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リノベーションマンション事例「お気に入りのヴィンテージ家具を眺めて暮らす居心地のいい家」

雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、愛知県名古屋市のNさんご家族の事例をご紹介します。夫婦で集めてきた味のある家具や雑貨が似合うインダストリアルテイストの空間にリノベーション。ものへの愛着も、暮らす喜びも倍増。(text_ Yoshimiki Yamamoto photograph_ Takuya Furusue)

ファッション関係の仕事に就くNさんご夫妻。ヴィンテージの家具や雑貨が好きで、休日には二人でショップ巡りをすることも多いとか。以前暮らしていた賃貸マンションでも、お気に入りのものを並べてインテリアを楽しんでいたが、「もっと自分たちの好きなようにしたい」と、住宅取得を考えるようになった。

「古いものが好きな僕たちにとって、モダンなインテリアや設備が整っている新築よりも、中古物件をリノベーションしたほうが自分たちらしいよなって」

とご主人。通勤の利便性と予算を考慮し、名古屋市の都心部に近いエリアに建つ、築20年のマンションを購入した。

キッチンカウンターに鮮やかな発色と色むらが綺麗なグリーンのタイルを張り、空間にあたたかみを加えた。ヘリンボーンフローリングはご主人のリクエスト。

ご夫妻が希望していたのは、インダストリアルテイストの空間。雑誌などで水まわり設備や照明、家具などの情報を集め、全国各地のショールームまで出かけて理想の家のイメージを固めていった。それと同時にリノベーションの依頼先を探し、出会ったのがイランイランの藤川祐二郎さんと金瑛実さんだ。二人は事務所でのヒアリングのほか、当時住んでいたNさんの自宅を訪問し、ご夫妻の思い描くイメージを細かくキャッチすることに努めた。

「普段の暮らしぶりから、ご夫妻の古いものへの愛着が伝わってきました。設計で特に気を付けたのはDIY的な感じにはしないこと。手作り感が出過ぎると、ご夫妻が好むアンティークやヴィンテージ品とつり合わないと思ったからです」(藤川さん)

いっぽうの金さんは、

「ご夫妻の世界観を実現するには、まずレイアウトからしっかり検討していくことが必要だと考えました」

と話す。

ヘリンボーンフローリングに合わせてテレビ側の壁面にタンボア材を張った。木の表面に凹凸が施され、繊細な立体感とぬくもりが上質な印象をもたらしている。

8階に位置する「N house」。LDKの窓から名古屋市内を一望できる。南側と西側にバルコニーを有し、窓を開ければ室内全体に爽やかな風が吹き抜ける。
キッチンの壁はサブウェイタイル。モルタルのカウンター、足場板の棚など、インダストリアルな要素がたっぷり。
LDKと廊下を仕切る扉はアンティーク。ガラスから光が入り、廊下全体が明るくなった。

元和室・リビングダイニング・セミクローズキッチンの間仕切りをすべて撤去して広々としたLDKに刷新。建材にはヘリンボーンの床やヴィンテージ感のあるタイル、スチール枠の窓など、経年による味わいを感じられるものを選択した。長年大切にしてきた家具や雑貨がピタリと居場所を得た空間に、ご夫妻はとても満足している。

玄関を入るとすぐ横に、ぐるりと回遊できるウォークスルークローゼットがある。色別、素材別に洋服を並べるなど、ファッションのプロならではの収納技が光る。

大量に所有する洋服や靴は、玄関から直接出入りできるウォークスルークローゼットにまとめて収納。

「ショップのようにディスプレイできるオープンクローゼットをつくると聞いたときはとてもびっくり。でも、すごく気に入っています」(奥さま)

左・リビングルームに隣接した洗面スペース。ドアや壁で囲う部分を少なくし、できるだけ明るくオープンな空間に。/右・WTCの下足棚には足場板を使用。上下にハンガーパイプを渡して収納量を確保。奥にはアイロンがけスペースも。
元キッチンスペースを予備室に。将来は子ども部屋として使う予定。

大ぶりなチェック柄の壁紙がかわいらしい寝室。

トイレはダークな色合いでまとめて仄暗さを楽しむ空間に。

建物データ

〈専有面積〉74.36㎡〈バルコニー面積〉22.76㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉1997年〈リノベーション竣工〉2017年〈設計期間〉2ヶ月 〈工事期間〉2ヶ月〈設計〉藤川祐二郎+金瑛実/イランイラン〈施工〉ライフマインド

※この記事はLiVES Vol.101に掲載されたものを転載しています。
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