ブラックリストでも賃貸は契約できる?審査に通る方法と落ちた時の対処法を解説

本記事では、ブラックリストに載っている時に賃貸物件の審査に影響するのか、審査に通ための方法はあるのかなどを詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
記事の目次
そもそもブラックリストとは?

そもそもブラックリストとは何かについて解説します。ブラックリストに関する基礎知識を得ておけば、賃貸物件の審査との関係をより理解できるでしょう。
「ブラックリスト」というリストはない
実際には、「ブラックリスト」というリストは存在しません。ブラックリストとは、信用情報機関にネガティブな情報が登録されることを指します。ネガティブな情報とは、借りたお金を返済できなかった記録や、破産や自己再生など債務整理の情報です。これらの情報が記録されると、賃貸物件の審査に落ちやすくなったり、クレジットカードが発行できなくなったりと生活に影響します。
なお、ブラックリストに載るとされるのは、個人信用情報のなかでも延滞や債務整理などです。個人信用情報のなかにはローンの申込履歴、融資の契約情報なども掲載されるものの、審査には大きな影響を与えない項目です。そのため、これらの項目の情報が掲載されても、ブラックリストに載るとはいえません。
何をしたらブラックリストに載るのか
それでは、どのようなことをしたらブラックリストに載るのでしょうか。具体的な例として、以下のような行動があります。
- カードローンの滞納
- 破産や個人再生といった債務整理
- ローンの借入情報(契約情報)
- クレジットカードの申込履歴
- 携帯電話の割賦払いの状況 など
上記のように、ブラックリストに載る行動はいくつかあります。しかし、すべての行動が賃貸物件の審査に影響するわけではありません。例えば、滞納や債務整理の情報は大きな影響を与えるものの、クレジットカードの申込履歴やローンの借入情報はほぼ影響しないと考えてもよいでしょう。
なお、家賃の滞納については個人信用情報には記録されません。記録されるのは、貸金業規制法や割賦販売法に関連する項目のみです。家賃の滞納については「家賃情報データベース」に記録されます。
ブラックリストに載る期間は5年~10年
ブラックリストに載る期間は、5年~10年程度です。掲載期間は、個人信用情報として掲載される行動の内容によって異なります。例えば、延滞や任意整理・特定調停なら5年程度、債務整理の情報は10年くらい記録に残ります。
なお、ブラックリストに載る年数の算定は各個人情報機関によって異なるため、一概に5年や10年と言い切れない点には注意しましょう。
ブラックリストに載っているか確認する方法
ブラックリストに載っているか確認するためには、信用情報機関へ開示請求すれば確認できます。個人信用情報機関とは、個人信用情報を記録・管理する機関であり、代表例は「CIC(指定信用情報機関)」「JICC(日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行個人信用情報センター)」です。
個人信用情報の開示請求は、以下のようにいくつかの方法があります。
- Web上で開示手続きする
- 郵送で情報を書面として送ってもらう
- 窓口で情報を発行してもらう
ただし、開示請求の方法は信用情報機関によって異なります。実際に情報開示をおこなう際には、手続方法などを事前に確認してください。
ブラックリストは賃貸物件を借りる時に影響する?

賃貸物件を借りる時にブラックリストが影響するかは、誰がブラックリストに載っているのかにより異なります。ここでは自分や同居人、親族、どの人がブラックリストに載っていると審査に影響するのか解説します。
自分がブラックリストに載っている場合
賃貸借契約の契約人である本人がブラックリストに載っている場合、審査に影響する可能性があります。審査に影響するケースとして考えられるのは、信販系保証会社の保証が入居の条件となっている場合です。信販系は保証契約を審査する際、個人信用情報を調査します。
また、個人信用情報ではないものの、家賃を滞納したことが審査に影響する場合も。家賃の滞納履歴は家賃情報データベースに記録されます。保証会社によってはこのデータベースを参照するため、賃貸物件の審査に通りにくくなる場合もあるでしょう。
同居人がブラックリストに載っている場合
同居人がブラックリストに載っていても、基本的には審査に影響しません。審査に影響するのは、同居人が連帯保証人だった場合です。連帯保証人は契約者と同じ立場であり、ブラックリストに載っていないか確認されます。
親族がブラックリストに載っている場合
親族がブラックリストに載っていても、基本的に審査には影響しません。影響するのは同居人と同じく、親族が連帯保証人になるケースです。連帯保証人は、契約者が家賃滞納した時に代わりに払う役割なので資力があるのか確認されます。
ブラックリストに載っていても入居審査に通る方法はある?
賃貸物件における入居審査とは、大家さんや管理会社が安心して貸せる人か審査することです。入居審査では家賃を滞納することなく、支払いできるか調査されます。当然ながら、ブラックリストに載っていれば「家賃を滞りなく支払えない可能性がある」と判断され、審査に通らないケースもあるでしょう。しかし、契約者がブラックリストに載っていても、以下の方法なら審査に通るかもしれません。
- 保証会社が不要な物件を選ぶ
- クレジットカードが必要な物件は避ける
- 賃料が安い物件を選ぶ
- 親族に代理契約をしてもらう
- 申し込みは不備なくおこなう
- 信用情報についての不安を不動産会社に伝える
- 事故情報が消えるのを待つ
ここからは、それぞれの方法について、なぜ審査に通りやすくなるのか解説します。
保証会社が不要な物件を選ぶ
連帯保証人がいれば入居できる賃貸物件なら、保証会社の審査が不要であり、ブラックリストの影響をあまり受けません。
また、保証会社にも系統があって「独立系」の企業の場合は、ブラックリストに載っていても借りられるケースがあります。独立系の保証会社の代表例は、以下のとおりです。
- フォーシーズ
- 日本セーフティー
- Casa など
独立系の保証会社は独自の審査をおこなっており、個人信用情報や家賃情報データベースの情報を参照しなかったり、重要視しなかったりします。ただし、保証会社を指定するのは難しく、物件ごとに保証会社が決まっています。独立系の保証会社を希望する場合は、その旨を先に不動産会社に相談しておきましょう。
審査が通りにくい物件とは?
審査に通りにくいのは「信販系」の保証会社です。信販系とは、クレジットカードの発行など信用取引をおこなう会社であり、必ず個人信用情報を調査します。しかも、延滞や債務整理といったネガティブな情報が掲載されていると、まず審査に通りません。なお、代表的な信販系保証会社は以下のとおりです。
- オリコフォレントインシュア
- ライフ安心プラス
- エポスカード など
ブラックリストに載っている時に賃貸物件を探す場合、信販系の保証を受けなければならない物件は避けたほうがよいでしょう。
クレジットカードが必要な物件は避ける
クレジットカードの発行、クレジットカードでの家賃の支払いが条件となっている賃貸物件は、ブラックリストに載っているとまず借りられないでしょう。クレジットカード発行の際には審査が義務付けられており、必ず個人信用情報を調査されます。調査で滞納や債務整理した事実がわかると、クレジットカードは発行されず、賃貸物件の入居条件を満たせません。賃貸物件を借りる際には、不動産会社に保証会社だけでなく、クレジットカードの必要性についても聞いておきましょう。
賃料が安い物件を選ぶ
賃料が安い物件の場合、ある程度の年収があれば、ブラックリストに載っていても入居審査に通る可能性があるでしょう。賃貸物件を借りる際には、家賃を年収の3分の1程度に抑えるとよいといわれています。年収に占める賃料の割合が低いほど生活にゆとりが出るのに加え、入居審査に比較的通りやすくなるからです。
一般的な入居審査では、「家賃の36倍の年収」があるか調査されます。例えば、家賃が10万円なら年収360万円必要となります。つまり、年収の3分の1くらいの家賃だと、ちょうど入居審査のクリア基準のような金額になるわけです。
親族に代理契約をしてもらう

代理契約が可能な賃貸物件であれば、親族に賃貸契約を締結してもらうのも審査に通る方法のひとつです。賃貸物件における代理契約とは、一定の収入のある人が本人に代わっておこなう契約です。代理契約すれば代理者が審査の対象となり、本人の個人信用情報を調査されません。
ただし、誰でも代理人になれるわけではなく、三親等以内の親族が対象となります。つまり、親・祖父母・配偶者・子・孫などです。あまりにも血縁が薄い親族に代理人をお願いすると、大家さんや管理会社から断られてしまうケースもあるでしょう。
申し込みは不備なくおこなう
賃貸物件の申し込みに対して不備があり、書類をすぐに再提出しないなどの問題を起こすと、入居者としてふさわしい人ではないと不動産会社に判断されるおそれがあります。ブラックリストに載っているだけでも審査に不利な状況であるため、マイナスになる行動をできるかぎり減らすことが必要です。
なお、賃貸物件の申し込みには以下の書類が求められます。
- 入居申込書:不動産会社から入手する書類
- 身分証明書:運転免許証・パスポート・健康保険証など
- 収入を証明する書類:源泉徴収・確定申告書・納税証明書など
賃貸物件を内見する際には、上記の書類を持参しましょう。きちんとした対応を素早くおこなえば、不動産会社の心象もよくなるでしょう。
信用情報についての不安を不動産会社に伝える
過去の金銭トラブルなど過去の信用情報に不安があることを事前に不動産会社に伝えれば、対策法をアドバイスしてもらえるかもしれません。不動産会社にはさまざまなノウハウがあり、ブラックリストでも審査に通りやすい保証会社で審査してくれる、保証が不要な賃貸物件を紹介してくれるなどの対応が期待できます。また、最初から審査に通りやすい物件を紹介してもらっておけば、落ちたあとに他の物件を探す手間も省けるため時間の節約にもなるでしょう。
事故情報が消えるのを待つ
ブラックリストの掲載期間が終わりそうであれば、事故情報が消えてから新居を探し始めるとよいでしょう。個人信用情報の掲載期間には期限があり、審査に悪影響を及ぼす項目は5年~10年程度で消えます。情報が消えたかの連絡は届かないため、抹消されたか心配な人は、個人信用情報機関に開示請求しましょう。開示された情報に延滞や債務整理についての記載がなくなっていれば、賃貸物件の審査に通過する可能性が高まります。
賃貸物件の入居審査に通らない理由は?
賃貸物件の入居審査ではいくつかの項目を審査しており、ブラックリストに載っているかに関わらず審査に落ちてしまうケースがあります。ブラックリストの掲載以外で、入居審査に落ちる主な理由は以下のとおりです。
- 希望する物件の賃料が収入に合っていない
- 家賃を滞納したことがある
- 借金がある
- 態度やマナーが悪い
それぞれの状況が、なぜ入居審査に影響するのか確認していきましょう。
希望する物件の賃料が収入に合っていない
入居希望の物件の賃料が収入に合っていない場合、入居審査に落ちてしまう可能性があるでしょう。入居審査では家賃に見合った年収か審査し、一般的には賃料の36倍の年収が必要といわれています。勤続年数が長い、勤務先が大企業であるなど審査に有利な条件があったとしても、家賃に見合っていない年収の場合は審査が厳しくなるでしょう。賃貸物件に申し込む場合は、家賃と年収とのバランスを考えることが大切です。
家賃を滞納したことがある

家賃を滞納すると家賃情報データベースに登録されてしまい、入居審査に通りにくくなるでしょう。家賃情報データベースは、「一般社団法人全国賃貸保証業協会(LICC)」が構築した借主の情報です。LICCに加盟している保証会社の保証が入居の条件となる場合、審査時に家賃の滞納履歴がばれてしまいます。
家賃の滞納履歴の影響は大きく、審査に落ちる可能性が高まります。そのため、保証会社の保証が必要ない賃貸物件を選んだり、代理契約できる不動産か確認したりするとよいでしょう。
借金がある
多額の借金がある場合、入居審査が厳しくなる傾向にあります。借金があるかは、個人信用情報の契約状況を見れば確認が可能です。年収に占める割合が少なければあまり審査に影響しませんが、返済できるか判断つかないほど借りている人に対しては審査が厳しくなります。
ただし、借金をどの程度考慮するのかは審査する会社によって異なります。一概に、どの程度の金額だと審査に落ちるとはいえません。
態度やマナーが悪い
不動産会社に対して態度やマナーが悪い人は、入居後に問題を起こす可能性があると判断されて審査が厳しくなります。一度賃貸契約すると、よほどの理由がない限り大家さんから契約を解除することはできません。そのため、裁判になるほどの問題ではないものの、日々小さなトラブルを起こす人を退去させるのは難しいでしょう。
トラブルメーカーを放置しておくと、他の入居者に悪影響を与えてしまい退去する人があらわれます。そのため、大家さんや管理会社は将来のトラブルを避けるために、態度やマナーの悪い人を審査で落とすことも。そうならないためには、丁寧な物腰で対応したり、必要書類を遅滞なくきちんと提出したりすることが大切です。
賃貸物件の入居審査に落ちた時の対処方法
賃貸物件の入居審査に落ちた時には、以下のような方法で対処可能です。
- 別の保証会社を利用する
- 別の物件を検討する
- 問題を解決してから申し込む
それでは、どのような対処方法なのか見ていきましょう。
別の保証会社を利用する
保証会社の審査に落ちた場合、その会社とは違う系列の保証会社を利用しましょう。保証会社には、信販系と協会系、独立系の会社があります。信販系保証会社は個人信用情報をチェックして審査するため、ブラックリストに載っているとまず審査に通りません。しかし、独立系保証会社なら独自の基準で審査し、ブラックリストに載っていても通ることがあります。
ただし、保証会社が選択できるかは物件や不動産会社によって異なります。審査に落ちた場合、他の保証会社が使えるか不動産会社にあらかじめ聞いておきましょう。
別の物件を検討する

入居審査に落ちた理由を分析し、通過しそうな別の賃貸物件を検討しましょう。例えば、家賃が高すぎて年収に見合わないなら、賃料の低い物件に変更するとよいかもしれません。また、クレジットカードの発行やクレジットカードで家賃を支払う必要がある物件なら、そのような条件がないものに変更するのも方法のひとつです。物件によって入居審査の厳しさは違うため、自分の現状でも通る可能性があるところを不動産会社と相談しながら検討してください。
問題を解決してから申し込む
賃貸物件の審査に落ちるのには原因があり、その理由に対しての問題が解決すれば通りやすくなります。問題とその解決方法の主な例は、以下のとおりです。
- ブラックリストに載っている ⇒ 情報が消えてから申し込みをする
- 年収が不安定である ⇒ 収入の安定した職に就いてから申し込みをする
- 職がない ⇒ 就職してから申し込みをする
- 連帯保証人がいない ⇒ 保証会社の保証をつけてから申し込みをする など
もし原因やその解決方法がわからない場合、不動産会社にアドバイスを求めてみましょう。的確なアドバイスがもらえれば、審査に通る可能性が高まるはずです。
まとめ

ブラックリストでも賃貸契約できるか、審査に通る方法、落ちた時の対処方法など解説してきました。最後にまとめとして、以下のよくある質問に回答していきます。
- ブラックリストに載っていたら賃貸物件は借りられない?
- 信用に不安があっても賃貸物件を借りる方法とは?
- 同居人がブラックリストに載っていたら審査は通らない?
- 賃貸物件の入居審査に落ちたらどうする?
ブラックリストに載っていたら賃貸物件は借りられない?
ブラックリストに載っていても、以下のような条件なら入居できるかもしれません。
- 保証会社の審査がない
- 連帯保証人がいる
- 代理契約できる など
ブラックリストに載っていても、賃貸契約できるケースはいくつかあります。どのような方法があるか理解しておけば、入居できる確率が高まるでしょう。
信用に不安があっても賃貸物件を借りる方法とは?
信用に不安があっても賃貸物件を借りるために以下の方法が有効でしょう。
- クレジットカードの発行が必要ない物件を借りる
- クレジットカード以外の支払い方法を選択する
クレジットカードは信用をもとにして、クレジットカード会社が利用者に代わって支払いを立て替えるシステムを採用しています。滞納や債務整理などの履歴がある人は信用を失った状態とされ、クレジットカードを発行できません。そのため、クレジットカード発行や引き落としが必要な賃貸物件の入居審査には通らないでしょう。
物件への入居の条件として、クレジットカードの発行が不要だったり、クレジットカード以外で家賃を支払うことができる物件を選ぶと信用に不安があっても審査に通りやすいでしょう。
同居人がブラックリストに載っていたら審査は通らない?
同居人がブラックリストに載っていても、基本的には審査に通ります。審査に通らない主なケースは、以下のとおりです。
- 同居人が契約者になる場合
- 同居人が連帯保証人になる場合
同居人が契約に関係する場合、入居審査されるためブラックリストに載っていると落ちてしまいます。逆に、同居人が契約と関係ない立場なら審査にブラックリストは影響しないでしょう。
賃貸物件の入居審査に落ちたらどうする?
賃貸物件の入居審査に落ちたら、以下の方法を試してみましょう。
- 別の保証会社を利用する
- 別の物件を検討する
- 問題を解決してから申し込む
審査への通過可否にブラックリストが関係するかは、物件によって異なります。信販系の保証会社の保証が必要なら借りるのは厳しいですが、連帯保証人がいればよいという物件なら借りられる可能性があります。