このページの一番上へ

マンションリノベーション事例「家具のような造作収納と回遊できる大型クローゼットで快適に!」

マンションリノベーション事例「家具のような造作収納と回遊できる大型クローゼットで快適に!」

雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は東京都三鷹市Mさんの事例をご紹介。インテリアにこだわってフルリノベーションした中古マンションは、3カ所の出入り口があるウォークスルークローゼットによって快適な動線を確保。抜け感のある“見せる”オープン収納は圧迫感なく、しっかりと収納力もあり、家族のQOLもあがったそう。
(text_ hiromi sakamoto photograph_ susumu matsui)

  • 東京都三鷹市 Mさんの家
  • 夫40歳(会社員) 妻40歳(会社員) 長男6歳(取材時)
  • 工事費:1400万円(税別、施主支給品・設計料込み)
  • 築年数:43年(1981年築)(取材時)
  • 専有面積:63.28㎡
  • プロデュース・設計:EcoDeco
使いやすさとデザイン性を兼ね備えた造作収納を、バランスよく配置したLDK。収納や置き家具が引き立つように、床は木目がシンプルで、色味が明るいバーチ材を採用した
使いやすさとデザイン性を兼ね備えた造作収納を、バランスよく配置したLDK。収納や置き家具が引き立つように、床は木目がシンプルで、色味が明るいバーチ材を採用した

家族の絆が深まる理想の住まいを追求

賃貸マンションで暮らしていたMさん夫妻は、子どもが生まれたら手狭になると感じていたため「中古マンションを買って、インテリアにこだわった家にフルリノベーションを」と、住み替えを計画しました。さっそく物件探しからリノベまでワンストップで依頼できる会社をリサーチ。EcoDecoの事例を見て「思い描く住まいをつくってくれそう」と、依頼することに。
フルリノベ前提のため、物件選びは、間取りや室内の状況をまったく気にしなかったそう。それよりも、周辺環境や外観のデザインに惹かれて、今の住まいに決めました。リノベで実現したいことのひとつは、収納でした。夫妻は持ちものが多く、出産後は子ども用品も増え、前居はものがあふれ気味だったそう。「それがストレスだったので、収納計画は特にしっかりやろうと、ふたりで話し合って決めていきました」(ご主人)。ほかにも、動線や設備、内装など、夫妻の願いは様々。
例えばキッチンは、広いスペースが必須。大容量の背面収納に加え、対面キッチンとの間に、大人ふたりが余裕ですれ違える通路幅を希望しました。併せて、大型の食洗器など、設備の充実も要望。理想をかなえたキッチンになり、奥さまは「使いやすく、夫婦で料理しやすいので楽しい」と話します。ご主人は、以前にもまして料理するように。

「親子3人で料理することもあります。キッチンでもコミュニケーションが深められるようになって、うれしいです」(ご主人)

キッチンの前に造作したのは、カウンター兼リビング収納。対面に設置したのは、室内窓付きの間仕切り壁。収納と間仕切り壁の窓枠を同じ色に揃えることで、LDKはすっきりとした印象に
キッチンの前に造作したのは、カウンター兼リビング収納。対面に設置したのは、室内窓付きの間仕切り壁。収納と間仕切り壁の窓枠を同じ色に揃えることで、LDKはすっきりとした印象に

5つの収納アイデア

間口の広いキッチンをつくるため、以前の洋室をDKに変更。玄関脇の和室を寝室に変更し、扉の開閉で玄関や廊下と一体化できるようにした。さらに、新設したウォークスルークローゼットは3か所から出入りできるようにすることで、回遊しやすい、ストレスフリーの動線を実現
間口の広いキッチンをつくるため、以前の洋室をDKに変更。玄関脇の和室を寝室に変更し、扉の開閉で玄関や廊下と一体化できるようにした。さらに、新設したウォークスルークローゼットは3か所から出入りできるようにすることで、回遊しやすい、ストレスフリーの動線を実現
西側に和室と洋室を配した2LDKで、回遊性に乏しい間取り。収納スペースは2つの個室と廊下にしかなく、いずれも物足りない量だった。また、LDKは広さがあるものの、対面キッチンの上部にある梁のせいで閉塞感があった

●Before

西側に和室と洋室を配した2LDKで、回遊性に乏しい間取り。収納スペースは2つの個室と廊下にしかなく、いずれも物足りない量だった。また、LDKは広さがあるものの、対面キッチンの上部にある梁のせいで閉塞感があった

家具のように美しいカウンター兼リビング収納

カウンター兼リビング収納は、天板がキッチンのワークカウンターとフラットにつながるように造作。玄関に続く動線上にあるため、扉は開閉スペースの少ない引き戸を採用。リビングの奥は長男のプレイスペースなど、多目的に使える場所に
カウンター兼リビング収納は、天板がキッチンのワークカウンターとフラットにつながるように造作。玄関に続く動線上にあるため、扉は開閉スペースの少ない引き戸を採用。リビングの奥は長男のプレイスペースなど、多目的に使える場所に
リビングの奥は長男のプレイスペースに

カウンター兼リビング収納は、真ちゅうの丸い取っ手がアクセント。本やDVDが入るように、奥行きを浅めにしている

カウンター兼リビング収納は、真ちゅうの丸い取っ手がアクセント。本やDVDが入るように、奥行きを浅めにしている

ワークデスクと一体化したキッチン収納

左/背面収納は奥行きの深いタイプを選択。キッチンと高さを合わせたので作業がしやすい。上部はオープンに。背面収納のワークデスク側は、パントリーとして活用 右/継ぎ目のないシンク一体型のカウンターやタッチレス水栓などで、機能的なキッチンに。キッチンと背面収納は、IKEAのキャビネットを活用。ラワン材の天板、扉と真ちゅうの取っ手を取り付け、デザインを揃えた
左/背面収納は奥行きの深いタイプを選択。キッチンと高さを合わせたので作業がしやすい。上部はオープンに。背面収納のワークデスク側は、パントリーとして活用 右/継ぎ目のないシンク一体型のカウンターやタッチレス水栓などで、機能的なキッチンに。キッチンと背面収納は、IKEAのキャビネットを活用。ラワン材の天板、扉と真ちゅうの取っ手を取り付け、デザインを揃えた
背面収納の右端の引き出しは、内引き出しのあるタイプを採用。おろし器やスケールなどを入れている。その隣の引き出しは、カトラリー入れに活用
背面収納の右端の引き出しは、内引き出しのあるタイプを採用。おろし器やスケールなどを入れている。その隣の引き出しは、カトラリー入れに活用
壁に造り付けたオープン棚の下段は、普段使いのお皿やコップを並べて見せる収納に。「取り出しやすくて便利です」(奥さま)。上段は飾り棚に。ディスプレイはご主人の担当で、季節に合わせて絵やオブジェなどを替えているそう
壁に造り付けたオープン棚の下段は、普段使いのお皿やコップを並べて見せる収納に。「取り出しやすくて便利です」(奥さま)。上段は飾り棚に。ディスプレイはご主人の担当で、季節に合わせて絵やオブジェなどを替えているそう
奥さまの在宅勤務用として造り付けたワークデスク。使いやすさを考えて、天板は背面収納より一段下げて造作した。仕事で使う備品などは、デスクに置いた小物入れに収納している

奥さまの在宅勤務用として造り付けたワークデスク。使いやすさを考えて、天板は背面収納より一段下げて造作した。仕事で使う備品などは、デスクに置いた小物入れに収納している

ご主人の衣類をまとめて収納できるクローゼット

フリースペースに造作したご主人用のクローゼット。服の種類や量を事前に伝えてプランニングしたそう。右半分は上下2段のハンガーバー、左半分は3段の可動棚。棚の下はオープンにして、衣装ケース置き場に活用

フリースペースに造作したご主人用のクローゼット。服の種類や量を事前に伝えてプランニングしたそう。右半分は上下2段のハンガーバー、左半分は3段の可動棚。棚の下はオープンにして、衣装ケース置き場に活用

靴だけでなく外で使うものはまとめてここに

玄関は土間を広く取り、オープン収納を造り付けた。靴や傘、外遊びの道具など、しまうものや位置を綿密に計画。そのうえで可動棚を取り付けたので、整然と収まり、眺めもすっきり。ご主人のこだわりで、ペンダントライトを吊り下げたディスプレイコーナーを一角に組み込んだ
玄関は土間を広く取り、オープン収納を造り付けた。靴や傘、外遊びの道具など、しまうものや位置を綿密に計画。そのうえで可動棚を取り付けたので、整然と収まり、眺めもすっきり。ご主人のこだわりで、ペンダントライトを吊り下げたディスプレイコーナーを一角に組み込んだ
玄関を広く見せるため、寝室は引き戸で個室化できるつくりに。圧迫感が出ないように、引き戸にはすりガラスをはめ込んだ
玄関を広く見せるため、寝室は引き戸で個室化できるつくりに。圧迫感が出ないように、引き戸にはすりガラスをはめ込んだ
ご主人の遊び心から、寝室の壁の一面は板張りに。廊下には素材感を楽しめるサイザルカーペットを採用。透明ガラスのリビングドア越しに、LDKまで視線が伸びる

ご主人の遊び心から、寝室の壁の一面は板張りに。廊下には素材感を楽しめるサイザルカーペットを採用。透明ガラスのリビングドア越しに、LDKまで視線が伸びる

通り抜けできて使い勝手も抜群なウォークスルークローゼット

引き戸を開ければ寝室からウォークスルークローゼット、キッチンまで一直線につながる。左側の壁に設けたオープン棚には、小物類を市販のケースに入れて収納。一角には妻のメイク道具などを置いている。最下段の棚にはフックを付けて、バッグ類をハンギング
引き戸を開ければ寝室からウォークスルークローゼット、キッチンまで一直線につながる。左側の壁に設けたオープン棚には、小物類を市販のケースに入れて収納。一角には妻のメイク道具などを置いている。最下段の棚にはフックを付けて、バッグ類をハンギング
左/廊下から見たウォークスルークローゼット。左側は奥さまの衣類コーナー。正面は、掃除機用のコンセントを備えた掃除グッズ置き場。廊下側は、出入りがしやすいよう、扉代わりにカーテンを活用している 右/キッチン側に設けた出入り口。通路幅にゆとりがあるので行き来しやすく、ものの出し入れもラクにできる
左/廊下から見たウォークスルークローゼット。左側は奥さまの衣類コーナー。正面は、掃除機用のコンセントを備えた掃除グッズ置き場。廊下側は、出入りがしやすいよう、扉代わりにカーテンを活用している 右/キッチン側に設けた出入り口。通路幅にゆとりがあるので行き来しやすく、ものの出し入れもラクにできる

収納は綿密な計画と定期的な見直しがカギ

「収納はできるだけまとめたい」と希望したMさん宅の収納は、ウォークスルークローゼットが核になっています。収納と通路を兼ねることで、スペースを有効活用。出入り口は、キッチン、寝室、廊下の3か所に設け、快適な動線を確保。「買い物帰りはここを通ってキッチンに行けるので、買ったものをすぐにしまえます」(夫妻)と、買い物後の動線も万全です。
ここにしまうものは、奥さまと子どもの衣類、家族の寝具などに限定。可動棚やハンガーバーを基本に、固定棚には掛け布団、フックにはバッグ類など、しまうものに合わせてパーツを使い分けています。

「子ども服のコーナーはハンガーバーを低くしたので、服選びや出し入れは長男がしています。ウォークスルークローゼットによってキッチンから寝室まで一直線につながっているので、扉を開ければ、朝食の準備中にも子どもの様子が分かって安心です」(奥さま)

見せる収納については、抜け感に配慮。例えば玄関のオープン収納では壁に余白をつくり、圧迫感が出ないように配慮しています。計画どおりに収納をつくるだけでは終わらないのがMさん夫妻。暮らしの変化に合わせて、収納や入れるものを定期的に見直しているといいます。また、ケースを使った収納には、中身を書いたラベルを貼るなど、使いやすさを高める工夫も。
「ストレスがまったくないので、リノベ後はQOLが爆上がりしました」と夫妻は話してくれました。

左/洗面コーナーは、造作した洗面カウンターの下部にオープン棚を取り付けた。収納にはバスケットを活用し、家族それぞれの洗面用品などを入れている。ドライヤ―もバスケットに収納。洗濯機上のスペースを活用し、壁づけしたオープン棚に洗剤などを収めている 右/トイレはタンクレスタイプに交換し、内装も刷新。収納はシンプルなオープン棚にバスケットを組み合わせて
左/洗面コーナーは、造作した洗面カウンターの下部にオープン棚を取り付けた。収納にはバスケットを活用し、家族それぞれの洗面用品などを入れている。ドライヤ―もバスケットに収納。洗濯機上のスペースを活用し、壁づけしたオープン棚に洗剤などを収めている 右/トイレはタンクレスタイプに交換し、内装も刷新。収納はシンプルなオープン棚にバスケットを組み合わせている

建物データ

<建物規模>地上5階建て<設計期間>2021年4月~9月<工事期間>2021年10月~12月<プロデュース・設計>EcoDeco

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.51に掲載されたものを転載しています。
※relife+は、オンライン書店にてご購入いただけます。amazonで【relife+】の購入を希望される方はコチラ

関連する記事を見る
不動産お役立ち記事・ツールTOPへ戻る