注文住宅は高いと言われるのはなぜ?建売の相場との違いやコストを抑える方法

理想が詰まったマイホームは多くの人の憧れですが、希望を詰め込むうちに建築費用がどんどん高くなることも少なくありません。しかし、この記事で紹介するコツを意識すれば、コストを抑えた注文住宅が建てられるでしょう。
ここでは、注文住宅が高いと言われる理由や建売住宅との比較、コストを下げるためのポイントを紹介します。できるだけ費用を抑えた注文住宅を建てたい方は、最後まで記事をチェックしてみてください。
記事の目次
注文住宅は高いのか?建売住宅と比較

注文住宅と建売住宅の価格を比べた場合、どちらが高いのでしょうか。注文住宅に「土地代を含んだケース」と「含まないケース」で比較してみましょう。
土地代を含む場合の費用相場
住宅金融支援機構の調査によると、土地代を含んだ場合の注文住宅と建売住宅の比較は以下のとおりです。
土地付注文住宅 | 建売住宅 | |
---|---|---|
平均価格 | 4903.4万円 | 3603.2万円 |
延床面積 | 111.2平方メートル | 101.6平方メートル |
敷地面積 | 208.1平方メートル | 139.8平方メートル |
参考:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
土地代を含んだ場合は、建売住宅より1,300万円以上も金額が高くなることがわかりました。さらに、延床面積は注文住宅のほうが、建売住宅よりも約10平方メートル広く建築していることがわかります。
10平方メートルは大体6帖分の広さにあたるため、注文住宅は建売住宅に比べて平均1部屋分も広く建てられています。
土地代を含まない場合の費用相場
土地を別途購入せず、注文住宅のみ建築した場合の費用相場は次のとおりです。
注文住宅 | 建売住宅 | |
---|---|---|
平均価格 | 3861.1万円 | 3603.2万円 |
延床面積 | 119.5平方メートル | 101.6平方メートル |
敷地面積 | 258.8平方メートル | 139.8平方メートル |
参考:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
土地を含まない場合でも、注文住宅が建売住宅より約200万円高い結果となりました。また、延床面積は約18平方メートル注文住宅のほうが広く、約10帖の部屋1つ分ほどの違いが出ました。
このことから、注文住宅は建売住宅に比べて費用が高くなる点や、延床面積が広くなる傾向にあることがわかります。
注文住宅が高いと言われる7つの理由

ここからは、注文住宅が高いとされる理由を見てみましょう。7つの理由をそれぞれ解説します。
土地と建物を別契約で購入するため
注文住宅が高いとされる1つ目の理由は、土地と建物を別々で購入する必要があるためです。土地と建物をセットで購入する建売住宅に比べて、注文住宅は土地の購入時に仲介手数料がかかり、地盤改良費をはじめとする付帯工事費が必要になります。
このように、別契約で購入することで発生する手数料などがネックとなるため、注文住宅は高くなりやすいと言われています。
打ち合わせの回数が多く人件費がかかるため
注文住宅は建物プランを一から設計するため、打ち合わせを何度もおこなう必要があります。そのための人件費がかかることが原因で、注文住宅の金額が高額になってしまいます。一方、建売住宅は社内でプランを決めて建築が進んでいくので、施主との打ち合わせはありません。
打ち合わせの回数だけプランの修正や見積もりが発生するため、打ち合わせが多い注文住宅は建築費が高くなりやすいとされています。
施工・設計に高度な技術が求められるため
注文住宅は自由な設計が可能なため、建築会社は施主の希望やこだわりを形にする必要があります。そのこだわりを家に反映させるために、施工・設計に高度な技術が求められ、建築費が高額になることがあります。
高度な技術が要求される施工や設計には、腕のよい職人・設計士が必要です。これらの専門職に任せると高い人件費がかかります。そのため、シンプルな作りになることが多い建売住宅に比べて、注文住宅はトータルコストが高くなる傾向にあります。
こだわりを実現するにはオプション追加が必要になるため
注文住宅は設備や建材、間取りのオプションが多いので、施主のこだわりを実現しようとすると高額のオプション費用がかかってしまいます。希望を叶えられるために最新の設備や大量発注できない建材などを注文すると、その分建築費が高騰します。
希少な建材を使うと単価が高くなるため
こだわりを叶えようとして希少な建材を使用すると、単価が高くなり建築費が高額になります。無垢材や輸入建材など、使用する建材のグレードが上がるほど単価が上がるため、その分トータルコストが高くなります。
敷地面積・延床面積が広くなる傾向にあるため
冒頭の調査結果で紹介したとおり、注文住宅は建売住宅に比べて延床面積が広くなる傾向にあります。それにともない、土地の購入価格や建築費用が高くなるため、トータルコストが上がってしまうケースが多くなります。
工期が建売住宅よりも長期化するため
注文住宅は施主のこだわりを詰め込んでいることが多く、建売住宅と比較して工期が長くなりがちです。建売住宅は規格化された間取りの家が多いため、短期での建築ができます。一方、注文住宅は打ち合わせの回数が増えたり、特殊な間取りや工法を取り入れたりすることが多く、工期が長期化しやすくなります。工期が長くなる分、人件費なども増えるため、コストが高くなるでしょう。
注文住宅が高いことで後悔したことは?

この章では、注文住宅が高いことで後悔したケースを紹介します。4つの後悔を具体的に解説します。
家具・家電を購入する資金がなくなった
1つ目は、注文住宅が高くなり、家具や家電などを購入する資金が不足して後悔したケースです。注文住宅を建てた際に、家具・家電を一新する方も多くいるでしょう。注文住宅に費用をかけすぎて、生活を始めるための資金が不足してしまうと「建築費用を抑えておけばよかった」と後悔を感じることになります。
引越したあとの生活費に余裕がなくなった
引越し後の生活費が不足して、生活を切り詰めなければいけなくなることも後悔するポイントです。注文住宅は建てて終わりではなく、そこで快適に暮らすことが本来の目的です。
しかし、建築費用をかけすぎると、教育費や食費、雑貨購入費などが足りなくなるおそれがあります。資金計画が甘いまま注文住宅の建築を進めると、このような事態に陥るかもしれません。
コストをかけたのにイメージと違う仕上がりになった
コストをかけて注文住宅を建てたにも関わらず、自分が思っていたイメージと違う仕上がりになることも後悔するポイントです。注文住宅は間取りや設備、カラーリングなどを自由に決められることがメリットですが、実物を見て決められません。
時間とコストをかけてプランを決めたものの、色使いに違和感があったり、動線が悪かったりすると後悔してしまいます。
こだわりを詰め込んだ結果、予算オーバーになった
注文住宅は選べるオプションが多いため、こだわりを詰めすぎてオプションを追加しすぎると、予算オーバーになることがあります。建売住宅の場合は、あらかじめ決められた設備や間取りで建てられているため、想定外の費用がかかることはありません。
注文住宅の予算を抑えるためにオプションを減らしすぎると、妥協が多い家になってしまい「建売住宅でもよかったのでは?」と後悔することになります。
注文住宅と建売住宅どちらを選ぶべき?

家を建てたあとに後悔しないよう、あらかじめ注文住宅と建売住宅それぞれの特徴を知っておく必要があります。ここでは、注文住宅と建売住宅のメリット・デメリットや向いている人の特徴を紹介します。
注文住宅のメリット・デメリット
注文住宅の最大のメリットは、自由度の高い家が建てられることです。間取りや設備を一から決められる「フルオーダープラン」の注文住宅であれば、自分のこだわりを目一杯詰め込められます。例えば、キッチンを最上級のグレードにしたり吹き抜け天井を採用したりと、予算内であれば理想の家が実現するでしょう。
一方、注文住宅は購入前に実物が見られないため、実際に住んでみるとイメージと違うことがあります。建売住宅の場合は実物を見て購入の判断ができるので、イメージとずれることがあまりありません。さらに、注文住宅は建売住宅より価格が高くなりやすい点もデメリットです。人件費やオプションの追加などで予算がかさみ、建売住宅より高額になりがちです。
注文住宅が向いている人
注文住宅は、こだわりを持って家づくりに取り組みたい方に向いています。建売住宅では採用されにくいオプションや工法も、注文住宅であれば実現できるでしょう。
また、施工を依頼したい建築会社・ハウスメーカーが決まっている方にも、注文住宅がおすすめです。建築会社・ハウスメーカーには「気密性に優れた家が得意」「耐震性能が高い家が建てられる」など、各社ごとの特徴があります。そのため、希望に合った建築会社やハウスメーカーがある場合は、注文住宅を選ぶとよいでしょう。
建売住宅のメリット・デメリット
建売住宅のメリットは、注文住宅に比べて安く購入できる点です。打ち合わせにかける人件費が少ないことや、建材や設備をまとめて発注できる点がコストを抑えられる理由です。また、完成済みの家を確かめてから、購入の判断ができるのも建売住宅のメリットです。
一方、建売住宅は、間取りや設備が自由に選べないデメリットがあります。建売住宅のほとんどが完成済みで販売されているため、あとから変更できることに限りがあります。また、分譲地にある建売住宅の場合は外観に個性を出しにくいこともデメリットです。建売住宅を購入すると、周りと似通った家に住まざるを得ないことも少なくありません。
建売住宅が向いている人
建売住宅は、標準的な間取りの家に住みたい方や、家づくりにかけるコストや手間をなるべく省きたい方に向いています。独創的な家でなくとも万人受けする間取りで十分な方や、コスト重視で家探しをしている方に建売住宅がおすすめです。また、土地を所有しておらず、土地探しに手間や時間をかけたくない方も建売住宅が適しているでしょう。
以下の記事では、注文住宅と建売住宅の比較や選び方を詳細に解説しています。あわせてチェックしてください。
注文住宅が高いと感じた時に費用を抑えるポイント

注文住宅はさまざまな理由で高くなってしまうと解説しましたが、ポイントを押さえればコストを下げることは可能です。ここでは、注文住宅の費用を下げるコツを紹介します。
こだわりたいポイントを絞る
コストを下げる1つ目のコツは、こだわりたいポイントを絞って優先順位をつけることです。注文住宅は自由度が高いため、ついすべての希望を叶えたいと思ってしまいますが、こだわるポイントが多いほど費用がかかります。そのため、希望する箇所に優先順位をつけて「かならず叶えたい」ポイントに絞って家づくりを進めましょう。
例えば、「リビングの床は無垢材を使用するが、その他はコストパフォーマンスのよいものを使う」「キッチンにはこだわるが、お風呂やトイレは標準仕様にする」など、すべてを最高のものにするのではなく、ポイントを絞ればコストカットが実現します。
シンプルな形で建物はコンパクトにする
建物をシンプルな形状にして建物の面積をコンパクトにすれば、注文住宅のコストを抑えられます。
例えば、「屋根の形をシンプルな片流れや切妻にする」「間取りを細分化しない」などを意識すれば、材料費や工事にかかる人件費が削減されてコストを抑えられるでしょう。
土地代を抑える
注文住宅を建てる土地代を抑えることも、コストを下げるポイントです。予算が限られている場合、建物にかける費用をできるだけ多くするためにも、土地代の節約を意識しましょう。
コストを下げた土地を見つけるためには、エリアを広げて土地を探すことをおすすめします。エリアを広げることで選択肢が増えるため、より希望に近い土地が見つかるでしょう。
水回りをまとめる

お風呂やキッチン、トイレや洗面所などの水回りを近い位置に配置すれば、注文住宅のコストを下げることができます。水回りの場所がバラバラだと、給水管と排水管の工事費用が余計にかかるためです。できるだけ注文住宅のコストを抑えたいと考えるのであれば、水回りをひとまとめにして配管工事費用を減らすことを意識しましょう。
規格プランから間取りを選ぶ
注文住宅の建て方には、すべてを一から自分で決める「フルオーダープラン」と、建築会社が指定した間取りや設備のなかから選んで建てる「規格プラン」があります。規格プランは、ある程度の仕様や間取りが決まっているため、人件費や材料費を節約できます。一定の自由度を保ちつつ注文住宅のコストを下げたい方は、規格プランを検討してみてください。
標準仕様の建材を選ぶ

建築会社が指定する標準仕様の建材や設備を選ぶことで、注文住宅のコストを下げられます。建築会社の発注数が多い建材や設備ほど仕入れ価格が安くなるため、標準仕様を選べば建築費用の高騰を防げます。優先順位が低い部分を標準仕様にすることで、コストパフォーマンスがよい注文住宅が建てられるでしょう。
まとめ
注文住宅が高いと言われるポイントを簡単に整理してきましょう。
注文住宅と建売住宅の費用相場は?
住宅金融支援機構の調査によると、土地付きの注文住宅の平均価格は4903.4万円、土地代を含まなければ3861.1万円です。一方、建売住宅の平均価格は3603.2万円で、費用相場は注文住宅のほうが高い結果となっています。
注文住宅が高いと言われる理由は?
注文住宅が高いと言われる主な理由として、土地と建物を別契約で購入したり、施工や設計に高度な技術が要求されたりすることにあります。また、注文住宅は敷地面積や延床面積が広くなる傾向にあることも高くなる理由です。
注文住宅で費用を抑えるポイントは?
こだわりたい内容を絞り込む、もしくは、建物をシンプル・コンパクトにすることが注文住宅の費用を抑えるポイントとして挙げられます。さらに、規格プランや標準仕様の建材を選ぶことでもコストダウンが実現します。
注文住宅は自由度が高く、多くの希望を叶えられるため、建築費用が高くなる傾向にあります。しかし、この記事で紹介した費用を抑えるコツを実践することで、コストを下げた注文住宅が建てられるでしょう。
この記事を参考に、コスト面でも満足のいく家づくりを実現してください。
注文住宅を建てる