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ごろりと横になれる畳でだんらん。新旧の良さが融合する和モダンな家
「畳は目が細かく丈夫なためか、猫も爪を引っ掛けません」とお父さま。 リビング中央は畳敷きに。天井には植物のアシを使用。耐震強化のため、中心に柱を追加した
2019.02.20

ごろりと横になれる畳でだんらん。新旧の良さが融合する和モダンな家

震災を経て建て替えた家のリビングに、八代産畳を使用。 床座にやすらぎ、家族を程よくつなぐ快適な間取りに住みやすさを実感

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82

 ご両親と暮らすMさんは、2016年に熊本地震を経験。築40年の旧宅に傾きや隙間が生じたため、建替えに踏み切った。耐震性を考えて平屋とし、棚などは倒れる心配のないよう全てつくり付けを希望。とはいえ急きょ新築を決めたため、他に具体的な要望が思い浮かばなかったという。そこで設計者の山下真之さんは、「どんな家にしたいか」より「どんな生活がしたいか」に重点を置いてヒアリング。家での様子や、ふとした世間話からもくみ取り、「親しんできたつくりを継承しながら、新しい要素を加えた住まい」を提案した。
 

物件データ 所在地/熊本県上益城郡
面積/83.29²
築年月/2016年12月
設計/山下真之(グラント一級建築士事務所)
www.arc-grant.net

かつては台所が孤立し、和室が連続する昔ながらの和風住宅だったが、新居はオープンなLDKにして、リビングだけに畳を配置。使いやすい空間にしつつ、以前と同じ形でだんらんを楽しめるような設計に。畳は「せっかくなら地元のものを」と、熊本県八代産を取り入れた。

「継承と革新」のテーマのもと、モダンな箱型と軒の深い平屋を組み合わせた外観。地震対策のため、屋根は軽量のガルバリウム鋼板を採用
広い玄関は来客にも好評。奥の引き戸を開けるとMさんの部屋に抜けられる。「部屋から直接出掛けられるので便利です」(Mさん)

水に恵まれた土壌のもと、500年以上も続けられてきた八代地方のイ草栽培。今では畳表生産量の国内シェア約9割を誇り、国産畳といえば八代といっても過言ではないほど。天然土で染め上げた、たっぷりの良質なイ草で織られる八代産畳には、独特の風合いや香り、たたずまいがあり、座り心地の良さとも相まって、リビングに憩いのひとときを生んでいる。

広く見せる効果を狙い、畳は正方形の縁なしとし、タモ材の床に埋め込んだ。漬物を つくるお母さまのために、キッチンには食品庫を設けている

「食事のときはもちろん、お風呂上がりに寝転がったり、釣り道具を広げたり。気が付くとずっと畳で過ごしています(笑)」(お父さま)
 生活リズムが異なるため、二世代の部屋を離し、それぞれの部屋から玄関、キッチンに抜けられる動線に。 回遊性によって移動がしやすくなり、今まで以上に家族を身近に感じられるようになった。

2つの居室をつなぐ廊下には水回りが収まり、リビングを通らずに出入りできるため、プライバシーを保てる
釣り竿を手入れするお父さまのために、以前の家にあった縁側と芝生を移設。40年来のご近所さんが、変わらず野菜などを持ってやって来る

「ご近所さんがリビングの窓から私たちを見かけて、訪ねて来るんです。変わらない付合いができることが、うれしいです」(お母さま)
 「早く帰りたいなと思うようになって、家族といる時間、一緒に笑っている時間が増えました。仕事から戻って両親がくつろいでいる姿を見ると、ホッとします」(Mさん)

Mさんの部屋の小さな高窓は、前の家で2階からよく外を眺めていた愛猫のために設けたもの。棚をキャットステップ代わりにしている
浴室やトイレだけでなく、キッチンにも行きやすいご両親の部屋。断熱性・ 気密性が高く暖かいので、冬でもすぐ布団から出られるという
text_ Makiko Hoshino photograph_ Hideki Okura

HOMETRIP Styles of living

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