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マダニ対策はどうすべき?マダニに刺されないためのポイントと刺された時の対処法を解説!

マダニの対策について徹底解説します
春から秋にかけて活動が活発になるマダニは、草むらや山林など、身近な場所にも潜んでいます。気づかないうちに刺されると、熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症を媒介する恐れがあるので要注意です。アウトドアや庭作業を安心して楽しむには、事前のマダニ対策と万が一刺された時の正しい対処法を知っておくとよいでしょう。
この記事では、マダニの生息場所や感染症、効果的な予防策、刺された際の対応方法を解説します。

マダニとは?

マダニとはどのような害虫でしょうか
マダニとはどのような害虫でしょうか

マダニは、3月から11月にかけて活動が活発になる吸血性のダニです。肉眼で見えるほど大きく、体長は3~10mm。皮膚に口器を突き刺して数日間吸血し、満腹になると20mm近くまで膨らむことも。森林や草むら、裏庭などに潜み、人やペット、野生動物に寄生して血を栄養源とします。

マダニはどのようなところに生息する?

マダニはどこに潜んでいるのでしょうか
マダニはどこに潜んでいるのでしょうか

マダニは山林や草むらだけでなく、私たちの生活に身近な裏庭や畑、あぜ道などにも生息しています。シカやイノシシなど野生動物が出没する環境に特に多いため、ハイキングやキャンプ、農作業の際にも注意が必要です。

  • 民家の裏庭・裏山
  • あぜ道
  • 山林やヤブ・草むら
  • シカやイノシシ、野うさぎなど野生動物が出没する環境

マダニは裏庭や畑、あぜ道など身近な環境に潜み、草や低木にとまって人や動物が近づくのを待ち構えています。自然豊かな山林だけでなく、日常生活のなかでも遭遇する可能性が高いのが特徴です。特に、散歩中のペットに寄生したマダニが自宅へ持ち込まれると、屋内で繁殖につながる恐れがあります。農作業や庭の手入れなど何気ない外出でも注意を払い、予防策の徹底が大切です。

マダニに刺されたらどうなる?

マダニに刺されるとどうなるのでしょうか
マダニに刺されるとどうなるのでしょうか

マダニはほかのダニと同じように、太ももやわき腹といった皮膚のやわらかい部分に移動して、口器を深く刺し込みます。そして、数日から10日ほどかけてじっくり吸血します。この際、麻酔作用をもつ唾液を注入するため、刺されていても痛みやかゆみが少なく、自覚症状が乏しいのが特徴です。そのため、「黒い異物が皮膚についている」と、勘違いして放置してしまうケースも。
しかし、マダニは吸血するだけでなく、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)やライム病、日本紅斑熱などの重篤な感染症を媒介する可能性があります。自分で無理に抜こうとせず、できるだけ早く皮膚科や救急外来を受診し、適切な処置を受けることが大切です。感染症のリスクを軽視せず、速やかな対応を心がけましょう。

マダニが媒介する代表的な感染症

マダニはさまざまな病原体を媒介し、人に感染症を引き起こすことがあります。代表的なものには、熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、ライム病、Q熱、ボレリア症、野兎病、キャサヌル森林病、クリミア・コンゴ出血熱などが挙げられます。なかでも、日本で特に注意が必要なのは、ウイルス性出血熱の一種で、致死率が高い熱性血小板減少症候群SFTSです。毎年国内でも患者が報告されており、発熱や消化器症状を中心に重症化するケースも少なくありません。

  • 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
  • 日本紅斑熱
  • ライム病
  • Q熱
  • ボレリア症
  • 野兎病
  • キャサヌル森林病
  • クリミア・コンゴ出血熱

これらの感染症は刺された直後は気づきにくく、症状が出て初めて発見されることもあります。続いて、マダニによって媒介される代表的な感染症の特徴をみていきましょう。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はSFTSウイルスをもつマダニに咬まれて感染する病気で、潜伏期間は6日~2週間です。高熱や嘔吐、下痢、食欲低下などが主症状で、重症化し死亡例も報告されています。特効薬やワクチンはなく、対症療法による治療が中心となります。

ライム病

ライム病はボレリア菌を保有するマダニに刺されて感染する細菌性疾患で、潜伏期間は数日~2週間です。マダニに刺されたところを中心に赤く腫れ、円状に広がっていく遊走性紅斑が現れ、発熱や倦怠感、関節痛、ときに神経症状をともないます。治療には抗菌薬が有効ですが、放置すると多臓器に症状が及ぶため早期受診が重要です。

日本紅斑熱

日本紅斑熱はマダニが媒介するリケッチア・ジャポニカ感染症で、潜伏期間は2~8日で、発熱、全身にかゆみのない発疹、黒いかさぶたが付いた刺し口が出現します。テトラサイクリン系抗菌薬で治療が可能ですが、重症化すれば臓器障害を起こすため早期診断が必要です。

マダニに刺されないための対策

マダニに刺されないためのポイントを紹介します
マダニに刺されないためのポイントを紹介します

マダニの被害を防ぐには、屋外での活動時における予防策の徹底が大切です。ここでは、マダニに刺されないための対策を解説します。

肌の露出をおさえる

マダニが多い草むらや藪に入る時は、全身を覆う服装で肌の露出をできるだけ避けることが基本です。長袖や長ズボンを着用し、裾や袖口は靴下や手袋の中に入れて隙間をなくします。首元はタオルやスカーフで覆い、帽子をかぶるのも効果的です。さらに、明るい色やつるつるした素材の服を選ぶと、マダニが付着しても発見しやすくなります。

  • 長袖・長ズボンを着用する
  • 軍手(手袋)・長靴を着用する
  • 首元はタオルやスカーフを巻いたり、ハイネックを着用したりする
  • 袖口は軍手(手袋)の中に入れる
  • ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる
  • シャツの裾をズボンの中に入れる
  • 帽子を被る

服装での予防はもっとも基本的な対策です。完全には防げませんが、露出を減らし発見しやすい工夫をすることで、刺されるリスクを大幅に下げられます。屋外活動後は必ず入浴や着替えをおこない、体や衣服にマダニが付着していないかを確認しましょう。

虫よけ剤(忌避剤)を使う

マダニ対策には、虫よけ剤の使用も有効です。有効な成分はディートとイカリジンの2種類が市販されており、特にイカリジンは年齢制限なく使えます。ディートは子どもが使用する際に注意が必要ですが、適切な使用方法で安全に使うことができます。

虫よけ剤は付着数を減らせますが、完全には防げません。効果は6~8時間のため、外出中は製品の使用方法に沿ってこまめな塗り直しをしましょう。

虫よけ剤(忌避剤)の使い方

虫よけ剤はマダニ対策の基本ひとつですが、正しい方法での使用が重要です。ディートやイカリジンを含む市販品を選び、肌の露出部や衣類の上にムラなく塗布しましょう。効果は数時間しか持続しないため、活動時間に合わせて塗り直すことが大切です。

  • 虫よけ剤(忌避剤)は肌にムラなく塗る
  • 日焼け止めと一緒に使う場合は、先に日焼け止めを塗る
  • ズボンの裾や靴下など、衣類の上からスプレータイプの虫よけ剤を吹きかける
  • 虫よけ剤(忌避剤)の効果時間を考慮してこまめに塗りなおす
  • 家に帰ったらすぐに石鹼などでしっかり洗い流す

ディートは高濃度なものほど効果時間が延びますが、子どもには使用制限があります。一方、イカリジンは年齢制限がなく安心して使えるため、子どもや敏感肌の方にも適しています。ただし、どちらの成分も完全に防げるわけではありません。服装など、ほかの対策との併用が不可欠です。

家に持ち込まないようにする

野外活動後は、家に入る前にペットや衣服にマダニが付いていないか必ず確認しましょう。特に、わきの下、足の付け根、膝裏、髪の毛の中などのチェックが必要です。帰宅後は速やかにシャワーや入浴をおこない、全身を確認します。衣服に付着したマダニは、ガムテープや粘着クリーナーで取り除くと効果的です。また、洋服を天日干しや乾燥機にかけるのも有効でしょう。マダニは乾燥に弱いため、死滅させる効果が期待できます。

家の中でネズミを見つけたら駆除する

マダニは屋外から持ち込まれるだけでなく、ネズミに寄生して家の中に侵入します。そのため、室内でネズミを見かけた場合は、早急に駆除することが大切です。放置するとマダニが繁殖し、感染症のリスクを高める原因に。あわせて、定期的な掃除や整理整頓を心がけ、ペットには駆除薬を投薬するなど、住環境全体見直すことで予防につながるでしょう。

マダニに刺されたらどうすべき?

マダニに刺されたらどうすべきでしょうか
マダニに刺されたらどうすべきでしょうか

マダニに刺されても、痛みやかゆみが少なく気づきにくいのが特徴です。もし刺されているのを発見した場合は、無理に引き抜かず、できるだけ早く医療機関で処置を受けましょう。その後は、体調の変化にも注意してください。ここでは、マダニに刺された際の対応方法を流れに沿って解説します。

① 無理にマダニを引き抜かない
マダニは、吸血を始めると数日~10日ほど皮膚にしっかり口器を刺し込み、満腹になるまで離れません。途中で無理に引き抜こうとすると口器が皮膚内に残り、化膿や感染症のリスクを高めます。仮に、自分でピンセットなどを使って取り除けたとしても、安心せず必ず医療機関の受診が必要です。除去の確認や傷の消毒を受けましょう。専門的な処置をおこなうことで、重症化を防ぎます。

② すぐに外科や救急科・皮膚科で処置してもらう
マダニは皮膚に食い込むため、自力での除去は困難です。無理に取ろうとすると、口器が残って感染症の原因になります。そのため、見つけたら速やかに外科や救急科、皮膚科で処置を受けましょう。場合によっては、局所麻酔下で皮膚ごと切除することもあります。除去した虫体は診断に役立つ可能性があるため、捨てずに医師に提示しましょう。特に、高齢者や基礎疾患のある方は重症化リスクが高いので、症状がなくても受診や相談が大切です。

③ 体調の変化に気を付ける
マダニに刺されても、しばらく症状が出ないことがあります。しかし、潜伏期間を経てから、発熱や頭痛、倦怠感、下痢、発疹などが現れる場合があるでしょう。これらは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)やライム病、日本紅斑熱などの重篤な感染症のサインである可能性があります。刺されたという心当たりがある場合は、数週間は体調をよく観察し、少しでも異常を感じたら早めに医療機関を受診してください。

野外活動の後にマダニに刺された可能性がある場合は、血液検査や画像検査で感染症の有無の確認が可能です。症状が軽くても、検査で早期発見できれば重症化を防げます。疑わしい時は、医師に「マダニに刺された可能性がある」と伝えることが重要です。

マダニの対策についてよくある質問

マダニについてよくある質問についてお答えします
マダニについてよくある質問についてお答えします

ここでは、マダニに関するよくある質問をまとめました。マダニの生息環境や特徴、刺されないための予防方法、刺された際にどう行動すべきかといった内容を整理しています。登山やキャンプなどのアウトドアはもちろん、庭仕事や散歩といった日常生活の場面でも知っておくと安心です。

マダニはどのような場所にいる?

マダニは特別な環境にいるように思われがちですが、実際には私たちの身近な場所にも広く分布しています。代表的なのは山林や草むら、農地やあぜ道です。特に、野生動物が頻繁に通る地域で発生しやすいといわれています。
都市部でも油断はできず、公園や河川敷、さらに住宅の裏庭や庭木などでも確認されています。人やペットが利用する空間に潜んでいる可能性があるため、外出や散歩の際には常に意識しておくことが大切です。

マダニの特徴は?

マダニはダニの仲間ですが、3mm~10mmほどと肉眼で容易に確認できるほどの大きさです。吸血すると、数倍にも膨らむのが大きな特徴です。また、吸血の際には麻酔作用をもつ唾液を分泌するので、刺されてもすぐには気づきにくいのが厄介です。その間に皮膚へ口器を差し込み、数日間にわたり吸血を続けます。さらに、一部のマダニは感染症を媒介する可能性があるため、放置すると重症化する危険もあるので注意してください。

マダニに刺されないための対策は?

マダニを防ぐには、まず肌の露出を減らすことが基本です。長袖や長ズボンの着用に加え、帽子や手袋を身につけることで、噛まれるリスクを大幅に減らせます。さらに、市販の虫よけ剤を正しく使うと予防効果が高まります。アウトドアや草むらを歩いたあとは、できるだけ早くシャワーを浴び、衣服や体にマダニが付着していないかていねいに確認しましょう。ペットと一緒に暮らしている場合は、散歩後に皮膚や毛並みのチェックが重要です。このような積み重ねが、家庭にマダニを持ち込まないための有効な手段となります。

マダニに刺されたらどうする?

万が一マダニに刺されてしまっても、焦って無理に引き抜かないようにしましょう。なぜなら、口器が皮膚内に残り、炎症や感染を引き起こすリスクがあるためです。自己処理は避け、必ず皮膚科や救急外来を受診し、医師の手で安全に除去してもらってください。また、処置が終わったあとも安心はできません。数週間は体調の変化を観察する必要があります。発熱や倦怠感、頭痛などの症状が出た場合は、重篤な感染症の可能性も否めません。早めの対応が、重症化を防ぐポイントです。

まとめ

マダニは、山林や草むらだけでなく裏庭や畑など身近な環境にも潜み、人やペットに寄生して吸血します。例えば散歩中にペットに取りつき、そのまま家に持ち込まれるケースもあるため注意が必要です。マダニは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)やライム病、日本紅斑熱などの感染症を媒介する危険があるので、長袖や長ズボンの着用、虫よけ剤での予防、帰宅後の入浴や衣類、ペットのチェックが欠かせません。刺されたら無理に除去せず、必ず医療機関を受診して体調の変化も観察しましょう。

執筆者

西嶋 治美

心理教育学科を卒業後、約10年間金融機関にて従事。2016年よりライター活動を開始。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦。

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