「Yahoo!知恵袋」への投稿からインターネット上でたちまち話題となりコミックエッセイ化。ついには映画化まで果たした『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』。毎日いろんな“死んだふり”で夫を驚かせる妻。そんな謎の行動に振り回されながらも、なんとか冷静に対応しようとする夫。実話をもとにした、ちょっと変わった夫婦の日々に、美術プロデューサーの小田嶋俊行さんはどのような彩りを加えたのだろうか。
スタッフみんなのアイデアを重ねて形にする
主人公の妻・ちえ(榮倉奈々)と夫・じゅん(安田顕)の住まいは東京都世田谷区。都心から少し離れた住宅街に建つマンションという設定だ。結婚して3年目のある日、じゅんが家に帰るとちえが口から血を流して倒れていた。動揺するじゅんだったが、なんとちえは死んだふりをしていただけだった。その日から始まったちえが死んだふりをする毎日。不安を覚えるじゅんだったが、その謎の行動には秘密の理由があった。
「ちえは毎日あの手この手で“死んだふり”をして夫の帰りを待ちます。ちょっと変わった感性の持ち主なのだろうな、と理解しました。結婚3年目なのに、夫も彼女の本心が捉えられないくらい……何を考えているかわからない人。ですから、部屋の中はわざと統一感のない感じを出しています。ちえのキャラクターをあまりかっちり決め込まないで、美術スタッフそれぞれが『自分だったらこれを置く』というように、いい意味で遊びながら飾っていきました。中には、李闘士男監督の私物もあるんですよ」。
「ワニに喰われる」「名誉の戦死」「頭に矢がささる」……様々なアイデアで夫を驚かすちえ。原作に描かれる“死んだふり”に限らず、撮影にあたってスタッフは様々な“死んだふり”を考えたのだという。
「ちょっと特色のある“死んだふり”にしたかったので、アイデアが被らないようにみんなにいろんな提案をしてもらいました。結局何案出てきたのか、もう覚えてないくらい(笑)。美術・装飾の山田好男さんが特に楽しんで飾ったのは『宇宙人にやられる』パターン。実は、この宇宙人は装飾助手さんの私物なのだとか・・・、家にあった物をいろいろ持ってきてもらったんですよ(笑)」
「ちょっと特色のある“死んだふり”にしたかったので、アイデアが被らないようにみんなにいろんな提案をしてもらいました。結局何案出てきたのか、もう覚えてないくらい(笑)。美術・装飾の山田好男さんが特に楽しんで飾ったのは『宇宙人にやられる』パターン。実は、この宇宙人は装飾助手さんの私物なのだとか・・・、家にあった物をいろいろ持ってきてもらったんですよ(笑)」
マスクや衣装、武器などの小道具は、ちえが毎日“死んだふり”をするものだから、どんどん部屋の中に増えていく。
「普通だとなかなかレアな間取りかもしれないですけど、今回はセットだったのでダイニングの壁に奥行きをつくって飾り棚をつくりました。これは、ちえが死んだふりの扮装に使ったものをコレクションできる場所をつくりたいと思ったから(笑)。並べることで時間の経過を視覚化したり、飾りのポイントにしたりしています。個人的に惹かれるのは『落ち武者』のパターンですね(笑)。撮影後に集合写真を撮ったときは、スタッフみんなお気に入りの被り物や小道具を手に持って撮影したんです。現場はみんなで本当に楽しみながらやらせていただきました」
「普通だとなかなかレアな間取りかもしれないですけど、今回はセットだったのでダイニングの壁に奥行きをつくって飾り棚をつくりました。これは、ちえが死んだふりの扮装に使ったものをコレクションできる場所をつくりたいと思ったから(笑)。並べることで時間の経過を視覚化したり、飾りのポイントにしたりしています。個人的に惹かれるのは『落ち武者』のパターンですね(笑)。撮影後に集合写真を撮ったときは、スタッフみんなお気に入りの被り物や小道具を手に持って撮影したんです。現場はみんなで本当に楽しみながらやらせていただきました」
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#112(2018年6月号 4月18日発売)
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』の美術について、美術プロデューサー 小田嶋さんのインタビューを掲載
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』の美術について、美術プロデューサー 小田嶋さんのインタビューを掲載
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Profile
プロフィール

美術プロデューサー
小田嶋俊行
odashima toshiyuki
81年岩手県生まれ。建具担当としてキャリアをスタートし、映画『嫌われ松子の一生』(06)、『うた魂♪』(08)、『雷桜』(10)、ドラマ『鈴木先生』(11)などに参加。近作に美術プロデューサーとして参加した『ブランケット・キャッツ』(17)、美術制作として参加した映画『ユリゴコロ』(17)、ドラマ『春が来た』(18・WOWOW)がある。
Movie
映画情報

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
監督/李闘士男 脚本/坪田文 出演/榮倉奈々 安田顕 大谷亮平 野々すみ花 配給/KADOKAWA (18/日本/115min)
ある日家に帰ると、玄関で妻が口から血を流して倒れている。夫は慌てて介抱するが、実は死んだふりをしていただけだった!それからというもの、家に帰るとあの手この手で死んだふりをするようになった妻に、次第に不安を募らせる夫だったが、妻の謎の行動には“秘密”があった。6/8〜全国公開
(C)2018「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」製作委員会
家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。公式HP