
マンションリノベーション事例「すべての窓に内窓&玄関に断熱用のドアを設置し快適な温熱環境を実現」
雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は東京都世田谷区Mさんの事例をご紹介。セカンドライフを過ごすために選んだ住まいは、窓が多く開放感があるものの夏は西日が暑く、冬は寒い欠点も。すべての窓に木製の内窓をつけ、断熱性とデザイン性の向上を実現しました。リノベーションによって快適な空間で孫たちに囲まれにぎやかな生活を過ごしているそうです。
(text_eri matsukawa photograph_susumu matsui)
- 東京都世田谷区 Mさんの家
- 夫64歳 妻66歳(取材時)
- 工事費:1750万円(税、設計料別)
- 築年数:22年(2002年築)(取材時)
- 専有面積:74.43㎡
- 設計:ヤジマデザイン 矢嶋宏紀
人が集まる場としてセカンドライフの住まいをリノベーション
Mさん夫妻がセカンドライフを過ごす住まいとして選んだのは、都心の中古マンションの上層階。「以前は3階建ての一戸建てに住んでいたのですが、50代も後半に差し掛かり、フラットで安心して暮らせるマンションへの住み替えを考えました」と、築22年、約74㎡の物件を購入。リノベーションの設計は建築家の矢嶋宏紀さんに依頼しました。ふたりの息子が家族を連れてよく遊びに来るため、人が集まる場の広さを優先して間取りを変更。リビングダイニングに隣接していた個室の壁を取り払ってリビングとし、LDKを拡充しています。断熱性向上のため、すべての窓に内窓をつけたのも大きな変更点のひとつ。

大きすぎる窓の欠点を木製内窓で美点に変換
住戸は北西の角部屋で窓が多くて明るく、眺望にも恵まれています。「内見のときに、ダイニングの窓からパーッと空が広がる開放感が気に入りました」と。しかし、窓はシングルガラスのアルミサッシで断熱性の面ではマイナス要素。夏は西日で暑くなりやすい、という問題もありました。そこで、ダイニングを囲む二面の開口部に木製の内窓を設置。「きちんとデザインされた内窓は、インテリアをグレードアップしてくれます」と矢嶋さん。特に北側は床までの掃き出し窓でしたが、特注建具で腰から下を板で塞ぐ形にしています。「窓が大きすぎたり多すぎることはかえって居心地を悪くするので、適切な窓配置に再構成しました」。妻は内見時に開放感が印象的だった窓が一部ふさがれることにやや不安を覚えたそうですが、「椅子に座るとバルコニーが隠れて景色がよりきれいに見え、本当に居心地がよくて感動しました」と喜びます。さらに室内側には、上下が開閉できるハニカムスクリーンも設置。夏は西日を避けつつ大好きな空を眺められます。
初めての冬をこれから迎えますが、酷暑だった夏はエアコン1台で快適に過ごせたとか。古い戸建てで暑さ・寒さを実感していただけに、その違いには驚いたそう。快適な温熱環境で、孫たちに囲まれるにぎやかなセカンドライフを満喫しています。
ハニカムスクリーンの設置で断熱効率アップ



ダイニングの一角に室内干し用のバーを取り付けた。洗濯物を室内でハンガーなどに掛けてからバルコニーに出せるので便利。使わないときは天井面に格納できるので、目立たない
リビングの掃き出し窓を腰高窓に変更



玄関に断熱用のドアを設置して冷暖房効率アップ

隣接する個室に56cmほど食い込ませる形で玄関を拡張し、広くなったスペースにベンチを設けた。上り框を土間側に伸ばし、断熱用のドアを新設。室内と玄関をドアで仕切ることで外気温の影響を受けにくくなり、冷暖房効率もアップ



在宅勤務をすることもあるご主人の個室は、日差しが入る明るい場所に。こちらも樹脂製の内窓をつけて断熱性をアップ。新設したクローゼットとの間は扉を省略し、カーテンで仕切るだけに
建物データ
<建物規模>地上9階建て<設計期間>2023年6月~11月<工事期間>2024年1月~4月<設計>ヤジマデザイン 矢嶋宏紀<施工>エー・クラフト

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.52に掲載されたものを転載しています。
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