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マンションのベランダに物置を設置していい?ダメな理由とものを置く際の注意点を解説

マンションのベランダに物置を設置していい?ダメな理由とものを置く際の注意点を解説
室内の収納スペースで困った時、「ベランダが使えたら便利かも」と考えることもあるでしょう。洗濯物を干す以外の用途がなく、ベランダをデッドスペースのように感じてしまうこともあるでしょう。そこで物置を設けることでベランダを有効活用できたら、部屋もすっきりできて収納問題も解決しそうですよね。とはいえマンションのベランダは、入居者全員で共有する共用部に該当します。各部屋に住む個人ごとで、完全に自由な状態で使うことはできません。物置をはじめ、ベランダに設置できるアイテムにも限りがあります。本記事では物置をはじめ、マンションのベランダに関する知っておきたい基本的なルールを解説していきます。

マンションのベランダに物置を設置してもいい?

マンションのベランダに物置を設置してもいいのでしょうか
マンションのベランダに物置を設置してもいいのでしょうか

そもそもの結論として、マンションのベランダに物置を設置するのはNG。さまざまなルールや危険性から、各物件の管理規約で、物置の設置禁止を明記しているのが一般的です。なかには物置ではなく小さなコンテナボックス程度であれば、物件によっては許可される可能性もありますが、強風で吹き飛ぶなどのリスクを考えるなら避けたほうが無難。基本的にマンションのベランダは、収納として使うのは難しいと考えておきましょう。

物置の設置可否は法律で決められている?

大前提としてマンションのような建物では、火災や地震などの災害時に向けて、2つの異なる方向での避難経路を確保しなければならない法律上の規定があります(建築基準法施行令)。そこでマンションでは、通常の階段に加えて、ベランダによって避難経路を設けるのが法的な原則とされています。なおかつ消防法ではマンションのベランダなどの避難経路において、通路の妨げになる物品を置かないように、各物件で管理しなければならないとしています。

このような法的な観点や防災上の目的から、各物件のマンション管理規約にて、「避難経路となるベランダでは物置の設置禁止」としているのが通常。あくまで物件ごとのルールなので、「マンションのベランダに物置を置いてはならない」といった明確な法規制ではありませんが、法律上の理由から各物品の設置が制限されています。

「蹴破り戸」とは?

マンションのベランダで各部屋を仕切るパーテーションには、「蹴破り戸」が設置されています。この「蹴破り戸」は、ベランダを伝って、建物外に脱出できる避難はしごなどに移動するための防災設備です。「蹴破り戸」は足で破れる仕組みになっており、部屋ごとの仕切りを通り抜けて避難できるようにされています。そのため特に「蹴破り戸」付近は、避難経路として確保できるように、空間を空けておく必要があります。

マンションのベランダに物置を設置してはいけない理由

マンションのベランダに物置を設置してはいけない理由を解説します
マンションのベランダに物置を設置してはいけない理由を解説します

マンションのベランダに物置を設置できない理由としては、先ほども出てきた法律にともなう規定だけでなく、次のように安全な生活を守る目的もあります。

避難経路の妨げ

前述にもあるように、物置のような大型品をベランダに置いてしまうと、避難経路を塞ぐことになってしまいます。地震や火災などの災害時は、何よりもまずは迅速に避難しなければなりません。こうした際に、物置があって避難経路を妨げてしまうと、人身事故につながってしまう危険性も。さらに避難経路を確保できずに事故が起きてしまった場合、そのベランダを使っている入居者に責任が問われることになるため、必ずルールを守って使用するようにしましょう。

共用部としての制限

各物件では安全上の目的から、マンションの管理規約で、ベランダへの物置設置を禁止しているのが一般的です。分譲マンションであっても、ベランダは各部屋で所有できるわけではなく、廊下やエレベーターなどと同じ共用部に当たります。いわばベランダは物件入居者全員の所有物となるので、使用方法も、建物全体としてのルールにしたがわなければなりません。もし管理規約を守らないようであれば、組合からの撤去命令が出される可能性もあります。

維持管理・修繕の妨げ

マンションでは、建物のメンテナンスとして、防水補強や塗装などの維持管理・修繕が定期的に実施されます。こうした維持管理・修繕をおこなう際には、ベランダに物品があると作業ができないため、別の場所に移動させるのが通常です。そこで物置のような重量物を置いてしまうと、移動させるのが難しくなってしまいます。また建物の維持管理・修繕ができない状況になると、適切なメンテナンスがされずに資産価値が下がるなど、入居者全員に大きな影響を与えてしまう可能性もあるので注意が必要です。

落下・飛散事故のリスク

たとえ重量のある物置でも、台風などの強風により、落下・飛散事故が起きてしまう危険性があります。場合によっては、物置の中身が飛び散って近隣の住戸に入り込んだり、窓ガラスに当たって割ってしまったりなどの被害を広げてしまう可能性も。ご近所の方々に多大な迷惑をかけるうえに、落下・飛散事故の責任として損害賠償に発展するリスクもあり、やはり安全のためにもベランダに物置を置くのは避けたほうが無難です。

住民トラブル

大きな物置の場合、例えば屋根に溜まった雨水が隣の住戸にまで伝ってしまうなど、住民トラブルの原因になる可能性も少なからずあります。自然災害などの非常時だけでなく、物置を設置したことで、日常生活のなかで迷惑をかけてしまうケースも想定されます。ご近所の方々との関係性を保つ意味でも、ベランダの使い方には十分な配慮が必要です。

他にも要注意!ベランダに置きがちな要注意なもの

ベランダに置きがちな要注意なものについて解説します
ベランダに置きがちな要注意なものについて解説します

大前提として、ベランダは収納・保管を想定した場所ではないため、物品を置く場所にはしないのが基本です。もちろん何かしらの物品を置くことはできますが、各物件によってルールには違いがあるので、まずはご自身のマンションの管理規約を確認してみましょう。なお管理規約で設置が禁止されやすい物品の例としては、次のようなものが挙げられます。

避難経路を妨げるもの

  • 自転車:床・壁・手すりなどへのサビ移りの原因にもなりやすい
  • 洗濯機:専用の排水設備がないと水漏れする可能性あり(備え付けの設置場所がある場合のみ可)
  • 大型家具:建物メンテナンス時の移動・一時保管が困難になりやすい
  • ペットケージ:特に外飼いは抜け毛や鳴き声などで近所迷惑になりやすいためNG

上記のものは、いずれも避難経路をふさいでしまいやすいうえに、強風による落下・飛散事故のリスクも高いので注意が必要。なお洗濯機のみ、避難経路を考慮した専用の設置場所が備え付けられていることもあり、その場合に限っては置くことができます。

火気を使うもの

  • BBQコンロ・焚き火台:煙・におい・騒音などで近所迷惑になりやすく、ベランダでの火気の取り扱いはNG
  • タバコ・灰皿:煙・におい・灰の飛び散りなどで近所迷惑になりやすく、そもそも喫煙NGとなっているのが一般的

上記のように火気をともなうものは、火災の原因にもなりかねないため、たとえ管理規約にはなくても避けたほうがよいでしょう。場合によっては、使用後の炭や吸い殻などの火の不始末から発火するケースもあり、BBQ用品・灰皿だけでもNGです。また、BBQをしたりタバコを吸ったりなどは、近隣の住民トラブルを引き起こす可能性が高く、周囲へのエチケットとして火気の使用はしないようにしましょう。

水を使うもの

プール:近隣への水漏れの他、使用後の落下・飛散や水を張った状態だと虫が湧く可能性あり

マンションのベランダには、雨水を流す排水設備はありますが、特に大量の水を取り扱う際には注意が必要。あくまで雨水用なので、一気にたくさんの水を流してしまうとうまく処理ができず、隣の部屋や下の階まで漏れてしまう危険性があります。場合によっては下の階が水浸しになるケースもあり、プールだけでなく、ホースでの洗浄などベランダの掃除の仕方にも注意が必要。もちろんベランダでプールの水は流せませんし、水遊び中の騒音や水漏れによる住民トラブルにもなりかねないため、基本的には避けたほうがよいでしょう。

ゴミ・不衛生物

ゴミや不衛生物は、場合によっては悪臭や虫の発生源にもなりやすいため、屋外のベランダに置くのは避けたほうが無難。また処分しきれない粗大ゴミなど、ベランダに保管したい場合もあるかもしれませんが、あまり長期間で置いておくのはNGです。自然災害時などの緊急事態で、避難経路をふさいでしまう可能性があるうえに、落下・飛散事故が起きるリスクもあります。またタイヤをはじめ、可燃ゴミ・段ボール・紙類などは、火災で引火しやすい危険もあるため、万が一に備えてベランダに放置するのはやめておきましょう。

危険物

ガスボンベ、スプレー缶:容器の劣化によるガス漏れや、夏場の高温での爆発の危険あり
灯油:直射日光や高温による引火の危険あり

上記の危険物は、いずれも火気を発する危険性が高く、必ず室内で保管するようにします。火災時に被害が大きくなる可能性があるうえに、気温上昇の激しい夏場には、屋外のベランダに置いておくだけで発火するリスクも考えられます。ちなみに灯油は、あまり長期間使用しないと酸化してしまい、燃焼不良にもなりやすいため要注意。使わなくなったガスボンベ・スプレー缶・灯油は、すべて各地域のルールに沿った正しい方法で、早めに処分するようにしましょう。

注意・工夫をすればベランダに置いてもよいもの

工夫をすればベランダに置いてもよいものについて解説します
工夫をすればベランダに置いてもよいものについて解説します

あくまでマンションの管理規約によりますが、なかにはベランダに置いてもさほど問題ないアイテムもあります。場合によっては、元から備え付けられているものもあり、当然ながらそのままベランダに置いておいて問題ありません。各物件のルールに沿っていて、なおかつ安全面にも配慮できていれば、次のようなものはベランダに保管できる可能性があります。

  • 物干し竿:一般的なマンションでは竿置きが備え付けられているため可。物干しスタンドを置く場合には、避難経路をふさがないように設置
  • エアコン室外機:備え付けの場合はそのままで可。新しく取り付ける際には、物件ごとのルールに沿って避難経路の妨げにならないように設置
  • プランター:小さな植木鉢くらいなら可。大きな観葉植物なら蹴破り戸からは離れた場所で、なおかつ避難経路をふさがないように設置(ガーデニングフェンスや花壇などによる造園はNG)
  • ウッドデッキ:管理組合からの許可があり、なおかつ固定できれば可。蹴破り戸と避難はしご口を避けて設置
  • テーブル・椅子:避難経路をふさがない設置方法ができれば可。ただし強風による落下・飛散事故防止のため、天候に応じて室内に片付けるなどの対策が必須
  • 防災用品:避難経路をふさがない設置方法ができれば可。悪天候時などの必要に応じて室内へ
  • スポーツ用具やレジャー用品:避難経路をふさがない設置方法ができれば可。ただし悪天候時などの必要に応じて、室内や玄関に置けるものが基本(落下・飛散事故防止)

いずれも避難経路を十分に確保できて、なおかつ他の住戸に入り込むなどの危険を防ぐ工夫がされていれば、ベランダに置いても比較的安全です。もちろんベランダに置く際には、周りの住宅への配慮も忘れずに注意しておきましょう。

大規模修繕工事の際はベランダの私物の撤去が必要

大規模修繕工事の際はベランダの私物の撤去が必要です
大規模修繕工事の際はベランダの私物の撤去が必要です

マンションのベランダでは、例えば床の防水工事など、大規模なメンテナンスがおこなわれます。こうした大きな工事の際には、ベランダに置いている荷物は、基本的には別の場所に移動させなければなりません。ウッドデッキをはじめ、大型品も室内などに撤去する必要があり、あまりに私物が多いとその準備に手間がかかってしまう可能性も。もし自宅に置ききれないようであれば、場合によってはトランクルームやレンタルボックスなどに預けなければならないケースもあり、費用もかかってきてしまいます。マンションのベランダに荷物を置きたい時には、こうした大規模修繕工事にともなう設置物の移動が発生することも考慮しておきましょう。

規約に関わらずベランダに大きなものを置かない

マンションのベランダは、住居者個人の専有部ではなく共用部です
マンションのベランダは、住居者個人の専有部ではなく共用部です

マンションのベランダは、住居者個人の専有部ではなく共用部であり、なおかつ緊急事態に向けた避難経路となります。なおかつ大規模修繕工事にともない、荷物を移動させるタイミングが出てくることもあるので、室外機などの設置せざるを得ないものを除いて、あまり大きなものは置かないのが基本。物置をはじめとした大型品は、管理規約に関係なく、マンションのベランダには設置しないのが無難です。

まとめ

では最後に、マンションのベランダにおける物置の取り扱いについて、重要なポイントをQ&A方式でまとめていきます。

マンションのベランダに物置を設置してもいい?

マンションのベランダでは、災害時における避難経路の確保などの安全面から、管理規約にて物置を置くのを禁止している場合が一般的です。またマンションのベランダに物置を設置するのは、さまざまなリスクをともなうため、管理規約に関わらず避けるようにしましょう。

マンションのベランダに物置を設置してはいけない理由は?

マンションのベランダに物置を置くと、避難経路や大規模修繕工事の妨げになるうえに、強風による他の住戸への落下・飛散の危険がともないます。人身事故や住民トラブルのリスクにもなりやすいため、マンションのベランダに物置を置くのはNG。また管理規約に背いて物置を設置すると、撤去命令が下される可能性もあります。

ベランダに置きがちな要注意なものは?

広いベランダがあると、自転車・大型家具・ペットケージなどを置きたくなるかもしれませんが、いずれも避難経路の妨げになりやすいためNGです。なお洗濯機のみ、専用の設置場所があるケースに限ってOKです。また火気をともなうもの(BBQコンロ・焚き火台・灰皿・ガスボンベ・スプレー缶・灯油)も、火災の原因になる危険性もあるため設置は避けましょう。ゴミ・不衛生物やプールも、住民トラブルにつながる可能性があり、ベランダには置かないほうが無難です。

ベランダはデッドスペースになりやすく、物置を置いて収納に活用したい場合も出てくるかもしれませんが、安全確保や住民トラブル防止のために設置しないのが鉄則。大前提として、マンションの管理規約で物置の設置が禁止されている場合がほとんどです。また管理規約で禁止されていなくても、マンションのベランダでは物置を使わないほうが、大きな事故や問題につながらずに済みます。さらに物置だけでなく、マンションのベランダには大きなものを置かないのがベスト。マンションでは、基本的にはご自宅の専有部だけで荷物を収納する想定にしておきましょう。

執筆者

たけなつ

2019年よりフリーで活動しているWebライター。 広告会社でのコピーライターを経て、現在は幅広いジャンルのコラム記事などを執筆。 愛知・東京・北海道と各地を渡り歩き、19歳からの10年で7回引越しを繰り返す好奇心旺盛人。

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