【専門家に聞く】犬の暑さ対策!室内・室外の過ごし方や熱中症の症状や対処法を解説

さらに地面に近い位置にいるため、強い日差しの日は特に散歩には注意が必要です。アスファルトの熱によって熱中症になったり肉球にやけどを負ったりしてしまうことも。
そこで、今回は犬の暑さ対策について解説。室内・室外それぞれで気をつけるべきポイントや、熱中症になった際の症状についてもお伝えしますので、愛犬家はもちろんこれから犬を飼いたいと思っている方もぜひ参考にしてください。
記事の目次
犬は人間に比べて暑さに弱い?

犬は人間に比べて暑さに弱いため、日ごろから暑さ対策をしなければなりません。人には体温を下げるために重要となる「エクリン腺」と呼ばれる汗線が皮膚上に多く存在しており、汗をかくことで体内の熱を放出することができます。
しかし犬の場合、肉球や鼻の先端部等ごく一部にしか「エクリン腺」が存在しません。そのため、体温調整に欠かせない汗の体外放出に限界があり、暑さに弱く屋外はもちろん、室内の暑さ対策が必須となるのが特徴です。
犬種や犬のサイズ、年齢や疾患の有無等、さまざまな要因で特に暑さに弱い犬もいます。夏場を中心に、暑さや湿気の多い時期は暑さ対策には十分に気を配ってあげましょう。

- 【暑さに弱い犬】
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・生後10カ月以内の子犬・シニア犬・肥満気味の犬・呼吸器や心臓疾患のある犬・短頭種:ブルドッグ、ボストンテリア、シーズー、チワワ、パグ、ペキニーズなど・大型犬:ゴールデン・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、セントバーナード、グレート・ピレニーズ など・寒い国で産まれた犬種:シベリアンハスキー、サモエドなど・ダブルコートの犬種:コーギー、シーズー、シベリアンハスキー、ゴールデン・レトリーバーなど・短足の犬種:ミニチュア・ダックスフンド、コーギー、ペキニーズなど
犬の暑さ対策はいつから必要?
犬の暑さ対策が必要な時期は、地域によって異なります。最近では日本国内では温暖化も進んでいるため、暑さ対策を始める時期は室内温度と屋外温度を確認しながらおこないましょう。
犬の室温目安は18~25度程度で、湿度は50~60%の間を目安に調整します。特に先述した暑さに弱い犬に関しては、18~21度が目安となります。目安となる温度や湿度を参考に、犬が口を開けてハアハア呼吸をするパンティングを始めたら、暑さを感じて体温を下げようとしている可能性があるため暑さ対策が必要です。
また、同じ犬種でも個体差によって暑さに対しての抵抗力が異なります。そのため、お腹を出して寝るなど、愛犬の仕草や様子から暑さを極度に感じているか否かを判断して、室内や屋外で暑さ対策をしてあげることが大切です。
犬の暑さ対策でエアコンなしはNG?

基本的に、犬の暑さ対策でエアコンを使用しないのはNGです。犬は人や猫と比較すると圧倒的に暑さに弱いため、夏場はエアコンを活用してあげましょう。
ただし、北陸を中心に避暑地に関しては、一概にエアコンが必須とならないケースもあります。柴犬や紀州犬、甲斐犬等の日本犬や雑種は、犬のなかでは比較的暑さに強いといわれていますので、暑さに強い犬種については室温が25度を超えたらエアコンをつけてあげるとよいでしょう。
暑さに強い犬種でも年齢や疾患の有無、個体差によっても暑さ対策の指標温度は異なります。パンティング(舌を出しての呼吸)の頻度が多くなっていないか、愛犬の様子を確認しながら、暑さ対策をおこなってあげることをおすすめします。
室内での犬の暑さ対策

室内での犬の暑さ対策は、エアコンの活用が一番安心です。その他、いつでも新鮮な水を補給できる対策や、屋外温度によっては網戸にして風通しをよくするなど、さまざまな暑さ対策の方法があります。注意したいのは、体感温度ではなくしっかりと温湿度計で室内の暑さ計測をしながら、室内温度や室内湿度の管理をおこなうことです。
エアコンをつけて室内温度を調整する
犬の暑さ対策の基本はエアコンを活用することです。できる限り愛犬に直接風が当たらないよう風向設定に注意して、温湿度計を使って愛犬に適した温度・湿度を調整しましょう。
水をたっぷり用意する
夏場は特にいつでも水分補給できるように、新鮮な水をたっぷり用意しておくことが大切です。特に老犬に関しては、喉が渇く感覚が若い犬に比べて鈍くなったり、老衰によって動くことに抵抗があるケースも。そのため、必要に応じて水分量が多いウェットフードや、嗜好性の高いペット用の水分補給ゼリー等の活用もおすすめです。ほぼ寝たきりの場合は近くに水を設置。自力で水を飲めない場合は、シリンジで水分補給をこまめにしてあげましょう。
なお、夏は愛犬の水分摂取量の計測をすると安心です。一般的には、犬に必要な水分摂取量は愛犬の体重1kgに対して50~60mlですが、夏場なら60mlは摂取できるとよいでしょう。一度に大量に与えるのではなく、何回かに分けてしっかりと摂取量を確保してあげる対策が重要です。
日陰を作り風通しをよくする
暑さに強い犬で、エアコンなしでも25度を超えない室温の場合は、日陰を作って風通しをよくしてあげましょう。エアコンなしでも、室内の暑さ対策の一環として、温湿度計で愛犬に適した室温になっているかこまめに確認してあげることをおすすめします。息が荒くなったりパンティング頻度が多くなったりしたら、エアコンをつけてあげるとよいでしょう。
クールマットを敷く
ペット用のクールマットを活用して、暑さ対策をおこなうのもよい方法です。ペット用のクールマットには、アルミ製の商品や冷却ジェルが入ったものがあります。ただし、噛み癖がある犬の場合はアルミ製のクールマットがおすすめです。
なお、クールマットによっては犬の体温ですぐに常温、またはそれ以上になってしまうものがあります。そのため、暑さに弱い犬に関してはエアコンとの併用しましょう。
ブラッシングをこまめにする
ダブルコートの犬を中心に被毛内に熱が籠りやすいため、愛犬のブラッシングで死毛の除去をしてあげることも室内の暑さ対策では大切です。なお、サマーカットに関しては屋外にでた時に、皮膚が直射日光の影響で紫外線を直接受けやすくなります。
愛犬の毛や皮膚の保護機能低下によって暑さを逆に感じやすくしてしまい、熱中症リスクが高まるリスクも。カットしたい場合は、サマーカットではなく皮膚が保護されるように長めに被毛を残してカットしてあげましょう。
室外での犬の暑さ対策

屋外での愛犬の暑さ対策も、夏場はとても重要になります。暑い時間帯の散歩は避けて、早朝や夜間に散歩をするようにしましょう。その他、屋外でもこまめな水分補給が重要になります。
一見涼しく感じても、湿気によって熱中症リスクが高まることがあります。そのため、屋外の湿度にも気をつけてあげてください。
散歩は早朝や夜におこなう
夏場や屋外温度が高い時期の散歩は、早朝と夜におこないましょう。夕方になっても、まだコンクリートが熱くなっている可能性があります。屋外の気温だけでなく、犬の肉球に直接あたるコンクリート部分の温度確認をすることも、暑さ対策の一環で重要視される点です。散歩前にコンクリート部分を触ってみて、暑さが残っていない時間帯に散歩をしてあげましょう。
水分補給をこまめにおこなう
室内にいる時だけでなく、夏場の散歩時は水分補給をこまめにおこなうことができるよう、新鮮な水を持ち歩きましょう。
水分摂取量が少ない犬の場合は、味の付いたペット用水分補給ゼリーを持ち歩くとよいでしょう。水分量が多いウェットフードもお勧めですが、大型犬を中心に胃捻転リスクが高い犬には、散歩中の食事はお勧めできません。
冷感グッズを使う
屋外での犬の暑さ対策では、冷感グッズの活用も大切です。早朝散歩や夜間の散歩時間に暑さを感じるようでしたら、犬の首に巻くクールリングやクールバンドの活用しましょう。
屋外の温度が高くなくても、湿気が多い時間帯や季節に関しては、暑さ対策として冷感グッズで対策をしましょう。湿度も熱中症リスクを高める要因になるため、気をつける必要があります。
プールや水遊びをする
夏場は運動不足になりやすいため、犬もOKなドッグプールや川で水遊びをするのもよいでしょう。ただし、行き帰りの車内温度や休憩時の温度管理、愛犬の体の極端な温度変化にも十分注意が必要です。
犬も熱中症にかかる?こんな症状がでたら要注意!
犬に次のような症状が出たら要注意です。
【軽度】
- パンティングが増えていつもより呼吸速度が早まる
- 呼吸が荒くなることで普段以上にヨダレが目立つ
- 普段より呼吸の仕方が浅くなっている
【軽度~中度】
- 呼吸の仕方が浅くなり、苦しそうな呼吸になっている
- 食欲が普段より低下している
- 水分摂取量が普段より少なくなっている
- 元気がなくなって活動量が低下している
- 触ると体温が上がっている気がする
【中度】
- 嘔吐下痢、軟便、等の消化器系症状が見られる
- 愛犬の脈が速まって心拍数が増えている
【中度~重度】
- 愛犬の反応が鈍くなっている
- 歩行時にフラフラとする、歩行が安定しない
【重度】
- 意識がもうろうとしている、意識がなくなっている
- 犬の体がけいれんしている
- 全く食事をとらず、だるそうにしている
- 呼吸するときに苦しそうな様子を見せる
- 呼吸が一時的に止まる
- 口腔内粘膜が青紫、赤紫になってチアノーゼ症状が見られる
上記では、症状を軽度から中度、重度までご紹介させていただきました。ただし、どのような状況でも、熱中症リスクが考えられる場合は早急な応急処置が必要になります。熱中症の症状が見られる場合は、かかりつけの動物病院に連絡をして愛犬の症状をしっかりと伝えることが大切です。
応急処置の必要性があれば獣医師の指示に従い、症状が軽減されても動物病院での治療が求められます。救急で治療を受けた場合、犬の熱中症致死率は一般的に約50%と極めて高いので油断は禁物です。
愛犬に応急処置をおこなって、一見症状が改善されたように見えても、内臓器官に影響を及ぼしている可能性があります。動物病院にいっても、24時間以内に命を落としてしまう犬は少なくありません。そのため、愛犬に熱中症の症状がみられたら早急に応急処置をすること、必ず動物病院で必要な処置をおこなってもらうことが重要です。
犬が熱中症になった時の対処法
犬が熱中症になってしまった場合は、次のような対処法が考えられます。
- かかりつけの動物病院に連絡して応急処置をおこなう
- 愛犬を涼しい場所に連れていき水をかける
- 状況によってはタオルに冷水をかけて愛犬の体を巻いて扇風機を当てる
- 水分補給をさせる
- 動物病院に連れて行く
ただし、犬の熱中症の応急処置方法は症状によって異なることがあります。まずは、かかりつけの動物病院に連絡して獣医師の指示に従いましょう。万が一の時のために、夜間診療をおこなっている近場の動物病院を、事前に数カ所探しておくことも重要です。
まとめ
愛犬の暑さ対策について、室内対策と屋外対策別で詳しくご紹介しました。犬は基本的に暑さに弱く、夏場の熱中症リスクが高いのが特徴です。熱中症は致死率が非常に高いため、室内、屋外問わず愛犬の暑さ対策を日々徹底して夏の暑さ対策に十分気をつけましょう。
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