
リノベーションマンション事例「バスタブから都会の空。ホテルのように快適で洗練された水まわり」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、東京都中央区のMさんご夫妻の事例をご紹介します。ガラス扉と窓のある浴室を中心とした回遊型。光と風がまわる空間に貝殻タイル、ミモザのヘリンボーンなど高級感のある素材が映える。
(text_ Yasuko Murata photograph_ Osamu Kurihara)
ガラス張りのバスルームとダブルボウルの洗面台を真ん中に置いた回遊性のあるプラン。LDKからは隅田川を見渡す。この家に住むMさんご夫妻は共働きで多忙を極めるため、職住近接を志向。東日本橋にある築20年、82㎡の中古マンションをリノベーションした。

建物最上階らしい眺め。隅田川を見下ろす。
「お風呂は明るく抜けのある空間にしたかったんです。家にいる時間は思いっきりリラックスして過ごしたいから、ホテルのような雰囲気を求めていました。出張や旅行で海外に行く機会が多いのですが、海外のホテルは浴室がガラス張りのことも多く、イメージの参考にしました」(Mさんご夫妻)。

設計を担当したのは、アトリエエツコの山田悦子さん。家にいる時間をストレスなく過ごせるように居室や収納の扉はあえてつくらず、全体をオープンにつなげている。玄関から右まわりに、壁に下足棚を設けた通路を通り、6畳ほどあるウォークインクローゼット、LDKと寝室スペースが一体となった空間、収納やトイレが並ぶ通路が続く。中心にある浴室とLDKの間の壁には室内窓を設け、バスタブに身を沈めると、窓越しに東京の夜景が見えるように設計されている。

「水まわりを中心に配置し、周囲に回遊動線を設けると、家全体の風通しや光のまわり方が良くなります。室内窓とガラスの扉で、暗くなりがちな洗面室にも光が届き、快適性がアップすると考えました」(山田さん)

この浴室は、東京バススタイルに設計施工を依頼した。Mさんご夫妻は、在来工法で浴室をつくることを希望していたが、マンション規約により禁止されていたため、ユニットバスでも可能な限り自由につくれる方法を模索。サイズや仕上げ、設備を自由に選べる同社のオーダーメイドのユニットバスを採用し、高級感と温もりのあるスタイリッシュな浴室に仕上げた。

バスタブはカルディバイ。ホウロウ製で肌を包み込む温かさ。
家で料理やワインを飲む時間も好きだというMさんご夫妻は、バーのような雰囲気のカウンターキッチンを希望。細部の造作にこだわり、木とステンレスの天板を組み合わせ、壁には貝殻のモザイクタイルを張った。




キッチンの壁は柔らかな光沢がある天然貝殻を用いたタイル。
存在感のあるキッチンに負けない艶っぽさを放つミモザの床はヘリンボーン張り。ダークに仕上げたLDKには、窓の夜景も美しく映える。都会の夜がよく似合う、大人のくつろぎ空間だ。



トイレの壁をピンクに塗装し、ルイス・バラガン風に。タイルの目地もピンク。
建物データ
〈物件名〉 夜時間の住まい 〈所在地〉東京都中央区 〈居住者構成〉夫婦 〈建物規模〉地上8階建て(8階部分) 〈主要構造〉 鉄筋コンクリート造 〈建物竣工年〉 1995年 〈専有面積〉82.0㎡ 〈バルコニー面積〉4.1㎡ 〈設計〉アトリエ エツコ一級建築士事務所 〈企画〉リビタ〈施工〉住環境ジャパン 〈設計期間〉3ヶ月 〈工事期間〉3ヶ月 〈リノベーション竣工〉2014年

※この記事はLiVES Vol.91に掲載されたものを転載しています。
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