5月期
ヘルとテル
こらえかねた両親が、木陰から飛び出して、ふたりを抱きしめた。母親はこっそり、テルのお腹をつまんで、また太っていないか確かめた。きょうだいは、競うように泣きじゃくった。大人たちの服に子どもの涙が落ちて、子どもたちの服に大人の鼻水が垂れた。母親がいった。さあ、家に帰ろう。
家族は手をつないで、笑いながら、森を出ていった。ほんとに、きてよかったなあ、と父親がいった。
いくら待っても子どもたちがこないので、おばあさんは悪役たちと家を食べはじめていた。大きなげっぷをして、このまま昼寝したかった。
ヘルとテル