テーマ:二次創作 / ラプンツェル

髪と家

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読者賞について

あなたが選ぶ「読者賞」

読者賞はノミネート掲載された優秀作品のなかから、もっとも読者から支持された作品に贈られます。

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「そう、ですね。いろいろときついこともいわれました。でも、そういうのは、あるものだろうと覚悟していました。なんか、そういう、だれかを攻撃しないと生きていけない、みたいな、人がたくさんいる世の中ですから。でも、実は心のどこかで、それって都市伝説じゃないの? なにかが、はじめにそういうイメージをつくりだしてしまって、それから、まるでおもしろがるみたいに、そういう、ネット上のやばい人、みたいなのを演じている人たちがいるだけなんじゃないかって、心のどこかでは思っていました。でも、ふつうに、リアルに、やばい人はいるみたいで、けっこう、傷ついてます」

「結局二週間も経ったらまたもとどりあそんでくれるようになったけれど、それでもゲンくんやミカちゃんは少しのあいだ娘とあそんでくれなかった。私が子どもで、娘の友だちだったとしてもそうしたと思う」「あ、へー」「なんだよ転校生」「お? 嫉妬?」「あいつ、なんか、うまく立ち回ってね?」「そうか?」「くそエゴイスト」「パパさん家つくってるわ」「手づくりって」「やっぱりお金がないのかー」「募金したらどうですか? っていってこいよ」「おまえがいけよ」「でもパパさん楽しそうじゃん」「ゲンくんとミカちゃんもはしゃいでる」「ラプンツェルかっこ仮の女の子は?」「わっ」「影かと思ってた」「髪でもう全身かくれちゃってる」「おーい、こんにちはー」「しゃべらないね」「置物みたい」「ああ、写真写真」「ママさんの話が思ったよりも長くて疲れました。どうして娘さんの髪の毛はあんなに伸びているんですか? って聞いても、ママさんは苦笑いするだけで、問い詰めることはできませんでした。男子たちのところにもどって、ゲンくんやミカちゃんといっしょにあそんでいるあいだずっと、ひとりの男子が頭から僕にもたれかかっていました。ガンを飛ばしているのかな?」

「この前、高校生さんたちが家にきてくれました。なんでも、わたしたちを題材にした劇をつくりたいとかで。わたしも夫も、そこの高校を出ていますし、なんだかもうはじまっちゃってるみたいだったので、本人たちの了承がどうとか、そういう話ではありませんでした。娘というよりは、家が中心の劇にしたいみたいでしたが、わたしは娘のことを中心に、ひとりの男の子に話をしました」「どうして娘さんの髪の毛はあんなに伸びているんですか?」「って聞かれたとき、目の前にあった熱いお茶をその子にぶちまける……想像をしてしまいました」

髪と家

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