
リノベーションマンション事例「週3回以上開店するBarキッチン。夜に輝く人をもてなすための家」
雑誌「LiVES」に掲載されたリノベーションマンションから、今回は、埼玉県川口市の瀬川さんご夫妻の事例をご紹介します。たくさんの料理も準備しやすい大型バーカウンター、ビールサーバー、ワインセラー、ルーフバルコニーを完備。集まりたくなる家呑み空間。(text_ Yasuko Murata photograph_ Takuya Furusue)
窓に面した壁付けのキッチンと対面式のバーカウンター。天板にはビールサーバーもある。バーなどで見かける「ドラフトタワー」と呼ばれるスタンド型のコックだ。カウンターの下にはワインセラーも完備。キッチンの頭上にあるオープンな棚には各種のボトルも並ぶ。


この家に住むのは、飲食店の店長をしている瀬川祐樹さんと奥さまの彩香さん。店のスタッフや友人を家に招くことが多く、その頻度は週3~4回にもなるという。
「店が終わってから仲間と飲むことが多いので、夜の時間帯に格好良くなる空間に憧れていました。落ち着いた雰囲気のバーのような家にしたいと思い、リノベーションをすることにしたんです」(祐樹さん)


見つけた物件は築28年、広さ65㎡強の中古マンション。部屋と同じ広さのルーフバルコニーがあり、大勢の人が集う場にぴったりだった。リノベーションは、内装のテイストが好みだったというエコデコにプロデュースを依頼。設計は芦沢啓治建築設計事務所が担当した。

コンパクトな寝室以外は、ワンルームとなっている。玄関からキッチンまで続く土間には、パタンナーの彩香さんの仕事スペースを設置。鉄のフレームに黒で塗装した木を組み合わせたバーカウンターを境目に、ウォルナットの床がダイニング、リビングへと広がる。


リビング側までブルーの壁が連なる。リビングは、祐樹さんがギターを演奏したり、音楽を聴いたりしてくつろぐ場所でもある。

また、グレーを基調とした壁側に設けたコンロ、シンク、ワークスペース、ベンチは、同じ幅で一直線に並び、すっきりと機能をまとめている。反対側の水まわりや寝室を収めた壁は、鮮やかなピーコックブルーで塗装。このコントラストが、より大人っぽい非日常的な空間を際立たせている。

キッチンから連続するワークスペース。パソコンを使う場所として活用している。CDを収納する棚も壁に造り付けた。

「キッチンは、お酒や料理をスムーズに提供するため、なるべく動かなくても作業できるように、オペレーションを優先に計画しました。カウンターを広い作業台として使えるから、大人数分の料理もつくりやすいです。窓から直接、バルコニーにいるゲストに配膳できることも気に入っています」(祐樹さん)

バーカウンターにはハイチェア。2人のときはここが定位置。

普段は2人でキッチンに立って、リビングやダイニングでくつろぐゲストをもてなす。ゲストがいないときもカウンターでお酒を飲みながら、気の向くままに料理をつくる。瀬川さんご夫妻にとってこのキッチンは、ほとんどの時間を過ごす暮らしのベースとなっている。

建物データ
〈物件名〉Ao Studio〈所在地〉埼玉県川口市〈居住者家族構成〉夫婦〈建物規模〉地上9階建て(7階部分)〈主要構造〉鉄骨鉄筋コンクリート造〈建物竣工年〉1986年〈専有面積〉65.88㎡〈バルコニー面積〉ルーフバルコニー56.10㎡ バルコニー11.40㎡〈コーディネート〉EcoDeco(Style&Deco)〈設計〉芦沢啓治建築設計事務所〈施工〉ファインアーツ〈設計期間〉3ヶ月〈工事期間〉2ヶ月〈竣工〉2013年

※この記事はLiVES Vol.75に掲載されたものを転載しています。
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