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マンションリノベーション事例「ダイニングとオフィスを兼ねた『庭』を多目的に使うことでのびのび暮らす」

マンションリノベーション事例「ダイニングとオフィスを兼ねた『庭』を多目的に使うことでのびのび暮らす」

雑誌「relife+」に掲載された中古マンションリノベーション事例から、今回は東京都荒川区尾川さんの事例をご紹介。リビングダイニングとオフィスを融合させた「庭」は、家族の会話が弾む多目的なスペースに。限られた空間をムダなく活用するために、天井を上げたり、不要なスペースを必要な場所に取り込んだりなど工夫が詰め込まれています。
(text_ hiromi sakamoto photograph_ koji yamada)

  • 工事費:1350万円(税込み、設計料別)
  • 東京都荒川区 尾川さんの家
  • 夫42歳 妻42歳 長女6歳(取材時)
  • 築年数:27年(1997年築)(取材時)
  • 専有面積:63㎡
  • 設計:一級建築士事務所KAKINOKI

空間をムダなく使い、会話が弾む快適な家

専有面積63㎡という限られた空間の中でオフィスと居住スペースを融合させた、建築家の尾川陽一さんと岩井佑里恵さんの住まい。物件探しにあたっては、「娘の成長を見守り、人生を豊かに感じられる暮らしをしたい」と、広さよりも周辺環境や日当たりのよさを重視したそうです。
そのかいあって、公園を見渡す南側に窓が3つ並ぶ、間口の広いマンションを購入することができました。日がよく入る南側は、「庭感覚で過ごせて、多用途に使える広い空間を」と、専有面積の約3分の1を使った大空間に一新。仕事や食事のほか、長女の遊び場としても大いに活用しています。

約7畳のLDと約4畳の洋室をつなげて、ひと続きの空間にし「庭」と名づけた。テーブルや椅子、2台の仕事用デスクを置いてダイニング兼オフィスとして活用している。広さがあるので、長女はバレエの練習ものびのびとできる。床材は耐久性のあるフレキシブルボード。防水・防汚処理を施しているので、観葉植物を育てたり、ボール遊びやテントを張ってピクニックをしたりと、様々に楽しめる
約7畳のLDと約4畳の洋室をつなげて、ひと続きの空間にし「庭」と名づけた。テーブルや椅子、2台の仕事用デスクを置いてダイニング兼オフィスとして活用している。広さがあるので、長女はバレエの練習ものびのびとできる。床材は耐久性のあるフレキシブルボード。防水・防汚処理を施しているので、観葉植物を育てたり、ボール遊びやテントを張ってピクニックをしたりと、様々に楽しめる

「庭」と名づけた多目的スペースを活用

庭感覚でラフに使える大空間で、シーンに合わせて自由に過ごす

視線を伸ばすことで空間がより広く感じられるよう、「庭」と寝室の間の壁に室内窓を造作した。室内窓越しに行き来でき、窓辺に座って縁側気分も楽しめる。窓は強化ガラスを採用
視線を伸ばすことで空間がより広く感じられるよう、「庭」と寝室の間の壁に室内窓を造作した。室内窓越しに行き来でき、窓辺に座って縁側気分も楽しめる。窓は強化ガラスを採用
「庭」の窓際に置かれた3台の棚は、無垢材を使ったオーダーメイド。本棚や飾り棚として使っているが、配置次第で収納兼間仕切りにもなり、部屋の使い方の幅が広がる
「庭」の窓際に置かれた3台の棚は、無垢材を使ったオーダーメイド。本棚や飾り棚として使っているが、配置次第で収納兼間仕切りにもなり、部屋の使い方の幅が広がる

オーダーメイドの棚や壁面収納を賢く活用

フレキシブルに使える棚や、天井までの壁面収納で、収納量をアップ

「庭」と玄関をつなぐスペースには、高さを生かした大容量の壁面収納を造り付けた。デスク側の2つの収納は仕事用で、書籍や床材のサンプル、プリンターなどを入れている。玄関側には靴などを収納
「庭」と玄関をつなぐスペースには、高さを生かした大容量の壁面収納を造り付けた。デスク側の2つの収納は仕事用で、書籍や床材のサンプル、プリンターなどを入れている。玄関側には靴などを収納

パントリーには食品だけでなく日用品も収納

生活感の出やすいものを収納することでキッチンや洗面がすっきり

アールの開口部がパントリーの出入り口。食品や日用品などをストックするほか、洗面所で使うこまごまとしたものもここに収納することで、キッチンや洗面回りがいつもすっきり
アールの開口部がパントリーの出入り口。食品や日用品などをストックするほか、洗面所で使うこまごまとしたものもここに収納することで、キッチンや洗面回りがいつもすっきり
左/生活感の出やすい冷蔵庫や調理家電は、「庭」から死角となる位置に。対面には洗濯機置き場を配置して、家事効率もアップ 右/造作した対面キッチンは、シンク一体型のステンレスカウンターとシナの扉を組み合わせたシンプルなデザイン。大容量の食洗器も採用した
左/生活感の出やすい冷蔵庫や調理家電は、「庭」から死角となる位置に。対面には洗濯機置き場を配置して、家事効率もアップ 右/造作した対面キッチンは、シンク一体型のステンレスカウンターとシナの扉を組み合わせたシンプルなデザイン。大容量の食洗器も採用した
洗面台は、天板にナラ材を用いて造作し、家具のようなデザインに。ゲストも使うオープンなスペースなので、壁出し水栓や上質感のあるミラーを組み合わせてインテリア性を高めた

洗面台は、天板にナラ材を用いて造作し、家具のようなデザインに。ゲストも使うオープンなスペースなので、壁出し水栓や上質感のあるミラーを組み合わせてインテリア性を高めた

空間を多用途に使い「庭」のスペースを確保

この「庭」を広く取るために工夫したのが、空間を多用途に使うこと。例えば、キッチンの通路を、リビングや寝室への廊下と兼ねたり、浴室の前の廊下にカーテンを取り付けて脱衣室代わりにしたり。また、玄関には洗面台を配置し、トイレの手洗いや洗顔ができる場所を兼ねています。廊下や脱衣室が不要になった分のスペースを、必要な場所に取り込むことで、暮らしやすさをより高めているのです。
また「庭」は開放感を出すため、天井を上げて2600㎜の高さに設定。オープンにつながるキッチンや室内窓で視線が延びて、実際の面積以上の広がり感が味わえます。特にキッチンは、「庭」にいる家族と会話しやすく、子どもの遊ぶ姿を見ながら調理できるので、夫妻のお気に入りの空間です。
「ワンルームのような家で、家族仲良く暮らしたかったので、リノベで実現できてよかったです。自然光がよく入って心地よく、近くに公園があるという周辺環境を生かした家にできたと思います」と、夫妻は満足そうに話してくれました。

寝室とリビングの間仕切りに腰壁を採用

腰壁で仕切ることで、光が入りやすく開放的な空間に

寝室とリビングは、壁で仕切ると圧迫感が出るため、腰壁でさりげなく空間を分けている。腰壁の高さをリビングのソファから空が眺められる高さにすることで、眺望や心地よい日差しを満喫
寝室とリビングは、壁で仕切ると圧迫感が出るため、腰壁でさりげなく空間を分けている。腰壁の高さをリビングのソファから空が眺められる高さにすることで、眺望や心地よい日差しを満喫
奥に配したウォークインクローゼットは、家族の衣類のほか、寝室で使う布団も入れられる大容量。手前のロールスクリーン付きの棚は、市販の衣装ケースが入るサイズに造作。おもちゃやアウトドアグッズなどを収納している。下部はオープンにして、愛犬のスペースに

奥に配したウォークインクローゼットは、家族の衣類のほか、寝室で使う布団も入れられる大容量。手前のロールスクリーン付きの棚は、市販の衣装ケースが入るサイズに造作。おもちゃやアウトドアグッズなどを収納している。下部はオープンにして、愛犬のスペースに

WICもリビングも個室として区切らず、行き来しやすい動線を確保。WICの向かいに脱衣所、浴室がある
WICもリビングも個室として区切らず、行き来しやすい動線を確保。WICの向かいに脱衣所、浴室がある

玄関の床を斜めに区切ることで広がり感を

玄関はコンパクトにして、多目的に使える廊下にゆとりをプラス

左/玄関から「庭」までは、廊下兼洗面・手洗い兼収納として活用する多目的な空間 右/「家族3人分の靴が置ければ十分」(ご主人)と、玄関はコンパクトに。たたきとホールの床を斜めに区切ることで広がりを演出。「ゲストが使いやすいように」と、トイレは玄関の近くに配置している
左/玄関から「庭」までは、廊下兼洗面・手洗い兼収納として活用する多目的な空間 右/「家族3人分の靴が置ければ十分」(ご主人)と、玄関はコンパクトに。たたきとホールの床を斜めに区切ることで広がりを演出。「ゲストが使いやすいように」と、トイレは玄関の近くに配置している

建物データ

<建築規模>地上10階建て<設計期間>2019年1月~5月<工事期間>2019年7月~9月<設計>一級建築士事務所KAKINOKI<施工>かしの木建設

間取り図
分散していた水回りを集約し、「庭」を核としたワンルーム感覚で暮らせる間取りに。「庭」の室内窓を介して、寝室→リビング→キッチン→「庭」へと回遊できる動線をつくり、移動のしやすさにも配慮した。パントリーやWICなどの収納スペースも確保

※この記事はrelife+(リライフプラス) Vol.49に掲載されたものを転載しています。
※relife+は、オンライン書店にてご購入いただけます。amazonで【relife+】の購入を希望される方はコチラ

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