このページの一番上へ

平屋を安く建てる方法は?コストが高いと言われる理由と注意点を紹介

平屋は工夫次第では安く建てられます
近年、平屋の需要が高まりつつありますが、2階建てと比較してコストが高いといわれることがあります。しかし、工夫次第では平屋を安く建てることも可能です。バリアフリー設計であることから、高齢者や子どもにとって安心な長く住み続けられる住まいになるでしょう。

本記事では、平屋のコストが高いといわれる理由を明らかにしたうえで、平屋を安く建てる方法を紹介。また、平屋のメリットと安く建てる際の注意点も解説します。本記事を参考にコストを抑えつつ快適な暮らしを実現できる平屋を検討してください。

平屋のコストが高いと言われる理由

平屋のコストが高いといわれる理由を紹介します
平屋のコストが高いといわれる理由を紹介します

2階建てと比較して平屋のコストが高いと言われる理由は、以下のとおりです。

  • 屋根と基礎の面積が倍近くになる
  • 広い土地が必要になる
  • 設備配管の長距離化によって施工費が増加する
  • 固定資産税評価額が上昇する

それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

屋根と基礎の面積が倍近くになる

平屋は同じ延床面積の2階建てと比較すると、建築面積が倍近く必要になります。例えば、30坪の延床面積を確保するケースでは、2階建ての場合は階段スペースを除いた屋根・基礎面積はおおよそ15坪分で済みます。

一方、平屋では1階部分のみで30坪が必要になるため、2階建てと比較した際の敷地面積はほぼ2倍です。施工費も屋根・基礎面積に比例して増加しやすいため、同じ延床面積を確保する前提では平屋のほうがコストはかさみやすいでしょう。

広い土地が必要になる

2階建てと同じ延床面積を確保するには、平屋の場合は、倍近い敷地が必要です。土地代はエリアや用途地域によって、坪単価が大きく異なります。しかし、同じエリアで2階建てと平屋を建築する場合では、平屋のほうが土地の取得費のコストが増加しやすいでしょう。

また、建物を建てる際には、敷地に対する建築面積の割合を指定する建ぺい率が重要です。仮に建ぺい率が50%に指定されている地域で、延床面積が30坪の家を建てるなら、土地面積は60坪以上を確保する必要があります。

設備配管の長距離化によって施工費が増加する

平屋は基礎面積が広いことから、給排水管・電気配線を横方向に長く伸ばす必要があるため、設備配管は長距離化しやすいです。一方、2階建ての場合は上下階で配管距離を短く収められます。設備配管の長距離化は、施工費に影響を与えるだけでなく、メンテナンスなどの修繕費も増加しやすくなります。

固定資産税評価額が高くなる可能性がある

建物の固定資産税は、固定資産税評価額に標準税率1.4%を乗じて計算します。固定資産税評価額は敷地面積が広くなるほど上昇しやすくなるため、継続的にコストがかかりやすい傾向に。2階建てと比較して固定資産税が高くなりやすいため、平屋は総合的にコストがかかる可能性があります。

2階建てではなく平屋を建てるメリット

2階建てではなく平屋を建てるメリットを解説します
2階建てではなく平屋を建てるメリットを解説します

平屋は2階建てと比較して、コストがかかりやすいことを説明しました。しかし、それでも平屋の人気が高まっている理由は、2階建てにはない平屋特有のメリットがあるからです。ここでは2階建てではなく、平屋を建てるメリットを解説します。

生活動線がシンプルで家族同士の交流がしやすい

平屋は、生活動線が直線的でシンプルになります。朝のルーティンを例にとっても「寝室→洗面所→キッチン→リビング」の生活動線において上下に移動する必要がなく、1階のみで動線が確保できるため、より効率的に移動することができます。平屋は日常の移動に対してストレスがかかりにくく、日々の家事効率などを向上させる効果が期待できるでしょう。

また、すべての部屋が1階に集約されることで、生活のなかで家族同士のコミュニケーションが増えやすくなります。リビングを中心に各部屋への通路を設ける間取りであれば、家族が自然と顔を合わせる機会が増えるでしょう。

バリアフリーで高齢者や子どもに優しい

平屋は階段がないため、バリアフリーで高齢者や子どもに優しい設計です。階段だけでなく段差を少なくした設計であれば、つまずきや転落を防ぎ、安全性を高められます。

高齢者は、階段の昇降をおこなうだけでも日々の生活に負担がかかり、転倒・転落事故の原因になるケースも。平屋なら住宅内に存在する高齢者の事故原因を排除でき、長い間快適に暮らせるでしょう。また、介助が必要な場合も、2階建てと比較して移動が容易になりやすいです。

また、高齢者だけでなく、年齢の低い子どもがいる場合も安心です。階段に立ち入らないようにするためのベビーゲートの設置が不要であり、目を離したタイミングでの事故を防げます。ワンフロアの平屋なら、親が家事をしながら子どもの安全を確認できる間取りにしやすいでしょう。

地震・強風に強い

平屋は建物の重心が低いため、地震や強風による揺れを受けにくい構造特性を持ちます。地震時には建物の高さが揺れの大きさに直結しますが、平屋は上下階がない分、建物の耐性が高く、揺れを分散しやすい設計が可能です。

水平面積に対して垂直面積が小さいため、台風などの強風も受け流しやすく、屋根の固定や補強工事も、2階建てに比べて簡単におこなえます。耐震性・耐風性を重視して家を選ぶ場合も平屋はメリットのある構造といえるでしょう。

平屋をできる限り安く建てる方法

平屋をできる限り安く建てる方法を解説します
平屋をできる限り安く建てる方法を解説します

2階建てにはない魅力を持つ平屋。コストが割高といわれているものの、工夫次第ではできる限り安く建てることが可能です。ここでは、なるべく費用を抑えて平屋を建てる方法を3つ紹介します。

ハウスメーカーが提示する標準仕様を選ぶ

ハウスメーカーが提示する標準仕様の間取り、設備や建材を利用すれば、平屋でも比較的安く建てやすいでしょう。ハウスメーカーは一括仕入れによって、標準仕様の設備や建材を低コストで確保しています。住宅に使用する材料費が安いと建築費も抑えることが可能です。

ただし、物件の間取りの自由度が低くなり、設備・建材の質に不安が残ることも。必要最低限のこだわりや譲れない部分を明確にし、その部分のみをオプションの形で追加費用を支払えば、パフォーマンスを両立したうえでコスト削減ができます。

必要以上に大きな土地を取得しない

平屋は2階建てよりも大きな土地が必要になりますが、必要以上に大きな土地を取得しないようにすればコストを削減できます。過剰に広い土地を購入してしまうと、物件全体の取得費が増加するだけでなく、固定資産税を含めた維持費が増加するリスクも。

建ぺい率や容積率を考慮したうえで、想定した平屋を建てるのに十分な面積を持つ土地を取得するようにしましょう。平屋を安く建てるには、取得する土地から考える必要があります。


利用できる補助金・助成金を活用する

自治体や国の制度には、平屋を建てる際に利用できる補助金・助成金が多数あります。例えば、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金」は、建物の断熱性能を高める省エネ、太陽光発電によるエネルギーを作り出す創エネにより、エネルギー収支をゼロにすることを目指した住宅に対する補助金制度です。条件を満たす住宅は、55万円~90万円の補助金を受け取ることができます。

制度を利用して補助金を受け取ることができれば、平屋の建築費の負担を少なくできるでしょう。事前に国の制度とお住いの自治体の制度を確認して、受け取れる補助金・助成金があれば受け取るようにしましょう。

平屋を安く建てる際のポイント

平屋を安く建てる際の注意点を解説します
平屋を安く建てる際の注意点を解説します

平屋を建築費を抑えて建てる際に気を付けるべきポイントについて紹介します。

土地を選ぶ前にハウスメーカーを決めておく

平屋を建てる際は土地を先行して選ぶのではなく、ハウスメーカーを決めてから土地探しを依頼して、建築可能な土地を提示してもらうほうがスムーズに建てられるでしょう。土地に家を建てるには、建ぺい率や容積率などの複雑なルールが存在しているため、知識のない状態で土地を選ぶと、思い描いているような平屋を建てられない土地を購入してしまう可能性があるからです。
費用をおさえつつ理想の平屋を建てるためには、手順に気を付けながら進めまましょう。

すでに土地を相続などで所有している状態で平屋を建てたいと考えている場合は、ハウスメーカーに相談するとアドバイスをもらえるでしょう。ただし、土地の条件によっては検討していた平屋の間取りを実現できなかったり、そもそも平屋が建てられない可能性がある点に注意が必要です。

複数のハウスメーカーに見積もりを取ってから選ぶ

ハウスメーカーによって用意している標準仕様や見積金額は異なるため、複数のハウスメーカーに相談することをおすすめします。最低でも3社程度を目安に相見積もりを取り、比較するようにしましょう。平屋の建築を依頼できる場所は、大きく分けて大手ハウスメーカーと地元の工務店があります。

大手ハウスメーカーは、型にはまった仕様から選ぶ方式になりやすく、自由な設計が難しいですが、品質が安定しておりアフターサービスが比較的充実している点が魅力です。一方で、地元の工務店は大手ハウスメーカーと比較して、間取りや仕様に融通が利きやすいメリットがあります。それぞれの特徴も踏まえて、平屋を建設するハウスメーカーを選ぶといいでしょう。

住宅性能にこだわって建築する

平屋を安く建てるうえで、住宅性能を犠牲にコストを削減しようとすると、快適性が損なわれてしまいます。また、長期的にはメンテナンス・修繕費が増加してコストが増加するリスクも。
例えば、断熱性能を向上させるために初期費用が増加しても、冷暖房効率の向上によって、ランニングコストとなる光熱費の削減効果が期待できるでしょう。実際に暮らす際の快適性の向上も期待できるため、長期的に見ればコストをかけるメリットが大きいです。

ハウスメーカーが提示する標準仕様で十分な住宅性能を確保できない場合は、オプションを使用して追加費用を支払うことになってもコストをかける価値があります。コストを削減する場合は、住宅性能以外の部分で削れる部分があるかどうかを検討したほうがいいでしょう。

標準仕様とオプションを区別する

ハウスメーカーはコストと品質のバランスが最適化されたパッケージである標準仕様と、標準仕様よりも割高な費用を支払うことで充実した設備を整えられるオプションがあります。ハウスメーカーの提示する標準仕様とオプションは必ず区別して、安く建てる場合はできる限り標準仕様を選ぶようにしましょう。

必要最低限のオプションに絞ることで、コストの削減と快適性を両立できます。オプションを幅広く追加すれば自由度の高い内装にできますが、建築費は大きく増加するため気を付けましょう。

施主支給の利用は慎重におこなう

施主支給は、住宅の建築において本来施工会社が調達する建材や設備を、施主自身が購入して施工現場に持ち込む仕組みです。全体の建築費が安くなる可能性がありますが、施主支給によるコスト削減は慎重におこなったほうがいいでしょう。

施主支給品は通常、施工会社の保証対象外となり、不具合発生時の修繕費を自己負担しなければなりません。ハウスメーカーによっては施主支給品の取り扱いを嫌がられる場合もあるため、トラブルの原因にもなることも。施主支給は節約の選択肢の一つですが、必ずハウスメーカーに確認を取ったうえで話を進めるようにしてください。

まとめ

平屋は屋根や基礎の面積が2階建てと比較して増えることから、コストが高くなりやすいといわれています。しかし、生活動線を効率化して、バリアフリー設計がしやすいメリットから、平屋の需要は増えている状態です。

2階建てと比較してコストが増加するため、できる限り安く建てたいところです。住宅性能など快適性に直結する部分を犠牲にせずに、できる限り安いプランを選択して平屋を建設することが重要になります。

自由な間取りの設計や、こだわったデザインを反映することは難しいかもしれません。しかし、コスト削減を意識すれば理想を叶えつつ、平屋をできる限り安く建てられるでしょう。

長谷川 賢努

執筆者

長谷川 賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る