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ウォークインクローゼットとは?クローゼットとの違いは?メリット・デメリットを解説

物件の間取り図や設備・サービスのところに「ウォークインクローゼット」や「WIC」の文字を見つけて、何なのか疑問に思った人はいないでしょうか。「WIC」はウォークインクローゼットの頭文字をとったもの。収納であることはなんとなく予想できますが、クローゼットや押入れとはどう違うのでしょう。本記事で、ウォークインクローゼットの魅力をご紹介します。

ウォークインクローゼット(WIC)とは?

「WIC」は「walk-in closet」の略。ウォークインとは「歩いて入れる」という意味で、ウォークインクローゼットは中に入って荷物をしまったり、取り出したりできるくらい広さのある収納空間をいいます。昔の日本人の多くは和室に布団を敷いて寝ていたため、押入れは布団をたたんでしまえる奥行き(80〜90cm程度)が基準になっていました。しかし、ベッドでの生活が増えた現代では、押入れの奥行きの深さはかえって使い勝手が悪く、スーツやコートなどを掛けて収納するのに便利な奥行き(60cm程度)が基準のクローゼットが多く普及しています。ウォークインクローゼットは2〜4畳ほどの広さがあり、モノの増えた現代人の生活にマッチしたユニット収納です。

通常のクローゼットとの違いは?

クローゼットとウォークインクローゼットの違いは、奥行きと広さです。クローゼットは掛ける収納をメインとしているため、多くの場合は服の肩幅に合わせて奥行きが60cm程度のものがほとんどです。整然とハンガーに掛けた洋服は見やすく取り出しやすい、無駄なスペースがない収納です。下部に衣装ケースなどの収納アイテムを配置することで、下着などの小物類をたたんで収納でき、一人暮らしで洋服があまり多くない人にぴったりです。

クローゼットは奥行きが限られているため、大きな荷物が置けない、収納量が少ないなどの欠点があります。そこで、クローゼットでは収納しきれないスーツケースなどの大きな荷物もまとめて収納したい、洋服をたくさん収納したいという需要に応えるべく登場したのがウォークインクローゼットです。ウォークインクローゼットは、いわば小さな衣装部屋。洋服をはじめとしたファッション関連のグッズを見やすく、取り出しやすく、機能的に収納できます。もちろん、衣服やファッション雑貨以外のものも機能的に収納することが可能です。

ウォークインクローゼットには種類がある

ウォークインクローゼットは、いわば洋服収納のユニット。手持ちのアイテムの種類や量などによって使い勝手のよいものを選ぶのが、ストレスのない収納への近道です。ここでは、収納方法とレイアウトに分けて人気のタイプをご紹介します。

3つの収納タイプ

ウォークインクローゼットの収納タイプは大きく3つ。あなたにとって、使い勝手がよさそうなのはどれでしょうか?

ハンガーメインタイプ

ハンガーメインのタイプは、洋服を畳んでしまうのが面倒くさい人にぴったり。洗濯して干したハンガーのまま掛けられるので、家事の時短にもなります。色別や着丈別に分けると見やすく、まるでショップのようにどこに何があるのかがパッとわかります。
デメリットとしては、ハンガーの数がたくさん必要なことと、畳んで収納するタイプに比べて収納量が減ってしまうこと。あまりキチキチに詰めて掛けると取り出しにくくなり、さらに風通しが悪くなるので湿気や虫食いの原因になります。ハンガーとハンガーの間は1cm程度の隙間を確保するといいでしょう。

全面収納棚タイプ

全面収納棚タイプは衣服を畳んでしまうタイプの収納なので、収納量が増えます。また、可動式の棚板に靴やバッグなどを置いて見せる収納ができ、スニーカーショップのようなレイアウトを作ることも。コレクターの人にとってはたまらない空間になりそうです。棚板が動かせるので、スーツケースなどかさばるものもスッキリと収納できます。乾燥機付き洗濯機を使っている場合は、ハンガーに吊るすよりも畳むほうが時短になる場合もあるでしょう。

ユニット棚タイプ

ユニットタイプは、ハンガーと収納棚を組み合わせたもの。例えば半分はハンガーメインで掛ける収納にして、半分は棚にして畳んで収納するなど手持ちのファッションアイテムの種類に合わせ、バランスよく組み合わせられます。丈の長いロングコートやワンピースなどは掛ける収納にし、Tシャツなど畳みやすいアイテムは棚にしまうなど、工夫次第で機能的にたっぷり収納できるでしょう。

4つのレイアウトタイプ

内部の広いウォークインクローゼットは、歩けるスペースがある点がポイント。レイアウトの種類は、一般的なもので次の4種類があります。

I型

I型は従来のクローゼットに一番近い、壁の一面のみが収納スペースになるレイアウト。パッと見渡せて、荷物が把握しやすいのが魅力です。あまりクローゼットと違わないように思うかもしれませんが、奥行きがあるため布団を畳んで収納することもできます。よく泊まりの来客がある人や、布団で寝ている人におすすめです。

II型 

II型は、左右の壁二面が収納スペースになります。いわば、通路を挟んでクローゼットが対面しているイメージ。左右に必要なものを振り分け、便利に使えます。両側にハンガーパイプや棚のスペースがありますので、それなりの広さが必要になりますが、左右で掛ける収納と畳む収納を区分するなど、使い勝手のよいレイアウトといえるでしょう。

L型

L型は、I型の次に省スペースで実現できるウォークインクローゼットのレイアウトです。例えば長辺は、パイプハンガーにしてコートやワンピースなど丈の長いものを掛けて収納し、短辺部分は収納棚にしてTシャツなどを畳んで収納したり、カバンや帽子などを収納したりします。

コの字型

コの字のレイアウトは、壁三面が収納スペースになります。広さがある分だけ収納力が高く、「衣装部屋」のイメージにもっとも近いレイアウトではないでしょうか。広いので自由度も高く、ファッションアイテム以外に使わない季節家電なども収納できそうです。

ウォークインクローゼットのメリット

収納スペースが広い

一般的なクローゼットと比べてスペースが広いため、衣類だけでなくバッグや靴、帽子なども一緒に収納できます。広いウォークインクローゼットであれば、スーツケースやゴルフバッグ、キャンプグッズなどの大きな荷物もまとめて収納可能。衣替えのたびに洋服を奥にしまい込む必要がなく、1カ所にまとめて置いておけます。そのため、季節の変わり目に衣替えをする手間もありません。

収納物の管理がしやすい

収納するためだけの空間なので、居住空間との住み分けができて部屋全体がすっきりとします。また、機能的に収納しやすく、どこに何があるかがわかりやすいでしょう。広さがある分、市販の収納グッズなどを組み合わせて使い勝手よく収納できます。

ウォークインクローゼット内で着替えられる

広さが十分にあるウォークインクローゼットであれば、中で着替えをすることもできます。例えばレイアウト「II型」のクローゼットなら、奥の壁に鏡を備えつければ自宅にフィッティングルームがあるようなイメージで活用できそうです。

衣替えの手間が省ける

押し入れやクローゼットの場合、手の届きやすい場所にシーズンの服を置き、オフシーズンのものは取り出しにくい奥にしまいこむことが多いでしょう。しかし、ウォークインクローゼットであれば季節関係なく、1年分の洋服を一度に収納することが可能です。手持ちの服をすべて把握できるので、うっかり同じような服を買ってしまうこともなくなります。

ウォークインクローゼットのデメリット

広いスペースが必要

ウォークインクローゼットを設けるには、物理的に広いスペースが必要です。機能的なウォークインクローゼットにするためには、最低でも2畳以上のスペースが必要といわれています。そのため、必然的に面積の広い物件を探すことになるでしょう。

ものが増えがち

収納スペースがあるほど、ついモノが増えがちです。機能的な収納を目的に設計されているウォークインクローゼットですが、使う人次第でモノが溢れて、押し入れと変わらない状態になる可能性もあります。必ずウォークインできるスペースを確保して、しまいやすい、取り出しやすい収納を心がけましょう。

荷物が少ない人にとってはデッドスペースとなることも

ウォークインクローゼット付きの物件は、収納スペースが増えるのに比例して住空間は少なくなります。そのため、ミニマリストでモノの量が少ない人には不要な設備かもしれません。

定期的な掃除や空調管理が必要

通常は扉を閉ざしている場所なので、空気が循環せずに湿気がこもりがち。衣類が多いのでホコリも溜まります。定期的に掃除して、空気を入れ替ましょう。

狭いウォークインクローゼットは使い勝手が悪い

名前はウォークインクローゼットとなっていても、人が1人入れるだけで歩くほどのスペースのないウォークインクローゼットもあります。こうした場合はデッドスペースが生まれやすく、使い勝手が悪いという声も少なくありません。2畳以下のウォークインクローゼットであれば、クローゼットと押し入れを組み合わせる、あるいは幅広いクローゼットのほうが住空間も広がって収納も楽かもしれません。

ウォークインクローゼットのメリットとデメリットをお伝えしました。自分のライフスタイルや荷物の種類や量などを振り返りながら、どのタイプの収納が自分にとって一番理想的か想像してみましょう。

続いて、具体的なウォークインクローゼットの広さについてご紹介します。

ウォークインクローゼットの帖数はどれくらいがおすすめ?

ウォークインクローゼットにはある程度の広さが必要なこと、ウォークインクローゼットの面積によってできるレイアウトが変わってくることなどをお伝えしました。ここでは、ウォークインクローゼットのおすすめサイズについてご紹介します。荷物の量によって適したサイズは異なりますが、ぜひ参考にしてください。

2帖は夫婦2人におすすめ

2帖は畳2枚分。畳2枚の面積はおよそ3.2平方メートルですので、奥行き1.8mとすると、幅約1.8mです。左右にハンガーパイプを設置した「II型」のレイアウトを採用した場合、通路60cm、左右に幅1.8mのパイプハンガー(奥行き60cmを想定)を設置できます。極端に洋服をたくさん持っている場合を除き、この程度の空間があれば2人分の衣類やファッションアイテムは無理なく収納できるのではないでしょうか。

3帖は一般的な4人家族におすすめ

3帖の面積は4.8平方メートル。例えば奥行き1.8m、幅約2.7mの「II型」のレイアウトをとることもできますし、奥行き2mで幅2.4mの「コの字」のレイアウトにすることもできます。広さの分だけレイアウトの自由度も増し、例えば4人家族でも衣類やファッションアイテムをすっきりと収納できそうです。

4帖は収納するものが多いご家庭におすすめ

4帖になると6.4平方メートル。入口部分を除く壁4面すべてを収納スペースにするレイアウト、幅または奥行きがかなり長いコレクター部屋のようなレイアウトにすることもできます。収納するものがとにかく多い、着替えやランドリールームを兼ねたスペースにしたいといった場合におすすめです。間取りや家族構成によっては、2帖タイプが2個あるのもよいかもしれません。

まとめ

ウォークインクローゼットについて、さまざまなメリット・デメリットをご紹介しました。ウォークインクローゼットの広さやレイアウトによってさまざまな特徴がありますので、自分や家族のライフスタイルに適したウォークインクローゼットを選び、新生活をよりよいものにしてくださいね。

執筆者

小西尋子

京都ライター事務所

京都市内を拠点にフリーランスの編集ライターとして活動。大学卒業後、出版・広告業界に20年以上携わる。間取りを見ながら引越しを妄想するのが趣味。レトロ物件好きで、取り壊しのために2度の立ち退き経験あり。宅建士の資格取得に向けて勉強中。

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