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マンションリノベーション事例「築37年の住まいを丸ごと断熱。角部屋で窓の多い住戸でも快適!」

マンションリノベーション事例「築37年の住まいを丸ごと断熱。角部屋で窓の多い住戸でも快適!」

雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は東京都杉並区Oさん・Kさんの事例をご紹介。築30年以上経っているマンションを高い断熱性能を持つ部屋にリノベーション。間取りは在宅勤務中心のお二人が仕事に集中しやすく、暮らしやすい動線を実現しました。
(text_atsuko tanaka photograph_ayako mizutani)

  • 東京都杉並区 Oさん・Kさんの家
  • Oさん33歳(会社員) Kさん33歳(会社員)(取材時)
  • 築年数:37年(1987年築)(取材時)
  • 専有面積:68.58㎡
  • 設計・施工:参創ハウテック
バルコニー側の和室とつなげて、奥行きが深く、広々としたLDKを実現。全室に内窓を設置し、床と外壁、天井の断熱改修を行ったので、空間が広くても冷暖房コストは控えめだそう
バルコニー側の和室とつなげて、奥行きが深く、広々としたLDKを実現。全室に内窓を設置し、床と外壁、天井の断熱改修を行ったので、空間が広くても冷暖房コストは控えめだそう
プロジェクターで映像を投影できるように広い壁を確保。向かって右奥が寝室、左奥がKさんのワークスペース。壁の手前に置かれた古い家具と植物が、白い壁面によく映える
プロジェクターで映像を投影できるように広い壁を確保。向かって右奥が寝室、左奥がKさんのワークスペース。壁の手前に置かれた古い家具と植物が、白い壁面によく映える

北欧への留学や、仕事を通じ断熱の重要性を実感

JRの駅からすぐという好立地の中古マンションを購入したOさんとKさん。築37年と年数が経っているものの、大前提としていた新耐震基準をクリア。「昨今リノベ済み物件が多い中、既存のままで価格が安く、イチから自分好みに変えられる点も魅力でした」。Oさんが学生時代に留学した北欧の住宅は、冬場マイナス10℃近くまで外気温が下がっても、暖房をつければ室内は半袖で過ごせるほど暖かく、断熱の重要性を実感したといいます。そうした経験もあり、ふたりがリノベでまず重視したのは、高い断熱性能の確保でした。依頼したのは参創ハウテック。性能向上リノベと補助金申請の実績が豊富で、デザイン性の高さにも惹かれたといいます。

「ふたりとも在宅勤務中心なので、仕事に集中しやすく、愛犬と快適に暮らせる間取りや動線も希望しました」とKさん。

リノベでは、玄関土間からバルコニー方向まで視線が抜ける広々としたLDKを実現。その脇に寝室と水回りを配置することで、生活動線をスムーズに。 
断熱対策としては、内窓の設置に加えて床や外壁、天井への断熱工事も行いました。「階段型のマンションなので、上階のルーフバルコニーが寝室の天井部分に一部かかっているつくり。また角部屋なので全体に窓が多く、いっそう高い断熱性能が求められました」と設計担当の須藤希さん。
今回のリノベで利用した補助金制度は「先進的窓リノベ事業」(環境省)と「こどもエコすまい支援事業」(国土交通省/現在は終了)。このほか内窓については東京都の補助金も利用できたため、合計110万円ほどが還元されたそう。その補助金を利用して、高断熱浴槽なども設置しました。
「夏は冷房が必要ですが、最も弱い設定でOK。冬は夜、寒くなったらエアコンをつける程度でした」。まだ30代なので、ずっと住み続けるかどうかは未定。「住宅性能を高めたことによって資産価値も上げられたと思うので、将来手放すときも有利になるかな、と思っています」と結んでくれました。

床、壁、天井それぞれを最適な方法で断熱

すべての窓に内窓を設置し、床はグラスウール、壁、天井は発泡系断熱材と、それぞれに最適な断熱材を施工。手厚い断熱改修によって、窓の多い角部屋でありながら、快適な温熱環境を実現
すべての窓に内窓を設置し、床はグラスウール、壁、天井は発泡系断熱材と、それぞれに最適な断熱材を施工。手厚い断熱改修によって、窓の多い角部屋でありながら、快適な温熱環境を実現
左/窓際にソファを配し、愛犬が動きやすい空間を確保。ソファ上のスペースにはエアコンを隠せるルーバー扉と吊り棚を設置。「プロジェクターなども収納できて便利。いい感じに仕上げていただき満足です」とKさん 右/閉鎖的だったキッチンは、使いやすいL字型のオープン仕様に。食器棚やカップボードは置かず、その代わりにじゅうぶんな容量のパントリーを設置。冷蔵庫もこの中にすっぽり!
左/窓際にソファを配し、愛犬が動きやすい空間を確保。ソファ上のスペースにはエアコンを隠せるルーバー扉と吊り棚を設置。「プロジェクターなども収納できて便利。いい感じに仕上げていただき満足です」とKさん 右/閉鎖的だったキッチンは、使いやすいL字型のオープン仕様に。食器棚やカップボードは置かず、その代わりにじゅうぶんな容量のパントリーを設置。冷蔵庫もこの中にすっぽり!
LDKと行き来しやすく、おこもり感も味わえるKさんのワークスペース。「在宅勤務にぴったり。いずれは個室にしたり、大きな収納にするなど、多目的に使えそう」(Kさん)。入り口の近くには、飲み物などを入れるためのセカンド冷蔵庫を置いている

LDKと行き来しやすく、おこもり感も味わえるKさんのワークスペース。「在宅勤務にぴったり。いずれは個室にしたり、大きな収納にするなど、多目的に使えそう」(Kさん)。入り口の近くには、飲み物などを入れるためのセカンド冷蔵庫を置いている

全室の窓に内窓を設置することで防音効果も

内窓の設置によって防音効果も大いに実感している、というふたり。「駅や繁華街が近いのに、とても静か。工事前と比べてこうも違うのかと驚きました」

内窓の設置によって防音効果も大いに実感している、というふたり。「駅や繁華街が近いのに、とても静か。工事前と比べてこうも違うのかと驚きました」

北東側の部屋を寝室に。クローゼットには扉をつけず、ロールスクリーンで仕切ることで圧迫感が出ないようにしている
北東側の部屋を寝室に。クローゼットには扉をつけず、ロールスクリーンで仕切ることで圧迫感が出ないようにしている

玄関土間を引き戸で仕切り冷暖房効率をアップ

左/玄関土間とOさんのワークスペースはガラス入りの引き戸で仕切り、内部の冷暖房効果をアップ。引き戸は古い建具に手を加えて仕上げたもの。ゆったりとした土間にはベンチを造作した 右/土間続きの部屋はOさんのワークスペース。「自分もほとんど在宅勤務。LDKと距離があるので仕事に集中しやすいです」
左/玄関土間とOさんのワークスペースはガラス入りの引き戸で仕切り、内部の冷暖房効果をアップ。引き戸は古い建具に手を加えて仕上げたもの。ゆったりとした土間にはベンチを造作した 右/土間続きの部屋はOさんのワークスペース。「自分もほとんど在宅勤務。LDKと距離があるので仕事に集中しやすいです」

アールをつけた仕上がりが目を引く、エントランスの壁面。「角が取れたことでふたり並んで靴が履きやすくなり、デザイン的にも気に入っています」(Kさん)

アールをつけた仕上がりが目を引く、エントランスの壁面。「角が取れたことでふたり並んで靴が履きやすくなり、デザイン的にも気に入っています」(Kさん)

左/洗面は脱衣室を兼ね、洗濯機、WICを同一空間に収めた。WICはカーテンで仕切ることで、湿気がこもりにくく、出し入れもしやすい。「帰宅後の手洗い、入浴、着替えの生活動線だけでなく、洗う、干す、たたむ、しまうまでの洗濯回りの作業がここで完結するので快適です」(Kさん)。オリジナルの洗面化粧台は、人造大理石のゆったりとした天板を備えているので、洗濯物をたたむのにもぴったり 右/洗面と引き戸でつながるトイレ。使っていないときは開け放して広々と
左/洗面は脱衣室を兼ね、洗濯機、WICを同一空間に収めた。WICはカーテンで仕切ることで、湿気がこもりにくく、出し入れもしやすい。「帰宅後の手洗い、入浴、着替えの生活動線だけでなく、洗う、干す、たたむ、しまうまでの洗濯回りの作業がここで完結するので快適です」(Kさん)。オリジナルの洗面化粧台は、人造大理石のゆったりとした天板を備えているので、洗濯物をたたむのにもぴったり 右/洗面と引き戸でつながるトイレ。使っていないときは開け放して広々と

建物データ

<建物規模>地上8階、地下1階建て<設計期間>2023年1月~6月<工事期間>2023年6月~9月<設計・施工>参創ハウテック

細かく分かれていた部屋を整理し、南側を広いLDKに変更。サニタリーの中にWICを設けることで、身支度、入浴、洗濯まで効率よく行えるよう工夫。お互いのワークスペースを離して配置することで、集中しやすい環境を実現した
細かく分かれていた部屋を整理し、南側を広いLDKに変更。サニタリーの中にWICを設けることで、身支度、入浴、洗濯まで効率よく行えるよう工夫。お互いのワークスペースを離して配置することで、集中しやすい環境を実現した

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.52に掲載されたものを転載しています。
※relife+は、オンライン書店にてご購入いただけます。amazonで【relife+】の購入を希望される方はコチラ

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