テーマ:一人暮らし

夕餉

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 にゃあ、というか細い声に振り向くと、まだ子猫とも言える、小柄な猫が一匹、入り口の前に立っている。

 一人暮らしのわたしの家には、たくさんの人たちが訪れる。
 彼らと過ごす食卓は、いつも穏やかな時間だった。

 そんな中で、たまにこうして猫や犬といった動物も迷い込んでくるのだ。
 言葉こそ交わせないものの、彼らもまた同じように、忘れたものを思い出したがっている。

 ――にゃあ。

 再び鳴く猫。

 ここにいていいのかと、少しだけ怯えたようなその姿に、わたしは手を伸ばし、微笑みかける。


 「おかえりなさい」

夕餉

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