「地域子育て支援拠点」を10カ所以上有するほか、「子育てふれあい公園リニューアル事業」「子育て情報メール」など、さまざまな育児支援に力を入れている春日部市。5歳と7歳の女の子がいるKさんご夫妻は、長女出産のタイミングでご主人の地元であるこの町に越してきた。周囲には公園が多く、市が主催するベビーマッサージや離乳食の教室に参加するなど、住みやすさを実感してきたという。
家を新築するにあたり、子どもにとってベストなプランを考えることは自然な流れだった。成長に伴い、刻々と家族の暮らしは変わるもの―と出した答えは、未完成のまま、その時々で変化させられる家だ。
廊下の壁にチョークボードを設置。小さなうちはお絵描き用だが、将来は伝言を残すなど、コミュニケーションに役立てる予定 |
「娘たちの意見を聞きながら、都度つくり変えていくことで、住みたい家を想像できる子になってほしいという思いもありました」(ご主人) 年を重ねてからの安心感と農業を営んでいた実家の母屋への親しみから、「切妻大屋根の平屋」も条件にした。こうして建てられたK邸は、変化への包容力や、遊びや学びを誘発する設計があちこちで見られる。
子ども部屋は日当たりのいい南東側。柱と梁を現し、将来は壁を設けて間仕切りができるようにしている。縁側から出入りできるため、おのずと庭や友達との距離が縮まるのもうれしい。LDKは最大限に広く、多目的に使えるよう計画。大きなウッドデッキと庭が連続し、のびのびと外遊びも楽しめる。LDKの一角につくっていたデスクコーナーは、約2年前にパーティションを設けて半個室化して子どもの学習スペースに変えた。
「プライベートの領域を守るため、玄関や個室からリビングを通らずに脱衣室、キッチンに抜けられる動線をつくりました」 そう話すのは、設計を担当した建築家の川端貴雄さん。家全体に回遊性が生まれ、子どもたちが駆け回れるように。また、キッチンや子ども部屋の上に設けたロフトに上り下りするなど、外遊びができない日でも家の中で元気に遊べるようにした。 「宿題などを済ませた後は、縄跳びに鉄棒、工作など、ずっと姉妹一緒(笑)。目の届く範囲で遊ばせておけるので、安心です」(奥さま)
全面に木を使った山小屋のようなこもり感のある寝室。スペースを有効活用するため、ベッド下を収納にし、すのこで通気性を持たせた |