団地で一人暮らしはできる?メリット・デメリットや入居条件、注意点を解説
記事の目次
そもそも団地とは?

「団地」とは、特定の敷地内において、ほぼ同一の建物または関連施設がまとまって建てられている土地の総称です。正確には住宅向けに限らず、工場や物流倉庫などのさまざまな用途の土地で、団地という言葉が使われます。
なお住宅団地となるのは、高度経済成長期の住居不足対策として、国や地域の公的機関が整備した複数の棟が集まる住宅地を指すのが一般的です。こうした住宅団地は、おもに旧日本住宅公団(現UR都市機構)・住宅供給公社・地方自治体が手がけています。
ちなみに国土交通省では、次の条件に当てはまるものを住宅団地の定義としています。
- 同一敷地内に計画的に建てられている2棟以上の共同住宅群
- 分譲敷地を含むおおむね50戸以上
簡単にまとめると団地は、昭和中期ごろに集中的に建設された、公的に運営されている集合住宅が立ち並ぶ土地となります。
アパートやマンションの違いは?
団地と同様に、アパートやマンションも、いくつもの住戸がまとまった集合住宅です。ただし厳密には、それぞれ以下のような違いが見られます。
| 建物の名称 | 特徴 |
|---|---|
| 団地 | 低~中高層集合住宅。昭和中期ごろに建てられた古い建物が多く、共用設備は物件ごとにさまざま。建物は、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート造が基本。 |
| アパート | 2階建て以下の低層集合住宅。エレベーターなどの共用設備が比較的少なく、また木造や軽量鉄骨造の建物が多い。 |
| マンション | 3階建て以上の中高層集合住宅。エレベーターやオートロックなどの共用設備が充実しており、比較的高価になりやすい傾向にある。基本的には、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート造の建物となる。 |
アパート・マンション・団地では、おもに建物の規模感や設備面で異なる部分が出てきます。
なお一般的なアパート・マンションと団地では、物件の運営主体が変わってくるのが大きな相違点です。アパートやマンションは、基本的には民間企業や一般所有者などが管理します。一方で団地は、UR都市機構(旧日本住宅公団)・住宅供給公社・地方自治体といった、公的機関によって運営されます。
団地で一人暮らしをする事は可能?

場合によっては、一定の入居条件を満たす必要が出てくるケースもありますが、団地での一人暮らしは可能です。前述にもあるように団地は、公的機関で運営されることから一部の物件では「生活困窮者に限る」などの入居範囲が限定されていることもあります。とはいえ入居条件をクリアできれば、ファミリーでなくても、団地に住むことはできます。
団地の種類と入居条件
団地は、運営主体ごとに大きく分けて3つの種類に分かれており、それぞれで入居条件には次のような違いが見られます。
公営住宅
公営住宅は、地方自治体(市区町村)が主体となって運営する団地です。公営住宅は、経済面や住居の確保などが困難な状況にある人を対象とするのが基本で、特に一人暮らしの場合には収入基準などのさまざまな入居条件が設けられています。特に一人暮らしの場合は、特定の障がい・難病者や高齢者などの入居条件が設定されているのが一般的です。
| 入居条件 | |
|---|---|
| 世帯要件 | ・同居(予定含む)する親族がいる世帯(事実上の婚姻関係込み) ※内縁関係以外の同居人は不可 ・生活困窮などの入居条件に該当する単身世帯 |
| 収入要件 | 世帯合計所得の月額15万8,000円以下が目安 ※地域や世帯の状況により変動 |
| その他の要件 | ・同居世帯:何らかの事情で住居に困窮している ・単身世帯:上記に加え、特定の障がい・難病・家庭事情・年齢などの各種要件を満たすのが必須 ※地域により異なる |
| 保証人 | 自治体の規定により異なる (独立の生計を営む、親族または知人の連帯保証人を要するケースあり) |
UR賃貸住宅
UR賃貸住宅は、UR都市機構(旧日本住宅公団)が主体となって運営する団地です。UR都市機構は、おもに都市部の市街地整備を手がける独立行政法人で、国の政策に関わる公的機関となります。家賃相場は、一般的な物件と大きく変わりませんが、初期費用や保証人の必要がなく、比較的入居しやすいのがUR賃貸住宅の利点です。なお公営住宅とは反対に、入居条件として、一定額以上の収入が求められる特徴もあります。
| 入居条件 | |
|---|---|
| 世帯要件 | ・同居(予定含む)する親族がいる世帯(事実上の婚姻関係込み) ・単身世帯 ※「ハウスシェアリング制度」による単身者同士の同居も可 |
| 収入要件 | 原則は毎月の家賃額の4倍の月収額 (単身かつ家賃6万2,500円未満の物件) ※同居世帯、または家賃6万2,500円以上の物件では別途要件あり |
| 保証人 | 不要 |
公社賃貸住宅
公社賃貸住宅は、各地域にある住宅供給公社と呼ばれる、地方公共団体が主体となって運営する団地です。都道府県または市区町村ごとに設立されており、各地域によって入居条件などは異なります。なお各住宅供給公社で取り扱う物件のなかには、上限付きの所得制限や世帯要件を求めるものもありますが、原則は審査が通れば単身でも入居できるのが一般的です。また比較的家賃の安い物件が多く揃っており、地域によっては世帯状況などにともなう、優遇・割引制度などをおこなっているケースもあります。
| 入居条件 | |
|---|---|
| 世帯要件 | ・同居(予定含む)する親族がいる世帯(事実上の婚姻関係込み) ・単身世帯 ※「ハウスシェアリング制度」による単身者同士の同居も可 |
| 収入要件 | 原則は毎月の家賃額の4倍の月収額 (その他、収入と貯蓄の合算基準を満たす場合も可) ※地域により異なる |
| 保証人 | 連帯保証人、または保証会社・機関を要するのが原則 |
団地に住むメリット

一般的な不動産会社や民間所有者ではなく、公的機関が取り扱う賃貸物件となる団地では、次のようにさまざまなメリットがあります。
初期費用を抑えられる
先述のとおり、公営住宅・UR賃貸住宅・公社賃貸住宅のいずれも、礼金や仲介手数料などはかからないのが通常です。一般的な不動産会社や民間所有者とは異なり、団地は基本的に営利目的ではないので、入居するための契約にともなう各種費用は省略されています。そのため団地へ転居する際には、物件契約の初期費用を省きつつ、比較的リーズナブルに引越しがしやすいのも利点です。
家賃が比較的安い傾向にある
団地のなかでも、公営住宅は住居確保が難しい人を対象としているため、家賃負担を抑えながら住むことができます。特に公営住宅は、収入額・立地・面積・築年数などに応じて毎月の家賃額が決まるため、経済面が厳しいほど賃料が下がる仕組みになっています。また公社賃貸住宅では、世帯・収入状況などにともなう、家賃補助や優遇・割引制度が導入されている物件も見られます。
なおUR賃貸住宅は、基本は一般的な賃貸物件と似たような相場感にはなりますが、築年数が古い場合も多いことから家賃が安めになっているケースも。UR賃貸住宅でも、若年層・高齢者やファミリーなどを対象に、家賃の特別割引が適用される物件を取り扱っており、状況次第ではお得に入居できる可能性もあります。さらにUR賃貸住宅では、広めの物件も豊富にあり、間取りが充実しつつもリーズナブルに住める部屋が見つかりやすいのも特徴です。
更新料がかからない
公営住宅・UR賃貸住宅・公社賃貸住宅のいずれも、一般的な物件で発生するような、部屋の更新料もかかりません。一般的な物件では、多くの場合は2年契約となっていて、継続するごとに更新料を支払うのが基本です。一方で団地では、何年入居し続けても更新料がかからないため、長く借りるほどコストパフォーマンスもよく住みやすいメリットもあります。
広い間取りが多い
団地は、元々は住居確保に向けて広い土地を整備し、より多くの人数が住みやすい環境として整えられてきた背景があります。そのため古い団地では、部屋数の多い物件も豊富に揃っており、広い間取りの住居を選びやすい傾向も見られます。特に築年数の長い物件なら、家賃を抑えつつも十分な部屋数が取りやすいケースも多々あり、例えば2LDKなどの広い物件でのびのびと住みたい場合にもおすすめです。
日当たりがいい
団地は、そもそも住宅地を目的として整備された土地に建てられており、その敷地内にある各住戸の日照条件なども十分に考慮されています。基本的に敷地内にある物件であれば、例えば高いビルやマンションに日光を遮られるなどのケースも少なく、日当たりのいい部屋を選びやすいのも特徴です。複数の棟が集まっているものの、敷地内ではきちんとゆとりのある設計がされているため、日光だけでなく風通しも含めて良好な環境が整っています。
耐震性に優れた建物が多い
団地はいずれも、耐震性に優れた鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造となっているため、建物としての強度も高いのが特徴です。また公的機関による徹底した管理がおこなわれており、たとえ古い物件でも、法的な規定に基づく耐震診断・改修が実施されていて耐久性にも問題ありません。元々の構造が強いうえに、計画的なメンテナンスも十分に施されており、安心して住みやすいのもメリットです。
管理が行き届いている
建物の耐震性に向けたメンテナンスをはじめ、手厚い管理体制が整えられているのも特徴です。例えば24時間体制のトラブル対応窓口などもあり、火災や水漏れなどの緊急事態への備えも徹底されています。また多くの賃貸物件であいまいになりがちな、退去時の原状回復基準も明確にされており、部屋を出る際の高額請求などの心配がないのも利点です。
敷地内に公園があることが多い
団地は居住に特化したエリアとして、地域全体の都市整備計画にともなって建設されている場合が多く、敷地内には生活利便性を重視した施設が配置されているケースも。住棟と住棟との間に、植栽のある遊歩道や緑化スペースがあったり、なかには公園が併設されていたりする団地も多々見られます。こうした緑豊かな心地よい環境が整えられている団地もあり、家のすぐそばにほっとくつろげる空間があるのも魅力です。
DIYが可能な物件もある
特に古くに建てられた団地では、DIYが許可されていて、自由に内装をアレンジできるケースもあります。もちろん物件ごとに規定はありますが、例えば新しい壁紙やクッションフロアを貼ったり、収納造作を取り付けたりなどのDIYができることも。さらにこうした団地では原状回復せずにDIYできる場合が多く、修繕費用などの心配もなく、好みの部屋作りがしやすいメリットもあります。
団地に住むデメリット

団地ならではのさまざまな魅力がある一方で、あらかじめ気を付けておきたい部分もいくつかあります。団地での一人暮らしをお考えの際には、以下のような点も頭に入れながら検討してみましょう。
築年数が古い物件が多い
多くの団地は、戦後の昭和中期ごろに建設されており、かなりの築年数になっていて見た目が古くなっている場合も少なくありません。もちろんレトロな雰囲気を好む場合には、さほど気にならないかもしれませんが、お風呂場やトイレといった水回りや和室の古さなどに抵抗があると住みづらい可能性も。また古い物件のなかには、洗濯機置き場が室内ではなく屋外に配置されているケースなどもあり、設備面で不便に感じることも考えられます。とはいえ外観は古くても、内装自体はリノベーションされていることも多々あるので、部屋そのものは新しくなっている物件を探してみるのもよいでしょう。
エレベーターがない住棟もある
特に階層数の少ない団地では、エレベーターが設置されていないケースもあり、住むフロアによっては階段の上り下りにちょっとしたストレスを感じる可能性もあります。「毎日の運動がてらによさそう」など、体を動かすことに抵抗がなければさほど問題ないかもしれませんが、日常生活において負担になりそうな場合には注意が必要。またお買い物後など、重い荷物を持って階段を上がることも考えながら、手間にならないか十分に検討しておくことをおすすめします。
共有部分が充実していない
築年数の長い団地では、建物全体の設備も古い仕様になっていることが多く、最新のものが揃っていない物件も少なくありません。例えばオートロック・防犯カメラ・宅配ボックスなど、新しいマンションなどで見られる便利な設備も、古い団地では備わっていないケースが多々見られます。建物のエントランスなどの充実度を重視する場合には、マンションを選んだほうがいいかもしれません。
住人同士のコミュニティが盛ん
単身用の狭い間取りになっているマンションやアパートでは、他の入居者と接する機会は少ないのが一般的です。一方で団地はファミリー仕様の間取りも多く、家族連れで住む世帯も多々見られます。
例えばお子さん同士の交流から、ご近所付き合いにつながるケースもあり、団地ならではのコミュニティができているケースも。また古くから団地に住んでいる世帯同士で、昔ながらのご近所との関係性が根付いている場合もあります。人付き合いが苦手に感じる人にとっては、近隣住人間のコミュニケーションが盛んな団地に入居してしまうと、少しわずらわしく思える可能性も考えられます。
団地で一人暮らしをする際の注意点

では実際に、団地での一人暮らしを考えるにあたり、次のような懸念点があることにも注意しておきましょう。
倍率が高い物件は抽選
物件にもよりますが、特に人気のエリアに立地する団地などは、希望者が集まりやすいため先着順ではなく抽選で入居が決定する場合もあります。一般的な物件であれば、すぐに契約を決めてしまえば、早いもの順で希望の部屋に入居できるのが通常です。しかし抽選式の団地だと、希望の物件に入居できるかどうかは、申し込みをした順番に関係なく当選するまでわかりません。いくら早めに申し込みをしたとしても、当選するとは限らないので、思うように入居できない可能性も。こうした抽選の物件に申し込む場合には、抽選から外れることも事前に考慮して、他に借りられそうな部屋を検討しておくのが無難です。
収入が増えると家賃が上がる
所得額などの世帯状況に応じて、毎月の家賃額が決まる公営住宅や公社賃貸住宅では、収入が増えると賃料が上がるケースも。増加した分の収入額に合わせて、割増家賃が追加される可能性があります。また入居条件の所得額を超えてしまうと、他の物件への住み替えなど、実質的な退去を促されることも。入居条件として所得制限があったり、世帯状況による割引や優遇がされていたりする団地では、収入次第で住み方が変わる場合もあることは想定しておきましょう。
自治会に入らないと問題が生じることもある
団地によっては、建物の共用部分の管理など、自治会で対応していることもあります。こうした入居者同士で協力して管理している物件では、そもそも自治会への入会が慣習とされていることもあり、場合によってはご近所トラブルにつながる可能性も。地域活動に抵抗がある際には、入居する前に、各団地の管轄となる問い合わせ窓口や担当部署に確認しておくのが無難です。
まとめ
では最後に、団地で一人暮らしをしたい場合に、覚えておきたいポイントを簡単にまとめていきます。
団地とは?
団地とは、昭和中期ごろに公的機関によって建設された、複数の集合住宅棟が集まって構成されている土地を指します。
団地で一人暮らしはできる?
物件にもよりますが、基本的には団地での一人暮らしは可能です。ただし公営住宅や、家賃優遇などが適用される公社賃貸住宅では、所得額などの細かな入居条件を満たす必要があります。とはいえ各種条件に該当すれば、家族連れなどの世帯状況に関わらず、一人暮らしでも入居できます。
団地に住むメリット・デメリットは?
団地のメリットは、家賃が比較的安い物件が多く、礼金・仲介手数料・更新料などもかからないためコストを抑えて住みやすい点です。また広々とした間取りをはじめ、日当たりや耐震性などの住環境もよく、敷地内の緑化にも優れている利点があります。さらに物件によっては、原状回復義務なく、DIYができるケースもあります。一方で団地は、築年数が長い物件が多く、室内や建物全体の設備が古いため不便に感じる可能性も。その他にも、住人同士の独特なコミュニティが形成されている場合もあり、人付き合いが苦手な際には注意が必要です。
昔ながらの団地は、独特の雰囲気や魅力があり、なおかつ比較的コストパフォーマンスよく住みやすい物件でもあります。もちろん古い物件が多い分、注意しておきたい部分もありますが、一人暮らしの住まいとして十分に検討の余地はあるでしょう。新たな一人暮らしの部屋をお探しの際には、ぜひ本記事も参考に、団地も選択肢の一つとして考えてみるのもおすすめです。


