鉄筋コンクリート(RC造)の防音性はどのくらい?木造・鉄骨造との違いや部屋の防音性を調べる方法

記事の目次
鉄筋コンクリート(RC造)とは?
RCとはReinforced Concerte(補強されたコンクリート)の略です。主要な骨組みが鉄筋とコンクリートによって造られた構造を指し、2つの素材がそれぞれの弱点を補って、より強い骨組みとなり建物を支えています。耐久性や耐震性にも優れ、マンションなどの集合住宅をはじめ、一戸建てに使われている場合もあります。
鉄筋コンクリートのメリット
鉄筋コンクリートにはさまざまなメリットがあります。
遮音・防音効果に優れている
遮音・防音効果は重量に比例して高くなります。鉄筋コンクリート造の建物は重くて頑丈なため、遮音・防音効果は優れています。
耐火性・耐震性・耐久性に優れている
鉄筋とコンクリートそのものが燃える材質ではないため、耐火性に優れています。
また、引っ張り方向に強い鉄筋と圧縮する力に強いコンクリートを組み合わせることで、地震によって起こる横揺れと縦揺れ、どちらの負荷にも耐えられる高い耐震性を確保しています。
鉄筋コンクリート造の「事業用法定耐用年数」は47年です。同じ条件で比較すると、木造が22年、鉄骨造が19年~34年となっているので、他の構造よりもっとも長く頑丈に使える構造といえます。
防音性は鉄骨造や木造よりも優れている?
鉄筋コンクリート造の防音性について、他の構造と比較しながら詳しくみていきます。
鉄骨造(S造)とは?
主要な骨組みが鋼材で作られた構造のことで、鋼材の厚さが6mm未満で作られたものを「軽量鉄骨構造」、鋼材の厚さが6mm以上で作られたものを「重量鉄骨構造」と呼びます。防音性は木造と同等、もしくは少し高いレベルですが、部材によって差があります。
木造(W造)とは?
主要な骨組みが木材で作られた構造のことです。一戸建て、小規模集合住宅、アパートなどに用いられることが多く、一般的に他の構造と比べると防音性がもっとも低い傾向にあります。
鉄筋コンクリートが鉄骨造や木造よりも防音性が高い理由
コンクリートは比重が重く防音性の高い素材です。コンクリートを骨組みに隙間なく流し込んで強固な床・壁・天井を作るため、「遮音性能」がもっとも強い構造といえます。
鉄筋コンクリートでもうるさいことがある?注意すべきポイント
一般的に鉄筋コンクリート造は防音性の高い構造といえますが、施工方法の違いで差が出ることがあるため注意が必要です。
ラーメン構造になっている
鉄筋コンクリート造には「ラーメン構造」「壁式構造」の2種類の構造があります。
「ラーメン構造」は柱と梁を太いコンクリートで支え、壁を比較的薄くしているのが特徴で、壁が薄い分防音性が低くなる傾向にあります。
一方、「壁式構造」は鉄筋コンクリートの壁だけで支える構造で、壁に厚みがあるため防音性は高い傾向にあります。
壁に石膏ボードが使われている
鉄筋コンクリート造の建物内部には内装仕上げが施されます。コンクリート剥き出しの状態ではなく、壁紙クロスや内装材を貼るための下地として石膏ボードを使用します。その際に「GL工法」といわれる石膏ボードを特殊なボンドで貼り付ける工法をおこなうと、防音性が著しく低下するので注意が必要です。作業が簡単でコストを下げるメリットがある半面、コンクリートと石膏ボードとの間で共振が起こり、隣では聞こえない音が斜め上で聞こえたり2つ下の階で聞こえたりするなど、予想外のクレームが発生することがあります。
また高層マンションの上階でも、隣の住戸との間を仕切る壁(戸境壁)がコンクリートではなく石膏ボードの壁が使われていて、一般的な鉄筋コンクリートの戸境壁より防音性が落ちる場合があります。
築年数がかなり古い
GL工法は簡単な作業でできるため、昔は多く施工されていました。しかし、防音性や後の施工に影響を与えるなどの問題から、現在では使用されなくなっています。築年数がかなり古い建物ではGL工法を使っている物件が多いため、鉄筋コンクリートでありながら防音性が低い可能性があります。
ちなみに、現在はLGS工法という防音に考慮した壁がマンションなどでは使われています。
防音性が高い部屋はどう探す?内見時に調べる方法

では、防音性の高い部屋をどうやって探せばよいのでしょうか。ここからは内見の際に自分で確認できる方法を紹介していきます。
壁に耳を当ててみる
外からの音や別の部屋からの音が聞こえるか、壁に耳を当ててみてください。隣の部屋のテレビの音や話し声が聞こえる場合は、どこかに隙間があり防音性能が低下している可能性があるので、注意が必要です。
壁をノックしてみる
響く音の違いで、壁の厚さや構造の違いを確かめることができます。外壁に面する壁、または隣の住戸との間を仕切る壁(戸境壁)を軽くノックするように叩きます。
- コンコンと低くつまった音で響かない…コンクリートの壁(防音性高)
- ドンドンという音…石膏ボードの壁・LGS工法(防音性高)
- カンカンという甲高い音…石膏ボードの壁・GL工法(防音性低)
カンカンという甲高い音がした場合は、壁が薄く、防音性が低い可能性があるので注意が必要です。
またマンションの高層階などでは、戸境壁が石膏ボードと吸音材を組み合わせた材料で造られている場合があります。その場合は、コンクリートの壁より防音性が低くなる傾向があります。
室内で手を叩いてみる
窓を閉めた室内で、大きな音がするように手を叩いてみてください。強い反響が返ってきた場合は、壁・床・天井が強固に構成されていますが、そうでない場合は隙間から音が漏れている可能性があります。
ドアをノックしてみる
玄関のドアは、外の共用部分に音が漏れるのを防ぐ役割を持っています。防音性が高いと家の中の音も外には漏れにくくなります。基本的にどっしりと重量感のあるドアほど防音性が優れているので、あまりに軽い印象のドアは避けるようにするといいでしょう。
ドアに隙間がないかチェックする
音は隙間があるとそこから漏れやすくなります。室内のドアのなかには、空気の通り道をつくるために、わざとアンダーカットしている場合があります。しかし、防音性能を求めるのであればできるかぎりドアの隙間がないほうが望ましいです。防音扉を使っていれば、隙間をなくし気密性を高めることで空気の流れをストップしているので、より高い防音効果が望めます。
窓の厚さをチェックする
窓ガラスを横から覗いて、ガラスの厚みをチェックします。一般的な窓ガラスの厚みは3〜6.8mmが多く、当然厚いほど防音性能は高くなります。また最近では2枚のガラスの間に空気層を設けたペアガラスなども使われています。
あまりにも薄いガラスが使われている部屋は外に音が漏れやすく、外の騒音も入ってきやすいので避けたほうがよいでしょう。
窓枠に隙間がないかチェックする
築年数の古い建物は、窓枠とガラスとの間に隙間ができる場合があります。音はそこから出入りしてしまうので、窓枠に隙間がないかをチェックする必要があります。
周辺環境をチェックする
静かな場所なのか賑やかな場所なのか、周辺の環境をチェックすることは内見のときに忘れてはいけないことです。とくに日中はテレワークで自宅にいることが多い方は、周りが静かな環境のほうがWeb会議の時に騒音になりにくくなります。
また、同じ建物内でも両隣に部屋があるのか、上下に部屋があるのかなど部屋の位置関係によって防音性は変わります。
防音性を高めたい!簡単にできる防音対策
防音性に優れる鉄筋コンクリート造(RC造)ですが、より防音性を高めるため簡単にできる防音対策について解説します。
防音グッズを使用する
鉄筋コンクリートは元々防音性能が高い構造なので、補助的に防音グッズを使うことで、効果的な防音対策になります。
効果的な防音グッズ
- 床に防振マットやカーペットを敷く 下階にコンクリートを介して伝わる振動を軽減します。歩行や子どもの走る音に有効です。
- 防音カーテンをつける 窓から音が漏れる場合は防音カーテンをつけましょう。ただし、大きな音や低い音に対してはあまり期待できません。
- 壁に鉛シートや防音シートを貼る 石膏ボードの壁に鉛シートや防音シートを貼ると、遮音性のある壁となり防音性能が上がります。
- 窓に隙間がある場合、隙間テープを貼る 高い音は窓の隙間から漏れるため、テープを貼ると効果的です。
家具や家電の配置を変える
テレビやオーディオを隣の住戸と接する壁に置く場合は、壁から離しておくことをおすすめします。振動や音は前に向かって出るため、隣の気配もわかりにくくなります。
また、壁一面に背の高い本棚やクローゼットなどを配置する、2重壁になり遮音性が高くなります。本や洋服は吸音材の役割を果たすため、遮音と吸音ダブルの効果が期待できます。
壁から離れた位置にベッドやソファを設けるのも、生活音を和らげるのに効果的です。
まとめ
鉄筋コンクリート造(RC造)は他の建築構造と比べて隙間が少なく、骨組みに重量のあるコンクリートを流し込むため防音性に優れた構造です。しかし、壁の構成材料や施工方法によっては防音性能が大きく低下してしまうため、内見の際にしっかりと確認することが重要です。また、住みはじめてから気になる音漏れがあった場合でも、部分的に防音グッズを使うことで防音性を高めることができますよ。ぜひ本記事を参考に、静かで落ち着く住まいを見つけましょう。