
【家族4人56㎡】マンションリノベーション事例「壁がないのに居場所がいっぱい!プランの工夫でみんなが心地よい空間に」
雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は神奈川県横浜市Iさんの事例をご紹介。部屋の真ん中にある三角形のキッチンが印象的なワンルームは、広がりと奥行きを感じます。2度目のリノベでは、リビングの一角にベッドスペースとデスクを備えた子どもスペースを作り出しました。(text_ mamiko tonoki photograph_ susumu matsui)
- 神奈川県横浜市 Iさんの家
- 夫47歳(会社員) 妻38歳(専業主婦)
- 長男11歳 長女7歳 (取材時)
- 工事費:2期/100万円(税・設計料込み)
- 築年数:55年(1969年築)(取材時)
- 専有面積:約55.87㎡
- 設計・施工:HandiHouse project/スタジオピース

三角形のキッチンがワンルームに奥行きを
2014年に、著名な建築家が設計したマンションを購入したIさん夫婦。リノベーションの依頼先をリサーチしていたところ、同じ建築家が設計した別のマンションでリノベの実績があるHandiHouse projectの加藤渓一さんを見つけました。同社が「住まい手と一緒に取り組む家づくり」を標榜していたことも、うれしい誤算。というのも、ご主人は大学進学のときに建築学科を志望していたこともあり、家をつくるなら自分も参加してみたい、という思いが強かったのです。夫妻と当時3歳の長男は毎週末現場に通い、あらゆる工程に携わりました。そうしてできたのは、室内の真ん中に三角形のキッチンがある家。
「壁はいらない」「キッチンを真ん中に」「造作の収納棚が欲しい」、この3つの希望から、加藤さんが導き出した答えが三角形のキッチンでした。「この家は、東西2か所に斜めに張り出したスペースがあります。設計中、その斜めの線に平行な線が一本引けたとき、これだと思いました」と加藤さん。Iさんのお宅が広く感じられるのは、ワンルームであることや壁一面の造作収納ののびやかさに加え、玄関からまっすぐに伸びた通路が重要なポイント。三角形の一辺であるこの通路を通って室内に入ることで、広がりと奥行きが感じられます。

トイレ、浴室、洗面は1か所にまとめて省スペース
水回りの設備を集中。オープンな洗面で圧迫感なくスッキリ

水回りスペースは既存の間取りを生かし、トイレ、洗面、浴室、洗濯機を1か所に。トイレをタンクレスにしたり、洗面をオープンな壁付けにすることで、限られたスペースを広く使えるように工夫している。寝室と床材を揃えることで広がり感も
寝室は個室にせずLDKとひと続きのスペースに
寝室は壁なしでOK!仕切りたいときはロールスクリーンで

斜めに張り出した一角にピタッとはまるようにベッドを置いたオープンな寝室は日当たり良好。壁を立てずロールスクリーンで仕切れるようにした
壁一面の造作収納で使いたい場所に使うものを
LDKで使うものはすべてここに。出し入れしやすく広く見える効果も



子ども部屋をつくるために2度目のリノベーション
その後長女が生まれ、長男は現在11歳に。子どもたちの強い希望で、2023年に子ども部屋をつくる2度目のリノベに取り掛かりました。設計担当は勝又なつほさん。子どもたちと一緒にプランを考え、手を動かしながら、リビングの一角にタテの空間を生かした子どもスペースを設置しました。積極的に家づくりに参加することで、長く住み続けられる愛着のある住まいとなったようです。
タテの空間を生かして子どもスペースを
リビングの広さも維持しつつ上下で空間を使い分ける子どもスペースを確保

2度目のリノベで新たにつくられた子どもたちの部屋は、ボックス型に立てた壁で囲い、上下で使い分けるつくりに。玄関を入ってすぐの場所が長男の部屋。入り口にデスク、上部にベッドがある。机周りの色は長男が選んだ

ガラスのドアで視線の抜けと開放感を
玄関とリビングをつなぐ全面ガラスのドアは自然に奥へと視線を誘う

建物データ
<建築規模>地上5階建て<設計期間>1期/2015年1月~3月 2期/2023年7月<工事期間>1期/2015年4月~5月 2期/2023年8月<設計・施工>HandiHouse project/スタジオピース


●Before
西側がLD、東側に個室とキッチンがある既存の間取りを、三角形のキッチンを家の中央に置いたワンルームに変更。8年後、2度目のリノベでリビングの一角にベッドスペースとデスクを備えた2人分の子どもスペースを造作した
※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.49に掲載されたものを転載しています。
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