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注文住宅の手付金とは?支払うタイミングと相場、支払えない時の対処法

注文住宅の手付金の支払うタイミング、相場と払えない時の対処法をご紹介
注文住宅を建てる場合は、ハウスメーカーや工務店と建築工事請負契約を締結します。契約に際して、建築を依頼する相手側に支払うものを、「手付金(契約金)」といいます。

手付金には契約が成立したことを示す役割があり、あらかじめ定めた期限までであれば、支払い済みの手付金を放棄して契約を解除できます。

不動産の購入に手付金が必要なことは知っていても、手付金の役割を正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、手付金を支払う理由や内金や申込金との違い、支払うタイミングを解説します。手付金の相場や支払う際の注意点、また手付金を用意できない時の対処法も紹介します。注文住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

注文住宅の手付金とは?

注文住宅を建てる際に支払う手付金とは?
注文住宅を建てる際に支払う手付金とは?

注文住宅を建てる際にハウスメーカーや工務店に手付金を支払う理由と、内金や申込金などとの違い、手付金を支払うタイミングを解説します。

手付金を支払う理由

手付金とは、不動産物件の売買契約の締結で、買主から売主に対して、取引金額の一部を支払うお金のことです。

もし契約を解除する場合は、相手側に手付金に相当する額を支払わなければなりません。施主が契約解除を申し出た場合は支払い済みの手付金を放棄して、ハウスメーカーや工務店が契約を解除する際は受領した手付金の倍額を施主に支払って解除します。

手付金には契約を簡単に解約できないようにする役割があり、契約に重みを持たせ、安定させる効果が期待できます。

手付金の種類と、各手付金の具体的な役割は以下のとおりです。

・証約手付
建築工事請負契約が成立したことを証明するもの。契約を安定させるために手付金を授受します。
・解約手付
あらかじめ定めた期日、もしくは相手が契約の履行に着手するまでは、理由を問わず解約できるもの。お互い手付金に相当する額を相手側に支払うことで、契約を解除できます。
・違約手付
債務不履行(契約違反)したことに対する違約金。損害賠償とは別に支払うことになります。

内金・申込金・頭金・中間金との違い

手付金に似たものに、内金や申込金、頭金、中間金があります。それぞれがどのようなものなのか、支払うタイミングも含めて解説します。

 

名称 内容
内金 購入代金の一部として、
契約後かつ残代金支払い前に支払うお金。
申込金 契約する意思があることを示すもので、
気持ちが定まった時支払うお金。
かならずしも必要なものではなく、
契約に至らなかった時は返金される。
頭金 購入にかかる費用のうち、
自己資金で用意できるお金。
借り入れ以外に用意する必要がある。
中間金 着工時や上棟時など、
工事の進捗に合せて支払うお金。
なお、注文住宅は代金を複数回に分けて支払うことが多い。

手付金を支払うタイミング

注文住宅を建てる場合、手付金を支払うタイミングは土地の売買契約時と建築工事契約時の2回発生することが多いでしょう。それぞれ解説します。

土地の売買契約時

土地を購入する際は、不動産売買契約を締結します。まず宅地建物取引士から重要事項の説明を受け、不動産売買契約書の読み合わせをします。売主・買主間で合意できたら署名・捺印し、そのあと売主へ手付金を支払うのが、基本的な流れです。

  • STEP 1宅地建物取引士より重要事項説明を受ける
  • STEP 2不動産売買契約書の読み合わせをする
  • STEP 3不動産売買契約書へ署名・押印する
  • STEP 4売主へ手付金を支払う

新築工事契約時

新築工事を依頼する場合は、ハウスメーカーや工務店と建築工事請負契約を締結します。契約書は設計図書や工事費見積書、仕様書などから構成されており、契約締結前にあらためて担当者から説明を受けます。同意できたら建築工事請負契約書に署名・押印し、手付金を支払うのが基本的な流れです。

  • STEP 1建築工事請負契約書(設計図書・工事費見積書・仕様書)の説明を受ける
  • STEP 2建築工事請負契約書に署名・押印する
  • STEP 3建築依頼先の担当者へ手付金を支払う

注文住宅の手付金の相場

手付金の相場は価格の5~10%です
手付金の相場は価格の5~10%です

手付金の相場は、物件価格の5%~10%です。例えば3,000万円の注文住宅であれば、150万円~300万円が相場です。

なお不動産会社(宅地建物取引業を営む会社)が売主の場合は、宅地建物取引業法により物件価格の20%を超える手付金を受領してはならないと定められています。

注文住宅の手付金を支払う際の注意点

注文住宅の手付金を支払う際には注意点もあります
注文住宅の手付金を支払う際には注意点もあります

注文住宅の手付金を支払う際は、いくつか注意すべき点があります。この章では、特に注意したいポイントを4つ紹介します。

返金の条件は契約前に書面で確認しておく

「キャンセルする場合でも手付金は返金する」と口頭で説明があっても、実際には応じてもらえない可能性があります。手付金返金の条件の説明があった際は、口約束ではなく、かならず書面に記載があるか確認するようにしてください。

手付金は現金で用意する

建築工事請負契約締結時には住宅ローンが実行されないため、自己資金から現金で用意する必要があります。現金での用意が難しそうな場合は、担当者に早めに相談しておきましょう。

融資利用の特約(ローン条項)を確認する

契約を解除する場合は、基本的には手付金を放棄しなければなりません。しかし、住宅ローンの審査が通らなかった時は、融資利用の特約(ローン条項)により手付金は返還されるのが一般的です。契約書に解除できる条件や期日が記載されているため、契約締結前に確認するようにしましょう。

カードローン・キャッシングは借りないようにする

手持ちの資金が少ない時は、ハウスメーカーや工務店が提示した手付金を、契約時に用意できないケースもあるでしょう。しかし、カードローンやキャッシングで用意するのは危険です。住宅ローン以外の借入は審査に影響するため、借入額によっては住宅ローンの承認が下りないことがあります。

注文住宅の手付金が支払えない時の対処法

注文住宅の手付金を払えない時の対処法をご紹介します
注文住宅の手付金を払えない時の対処法をご紹介します

注文住宅の手付金が支払えない時は、購入を諦めなくてはならないのでしょうか。この章では、手付金が支払えない時の対処法を5つ紹介します。

つなぎ融資を活用する

自己資金が足りない時は、つなぎ融資の利用を検討しましょう。つなぎ融資とは、住宅ローンが実行されるまでの間、別の融資を受けることです。住宅ローンで一括返済するまで、利息のみを支払います。住宅ローンより金利は高くなりますが、無担保で借入できます。

分割融資を利用する

分割融資を受ける方法もあります。分割融資とは、住宅ローンを複数に分けて実行してもらう方法です。つなぎ融資より金利は低くなりますが、実行が複数回になることで手数料が高くなることがあります。また審査が厳しく、誰でも利用できるわけではありません。自己資金が少ない場合は、分割融資とつなぎ融資も、早めに金融機関へ相談しておくとよいでしょう。

勤務先の社内融資を利用する

勤務先によっては、福利厚生のひとつとして社内融資制度を利用できるかもしれません。社内融資は金融機関に比べて金利が低く、審査も通りやすい傾向があります。さらに、社内融資は自己資金として扱われることがあり、住宅ローンの審査に影響しないこともあります。社内融資制度があるのであれば、利用できないか相談しておくとよいでしょう。

親族から借用する

両親や祖父母など、親族に借りられないか、相談してみましょう。ただし贈与とみなされることがあるため、基礎控除の110万円を超える場合は、念のため借用書を作成しておきましょう。なお、住宅を取得するための資金として父母や祖父母から贈与を受ける際、一定の条件を満たすことで省エネ等住宅は1,000万円まで、それ以外でも500万円までは贈与税が非課税になります。

減額交渉を試みる

手付金の相場は物件代金の5%~10%ですが、下限は決まっていません。もしハウスメーカーや工務店に交渉ができるようであれば、手付金減額の相談をしてみましょう。ただし手付金には契約を安定させる役割があります。低すぎる金額を提示すると、担当者との関係性が悪くなってしまうおそれがあるため、安易な減額交渉は避けましょう。さまざまな手法を試しても解決しなかった際の最終手段として検討してください。

注文住宅の手付金を支払うには資金計画が大切

注文住宅の手付金を払うためには資金計画をきちんと立てましょう
注文住宅の手付金を払うためには資金計画をきちんと立てましょう

注文住宅を建てる時は、綿密な資金計画を立てることが大切です。中間金が必要になることもあり、手付金が支払えても、そのあとの支払いが滞ると返済計画は破綻してしまいます。

住宅の購入には、予想外の支出が発生することもあります。例えば地盤調査結果によっては、地盤改良の工事が必要になる場合も。資金にはある程度の余裕を持っておくようにしましょう。

また不動産取得税や固定資産税など、注文住宅が完成したあとにかかる税金も試算しておきましょう。建築のことだけでなく、資金計画や税金、ライフプランまで相談できるハウスメーカーや工務店を選ぶことが重要です。

注文住宅の手付金に関するまとめ

注文住宅の手付金について大切なポイントをおさらいします。

注文住宅の手付金を支払うタイミングは?

注文住宅の手付金は、ハウスメーカーや工務店と建築工事請負契約を締結したあとに支払います。現金で支払うことになるため、自己資金から用意することになります。

注文住宅の手付金の相場は?

注文住宅の手付金の相場は、購入代金の5%~10%です。不動産会社(宅地建物取引会社)が売主の場合は、20%が上限です。

注文住宅の手付金を支払えない時の対処法は?

手付金が支払えない時は、つなぎ融資や分割融資、社内融資の利用を検討しましょう。親族に借りる方法もありますが、贈与とみなされないように注意が必要です。ハウスメーカーや工務店に手付金の減額交渉する場合は、手付金の額が低くなりすぎないようにしてください。

手付金が支払えても、その後の返済が滞ってしまうと、返済計画が破綻してしまいます。資金計画は綿密に立てるようにし、無理のない範囲で理想の注文住宅を手に入れましょう。

資金計画や税金について不安がある場合は、手付金を支払う前に担当者に相談するようにしてください。手付金の授受後に契約を解除する場合は、手付金を放棄することになるため注意が必要です。

注文住宅は、引渡し後もハウスメーカーや工務店との付き合いは続きます。故障や不具合があった際は相談することになるので、信頼できる会社を選びが重要です。よく検討したうえで、注文住宅の購入を決めましょう。

桜木 理恵

執筆者

桜木 理恵

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として 約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。現在 は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事 を多数執筆。保有資格は「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」

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