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注文住宅の値引きはできる?交渉する方法と予算を抑えるコツ

注文住宅の値引きはできる?交渉する方法と予算を抑えるコツ
注文住宅は自由設計をできることが魅力です。ところが、希望を盛り込んでいくうちに予算を超えることも少なくありません。できることなら「値引き交渉したい」と思う方は多いのではないでしょうか。
注文住宅の値引き交渉自体は可能です。しかし、値引きには少なからずリスクがあることも心得ておきましょう。

この記事では、注文住宅で値引きできるケースや、値引きの相場を解説します。また、上手な値引き交渉の仕方や、値引き以外で予算を抑える方法も紹介します。注文住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

記事の目次

注文住宅の値引きはできる?

注文住宅の値引きはできる?
注文住宅の値引きはできる?

注文住宅を建てる場合、ハウスメーカーや工務店に対しての値引き交渉は可能です。値引きがメリットになる一方、リスクがあることも事実なので、詳しく解説します。

注文住宅の値引きはできるが慎重さが大切

注文住宅は、施主の希望や土地の条件に合わせてプランを立て、見積もりをします。自由設計で定価がないため、値引きに応じてもらえるケースがあります。しかし、ハウスメーカーや工務店にとっては「値引き=利益の減少」です。強引な値引き交渉は、営業担当者との関係性を悪化させることになりかねません。交渉する際は慎重におこなうようにしましょう。

注文住宅の値引きに失敗する可能性がある理由

注文住宅の値引きに失敗するとしたら、どのようなケースが考えられるのでしょうか。2つのケースを紹介します。

注文住宅には売れ残りの概念がない

注文住宅は施主と工事請負契約後に着工し、竣工・引き渡し後に建築にかかった費用や経費を回収できます。つまり、分譲住宅や建売住宅のように在庫をかかえることがないため、注文住宅に売れ残りの概念がありません。ハウスメーカーや工務店によっては値引きを想定していない、もしくはそもそも値引きに応じないケースもあり、大幅な値引きは難しいことがあります。

無理な値引き交渉はデメリットも少なくない

ハウスメーカーや工務店は、一定の利益を得られないのであれば事業が成り立ちません。無理な値引き交渉に応じるために、人件費を削り、建材の仕様変更をする可能性があります。通常よりも工期が長くなる、もしくは本来のメンテナンス時期よりも早めに補修が必要になるなど、デメリットが生じることがあるので注意しましょう。

注文住宅の値引きができるケースと難しいケース

注文住宅の値引きができるケースと難しいケース
注文住宅の値引きができるケースと難しいケース

注文住宅で値引きできるケースもあれば難しいケースもあり、ハウスメーカーや工務店によって異なります。相談している会社がどちらにあたるのか、契約前に確認しましょう。

注文住宅の値引きができるケース

ハウスメーカーや工務店によっては、ある程度値引きすることを考慮して見積もりを提示することは少なくありません。既存顧客からの紹介制度や、時期によってはお得なキャンペーンを用意していることもあります。値引き前提の姿勢で商談に臨むのはよくありませんが、契約前に交渉できるのか相談してみましょう。

注文住宅の値引きが難しいケース

値引き交渉が難しい、もしくは一切できないケースもあります。例えば、値引き交渉した顧客だけが得するような状況を避けるためにルール化し、値引き交渉に一切応じないハウスメーカーや工務店があります。また、ローコストであることを売りにしているハウスメーカーは、すでにギリギリまでコストカットした価格を提案していることがほとんどです。この場合は、基本的に値引きは難しいでしょう。

注文住宅の値引き交渉がうまくいきやすい3つのタイミング

注文住宅の値引き交渉がうまくいきやすい3つのタイミング
注文住宅の値引き交渉がうまくいきやすい3つのタイミング

注文住宅の値引き交渉を成功させるためには、タイミングも重要です。この章では、値引き交渉が成功しやすいタイミングを3つ紹介します。

契約直前

1つ目のタイミングは、契約直前です。最初から値引きできるのか聞いてしまうと、値引きを想定した見積もりになりかねません。値引き交渉は、契約直前の一度だけにしましょう。営業担当者は施主の希望や条件を聞き取り、プランを提案します。一度の提示で契約になることはほとんどなく、契約までに何度か修正が必要になり、そのたびに見積もりを作成し直すことになります。契約まであと一歩のところで他社と契約されてしまえば、それまでの苦労は水の泡です。営業担当者は何としてでも契約したいと思うため、契約直前が交渉するタイミングとしてはベストです。

決算時期

タイミングが合うようであれば、決算時期を利用しましょう。決算までに少しでも受注を増やしたいと考えるハウスメーカーや工務店は多くいます。買い手から値引き交渉をしなくても、キャンペーンを利用することで安くなることもあります。

住宅が売れにくい時期

最後は、住宅が売れにくい時期です。年間を通して平均的に受注することで収入が安定し、従業員の労働力や人件費を無駄にすることもなくなります。住宅が売れにくい時期は、利益が多少減っても受注したいと考えるハウスメーカーや工務店が多く、値引き交渉しやすい時期です。国土交通省のデータ「新設住宅着工戸数の推移」によれば、毎年1月の着工数が減少しています。1月に着工するタイミングを逆算し、完成時期にこだわらないことを営業担当者に伝えてみましょう。

注文住宅の値引き相場

注文住宅の値引き相場
注文住宅の値引き相場

値引きの有無や値引き率は、ハウスメーカーや工務店によって異なり、タイミングによっても変わることがあります。一様に示すことは難しいですが、本体価格の3%~8%が相場といわれています。全国展開しているようなハウスメーカーと地域密着型の工務店ではそもそも見積額や経費が異なるため、あくまでも目安としてください。

注文住宅の値引き交渉をする方法・伝え方

注文住宅の値引き交渉をする方法・伝え方
注文住宅の値引き交渉をする方法・伝え方

注文住宅を値引き交渉する際は、いくつかのポイントを押さえて営業担当者に上手に伝えましょう。値引きを成功させるためのポイントを3つ紹介します。

複数社の見積もりを取って交渉材料に使う

ハウスメーカーや工務店に見積もり依頼する際は、他社にも相談していることを伝え、他社の見積もりを交渉材料として使いましょう。根拠や比較材料があったほうが交渉しやすく、営業担当者も値引き額を提示しやすくなります。ただし、比較的グレードが高いハウスメーカーや工務店に対し、ローコスト住宅の見積もりを見せても参考になりません。できるだけ同等の売上や出店規模のハウスメーカーや工務店と比較するようにしましょう。

契約の確約を前提に具体的な希望額を伝える

値引き交渉をする際は具体的な希望額を提示し、その金額になるのであれば契約すると伝えましょう。漠然と値下げ交渉をするよりも、値引きに応じてくれる可能性が高まります。ハウスメーカーや工務店は、契約するために真剣です。むやみに交渉することは避け、値下げに成功したら必ず契約するつもりで交渉しましょう。

営業担当者を味方につけて相談をする

営業担当者と信頼関係を築き、相談しやすい状況を作りましょう。「なんとか予算に合うように値引きして、注文住宅を建ててもらいたい」と思われるような関係性が理想です。値引き交渉よりも、その会社の注文住宅が気に入っていることをアピールし、コストカットする方法はないかとの視点で相談してみましょう。

注文住宅の値引きをするリスクと対策

注文住宅の値引きをするリスクと対策
注文住宅の値引きをするリスクと対策

注文住宅で値引き交渉するリスクと、その対策を紹介します。

注文住宅の値引きをするリスク

注文住宅で値引きすると、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。主な3つのリスクを紹介します。

建材がグレードダウンする可能性がある

値引きにより、使用する建材のグレードがダウンする可能性があります。通常浴室やキッチンなどの設備は、仕様やグレードが決まっているため勝手に変更できません。しかし、建材は見積もりに詳細が記載されていることはほとんどなく、変更しやすい項目です。

工期が伸びる可能性がある

コストカットをするために人件費を削ることがあり、それにともなって工期が想定よりも伸びることがあります。値引き交渉をしたら、工期も確認しておきましょう。

契約を断られる可能性がある

値引きによって利益を見込めないと判断された場合、ハウスメーカーや工務店から断れることもあります。本当にその会社に依頼したいと思うのであれば、違う方法で予算に納める方法を検討しましょう。

注文住宅の値引きのリスクを防ぐ方法

注文住宅を決める際は、理想を叶えてくれる会社や営業担当者を選ぶようにし、値引き率だけで決めないようにしましょう。住んでから後悔するのは本末転倒です。自分にとって譲れないポイントが何なのか、よく考えたうえで購入を決定しましょう。

注文住宅の値引き以外で予算を抑えるコツ

注文住宅の値引き以外で予算を抑えるコツ
注文住宅の値引き以外で予算を抑えるコツ

注文住宅の見積もりが予算を超えてしまった方のために、値引き以外に予算を抑えるコツを紹介します。

キャンペーンを活用する

ハウスメーカーや工務店によっては、独自のキャンペーンを実施していることがあり、値引き交渉をしなくても安くできることがあります。他にも既存顧客の紹介制度があることもあります。知人に同じハウスメーカーで建てた人がいる場合は、紹介制度がないか聞いてみましょう。

オプションの値引き・無料追加を希望する

金額の値引きが難しいハウスメーカーや工務店も、オプションに関しては相談できることがあります。無料で追加できるサービスや設備がないか聞いてみましょう。

補助金・助成金制度を利用する

長期優良住宅や省エネ住宅などは、国や自治体から補助金や助成を受けられることがあります。例えば子育てエコホーム支援事業は、長期優良住宅1住戸に対し100万円補助しています。タイミングによっては予算に到達していることがあり、年度によって対象や条件が異なります。詳細は、ホームページなどで確認するようにしてください。

注文住宅の値引き頼りに注意!予算をしっかり立てることが大切

注文住宅の値引き頼りに注意!予算をしっかり立てることが大切
注文住宅の値引き頼りに注意!予算をしっかり立てることが大切

注文住宅は値引きできるケースもありますが、値引き交渉することを前提でプランを立てないようにしましょう。注文住宅は選ぶ設備や仕様によって価格が変動するため、最終的に予算オーバーになることも少なくありません。だからといってプランや仕様を見直すことなく値引きを要求するのは、真摯に向き合ってくれるハウスメーカーや工務店に対して失礼な話です。予算に合った依頼先を選ぶようにし、無理のない範囲で設備や仕様を選ぶようにしましょう。

注文住宅の値引きに関するまとめ

注文住宅の値引きで重要なポイントを簡単に整理します。

注文住宅の値引き交渉がうまくいきやすいタイミングは?

注文住宅の値引き交渉がうまくいきやすいタイミングは、契約の直前や決算期、住宅が売れにくい時期です。なお、住宅の着工数が少ないのは、国土交通省のデータによると1月です。

注文住宅の値引きをする方法は?

複数のハウスメーカーや工務店に相談していることを伝え、他社の見積もりを交渉材料として用意しましょう。また、明確な希望価格を提示し、その金額であれば契約したいと意思を伝えることも大切です。営業担当者を味方につけて、相談してみてください。

注文住宅の値引き以外で費用を抑えるコツは?

値引き以外にも、キャンペーンや紹介制度の利用や、オプションの無料追加ができないか相談してみましょう。またタイミングによっては、国や自治体の補助金や助成制度を利用できることもあります。あらゆる方法を駆使し、理想の注文住宅での暮らしを手に入れましょう。

ハウスメーカーや工務店にとって「値引き = 利益の減少」です。コストカットするために、建材のグレードダウンや、工期が伸びる可能性もあります。強引な値引き交渉は、営業担当者との関係性を悪化させることになりかねません。今回紹介した対策を参考に慎重におこなうようにし、プランや仕様の見直しも検討しましょう。

桜木 理恵

執筆者

桜木 理恵

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として 約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。現在 は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事 を多数執筆。保有資格は「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主 任者」

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