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賃貸物件のエアコンが故障!どうすればいい?費用負担や対応方法を徹底解説

賃貸物件でエアコンが故障した際どうすればよいのか詳しく解説します
賃貸物件でエアコンが故障した際に「修理費は誰が払うのか」「家賃は減額されるのか」など、さまざまな疑問や不安を感じる方も多いでしょう。

この記事では、賃貸物件のエアコンが故障した時に誰が修理費を負担するのか、どれくらい家賃が減額されるのかを解説します。さらに、トラブルを避けるための正しい対処法も紹介します。賃貸物件のエアコンが故障してしまった方は、ぜひ最後までご覧ください。

記事の目次

賃貸物件に備え付けのエアコンが故障したら?修理費は誰の負担?

賃貸物件に備え付けのエアコンが故障したら?修理費は誰の負担?
賃貸物件に備え付けのエアコンが故障したら?修理費は誰の負担?

賃貸物件でエアコンが故障した場合、修理費は誰が負担するのでしょうか。ここでは、よくある3つのケースごとに解説します。

基本は大家さん・管理会社(貸主)が負担

賃貸物件に備え付けられたエアコンが故障した場合、修理費は基本的に大家さんや管理会社(貸主)が負担します。これは民法第606条1項で【賃貸人は「賃借人の責に帰すべき事由」によって生じた修繕義務を負わない】と定められており、貸主には設備の修繕義務があるためです。

出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)│e-GOV法令検索

一般的にエアコンは2~3年で不具合が出始め、10年を超えると故障が増えるといわれていますが、経年劣化や通常使用による故障であれば貸主が修理費を負担します。

入居者の過失による故障は入居者(借主)負担

エアコンの故障が入居者の故意や不注意による場合、修理費は入居者(借主)の負担です。例えば、掃除中に部品を壊してしまったり、物をぶつけて破損してしまったりした場合が該当します。

民法第606条でも「賃借人の責に帰すべき事由」による修繕は貸主の義務ではないとされています。経年劣化や通常使用による故障とは異なり、入居者の過失が明らかな場合は注意が必要です。

出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)│e-GOV法令検索

前入居者の残置物である場合は借主負担

前の入居者が設置したエアコンがそのまま残っている「残置物」の場合、修理費は原則として新たな借主の負担となります。エアコンが残っている場合は契約時に残置物として説明されていることが多く、賃貸借契約書や重要事項説明書に記載されています。

残置物は貸主の所有物ではないため、故障時の修理や交換も借主が対応することになります。契約内容をしっかり確認し、トラブルを防ぎましょう。

賃貸住宅のエアコンが故障した際の家賃減額について

賃貸のエアコンが故障したら家賃の値下げ交渉はできるのでしょうか
賃貸のエアコンが故障したら家賃の値下げ交渉はできるのでしょうか

賃貸物件のエアコンが故障した場合、家賃減額はあるのでしょうか?ここからは、ガイドラインの内容や免責期間、減額割合について詳しく解説します。

貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン

貸室や設備に不具合が生じた場合、賃料減額の目安として上記で説明した公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」が活用されています。このガイドラインでは、賃貸住宅でエアコンや給湯器などの設備が故障し、通常の生活に支障が出た場合に、家賃をどの程度減額するかの目安が示されています。

賃貸物件のエアコンが故障した場合、ガイドラインでは減額割合10%が目安とされており、故障した季節や間取り、設置台数などを考慮して調整します。法的な拘束力はありませんが、実務上の目安として広く利用されています。

免責期間は3日

エアコンが故障した際の賃料減額には免責期間が設けられています。ガイドラインによれば、故障発生日から3日間は免責期間となり、この期間は減額の対象外です。

故障して4日目以降が減額の対象となり、日割り計算で減額額を算出します。この免責期間は、修理手配や代替対応に要する時間を考慮して設定されています。

賃料減額割合は10%が目安

エアコンの故障による賃料減額の目安は、月額賃料の10%です。ただし、ガイドラインには「発生した季節・地域、間取りや設置台数等を考慮し、必要に応じて賃料減額割合を調整する。」とも記載されているため、あくまで目安の金額であることを理解しておきましょう。

たとえば、家賃8万円の物件でエアコンが7日間使えなかった場合を想定してみます。この場合、免責期間3日を除いた4日分が減額対象となり以下の計算式となります。


  • 8万円✕ 10%✕(7日- 33日)÷30日=1,066円

つまり、このケースでは1,066円の減額となります。実際の減額額は当事者間の話し合いで決まることが多いですが、ガイドラインの金額から大きく外れることはないため、この目安を理解しておくとよいでしょう。

修理期間中のホテル代はどうなる?

ガイドラインや法律ではホテル代の補償は定められていません。そのため、エアコンの故障が原因でホテルに宿泊した場合でも、原則として大家さんや管理会社がホテル代を負担する義務はありません。

どうしてもホテルの利用が必要な場合は、特別な事情が認められる場合のみ例外的に負担してもらえるケースもありますが、基本的に認められるのは家賃減額のみです。

賃貸住宅のエアコンが故障した際の対応方法

賃貸住宅のエアコンが故障した際の対応方法
賃貸住宅のエアコンが故障した際の対応方法

エアコンが故障したと感じたら、まず自分でできる範囲のチェックをおこないましょう。そのうえで契約書を確認し、必要に応じて貸主や管理会社に連絡しましょう。

エアコンの状態をチェック

エアコンが効かないと感じた場合、まず自分で状態をチェックしましょう。故障ではなく、他の原因でエアコンが効いていないケースがあります。

霜取り運転をしていないか

冬の暖房運転時、室外機に霜がつくと「霜取り運転」が自動的に始まります。この間は一時的に暖房が止まるため、エアコンが故障したと勘違いするケースが少なくありません。

一般的に霜取り運転は10分程度で終了し、再び暖房が始まります。もし20分以上経っても運転が再開しない場合は、フィルターの詰まりや他の異常を疑いましょう。

暖房が効かないからといって慌てて修理を依頼せずに、まずは霜取り運転のサインや運転ランプの点灯状況をチェックしてみてください。

リモコンが故障・電池切れしていないか

エアコンが反応しない場合は、リモコンの電池残量を確認します。電池を新しいものに交換しても動かない場合は、リモコン自体の故障も考えられます。

また、他の家電のリモコンと混同していないかも確認してみてください。エアコン本体の故障ではなく、意外に電池切れやリモコンの誤作動が原因となるケースが多いので、大家さんや管理会社に連絡する前に必ずチェックしておきましょう。

室内の設定温度は適切か

エアコンの効きが悪い場合、設定温度や運転モードが適切かを確認しましょう。冷房・暖房ともに、設定温度が室温と極端に違うと正常に作動しません。

また、「送風モード」や「ドライモード」になっていないかも確認してください。特に夏や冬の季節の変わり目は、設定が変わっている場合もあります。

室外機の周りに物を置いていないか

室外機の周囲に物が置かれていると、排熱が妨げられてエアコンの効きが悪くなります。冷房時は熱風がこもり、暖房時は排水ホースが凍る原因にもなります。

そのため、エアコンを使用する際は、室外機の周囲をできるだけ空けておきましょう。また、直射日光が当たりすぎる場合は、すだれや日除けカバーなどで日陰を作るとエアコンへの負担を減らせます。

賃貸契約書・重要事項説明書の確認

エアコンが故障した際は、まず契約書類をよく読み返し内容を確認しましょう。エアコンが故障した場合の修理費や対応のルールは、賃貸契約書や重要事項説明書に記載されています。

経年劣化による故障は貸主が修理費を負担しますが、入居者の過失による故障やエアコンが残置物の場合は入居者が負担することが一般的です。ただし、契約内容によっては故障時の特約が定められているケースがあるため、不明点があれば必ず管理会社や大家さんに問い合わせましょう。

貸主(大家さん・管理会社)に連絡

自分でエアコンをチェックしても解決しない場合や、故障の原因が特定できない場合は、速やかに貸主や管理会社に連絡してください。連絡時にはエアコンの型番や症状を伝えると、修理手配がスムーズに進みます。

備え付けのエアコンは貸主の所有物のため、入居者が勝手に修理会社を呼ぶことはできません。トラブルを防ぐためにも、必ず貸主や管理会社の指示を仰ぐようにしましょう。

賃貸住宅のエアコン故障リスクを減らすには?

賃貸住宅のエアコン故障リスクを減らすには?
賃貸住宅のエアコン故障リスクを減らすには?

賃貸物件のエアコンが故障するリスクを減らすためには、ここから紹介する方法を試してみてください。

定期的にメンテナンスをする

エアコンの故障リスクを減らすためには、定期的なメンテナンスが大切です。フィルターは2週間から1カ月に1回の掃除をし、ホコリや汚れを取り除くことで冷暖房効率が上がり、節電にもつながります。

自分で掃除できない内部は、年に1回程度、専門会社にクリーニングを依頼するのがおすすめです。定期的な点検やメンテナンスを続けることで、急な故障や高額な修理費用がかかるリスクを減らせます。

シーズン前にならし運転をする

エアコンを長期間使わないと、内部にホコリが溜まりやすくなり、いざ使う時に故障しやすくなります。そのため、シーズン前や月に1回程度は電源を入れて「ならし運転」をおこない、動作確認をしましょう。

これにより、故障や不具合をシーズン前に発見できたり、カビが発生するリスクを低減したりできます。夏や冬の本格使用前に慣らし運転をして、「エアコンが壊れていて使えない」事態を回避しましょう。

負担のかかりにくい使い方をする

エアコンを長く使うためには、設定温度を極端に下げたり上げたりせず、負担のかかりにくい使い方をするのがコツです。冷房は26度~28度、暖房は20度~22度が目安です。

また、頻繁なオンオフや急な温度変更はエアコンに負担をかけるため、タイマーや自動運転機能を活用しましょう。さらに、サーキュレーターを併用すればエアコンの効率がよくなり、無駄な電力消費が防げます。

賃貸物件のエアコンが故障していなくても取り替えてもらえる?

燃費のよくない古いエアコンを自己負担で取り替えることはできるのでしょうか
燃費のよくない古いエアコンを自己負担で取り替えることはできるのでしょうか

エアコンが故障していなくとも、省エネに対応している機種や最新式の機種に変えたいと思うこともあるでしょう。

しかし、エアコンが部屋に備え付けられている場合は、自分の判断で勝手に交換できません。自己都合で勝手に交換できないため、まずは管理会社や大家さんに相談しましょう。

自己負担であれば取り替えてもいい?

自己負担であっても、勝手に取り替え工事をするのは禁物です。備え付けのエアコンは大家さんの所有物であるため、必ず事前に許可を得る必要があります。

許可を取らずに交換すると、退去時に原状回復費用を請求されたり、設置したエアコンの撤去や修繕費が発生したりする恐れがあります。自己負担で交換したい場合でも、大家さんや管理会社と十分に相談したうえで進めるようにしましょう。

賃貸住宅で故障したエアコン修理費に関するまとめ

最後に、賃貸物件でエアコンが故障した場合の修理費の内容をまとめます。

賃貸物件に備え付けのエアコンが故障した場合、修理費は誰の負担になる?

備え付けのエアコンが故障した場合、修理費は原則貸主の負担になります。ただし、借主の過失が原因で故障した場合や、エアコンが前の入居者が設置した「残置物」である場合、修理費は借主の負担となります。

エアコンの修理費に関する事項は賃貸借契約書や重要事項説明書に記載されているため、あらかじめ内容を把握しておきましょう。

賃貸住宅のエアコンが故障した際の家賃減額とは?

賃貸物件のエアコンが故障した際、修理に時間がかかり、入居者の生活に支障をきたす場合は、家賃の減額を請求できる可能性があります。家賃減額の目安は月額賃料の10%です。

また、減額の対象外となる免責期間は3日間です。例えば、家賃10万円の物件でエアコンが8日間使えなかった場合、「10万円×10%×(8日-3日)÷30日」の計算式で、家賃減額の目安は1,666円と算出されます。

賃貸住宅のエアコンが故障した際の対応方法は?

賃貸物件のエアコンが故障した場合は、まずは設定温度が適切か、リモコンが故障していないか、などエアコンの状況をチェックしましょう。そのうえで、賃貸借契約書・重要事項説明書を確認し、大家さんまたは管理会社へ連絡を入れてください。

今回の記事では、賃貸物件のエアコンが故障した場合の修理費負担や家賃減額、正しい対応方法を解説しました。エアコンの修理費は、経年劣化や通常使用による故障であれば原則として大家さん・管理会社が負担します。

しかし、入居者の過失や前入居者の残置物の場合は借主負担となるため、契約書の内容を必ず確認しなければなりません。

また、エアコンが故障した際の家賃減額は「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を参考にすると、免責期間3日・減額割合10%が目安です。この記事で紹介した対応方法やメンテナンス方法を参考にして、大家さん・管理会社とのトラブルを防ぎましょう。

杉山 明熙

執筆者

杉山 明熙

不動産特化ライター

元不動産営業のWebライター。宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士。12年間の不動産営業を経験後、不動産特化ライターとして大手メディアや不動産会社のオウンドメディアで、住まいや不動産投資に関する記事を多く提供している。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

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