市の場合、次のような書類を提出しなければなりません。

  • 固定資産税(償却資産)の課税標準の特例にかかる届出書
  • 対象となる各補助金などの交付申請書、交付決定通知書および実施計画書類などの写し
  • 太陽光発電設備の出力規模などが確認できる資料
  • 発電設備を取得した年月が確認できる書類の写し

自治体によって必要となる書類が異なる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

太陽光発電の設備にかかる固定資産税を申告する際の注意点

償却資産として固定資産税を申告する際の注意点を解説します
償却資産として固定資産税を申告する際の注意点を解説します

太陽光発電の設備を償却資産として固定資産税を申告する際には、いくつか気を付けなければならない点があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

期限内に申告する

太陽光発電の設備にかかる固定資産税を申告する際には、必ず期限内に済ませるようにしましょう。万が一、期限に遅れた場合や、申告漏れが発覚した場合、追徴課税に加えて延滞金を徴収される可能性があります。

延滞金の計算は、遅れた期間によって異なります。納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、税額に年14.6%をかけた金額を加算して納付しなければなりません。なお、納期限の翌日から1カ月を経過する日までの期間は、税額に年7.3%をかけた金額となります。1日遅れただけでも延滞金が発生するため、必ず期限内に申告するようにしましょう。

毎年申告する必要がある

太陽光発電の設備を設置した年の翌年だけでなく、毎年申告する必要があります。また、課税標準額が150万円未満の場合、固定資産税は課されませんが、申告しなければなりません。

自治体によって、地方税ポータルシステムを利用した電子申告が可能な場合もあります。自宅からインターネットを利用して手続きができるため、仕事で忙しい方などは検討するといいでしょう。

まとめ

今回は、太陽光発電の設備にかかる固定資産税について解説しました。出力容量や設置方法によって、固定資産税がかかるかどうか、償却資産とみなされるかが変わります。償却資産とみなされる場合、経過年数に応じて、固定資産税額は低くなっていきますが、課税標準額が150万円未満になると課税されません。しかし、申告は毎年おこなう必要があります。申告期限が決まっているため、忘れず申告するようにしましょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る