
マンションリノベーション事例「清潔感があり機能的キッチンを壁付にしてゆとりあるLDKに」
雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は神奈川県川崎市Oさんの事例をご紹介。シンプルな空間にするための工夫が詰まったリノベーション。特にこだわったキッチンには、フレームのみのオールステンレスキッチンを採用しました。デザイン性の高いキッチンによって、まるでインテリアの一部のよう。
(text_ mamiko tonoki photograph_ ayako mizutani)
- 神奈川県川崎市 Oさんの家
- 夫35歳(会社員) 妻32 歳(会社員)(取材時)
- 工事費:1540万円(税込み、設計料別)
- 築年数 24 年(2000 年築)(取材時)
- 専有面積 約61.88㎡
- 設計・施工 nu(エヌ・ユー)リノベーション


モールテックス仕上げのカウンターは、超短焦点プロジェクターの定位置。好きな雑貨や写真を飾ったりする棚として、また床に座ればデスクに、腰掛ければベンチにもなる
夫婦の感性を満足させるのは中古マンションをリノベーションすること
以前は世田谷区の賃貸マンションに暮らしていたОさん夫婦。更新のタイミングで家の購入を考え、新築も含め同エリアに絞って物件を見て回りましたが、ピンとくる物件がなかったそう。家づくりを建築家にお願いするのが夢だったという奥さまは、「自分たちのうるさい感性(笑)を満足させるには、中古マンションを買ってリノベーションが最適」との結論に達しました。物件探しから依頼できるリノベ会社を探し、デザインが気に入ったnuリノベーションに依頼することに。紹介されたのは、通勤圏内の神奈川県の物件。数件見て購入を決めたのは、日当たりのいい丘の上のマンション。「価格も手頃で、その分リノベにお金をかけられると思いました」とご主人。


ステンレス製のフレームキッチンを壁付けにしたシンプルで清潔感あふれるたたずまい。空間をより広く見せるため、壁は天井まで正方形のタイルで仕上げた
シンプルなキッチンを壁付けにすることでゆとりあるLDKに
リノベの要望は、シンプルな空間にすること。もともと物が少なく、スッキリと暮らしていましたが、よりシンプルに暮らすために大容量のWIC や玄関土間なども希望しました。なかでもこだわったのはキッチン。「業務用のような武骨さもありつつ、重く見えすぎないキッチンにしたい」という奥さまの要望を受け、シンクと天板、フレームのみのオールステンレスキッチンをオーダー。対面式ではなく、壁付けを希望したのも奥さま。
「LD がそれほど広くないので、壁付けのほうが空間にゆとりが生まれると思いました。キッチンの様子が丸見えになるけど、だからこそきれいにしようという気持ちになります」。
また、デザイン性の高いキッチンが壁付けになっていることで、「まるでインテリアの一部のようにも見える」とご主人も納得。すぐそばにダイニングテーブルを置くことで、配膳もスムーズに。さらに、この美しいキッチンを保つために欠かせないのがパントリー。冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器などのキッチン家電やゴミ箱、食品ストックなどが収められているので、LDKはいつもすっきりとしています。
Oさん宅のキッチン&ダイニングココが好き、使いやすい!
まるで家具?壁付けの美しいキッチンに大満足

軽やかで空間に馴染むシンプルなレンジフード

「なるべく重たく見えないレンジフードにしたい」と希望した夫妻に提案されたのが、キッチンと同じtoolboxのレンジフード。高さ20cmの薄いスクエア型の軽やかなデザインで、キッチンにしっくりと馴染んでいる
大容量のパントリーのおかげでいつもスッキリ

冷蔵庫のほかキッチン家電やゴミ箱なども収められている大容量のパントリー。扉がないので行き来がしやすいのもポイント。今は最小限の棚で足りているが、必要になったら増やすこともできる
マグネットのナイフラックは使いやすく見た目も◎

「IKEAで見て憧れていたのでぜひつけたくて」と奥さまが希望したのがマグネットナイフラック。管理がしやすく、使いたいときにさっと手に取れるので家事効率がアップするだけでなく、シンプルな空間のアクセントにもなっている
収納スペースの確保や間取り、内装の工夫で理想のスッキリした空間に
「無機質なものの質感が好き」という夫妻。もともと好きなものがよく似ていたといいます。
「なにかを買うときも厳選して、本当に欲しいものを手に入れたらひとつ捨てるようにしています」。
プランニングの際も「本当に気に入ったものだけを置いて、シンプルにスッキリ暮らす」ことを大切に考えました。ふたり分の服がたっぷり入るWICや、広い玄関土間といった収納スペースのほか、扉はすべて天井までのハイドアにする、現しの天井は光が反射して明るくなるよう白く塗装するなど、空間をスッキリ見せる細かな工夫が凝らされています。脱衣所を広くするために廊下に配置した洗面スペースも、キッチンと同じインテリアの雰囲気でお気に入り。「料理をする時間が楽しい」と奥さまが言えば、「家でくつろぐ時間がいちばん好き」とご主人。ふたりの理想が詰まった暮らしを楽しんでいます。

現在、ふたりとも基本的に在宅勤務なので、奥さまはリビング、ご主人は寝室のデスクスペースで仕事をしている。デスクスペースは、以前は扉付きの収納だった場所。「このこもり感が集中するのにちょうどいいんです」とご主人




廊下に配置したオープンな洗面コーナー。脱衣室を広く確保するために提案されたプランだったが、「帰ってきてすぐに手を洗えるし、デザインも気に入っているので、使うたびに気分が上がります」と大満足の夫妻。キッチン同様、洗面もインテリアの一部として空間に馴染んでいる。ガラス入りのドア越しに光が届き、LDKの気配も感じられる

建物データ
<建築規模>地上5階建て<設計期間>2022 年1月~ 3月<工事期間>2022 年4月~ 6月<設計・施工>nu(エヌ・ユー)リノベーション


●Before
2LDKの間取りはそのままに、玄関土間と広いWICを設けたほか、半個室だったキッチンを壁付けにして開放的なLDKに。キッチン横には冷蔵庫も入るパントリーが設けられた。脱衣室を広く使うため、洗面コーナーを廊下に出したのもポイント
※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.50に掲載されたものを転載しています。
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