
団地リノベーション事例「3兄弟の子育てと仕事部屋を両立。自然体で暮らす55㎡」
雑誌「LiVES」に掲載された団地リノベーション事例から、今回は東京都調布市のFさんご家族の事例をご紹介します。押入れのモジュールをヒントにした子どもの専用スペース。仕事部屋に加え、子どもが自由に使える余白と柔軟性を備えた団地リノベーション。
(text_ Yasuko Murata photograph_ Takuya Furusue)
自然豊かな多摩川近くの団地をリノベーション
多摩川からほど近い、団地をリノベーションしたFさん夫妻。8歳、6歳、2歳の3人の男の子の子育てを考え、川が近く自然が豊かなこの場所を選んだ。約55㎡の面積内に、ご主人の仕事部屋と、子どものスペースを確保することを希望し、リビタにリノベーションを依頼。アラキ+ササキアーキテクツが設計を担当した。
「小分けにするのではなく、仕事部屋と寝室のみ個室にして、リビングダイニングの一角に子どものスペースをつくり、子どもが自由に使ったり、走りまわったりできる余白を大切にしました」(ご主人)



玄関の正面のドアの先が仕事部屋。左にリビングダイニング。
リビングダイニングの一角を子どものスペースにリノベーション
子どものスペースは、既存の間取りで押入れがあった位置に、同じモジュールで収納とデスクを造作。左側は子どもたち3人分の収納で、下段にポールを設置し、ほとんどの洋服をハンガーで掛けて、子どもたちが自分で服を選べるようにしている。上段にIKEAの引き出しを3つ設置し、細々したものを一人ずつ管理。上段にもポールを設置し、一番かさばるバッグやヘルメットなどをS字フックで掛けて、ものが床に溢れないように工夫している。右側は長男と次男のデスク。オープンな棚に好きな本やものを飾るなど、自分専用のスペースを楽しんでいる。

「以前、同じ団地の違う部屋に住んでいて、押入れがとても使いやすいと感じていたので、再現しました。天袋も季節外の服や子どもたちの工作など、普段は使わないものを収納して活用中です。子どもたちはまだ小さいので自主的に片付けができているとはいえませんが、片付けをお願いすると、自分たちでものを仕分けして決まった場所にしまってくれます」(奥さま)

窓側は長男と次男のデスク。引き出しやファイルボックスに、学校で使うものや大切なものを整頓。オープンな棚には、それぞれが好きなものを飾っている。

仕事部屋は家族と仕事の境界が心地よく混ざる場に
ご主人の仕事部屋は、子どもたちも出入り自由で、触ってほしくないものはその都度伝えるようにしている。最近ではご主人が仕事をする隣で長男が漫画を読んだりすることもあり、家族と仕事の境界も心地よく混ざりつつあるようだ。


「将来的なことはさまざまな可能性を模索中。子どもが小さい今は、家にいる時間を増やすことで、夫婦で協力して子育てができ、今の自分たちにぴったり合った家になっていると思います」
とご主人。子どもたちの個性に寄り添いながら、自然体で暮らしを育むご家族。のびのびと育つ子どもたちが、この空間をどう住みこなしていくか楽しみだ。

建物データ
〈専有面積〉55.04㎡〈主要構造〉鉄筋コンクリート造〈既存建物竣工〉1969年〈リノベーション竣工〉2019年〈設計期間〉2ヶ月〈工事期間〉2.5ヶ月〈コンサルティング〉リビタ〈設計〉アラキ+ササキアーキテクツ〈施工〉栗林工務店

※この記事はLiVES Vol.116に掲載されたものを転載しています。
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