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猫に安全な観葉植物は?専門家に聞く!危険な植物と対策についても紹介

猫にとって安全な観葉植物や危険な植物を解説
猫の飼い主さんのなかには、観葉植物を育てる趣味を持っている方は多いのではないでしょうか。しかし、観葉植物の種類によっては、猫に危険が生じるものがあったり注意すべき種類のものがあったりします。そこで、猫に有害となり得る観葉植物について詳しく紹介していきます。本記事を参考に愛猫にとって安全な飼育環境に整えましょう。

なぜ猫にとって観葉植物が危険なのか

猫にとって観葉植物が危険な理由は、観葉植物の種類によっては、根っこや茎、葉の部分に有害物質が含まれていることがあり中毒症状を引き起こすリスクがあるためです。軽度から中度の有害物質に関しては、粘膜部分の炎症や皮膚に関連する症状、口内炎等が起こります。

猫にとってリスクが大きい観葉植物は、重度の中毒症状を引き起こすものです。中毒症状を引き起こす観葉植物を猫が摂取してしまった場合、嘔吐下痢、軟便等の消化器症状だけでなく、愛猫の命に関わる危険性があります。そのため、観葉植物を猫の生活空間で育てるなら、観葉植物の種類に十分な注意が必要です。

猫が観葉植物を食べたがる理由

猫が観葉植物を食べたがる理由は、主にグルーミングで飲み込んでしまった毛玉を吐き出すため、ストレス解消、好奇心の3つです。また、室外に出る猫に関しては、土をいじるのが好きなケースもあります。

お腹にたまった毛を吐き出すため

猫が観葉植物を食べたがる理由で一番多いのは、グルーミング(毛繕い)によって体に入った毛玉を吐き出すためです。猫用の毛玉対策で猫草が販売されているよう、生物学的に胃腸に入った不要物である毛玉を吐き出すために、猫にとって危険な観葉植物を食べてしまうことがあります。

ストレス解消

猫はストレスがたまると、グルーミング頻度があがるだけでなく、草を食べることでストレス解消を試みたり、気分を落ち着かせようとしたりする傾向にあります。そんな時に観葉植物が近くにあると、危険な観葉植物だと判別できず、葉や根等を食べてしまうことがあるのです。

好奇心

猫は一般的に、好奇心が旺盛な動物と考えられており、特に若い猫ほど強い傾向にあります。単純に好奇心旺盛なことが理由で、危険な観葉植物を口にしてしまうことも少なくありません。

葉を食べず土いじりが好きな猫も

土いじりが好きな猫に関しては、観葉植物の鉢をひっくり返したり堀り出したりすることがあります。猫はもともとトイレで排泄する前後に猫砂を掘る習性があり、排泄後には尿や便を隠します。トイレの場合は、排泄物の臭いを軽減するために砂をかけますが、同じように観葉植物の土をほじくり返す猫もいるので注意が必要です。

猫に安心な観葉植物

猫にとって安心な観葉植物は?
猫にとって安心な観葉植物は?

ここでは、中毒症状や体への支障をきたしにくい、猫に安心な観葉植物についてご紹介します。ただし、食べすぎてしまうと消化不良によって、嘔吐や下痢、軟便のリスクが高まるので注意してください。猫がこれら観葉植物をたくさん食べすぎている場合はやめさせましょう。

パキラ

最大で2mほど大きくなることも。剪定して高さを整えましょう
最大で2mほど大きくなることも。剪定して高さを整えましょう

丈夫で観葉植物の初心者でも育てやすいパキラは、猫にとっても安心です。パキラの葉や茎には、猫にとって有害となりにくい成分で構成されています。育つと葉っぱも大きく幹も太いため、猫がイタズラをしにくいのも特徴です。また、中毒症状が起きる物質も含まれていません。

ガジュマル

成長が早いため、しっかりと管理すれば数年で立派な大きさに成長します
成長が早いため、しっかりと管理すれば数年で立派な大きさに成長します

ゴムノキに分類される生命力の強いガジュマル観葉植物は、葉っぱ部分に猫にとって危険な毒性成分がないため安心です。また、葉っぱ部分の特徴として大きな丸みを帯びているため、猫にとっては口にしにくいのが特徴です。
ただし、樹枝の剪定をおこなう時には注意してください。樹枝を切った時に出る白い樹液を猫が口にしてしまったり触れたりすると、ごく稀ではあるものの、かぶれの原因になるケースがあります。

エバーフレッシュ

丈夫で耐陰性があり初心者でも育てやすい特徴があります
丈夫で耐陰性があり初心者でも育てやすい特徴があります

エバーフレッシュは、リラックス効果や恋愛や出会いの運に関連する風水的な背景から人気の観葉植物です。葉や茎は毒性が極めて低く、猫がいても安心して育てることができます。万が一食べてしまってもリスクはありませんが、食べすぎないように気をつけましょう。食べすぎは消化不良の原因となって、嘔吐や下痢、軟便リスクが高まります。

サンセベリア

肉厚で硬い葉を持ちます。そのため害虫被害も少ないのが特徴です
肉厚で硬い葉を持ちます。そのため害虫被害も少ないのが特徴です

空気洗浄に役立つサンセベリアは、観葉植物の中でも水やりの頻度も少ないため人気です。猫に対する毒性成分が含まれていないといわれていますが、葉っぱの先端部に尖があるため、猫草のように食べやすくたくさん食べてしまうことがあります。食べすぎによる消化不良には注意が必要です。

アレカヤシ

南国っぽい雰囲気が出せるため、西海岸インテリアやリゾートインテリアにもぴったりです
南国っぽい雰囲気が出せるため、西海岸インテリアやリゾートインテリアにもぴったりです

ヤシ科の観葉植物であるアレカヤシは、猫に危険な成分は含まれていないため比較的安心して育てることができます。ちなみに、ヤシ科の観葉植物の多くが、猫にとって安全性が高いと考えられています。

テーブルヤシ

その名のとおり小さめの植物なので、ワンルームや1Kのお部屋にもぴったりです
その名のとおり小さめの植物なので、ワンルームや1Kのお部屋にもぴったりです

日当たりがそこまでよくない場所でも育てることができるため、テーブルヤシも人気が高い観葉植物です。また、アレカヤシ同様にテーブルヤシも、ヤシ科の観葉植物で比較的猫に安全です。

シュロチク

生命力が強く、枯れかけの状態になってもお手入れをしてあげれば復活できる植物です
生命力が強く、枯れかけの状態になってもお手入れをしてあげれば復活できる植物です

シュロチクは、育てやすさや美しい葉の姿から人気の高い観葉植物です。猫にとっても毒性が極めて低く、安心して育てることができます。ただし、葉っぱの先端部が尖っているため、猫が目を傷つけたりすることのないよう注意しましょう。

カラテア

しま模様が特徴的な植物で、風水的には「仕事運」がアップするといわれています
しま模様が特徴的な植物で、風水的には「仕事運」がアップするといわれています

美しい葉の模様で人気のカラテアは、猫にとっても有害な成分が含まれていないため安心して育てられる観葉植物です。品種にもよりますが、一般的に葉っぱの幅も広く、猫が食べにくい形状なことも安全な理由の1つです。

ベゴニア

花を咲かせるため、鑑賞用としても楽しめます
花を咲かせるため、鑑賞用としても楽しめます

ベゴニアには主に木立生ベゴニアと根茎性ベゴニアがあり、いずれも毒性が極めて低くて、猫にとって危険な観葉植物ではありません。ただし、ベゴニアにはシュウ酸カルシウムが豊富に含まれているため、たくさん食べてしまったり、長期間にわたり食べたりしてしまうと、シュウ酸カルシウム結石リスクが高まるので注意が必要です。

エケベリア

ぷっくりとした葉が特徴的の多肉植物です。冬から春にかけてかわいい花を咲かせてくれます
ぷっくりとした葉が特徴的の多肉植物です。冬から春にかけてかわいい花を咲かせてくれます

水やりがそこまで頻繁に必要ないことから初心者の方にも人気の高いエケベリアです。猫に影響を与えるような毒性もないため危険ではありません。ただし、他の観葉植物同様に、食べ過ぎると消化不良による嘔吐、下痢等の消化器系症状リスクが高まるので、食べすぎに注意しましょう。

猫に危険な観葉植物

猫にとって有害な観葉植物とは
猫にとって有害な観葉植物とは

続いて、中毒症状を中心とした、特に猫に危険な観葉植物についてご紹介します。中毒症状は時に猫の命を奪ってしまうリスクがあるので、猫を飼っている場合は、これら観葉植物を猫の生活空間に置かないよう十分に注意しましょう。

ポトス

観葉植物のなかでも定番人気のポトス
観葉植物のなかでも定番人気のポトス

ポトスの葉っぱ部分には、多くのシュウ酸カルシウムが含まれています。ポトスを食べてしまうと、軽〜中度の場合なら口腔内および喉等の消化器官を傷つけてしまったり、粘膜の炎症を引き起こしたりするリスクがあります。毒性もあるため、葉っぱや茎部分を猫が接種してしまうと皮膚症状等、さまざまな健康被害が生じやすいのが特徴です。

アイビー

ハート型や星型などかわいい葉っぱが魅力です
ハート型や星型などかわいい葉っぱが魅力です

アイビーには毒性のある成分「サポニン」が含まれているので、猫に危険な観葉植物です。嘔吐や下痢、軟便、重度のヨダレ等の中毒症状リスクがあるため、猫の生活空間には置かないようにしましょう。

モンステラ

室内で圧倒的な存在感を放つことのできます。贈答品として送ることも多い植物です
室内で圧倒的な存在感を放つことのできます。贈答品として送ることも多い植物です

モンステラには、ポトス同様に多くのシュウ酸カルシウムが含まれています。モンステラを猫が接種すると、口腔内や喉等の消化器官を傷つける、粘膜の炎症や皮膚症状を引き起こすリスクがあります。

サボテン

種類も豊富で手入れが楽なことから初心者に人気です
種類も豊富で手入れが楽なことから初心者に人気です

サボテンにはさまざまな種類がありますが、一般的にトゲがあるため、全般的に猫の口腔内や消化器官等を傷つけやすい危険な観葉植物です。

有毒物による猫の中毒症状

猫が有害物によって引き起こす症状とは
猫が有害物によって引き起こす症状とは

有害物を猫が摂取すると、以下のような症状が引き起こります。

  • 嘔吐や下痢
  • 食欲不振
  • 無気力や不安
  • 呼吸困難
  • 不整脈やけいれん
  • よだれが多い
  • ふらついている
  • 泡を吹く
  • 皮膚や粘膜の炎症

観葉植物による有毒物での猫の中毒症状は、軽度、中度、重度とさまざまです。ただし、呼吸困難や不整脈、けいれん、泡を吹くようなケースは、命に関わることも。
症状が軽度であっても油断せず、愛猫の様子をしっかりと見て動物病院の受診を検討しましょう。

もし猫が観葉植物を食べてしまったら

猫が観葉植物を口にしてしまったらどう対処したらいいのでしょうか
猫が観葉植物を口にしてしまったらどう対処したらいいのでしょうか

もし愛猫が危険な観葉植物か分からないものを食べてしまった場合どうすればいいのでしょうか。まずは慌てずにきちんとした対処をしましょう。

猫にとって危険な観葉植物か調べる

猫にとって危険な観葉植物か否かは、インターネットでも調べることができます。ただし、1つの情報だけでなく、念のため複数記事を確認しましょう。また、観葉植物の種類だけでなく、猫が食べてしまった部位を調べることも重要です。
有害かどうかわからない場合は、かかりつけの動物病院に電話しましょう。

動物病院へ連れて行く

猫が食べてしまった観葉植物に中毒性があったり、猫に何かしらの症状が出てしまったりした場合は、早急に動物病院に連れて行きましょう。自己判断で吐かせるなどの処置をしてしまうと危険です。

観葉植物を育てるための安全対策

猫を飼いながら観葉植物を育てるための安全対策とは
猫を飼いながら観葉植物を育てるための安全対策とは

ここでは、猫と暮らしながら観葉植物を育てる場合の安全対策について、7つの対策をご紹介します。危険性を最小限に抑えるために、猫の生活空間を整えてあげましょう。

プランターカバーを付ける

猫が観葉植物をイタズラしないよう、プランターには大きめのカバーをつけてあげることをお勧めします。猫にとって危険でない観葉植物であっても、食べないに越したことはありません。

植木鉢の周りにトゲトゲシートを貼る

植木鉢の周りにはトゲトゲシートを貼って、猫が観葉植物に寄りにくいように対策をおこないましょう。ただし、トゲトゲシートで猫が怪我をしないよう、シート選びには細心の注意が必要です。

ハンギングなど 届かない場所に設置する

猫がジャンプしても届かない位置にハンギング(観葉植物を壁の高い位置や天井等に吊るすこと)すると安心です。
一つ注意点としては、猫はジャンプ力があるので、個々の猫のジャンプ力を配慮して吊るす場所を検討しましょう。

植物に木酢液をスプレーする

猫を観葉植物に寄せ付けないよう、植物に木酢液をスプレーするとよいでしょう。ただし、木酢液には猫に害がある商品とない商品があります。猫の体に有害になる危険性がない木酢液を入念に選んでください。

猫が入れない部屋に置く

猫と暮らしながら観葉植物を育てるのに一番安全な方法は、猫が入らない部屋に観葉植物を置くことです。根本的な解決法となるため、ぜひご検討ください。

フェイクグリーンに変える

猫のことを一番に考える場合は、フェイクグリーン(人工観葉植物)で我慢することです。ただし、フェイクグリーンは猫が玩具にして遊んでしまうことがあるので、破壊による誤飲には気をつけましょう。フェイクグリーンについても、猫の届かない場所に設置してあげるのが理想です。

猫に安心な観葉植物についてよくある質問

ここでは、猫に安心な観葉植物についてよくある質問をまとめました。

猫にとって安全な観葉植物は?

猫にとって安全な観葉植物は、有害物質や中毒性成分が含まれていない植物です。特に、ヤシ科の観葉植物の多くが、猫にとって安全性が高いと考えられています。

猫にとって危険な観葉植物は?

猫にとって危険な観葉植物は、有害物質や中毒性成分が含まれている植物です。それに加えて、サボテンのようにトゲが生えている植物は、猫を傷つけやすいので十分な注意が必要です。

万が一猫が観葉植物を食べてしまったら?

万が一猫が観葉植物を食べてしまったら、対象の観葉植物が猫にとって安全か否か確認しましょう。危険性の高い観葉植物を摂取してしまった場合は、必ずかかりつけの動物病院に相談してください。その際、摂取した観葉植物の種類、摂取時間帯、摂取量を伝えることが大切です。

猫に有害となり得る観葉植物やその理由、具体的な観葉植物の種類や誤飲後の対処法等について、詳しくご紹介しました。観葉植物の種類によっては、猫の命に関わる危険性があるものもあります。観葉植物を置く場合には本記事の内容を参考に、十分に注意して種類を選ぶようにしましょう。

望月紗貴

執筆者

望月紗貴

一般社団法人愛玩動物健康管理協会 代表理事。猫や犬との生活を豊かにするペット用品受託開発やペットフードの受託栄養設計、企業様向け教育セミナー等実施しております。これら営利事業の収益で、譲渡しない動物保護団体の運営を行っております。猫健康管理士、犬猫行動アナリスト、愛玩動物救命士、ペットセラピストを中心に14種類以上のペット関連資格を保有。

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