【初心者向け】カメの飼い方は?カメの飼育に必要なものや注意点 おすすめの種類を解説

記事の目次
カメはどのような動物?
甲羅が特徴的なカメは、縁起のいい動物として古くから親しまれています。約300種類おり、陸や水中で生活します。カメの基本的な情報は次のとおりです。
- 種類:爬虫類
- 分布:池、河川、湿地、水田
- 大きさ:約2cm~約190cm
- 寿命:約40年(ミドリガメ)
カメの生態
カメの生態について、3つの住む場所に分けてご紹介します。
水棲ガメ(すいせいがめ)
水棲ガメは産卵など特別な時以外は、ほとんど水中で暮らします。
【代表的な水棲ガメの種類】
- カブトニオイガメ
- ミシシッピニオイガメ

陸棲ガメ(りくせいがめ)(リクガメ)
陸棲ガメは森のような湿った土地で暮らし、水浴びをする時くらいしか水に入りません。陸地をゆっくり歩く姿を楽しめます。
【代表的な陸棲ガメの種類】
- セマルハコガメ
- クロヤマガメ
半水棲ガメ(はんすいせいがめ)
半水棲ガメは主に水中で暮らしていますが、日光浴のために陸の上にいることもあります。日本に生息しているカメのほとんどが半水棲ガメです。
【代表的な半水棲ガメの種類】
- ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)
- クサガメ
カメの特徴
ここからは、カメの特徴をご紹介します。
甲羅で外敵から身を守る
カメの大きな特徴は甲羅で、背中とお腹に付いています。硬い甲羅は外敵から身を守るためにあり、手足・頭・尾を収納できます。
首や手足が伸び縮みする
カメは首や手足が伸び縮みします。水中から呼吸をする時に首を伸ばして、水上に顔を出す時に便利です。また、外敵から襲われそうになった時に、手足を甲羅に収納して身を守ります。
視力が発達し色を判別する
ほとんどのカメは視力がよく、色を判別できます。特にリクガメは、岩場で安全に移動するために視力がとても発達しています。
新しい体になるために脱皮する
他の爬虫類の動物と同様に、カメも脱皮をします。カメの脱皮は一度にすべての甲羅が剥がれるのではなく、数日おきに1枚ずつ剥がれ落ちます。脱皮して体を大きくしたり、甲羅をきれいにしたりする効果があります。
自分で熱を作り出せないため冬眠する
カメは変温動物なので、自分で熱を作り出せず周りの気温によって体温が変化します。そのため、気温が低くなると、土や水の中に潜り冬を越します。この状態が冬眠です。
老化が遅く長生きする
細胞の代謝が遅く成長がゆっくりしているため、カメはとても長生きする動物だといわれています。また、水中では呼吸や心拍数を下げて、省エネモードで潜っています。

飼いやすいカメの種類
約300種類いるといわれるカメのなかから、飼育に向いている種類をピックアップしてご紹介します。
体が丈夫なカメ
体が丈夫なため、病気になりにくく、カメの飼育がはじめての方に向いています。
種類 | 特徴 | 費用相場 |
---|---|---|
ミシシッピ アカミミガメ (ミドリガメ) |
・平均寿命:約40年 ・甲羅は濃い緑色 ・半水棲種 |
500円 ~1,000円 |
クサガメ (ゼニガメ) |
・平均寿命:約15~30年 ・飼い主になつく個体が多い ・半水棲種 |
1,000円 ~4,000円 |
ミシシッピ ニオイガメ |
・平均寿命:約15~20年 ・ペットとして流通しているなかでもっとも小型 ・半水棲種 |
3,000円 ~5,000円 |
性格が穏やかなカメ
水温などに敏感ですが、性格が穏やかな個体が多いため飼育しやすいでしょう。
種類 | 特徴 | 費用相場 |
---|---|---|
ニホンイシガメ | ・平均寿命:約30~50年 ・甲羅が丸みを帯びている ・半水棲種 |
5,000円 ~10,000円 |
キボシイシガメ | ・平均寿命:約20~40年 ・黒い甲羅に黄色の模様が特徴 ・半水棲種 |
15,000円 ~50,000円 |
甲羅の模様が特徴的なカメ
甲羅の模様がきれいで、おもに愛好家の方々の間で人気の高い種類です。
種類 | 特徴 | 費用相場 |
---|---|---|
ハイイロ チズガメ |
・平均寿命:約25~40年 ・甲羅に地図のような模様 ・水棲種 |
3,000円 ~4,000円 |
フロリダ アカハラガメ |
・平均寿命:約15~20年 ・緑地に複雑な模様が入った甲羅が特徴
・さまざまな色彩変異種がいる ・水棲種
|
5,000円 ~10,000円 |
ニシキ マゲクビガメ |
・平均寿命:約30年 ・甲羅や体に黄色が入っている ・水棲種 |
6,000円 ~100,000円 |
カメは、主にペットショップや爬虫類専門店で購入できます。飼いたい種類のカメがいるか問い合わせてみましょう。その他に、譲渡会や里親を募集しているサイトもあるので、確認してみてください。

カメを選ぶ時のポイント
カメを飼いはじめる時に、どのようなポイントで選べばいいのかをご紹介します。
購入先や引き取り先を確認する
カメは通販での売買が原則禁止されています。そのため、店頭での対面販売でしか購入できません。
爬虫類ショップ
カメは爬虫類を取り扱っているペットショップや、熱帯魚などの水槽で飼う動物を扱っているアクアショップで販売されています。一般的なペットショップでも販売されていることもあります。
里親募集や譲渡会
カメを飼うことができなくなった方や、カメを繁殖させてしまった方が、里親募集をしていることもあります。譲渡会では、実際にカメを見てから譲り受けるか決めることが可能です。
甲羅や皮膚の様子を確認する
カメが健康かチェックするためには、甲羅や皮膚の状態を確認します。甲羅は硬くて厚みのある個体がおすすめです。また、皮膚に異常がなくきれいな状態か見ます。
しっかり目が開いているか確認する
カメの目がしっかりと開いていて、腫れていたり汚れていたりしていないか確認します。できれば、陸地と水中の両方での目の状態を確認すると、より安心です。
元気に動いているか確認する
手でカメを持った時にぐったりしていると、病気や体調不良の可能性があります。活発に動くか確認し、できれば一度カメと触れ合いができるか聞いてみるとよいでしょう。また、人間を怖がって手から逃げるようなカメだと、飼育が難しい可能性があります。
エサをしっかり食べるか確認する
カメの種類に合わせて必要なエサが異なります。どのようなエサをどのくらい食べていたのかを確認し、実際に飼育する時の参考にしましょう。
カメは人間になつく動物といわれていて、どの種類のどの個体をお迎えするかはとても重要です。また、カメは一度病気になったら治りづらく、治療ができる病院も多くありません。そのため、なるべく元気なカメを選びましょう。
カメに必要なお世話
カメを飼育する時に必要なお世話についてご紹介します。カメの寿命は長いので、ずっと面倒を見られるか慎重に判断してください。
エサやり
カメの甲長が5cmまでは1日2~3回、甲長が5~8cmは1日1回エサをあげます。甲長が8cm以上になったら、1日1回の給餌を基本に1週間に1日はエサを与えない日を作ります。数分で食べ切れる量を1度に与えて、食べ残しは掃除をしましょう。
カメの主なエサ
カメの主なエサは人工飼料です。小さい粒状で、カメに必要な栄養素が配合されています。その他、嗜好性が高いおやつとして活エサ・生エサ・野菜・果物・乾燥飼料があります。ただし、肥満や栄養バランスが崩れるため、あげすぎには注意が必要です。
カメに与えてはいけないもの
カメは雑食ですが、与えてはいけない食べ物もあります。具体的には、パン・加工食品・刺身・他の動物のエサなどです。塩分・脂肪分・添加量が多く含まれる食品は、消化不良を起こす可能性があります。
定期的な水の交換
カメの水槽の水の交換は週に一度が目安です。ろ過フィルターが付いていると水をきれいに保ちやすいため、交換頻度を減らしたい方は使用してみてはいかがでしょうか。
日光浴
カメの日光浴は、最低でも週に一度は必要です。日光浴には、甲羅や皮膚の殺菌効果・健康を維持するためのビタミン生成・体を温めて、活動を活発にする効果があります。
陸場と水場の整備
カメの種類によって、陸場と水場の必要な割合が異なります。水槽の中に石やレンガなどを設置し、カメが自由に登り降りできるようにしてください。
甲羅のお手入れ
カメの甲羅にぬめりやコケが出てきたら、甲羅を磨く必要があります。甲羅は歯ブラシやスポンジで磨きますが、力を入れすぎてしまうと傷つけてしまうので優しくおこないましょう。
カメの飼育に必要なもの
カメの飼育に必要なものをご紹介します。カメを屋内、屋外のどちらで飼育するのか、どのような種類のカメを飼育するかによって、陸と水の最適な割合や必要なものは異なります。
水槽(飼育ケージ)
水槽は体長10cm程度で幅60cm、体長20cm程度で幅90cmの広さがおすすめです。そこまで水を入れないので、水槽の深さはカメが脱走しない程度あれば十分です。ただし、飼育するカメの種類によっては大きく成長することを見越して、余裕のある大きさのものを選びましょう。
フィルター
カメを飼育する時は水槽の水位が低く水が汚れやすいため、性能のよいフィルターを導入しましょう。フィルターには投げ込み式・水中式・外部式などの種類があります。屋外で飼育する場合には、池用など屋外で使用するのに適したフィルターを選ぶ必要があります。
水質調整剤
カメの水槽には水道水をそのまま入れるのではなく、水質調整剤でカルキを抜いてから入れましょう。水質調整剤はカルキを抜くだけでなく、水をきれいに保って臭いを防ぐ効果もあります。
床材
カメが陸地で日光浴をするために、石やレンガなどを水槽内に配置します。砂で作ってもよいですが、水の交換が大変です。
浮島(シェルター)
屋外や日向に置かれた水槽内で飼育する時は、カメが身を隠せる浮島を用意しましょう。強すぎる直射日光を遮るだけでなく、カメが安心できる空間を作りストレスを軽減できます。ただし、屋内飼育で浮島があると、人間に慣れにくくなってしまうこともあるため注意しましょう。
紫外線ライト
屋内飼育をする場合、日が当たらない場所に水槽を設置する時は紫外線ライトを準備します。カメに紫外線を当てることで、日光浴になります。また、紫外線を当てるだけでなく体温を上げるためのバスキングライトもあると、ヒーターの代わりに使用できるでしょう。
ヒーター
カメを冬眠させずに飼育する場合は、ヒーターで温める必要があります。水深が浅いので、小型水槽に対応したものがおすすめです。カメが触れて火傷をしないように、カバーが付いていると安心です。
エサ
カメは雑食なので、人工飼料や他のおやつなどさまざまなものを食べます。カメを留守番させておく時間が長い場合には、自動給餌器を必要に応じて使用すると便利です。
カメを飼うのに必要な費用
カメを飼うために必要な費用を、初期費用と月々の費用に分けてご紹介します。
初期費用
- 生体価格:500円~100,000円
カメは種類によって価格の幅が非常に大きく、種類によっては、10万円以上のカメもいます。代表的なカメとして、ミドリガメは500円~1,000円、クサガメは1,000円~4,000円程度かかります。 - 水槽 :2,000円~10,000円
- フィルター:2,000円~3,000円
- 水質調整剤:1,000円前後
- 床材:1,000円前後
- 浮島:1,000円前後
- 紫外線ライト:3,000円~5,000円
- ヒーター:2,000円~3,000円
月々にかかる費用
- エサ:1,000円前後
- 電気代:1,000円~2,000円
(季節やW(ワット)数による)
カメを飼う時の注意点

カメを飼う時の注意点を3つご紹介します。
サルモネラ菌に注意
カメなどの爬虫類に噛まれて、サルモネラ症に感染する人が毎年報告されています。爬虫類の過半数がサルモネラ菌を持っているため、カメに触ったあとは必ず手を洗ってください。サルモネラ症にかかると、発熱・下痢・腹痛などの症状が出て、まれに重症化して死亡する例もあります。カメに噛まれたあとに症状が出た場合は、市販薬などを使わずにすぐに病院で診察をしてもらいましょう。
飼育環境の温度に注意
カメは変温動物のため、外部の気温が体温に大きく影響します。カメの飼育に適している気温は24~29.5度、水温は24~29度です。適温を維持するために、ヒーターやバスキングライトを設置しておくことをおすすめします。
冬眠させる時に注意
自然界のカメは11月~3月にかけて冬眠をします。冬眠中はエサを与えず、水や土の中で静かに過ごせるようにしましょう。ただし、屋内で飼育し水温を20度以上に保てるのであれば、無理に冬眠をさせる必要はありません。特に子ガメなど体力のないカメだと、そのまま目を覚まさないこともあるので、ペットの状態によって冬眠させるか判断してください。
カメの飼育についてよくある質問
カメの飼育についてよくある4つの質問に回答します。
オスとメスの見分け方は?
カメのオスとメスは、しっぽの長さで見分けることが可能です。オスの尾は太くて長く、総排泄孔が甲羅の縁より外側にあります。一方、メスの尾は総排泄孔が甲羅の縁より内側にあります。ただし、子ガメだとオスとメスを見分けるのが難しいでしょう。
カメがかかりやすい病気は?
カメがかかりやすい病気は次の3つです。
- 呼吸器感染症:気温や水温管理ができていなかったり、水が汚れているとかかる病気です。水中で片方に傾いてしまいます。
- 卵塞:メスのカメに食欲不振や嘔吐の症状が見られる時に疑われる病気です。産卵ができない環境でお腹の中に卵が詰まって起こります。
- 尿路結石:リクガメで起こりやすく、水分不足やタンパク質の摂りすぎが原因です。
日光浴で注意することは?
カメにとって日光浴は必要ですが、長時間ではなく2~3時間程度で十分です。ガラス越しの日光浴だと水槽の温度が上昇しすぎたり、紫外線を遮ったりしてしまう場合があります。
カメは飼い主になつくの?
カメは穏やかで臆病な性格の反面、とても好奇心旺盛な動物です。部屋に放すと、ゆっくりと探検する様子が観察できます。また、頭のよい動物なのでエサをくれる人の顔を覚え、頭を触っても引っ込めずにおやつを催促するような性格の個体もいます。
ペット不可の物件でもカメは飼える?
基本的にはペット可物件でないと、カメを含めてどの動物でも飼うことができません。ただし、交渉や相談をすれば、カメの飼育を認めてもらうことができる可能性はあります。また、ペットを飼育する時は報告義務があり、ペットの種類や数によっては敷金が追加されることもあります。
万が一、カメを飼育することを報告せずに飼っていることがばれてしまうと、契約違反で強制退去になったり、ペットを手放さなければならなくなったりします。
飼育可でも気を付けること
ペットの飼育が可能な物件でも、カメを飼う時に気を付けるポイントを5つご紹介します。
共用部分では飼育しない
ベランダやバルコニーなど共用部分で、カメの飼育は禁止されています。近隣住民とのトラブルの要因になるだけでなく、非常時の避難の妨げになる可能性があります。共用部分でのペットの飼育は、消防法に抵触してしまうので注意しましょう。
壁紙や床に傷をつけない
カメが部屋の中を歩く時に、爪によって壁や床に傷をつけないように注意しましょう。カメが行動できる範囲を囲ったり、床にマットなどを敷いたりする対策が必要です。
カメの生活音に気を付ける
カメは基本的に静かに生活する動物ですが、水槽の中で移動する時や部屋を歩き回る時に音が出ます。また、メスのカメの場合、産卵時には音を発することも。そのため、周りが静かな環境だと音が目立つ場合があります。
水槽の水漏れに気を付ける
カメを飼育している水槽から水が漏れてしまうと、漏電火災などの原因になります。古い水槽は買い替えて、安全な環境で飼育しましょう。
ベランダの排水溝から水を流さない
カメの水槽を掃除する時に、汚れている水をベランダの排水溝から流すことはやめましょう。においや詰まりの原因となり、近隣住民とのトラブルになる可能性が高いです。
カメを飼うための物件探しのポイント
カメを飼育するための物件を探す時のポイントを3つご紹介します。
ペット可(相談可)物件を探す
どの動物を飼育する場合でも、ペット可もしくは相談可能な物件を探しましょう。トラブル防止のためにも、ペット可物件が安心です。
飼育する部屋にエアコンが付いている
カメは気温の変動に弱い動物なので、一定の気温を保てるようにエアコンが付いている部屋での飼育がおすすめです。特に夏場は直射日光の当たる場所で飼育してしまうと、熱中症になってしまいます。
周辺に爬虫類診療可能な動物病院がある
カメなどの爬虫類を診察できる動物病院は多くありません。万が一病気や怪我をした時のために、カメを診てもらえる動物病院を探しておきましょう。でるだけ近くにあると安心です。
まとめ
カメはほかのペットと比べると、安価な種類もいて気軽に飼えます。そのため、想像以上に大きくなって放流してしまう人もあとを絶ちません。カメを飼えなくなったからといって、川などに放流するのは厳禁です。さらに2023年6月1日より、アカミミガメ(ミドリガメ)の放流を禁止する『改正外来生物法施行令』が決定しました。最期まで責任をもって飼育しましょう。
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