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賃貸借契約前の「重要事項説明」について

賃貸借契約前の「重要事項説明」について
「重要事項説明」は、賃貸物件の契約前に必ず受ける必要があります。物件によって内容は異なりますので、その都度きちんと確認しなければいけません。また、専門的な事項も含まれるので、簡単な内容とは言えません。重要事項説明とはどのような内容か、どんなことに注意すべきかを分かった上で説明を聞きましょう。

「重要事項説明」とは何か

「重要事項説明」とは、不動産の賃貸借契約をする前に、その不動産に関する重要かつ細かな事項の説明をすることです。これは、宅地建物取引業法(宅建業法)で定められている不動産会社(宅地建物取引業者)に課せられた義務で、必ず宅地建物取引士(宅建士)の有資格者が説明しなければなりません。一般的には仲介会社の担当者(有資格者)が説明します。

賃貸物件を選ぶときは、賃料や間取りなどに目が行きがちですが、その他にも細かい契約事項や物件ごとの設備・仕様、諸々のルールが存在します。そのような細かいことは内見時に説明しきれないので、契約前に必ず説明を受けるというわけです。

説明を受けた上で不明点があれば、宅建士に質問をして解決します。しかし、どうしても納得がいかないことがあれば、申込みをしていてもキャンセルすることは可能です。その際、違約金などは発生しませんし、すでに預けている金銭があれば全額返還されます。

重要事項説明書の内容

重要事項説明書の内容

重要事項説明書には、主に以下の内容が書かれています。順番に説明していきましょう。

【物件の基本情報や設備について】
物件の基本情報とは、その物件の所在地に関してや、電気・ガス・上下水道などインフラについての記載です。また、エアコン・トイレ・キッチンなどの設備についても、「どのような設備が付いているか」「費用負担はどうなっているか」を確認しましょう。

【物件の安全性に関すること】
物件の安全性については、以下のような項目を確認します。
・津波災害警戒区域ではないか
・造成宅地防災区域ではないか
・土砂災害警戒区域ではないか
・アスベスト(石綿)の使用状況
・耐震診断の内容

物件が上記のような警戒区域等にある場合は、重要事項説明で告知する義務があります。これらは物件を見学しただけでは分からない情報なので、記載内容を必ず確認しましょう。また、アスベストや耐震性についても、安心・安全に住むための重要な事柄ですから、記載内容に注意して、不明点は確認しましょう。

【家賃などの費用金額・支払い条件について】
家賃や共益費の他、敷金、礼金、保証金、仲介手数料などについても、重要事項説明で改めて確認しましょう。敷金の退去時精算方法なども確認します。途中解約での違約金についての記載がある場合もあるので注意が必要です。

【契約に関すること】
契約についての記載を確認します。契約期間、契約解除の要件、解約についての取り決め、更新手続きについてなどです。普通借家契約か定期借家契約かも記載にて確認しましょう。

【物件使用に際しての禁止・注意事項】
物件での禁止・注意事項とは、例えば以下のような内容です。
・用途について
・ペットの飼育について
・楽器の演奏について
・喫煙について

「居住用」として借りる場合、事務所など事業用・商用としての使用は、禁止を含め制限されることが多いです。その他、ペット飼育から喫煙ルールまで、物件ごとに記載事項は異なりますから、必ず確認しましょう。例えば「ペットを飼っている人もいますよ」と内見時に言われたとしても、明確に記載されていなければ、後々「あれはルールを破って飼っているだけで、本来は不可」と言われる可能性もあります。

重要事項説明での注意点

重要事項説明を受ける際には、以下の点に注意しましょう。
・事前に読んでおく
・受領書は「納得した」という証し
・「特約」は必ず確認
・疑問・不明点を残さない

賃貸物件を借りるときは、一般的には、重要事項説明と契約手続きは同日に行います。つまり、説明を受けたらすぐに契約書の作成を行うことになるので、説明内容をよく理解したり、考えたりする時間があまりありません。ですから、できるなら事前に重要事項説明書のコピーかデータをもらっておきましょう。事前に目を通しておけば、前もって不明点をチェックしておき、当日スムーズに質問することができます。

また「特約」条項が設定されている場合があります。そのほとんどが、全体的な説明項目から外れてあえて記載する必要がある事柄です。主に契約内容や費用にかかわることが多いので、確認のし忘れがないようにしましょう。

重要事項説明では、少なからず不明点も出てくるでしょうし、よくわからない箇所もあると思います。そんなときは遠慮せずに、細かいことでも質問しましょう。重要事項説明を受けて賃貸借契約を結んだ後に、「やはり納得できない」という主張は通用しないので、全てに納得した上で賃貸借契約を結ぶことが大切です。

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