注文住宅は1,000万円台で建てられる?間取りの実例やメリット・デメリットを紹介

今回は注文住宅を1,000万円台で建てる工夫と間取りの実例を徹底解説します。費用の内訳から、1,000万円台で建てるメリット・デメリットまで詳しくまとめました。
また1,000万円で注文住宅を建てる前に、知っておきたいリスクと対策も紹介します。これからマイホームの新築を予定している方は、ぜひ参考にして予算内で理想のマイホームを手に入れましょう。
記事の目次
注文住宅は1,000万円台で建てられる?

そもそも注文住宅は、1,000万円台で建てられるのでしょうか。ここでは、土地がある場合と土地がない場合を解説します。
土地あり
国土交通省の「建築着工統計調査(2023年)」の建築工事費調査によれば、木造の工事費予定額は平方メートル当り209.0万円で、坪単価に換算すると63.22万円です。
例えば1,500万円の予算では23.72坪(78.43平方メートル)、1,900万円は30.05坪(99.33平方メートル)の家が建てられることになります。
土地をすでに所有していて、建物代を1,000万円台で計画するのであれば、建物の面積や条件によっては、注文住宅のマイホームを十分実現できそうです。
土地なし
土地を含めて1,000万円台のマイホームを手に入れられるかは、土地代がいくらになるかによって異なります。
注文住宅を1,500万円未満、土地を500万円未満で購入できれば、計算上は可能です。土地をいくらで購入できるかがカギになるでしょう。
注文住宅を1,000万円台で建てるための工夫

なるべく建築コストを下げて、1,000万円台で注文住宅を叶えるには、どのような工夫が考えられるのでしょうか。ここでは7つのポイントを紹介します。
延床面積が小さくなるようにする
建築費用は、延床面積に応じた坪単価で決まり、住宅の床面積が広くなればその分費用は高くなります。なるべく廊下の面積を減らして居室に面積をあて、効率的でコンパクトな間取りにしましょう。
また、依頼するハウスメーカーや建築会社、工務店によって建築費の坪単価は異なりますが、2,000万円以下で建築できる住宅の延床面積は、前述の平均的な坪単価を使って試算すると以下のとおりです。
予算 | 建築できる延床面積の目安 |
---|---|
1,000万円÷63.22万円 | 15.81坪(52.26平方メートル) |
1,200万円÷63.22万円 | 18.98坪(62.74平方メートル) |
1,400万円÷63.22万円 | 22.14坪(73.18平方メートル) |
1,600万円÷63.22万円 | 25.30坪(83.63平方メートル) |
1,800万円÷63.22万円 | 28.47坪(94.11平方メートル) |
2,000万円÷63.22万円 | 31.63坪(104.56平方メートル) |
間取りを工夫して部屋数を少なくする
部屋数を減らすことで壁や建具にかかるコストをカットでき、さらに工事の手間が減る分、工期も短くなります。例えば、子ども部屋は仕切らず兄弟で共有する、和室ではなく畳コーナーにするなどして、なるべくコストがかからない間取りになるように工夫しましょう。
水まわりをまとめる
給排水管の長さは、短いほどコストカットにつながります。道路に埋設された本管から近い場所に浴室やキッチン、トイレを設けるようにし、1階と2階の水回りの位置も揃えるようにしましょう。
外観のデザイン・家の形状はシンプルにする

外観はできる限り凹凸を作らず、シンプルな形にしましょう。正方形や長方形にすることで、屋根材や外壁材、柱などの建材を節約でき、工期が短くなれば人件費も削減できます。例えば、屋根は4面で構成する寄棟屋根ではなく、2面の切妻(きりつま)屋根や一枚屋根の片流れ屋根にするのもおすすめです。
フルオーダーではなく規格型住宅にする
注文住宅には、すべて自由に設計する「自由設計型」と、ある程度決まった間取りや仕様から選んで建てる「規格型」があります。規格型は自由設計型と比べると自由度が低いものの、予算を抑えられるのが特徴です。ハウスメーカーによって規格型住宅を用意していないケースもあるため、まずは対応しているか相談してみましょう。
予算に合った住宅設備・建材を選ぶ
採用する住宅設備や建材、内装材によって、建築費が異なります。なるべく標準品を選んで、建築費が高くなりすぎないようにしましょう。オプションや造作工事を増やしてしまうと、その分費用はアップします。本当に必要な工事なのか、よく考えたうえで決定しましょう。
ローコスト住宅が得意な住宅会社に任せる
住宅メーカーには自由設計が得意なハウスメーカーもあれば、コストを重視してローコストで建てられるハウスメーカーもあります。なるべく費用を抑えたいのであれば、ローコスト住宅も視野に入れて検討しましょう。
注文住宅を1,000万円台で建てた場合の間取り実例
注文住宅を1,000万円台で建てる場合、どのような間取りが考えられるのでしょうか。ここでは平屋・二階建て・三階建て別に4例紹介します。
平屋住宅 延床面積77.84平方メートル

将来的に子ども部屋の中心に壁を造作することで、平屋でも3LDKにできる間取りです。水回りがまとまっており、キッチンから洗面所・浴室へ続く家事動線が短く、77.84平方メートルとコンパクトに収まっています。要所となる箇所の建具を引き戸にすることでドア同士がぶつかることがなく、通行の妨げになるのを防げるでしょう。
平屋住宅(ロフト付き) 延床面積87.77平方メートル

平屋にロフトをプラスした間取り。ロフトは天井高を1.4m以内にする必要がありますが、収納やプレイルームとして活用できます。玄関入ってすぐに洗面台とトイレをレイアウトしたプランは、生活感が出やすい脱衣所から離れているため来客時も安心です。
二階建て住宅 延床面積77.83平方メートル

二階建てにすることで延床面積は広く確保しやすくなりますが、予算にあわせてコンパクトで効率的な間取りになるようにしましょう。二階を家族が集まるリビングにしてキッチン・リビングダイニングを南側のレイアウトにします。朝日を浴びながら朝食の支度ができるのが魅力です。
三階建て住宅 延床面積81.85平方メートル

狭小地でも三階建てにすることで、3LDKの間取りを確保できます。二階はリビングダイニングとキッチンのみにすることで、明るく開放的な空間を実現しています。各部屋がシンプルな四角なのでコストを抑えつつ、家具のレイアウトがしやすい使い勝手のいい間取りになりました。
注文住宅を1,000万円台で建てる費用内訳
注文住宅の費用は、通常本体工事・付帯工事・諸費用で構成されています。注文住宅を1,000万円台で建てる場合の内訳をイメージしてみましょう。
本体工事費

本体工事とは、建物本体を建てるためにかかる費用のことです。基礎工事や足場工事、屋根工事、給排水管の配管工事などが含まれます。ハウスメーカーや建築会社によって多少内訳が異なることがありますが、住宅を建てるのにかかる費用の75%~80%を占めるといわれています。
付帯工事費用
付帯工事費用とは、建物を建てるのに付随してかかる費用のことで、全体の15%~20%が目安です。外構工事や水道の本管から敷地内へ引き込む工事の他、照明やエアコン、古屋の解体費用のことをいいます。
諸費用
諸費用とは、工事請負契約書の印紙代や住宅ローンの手数料や印紙代など、建築工事以外にかかる費用のことです。引越し代や税金(不動産取得税・固定資産税・都市計画税)を含めることもありますが、どこまで含めるかによって異なります。目安として、建築工事費の5%~10%を想定しておきましょう。
注文住宅を1,000万円台で建てるメリット

注文住宅を1,000万円台で建てるとしたら、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここではおもなメリットを3つ紹介します。
住宅ローンの負担を抑えられる
注文住宅を1,000万円台にすることで、住宅ローンの家計への負担を軽減できます。自己資金や住宅ローンの借入可能額が少ない場合でも、マイホームの購入を実現しやすくなるでしょう。
建売住宅よりもこだわりを実現しやすい
注文住宅と建売住宅が同等の価格帯であっても、注文住宅は自由に設計できるため、希望や条件を反映しやすくなります。
土地の購入費用にコストを割ける
建物にかかる費用をなるべく節約することで、資金を土地の購入費用に充てることができます。土地の立地や環境を重視したい時は、購入資金と建築費用のバランスを考えて資金計画を立てましょう。
注文住宅を1,000万円台で建てるデメリット

注文住宅を1,000万円台で建てる場合、デメリットがあるとしたらどのようなことに注意したらよいのでしょうか。事前にデメリットも確認し、注文住宅を検討しましょう。
設備・建材のグレードを妥協しなければならないことがある
延床面積や依頼先にもよりますが、注文住宅を1,000万円台で建てようとすると、設備や建材のグレードを下げて予算内におさめる努力が必要になるでしょう。
維持費・メンテナンス費用がかかるケースがある
ローコスト住宅は、比較的安価な屋根材や外壁材を採用していることがあり、高耐久な建材に比べると長持ちせず、維持費やメンテナンス費用がかかるケースがあります。
充実したアフターサービスを受けられない可能性がある
建築コストを抑えているハウスメーカーや建築会社は、アフターサービスや保証が充実していない可能性があります。事前に保証の範囲やアフターサービスについても確認しておくと安心です。価格だけでなく、サービスの部分も確認して、納得したうえで購入するようにしましょう。
注文住宅を1,000万円台で建てるなら知っておきたいリスクと対策

注文住宅を1,000万円台で検討している方のために、事前に知っておきたいリスクとその対策について紹介します。
安全性・快適性に関わる部分のコストは削らない
安心して快適な暮らしを実現できないのであれば、元も子もなくなってしまいます。コストを抑えるためであっても、安全性や快適性に関わる部分は削らないようにし、床面積の広さや外観のデザイン、設備のグレードで工夫しましょう。
こだわりと優先順位を明確にしておく
限られた予算内で住宅を建てる場合、こだわりや優先順位を明確にしておきましょう。叶えたいポイントが実現できれば、満足度の高いマイホームになるでしょう。
消費税や土地購入の仲介手数料も計算する
建築費には消費税、土地の購入にあたっては仲介手数料がかかります。他にも引越し費用や事務手数料などの諸費用がかかるため、思わぬ出費が発生しないように、資金計画を立てる際はなるべく綿密に立てましょう。
将来のランニングコストを考慮する
マイホームを維持するためには、屋根や外壁の塗装や設備の交換が必要になります。安価であることを優先するのではなく、将来かかるコストも考慮して建材や設備を選びましょう。
注文住宅を1,000万円台で建てることに関するまとめ
注文住宅を1,000万円台で建てる時に、押さえておきたいポイントをおさらいします。
注文住宅は1,000万円台で建てられる?
工夫次第で1,000万円台で建てることは可能です。土地をすでに所有していて、建物代を1,000万円台で計画する場合は、建物の面積や条件によりますが、注文住宅で家を建てられるでしょう。土地がない場合でも、土地を安く購入できれば、実現できる可能性があります。
注文住宅を1,000万円台で建てる工夫は?
延床面積が大きくなりすぎないようにし、間取りや採用する設備、外観デザイン、水回りのレイアウトも工夫して予算を抑えましょう。規格型住宅やローコスト住宅も視野に入れて検討してみてください。
注文住宅を1,000万円台で建てるメリットは?
注文住宅の建築費用を1,000万円台に抑えることで、住宅ローンの返済負担を減らせるほか、土地購入費用に予算を充てられるメリットがあります。
マイホームは、一生のうちに何度も購入するものではありません。こだわりたいポイントは諦めないようにし、ぜひ今回紹介した予算を抑える工夫を実践して、家族が理想とするマイホームを注文住宅で実現させましょう。
注文住宅を建てる