
マンションリノベーション事例「暑さ寒さを解消して愛着ある品々が映える快適な家に」
雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は埼玉県Wさんの事例をご紹介。帰国後、数年住んだマンションは“夏暑くて冬寒い家”だったため、リノベーションを検討。断熱材を入れたり、窓にはインナーサッシを追加して、悩みのタネを軽減することができました。また、大型食洗器の導入やセージグリーンのクロス、アンティークを取り入れたインテリアなどドイツやイタリアでの海外生活の面影を感じる雰囲気のお部屋に生まれ変わりました。
(text_ asako shiga photograph_ hiroshi kiyonaga)
- 埼玉県 Wさんの家
- 夫54歳(会社員) 妻55歳(CADオペレーター)(取材時)
- 工事費:約600万円(税込み・設計料別)
- 築年数:33年(1991年築)(取材時)
- 専有面積:95.20㎡
- 設計:設計事務所アーキプレイス


断熱性アップや食洗機の導入を切望!
2009年からの3年間、夫の仕事の関係で長男とともにドイツとイタリアに滞在していたWさん夫妻。現地でゆとりのある広さの賃貸住宅に暮らしたことから、帰国後の住まいも広さが欲しいと、所有していたマンションを買い替えました。最上階で広さは95㎡。ワイドスパンの好条件の住まいながら、数年暮らすうちにリノベーションしたいと考えるようになったとか。いちばんの理由は「夏暑くて冬寒い家」だったこと。「夏、帰宅すると猛烈に暑くて、エアコンをつけてもなかなか冷えないんです。冬は北側の部屋が特に寒く、結露によるカビも発生していました」(ご主人)。
奥さまが製図を仕事にしていることから、ベースの間取り図は奥さまが作成し、奥さまの知人に紹介された建築家の石井正博さん、近藤民子さんとともにリノベに取り組むことに。「途中、天井に断熱材が入っていないという衝撃の事実が判明して、石井さんに『これは暑いはずです』と言われてしまいました(笑)」と奥さま。新たに断熱材を入れて、北側の窓にはインナーサッシを追加。悩みのタネだった暑さ寒さをだいぶ軽減することができました。海外生活で「洗濯機と同じくらい必要なもの」と実感した大型の食洗機の導入と、和室をリビングに取り込んで押し入れに代わる収納を別に設けることも、リノベでぜひかなえたかったこと。キッチンは海外製の食洗機が組み込めるステンレスカウンターのフレームキッチンを選びました。
「わが家は夫も息子も料理をするし、遊びに来た友人がキッチンに立つことも。厨房風のキッチンは、どこに何があるかがひと目で分かるので使いやすいと好評です。掃除がしやすくなったのもうれしい」(奥さま)。
ご主人は、和室とキッチンの仕切りがなくなり、LDKが段差のないワンルーム空間になったことで住みやすさを実感。生活スタイルに変化があった50代前半でのリノベを「とてもいいタイミングでした」と笑顔で振り返るふたりです。



廊下からキッチンに直接アクセスできる動線はそのまま活用。ここに洗濯機置き場があり、キッチン経由ですぐにバルコニーに出られる
ご主人の気持ち

キッチンの作業台は、ブッチャーズテーブル(肉屋の作業台)をイメージして夫がDIYでつくった。三方から使えて収納量もたっぷり」
コロナ禍と重なったこともあって、50代になって「スーツを着る」「ワイシャツをクリーニングに出す」「革靴を履く」が皆無に。夫婦で在宅勤務の日も多く、お互いがダイニングテーブルの長辺部分に座っていたのを短辺部分に変えて、適度な距離を保っています(笑)


バーンドア(納屋の扉)のイメージで、上吊りの引き戸として設置したアンティーク扉。「もともとここは壁だったので、便利な回遊動線が生まれました」(奥さま)

奥さまの気持ち

子育てを通じたコミュニティのある街なので離れがたく、リノベの際に住み替えは考えませんでした。ここ数年、運動不足を感じて夫はテニスを、私はヨガを始めました。生活サイクルの一部になってきたので、これからも続けたいと思っています。
建物データ
<建物規模>地上5階建て<設計期間>2021年8月~2022年3月<工事期間>2022年4月~6月<設計>設計事務所アーキプレイス<施工>高砂建設


●Before
LD隣接の和室と独立型だったキッチンの間仕切りを撤去して、L字形の広々としたLDKに。廊下にクローゼットを新設して、押し入れをなくした分の収納量をカバー。寝室と洋室の間には通風のための室内窓を新設。トイレや洗面・浴室などの水回りは既存を生かした
※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.50に掲載されたものを転載しています。
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