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注文住宅の見積もりで起こりやすいトラブルとは?事例と対策を紹介

注文住宅の見積もりでよくあるトラブルとは?
注文住宅は、自由な設計により自分の理想を叶えられることが魅力です。

しかし、注文住宅は打ち合わせのたびに仕様を変更したり、追加工事が必要となったりすることもあるため、見積もりを取る際にトラブルが起きることも少なくありません。

この記事では、注文住宅の見積もりでよくあるトラブルを紹介します。また、トラブル時の対処法も解説しているので、注文住宅の見積もりでトラブルに巻き込まれたくない方はぜひ参考にしてください。

注文住宅の見積もりトラブル事例

注文住宅の見積もりではどのようなトラブルが起こるのでしょうか
注文住宅の見積もりではどのようなトラブルが起こるのでしょうか

ここでは、注文住宅で起きやすいトラブル事例を7つ紹介します。

見積もりの項目・数量・金額が間違っている

1つ目のトラブル事例は、注文住宅を依頼した会社の営業担当者が、見積もりの項目や数量、金額を間違えることです。見積もりの内容が違うと、完成した建物の仕様やハウスメーカー・施工会社に支払う工事費の総額が変わってしまいます。

例えば、「食洗機付きのシステムキッチン」と伝えていたにも関わらず、見積もりにその記載がないことがあります。この場合、見積もりの間違いに気付かずにそのまま建築工事が始まってしまうと、希望した設備が導入されずトラブルに発展する可能性が高いでしょう。

担当者の聞き間違えやメモを取らなかったことが原因でよく起こるトラブルです。注文住宅の見積もりを取る際の流れや注意点を、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

変更内容が見積もりに反映されていない

契約前の打ち合わせで変更した部分が、契約時の見積もりに反映されていないことも、注文住宅でよくあるトラブルのひとつです。

注文住宅では、最初の見積もりから何の変更を加えずに完成までたどり着くことはほとんどありません。最初の見積もりやプランをもとに、調整を加えながら理想の家に近づけていくことが通常です。

ところが、床材を複合フローリングから無垢フローリングに変更した場合に、その変更内容が見積もりに反映されていない、といったケースもあります。

なかには、打ち合わせのたびに仕様が変更されることもあります。変更を伝えたにも関わらず、最新の打ち合わせ内容が見積もりに反映されていないと、見積もりの修正に時間がかかり工期の遅れにつながるおそれがあるでしょう。

概算見積もり時に契約を迫られた

概算見積もりの段階でハウスメーカー・施工会社から契約を求められることもあります。

ハウスメーカー・施工会社側からすれば、契約を締結しないまま見積もりや打ち合わせだけでキャンセルになると、売上につながらない時間を要したことになります。こうしたリスクを避けるために、概算見積もりの段階で契約を迫ることがあります。

概算見積もりは、坪単価に延べ床面積をかけた簡易的なものです。概算見積もりの状態で契約を締結すると、間取りや仕様、仕上がりなどが不透明なまま進んでしまい、追加工事・金額変更の際にトラブルに発展するおそれがあります。

必要なはずの工事がオプション扱いになっていた

注文住宅に必要な工事がオプション扱いになり、トラブルに発展するケースもあります。具体的には、水道の引き込み工事や排水を処理するための下水・浄化槽の設置工事などが挙げられます。

必要なはずの工事をオプション扱いするのは、初回の見積もりで費用を安く見せて、契約を急がせるためです。この結果、契約後に追加工事費用として請求された顧客と認識相違が生まれ、トラブルになることがよく見受けられます。

予定していた仕様・グレードと異なるものが納品された

希望していた仕様・グレードと違う設備が納品されることも、よくあるトラブルのひとつです。例えば、ショールームやSNSで見た製品の導入を伝えたにも関わらず、完成後に確認すると他のものが入っていたケースが挙げられます。

予定とは違うものが納品されると、再発注や施工により引き渡しまでに余計な時間がかかってしまいます。

見積書・仕様書・図面に矛盾がある

見積もりを作成するための資料同士に不整合が発生し、トラブルが起きることもあります。見積書を作成するためには根拠となる図面や仕様書がありますが、これらが矛盾していると当初の予定と違う家が完成しかねません。

例えば、仕様書では電気給湯器が標準仕様になっているにも関わらず、電気給湯器の設置が追加工事として見積もりに記載されているケースがあります。また、図面上の延床面積と見積もり上の延床面積が違うことで、フローリングの設置費用に矛盾が生じることも考えられます。

想定外の工事が必要になった

建築工事を進めるなかで不慮の追加工事が必要になることも、注文住宅でよくあるトラブルです。具体的には、建築前の調査段階ではわからなかった地中埋設物が建築中に見つかることが挙げられます。

特に、事前調査で判明していた可能性があるにも関わらず追加工事を要求してきた場合は、大きなトラブルに発展することが考えられます。

注文住宅の見積もりトラブルの対処法

注文住宅の見積もりでトラブルにならないように対応すべきことは?
注文住宅の見積もりでトラブルにならないように対応すべきことは?

注文住宅の見積もりで起きるトラブルを防ぐためには、あらかじめ対策を講じることが大切です。ここからは、見積もりのトラブルを回避する対処法を紹介します。

見積もりは内訳の詳細まで目を通す

見積もりの項目や金額の間違いを防ぐためには、かならず内訳の詳細まで確認しましょう。一般的に、見積書には金額を算出する根拠となる明細書が添付されています。明細書の単価や数量、合計金額を1つずつチェックすることで間違いに気付けるでしょう。

また、見積書のなかには、一式としか記載されていないものもあります。その場合は、一式のなかにどのような内容が含まれているのかを、営業担当者に聞くようにしてください。そうすることで不明点がなくなり、より明確な見積もりのもとで注文住宅の工事が進められます。

打ち合わせ時はメモを取り記録を残す

見積もりの変更や追加を把握するために、打ち合わせ時はメモを取って記録を残すことを心がけましょう。注文住宅は決める項目が多いため、記録を残しておかなければ「どの部分をいつ変更したのか」がわからなくなってしまいます。

ハウスメーカー・施工会社側でもメモを残していますが、人的ミスが起こる可能性はゼロではありません。そのため、施主側も記録を取っておくことが重要です。打ち合わせ時の記録を残すことで、契約時の見積もりからどの程度の変更が加わり、最終的にいくらの追加工事が発生したのかを詳細に把握できるでしょう。

正式な見積もりが出てから契約をする

注文住宅では、概算見積もりではなく正式な見積もりが出てから契約をしてください。概算見積もりには明細書が添付されていないことが多く、契約の内容が不明確です。その状態で契約に進んでしまうと、思っていた家が建てられないおそれがあります。

また、概算見積もりの段階で、特別キャンペーンや限定割引などのお得な話を持ちかけて契約を急かしてくることも少なくありません。気軽に契約したあとでキャンセルを申し出ると違約金が発生するので、十分に検討したうえで契約するようにしましょう。

材料や工法、品番を明記してもらう

見積書に材料や工法、品番を明記してもらえば、予定していた製品の納品間違いを防げます。注文住宅は使用する材料や工法によって金額が変わります。

例えば、断熱材の種類や屋根の工法を見積書に明記することで、想像と違う完成物にならないよう対策が可能です。もし見積書に品番や材料、工法の記載がない場合は、営業担当者に説明を求めましょう。

複数社の相見積もりを比較する

注文住宅の見積もりを取る場合は、複数社の見積もりを比較検討してみてください。同じようなグレードの家でも、ハウスメーカー・施工会社ごとに見積もり内容に違いが生じる可能性があります。

ハウスメーカー・施工会社によって見積書の書き方はさまざまです。会社によって、外構工事費が別途記載してあったり、給排水工事費が本体工事費に含まれていなかったりすることがあります。そのため、複数社から相見積もりを取って情報を整理しておけば、見積もりでのトラブルを防げるでしょう。

図面・仕様書も確認する

見積もりによるトラブルを防ぐためには、見積書だけでなく図面や仕様書もしっかり確認してください。図面には、建物の寸法や設備の位置などが記載されており、仕様書には図面に記載しきれない情報が補足されています。

現場は見積もりではなく図面や仕様書を見て施工するため、もし図面と仕様書が間違っていてもそのまま工事は進みます。

例えば、見積書に記載されたキッチンと図面のキッチンの詳細内容が違うことがあるかもしれません。そのため、見積もりの内容が図面と仕様書に反映されているかを、施主側でもチェックすることが大切です。

見積もりに工事予備費を追加してもらう

追加工事が発生した場合に備えるためにも、見積もりには工事予備費を追加してもらいましょう。

ハウスメーカー・施工会社によっては、必要な工事がオプションとして設定されていることがあります。見積書に工事予備費を追加してもらっておけば、万が一想定外の追加工事が発生しても対応できるでしょう。

以下の記事では、注文住宅を契約する流れや注意点を解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてください。

注文住宅の見積もりトラブルでよくある質問

ここまで、注文住宅の見積もりで起こりやすいトラブルや対処法を解説してきました。最後によくある質問をまとめて解説します。

値引き交渉で起こりうるトラブルは?

値引き交渉によって安価な素材や設備に変更されることが考えられ、仕上がりの質が悪くなるおそれがあります。また、過度な値引き交渉は担当者との信頼関係の悪化にもつながります。

値引き交渉を成功させるためには、相見積もりを活用して相場内で交渉したり、相手の立場も尊重しつつ現実的な範囲で交渉したりすることを心がけましょう。

見積書を出してもらえない場合は違法になる?

見積書の提示は法律で義務付けられていますが、罰則規定はありません。そのため、見積書の提示を求めても拒否されることは少なからずあります。

しかし、費用や内容を明確にしないまま工事を進めるとトラブルにつながる可能性があるため、適切に見積もりを提示してもらえるハウスメーカー・施工会社を選びましょう。

見積もりトラブルの対処方法は?

以下の対処方法があります。

  1. 現状を把握する:
    項目が抜けている、変更内容が反映されていないなどの内容を正確に把握します。

  2. 文書でのやり取り:
    口頭でのやり取りはあとから確認しづらいため、メールや文書で連絡を入れて営業担当者に説明を求めます。

  3. 専門家のサポートを受ける:
    トラブルが解決しない場合、弁護士や消費者センターに相談してアドバイスを受けます。

  4. 契約解除や法的措置を検討する:
    どうしても解決しないと判断した場合は、ハウスメーカー・施工会社に対して契約解除や損害賠償を求めます。ただし、契約後の一方的な解除はペナルティが課されるため、弁護士から法的なアドバイスを受けながら慎重に進めることが重要です。

注文住宅は理想とする家が建てられる反面、決めることが多岐にわたるため、見積もりの際にトラブルになりやすいことが特徴です。見積もりでのトラブルを防ぐためには、項目の確認や記録を人任せにせず、施主側でも対策を取ることが大切です。

もしトラブルが起きてしまった場合は、自分一人で抱え込まず法律の専門家や相談窓口に問い合わせてみましょう。

杉山 明熙

執筆者

杉山 明熙

不動産特化ライター

元不動産営業のWebライター。宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士。12年間の不動産営業を経験後、不動産特化ライターとして大手メディアや不動産会社のオウンドメディアで、住まいや不動産投資に関する記事を多く提供している。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

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