住宅ローンを他のローンと一本化する方法は?おまとめローンについて解説

今回は、おまとめローンとは何か、おまとめローンのメリット・デメリットを解説します。ご自身がおまとめローンを利用した方がいいのか、記事を参考に考えてみてください。
記事の目次
住宅ローンは他のローンとまとめられる?

住宅ローンを組む前に、すでに車のローンやカードローンを利用している方もいるでしょう。複数の借り入れがある場合、毎月の返済負担が重くなるだけでなく、利息の支払総額も大きくなります。そうなると少しでも負担を減らしたいと思いますよね。しかし住宅ローンと他の借り入れをまとめることは可能なのでしょうか。
住宅ローンに他のローンをまとめることは原則できない
原則として、住宅ローンに他のローンをまとめることはできません。住宅ローンをはじめ、マイカーローンや教育ローンなどは、利用目的が決められています。目的以外のことで借り入れたお金を使うことは契約違反となり、住宅ローンの一括返済を求められる可能性もあります。
また、住宅ローンは購入する住宅を担保として借り入れます。住宅ローンのみの場合、万一返済が滞っても、住宅を売却してローンを返済できます。しかし、他のローンもまとめてしまうと、万一返済が滞ってしまった場合、住宅以外に担保とするものがなく、返済ができません。金融機関側からすると、住宅ローンを他のローンにまとめることで、住宅以外の担保がなく、借り入れ金額も増えて貸し倒れの可能性が高まるため、メリットがありません。住宅ローンに他のローンをまとめることは、原則できないと理解しておきましょう。
おまとめローンなら住宅ローンを組み込める可能性がある
ただし、おまとめローンなら住宅ローンを組み込める可能性があります。まず、おまとめローンとは何なのかを解説します。
おまとめローンとは、その名のとおり、複数の借り入れを一本化するローンのことです。おまとめローンで借り入れたお金で、それまで借り入れていたローンを返済し、一つにまとめます。しかし、すべての金融機関で住宅ローンを組み込めるわけではありません。住宅ローンもまとめることができるかは、利用する金融機関の規定をよく確認しましょう。
おまとめローンで住宅ローンとまとめられるもの

金融機関によって異なりますが、おまとめローンを利用して、住宅ローンと他のローンをまとめることができます。本章では、まとめられる4つのローンをご紹介します。
- マイカーローン
- 教育ローン
- フリーローン
- カードローン
住宅ローン以外の借り入れがある場合には、おまとめローンを利用できるかの参考にしてください。
マイカーローン
おまとめローンでまとめられるものに、マイカーローンがあります。マイカーローンは、自動車を購入する際に利用するローンのことです。自動車は車種やブランドによって、価格が異なります。マイカーローンを利用することで、購入代金を分割で支払うことができます。
教育ローン
教育ローンは子どもの教育費や学費をまかなうためのローンです。国による公的ローンと金融機関による民間のローンがあります。教育ローンは保護者が返済するため、子どもに負担をかけずに済む点が魅力です。同じく学費をまかなうものとして奨学金もありますが、子どもが返済する必要があり、子どもの学力だけでなく、収入や資産など家計の基準が厳しくなっています。そして、公的ローンは世帯年収による上限がありますが、民間の場合はありません。安定した収入があれば、借り入れが可能です。
フリーローン
フリーローンとは、さまざまな目的に利用できるローンのことです。自由に使うことができますが、何に使用するのか目的を申告しなければならない場合もあります。また、基本的に事業や投資目的で借り入れることはできません。さらに、借り入れることができるのは1回のみです。追加で借り入れが必要な時には、再度申し込む必要があります。
カードローン
カードローンとは、クレジットカード会社や金融機関から借り入れるローンのことです。ローン専用カードやキャッシュカードを利用するため、ATMで引き出したり、インターネット上で口座へ借り入れたりすることができます。利用目的は問われないため、借り入れたお金を自由に使えます。また、契約時に決められた限度額の範囲内であれば、何回でも借り入れができるのも特徴です。
住宅ローンをおまとめローンに組み込むメリット

住宅ローンをおまとめローンに組み込むメリットとして、次の2つが挙げられます。
- 返済計画が立てやすい
- 毎月の返済額を抑えられる可能性がある
メリットを理解すると、より効果的なお金の管理や返済計画を立てる手助けとなるでしょう。
返済計画が立てやすくなる
住宅ローンをおまとめローンに組み込むことで、返済計画が立てやすくなります。ローンが複数あると、返済日が分かれ、お金の管理が複雑になります。それにより、支払いを見逃し延滞してしまう可能性もあります。一本化するとお金の管理が楽になり、延滞を防ぎ、返済がスムーズに進むでしょう。
毎月の返済額を抑えられる可能性がある
おまとめローンを利用すると、毎月の返済額が抑えられる可能性があります。住宅ローンの返済期間は何十年と長期に渡る傾向があります。住宅ローンの返済期間に合わせて他のローンも返済するため、単独のローンで組んだ時よりも返済期間が長くなり、その分返済額が低くなります。例えば、JAバンク熊本のおまとめローンでは、次のようにシミュレーションされています。
それぞれ単独で借り入れた場合
借入額 | 借入期間 | 金利 | 返済方法 | 月々返済額 | 月々返済総額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
住宅 ローン |
3,000万円 | 40年 | 1% | 元利均等返済 | 7万 5,856円 |
16万 2,795円 |
マイカー ローン |
300 万円 |
5年 | 1.6% | 5万 2,059円 |
||
教育 ローン |
200 万円 |
5年 | 1.8% | 3万 4,880円 |
まとめた場合
借入額 | 借入期間 | 金利 | 返済方法 | 月々返済額 | 軽減額 | |
---|---|---|---|---|---|---|
おまとめ ローン |
3,500万円 | 40年 | 1% | 元利均等返済 | 8万 8,499円 |
7万 4,296円 |
複数のローンを借り入れる場合と比べ、おまとめローンを利用すると月々の返済額が約半分以下に減るのがわかります。経済的、精神的にも負担が減るでしょう。
住宅ローンをおまとめローンに組み込むデメリット

おまとめローンでは住宅ローンを他の借り入れとまとめることができますが、注意すべきデメリットも存在します。具体的なデメリットは次の4つです。
- 審査が厳しくなる
- 金利が高くなる可能性がある
- 総返済額が増える可能性がある
- 利用できる金融機関が限られる
これらのデメリットを踏まえたうえで、おまとめローンを利用するか否か検討しましょう。
審査が厳しくなる
おまとめローンを利用するデメリットの1つ目は、審査が厳しくなることです。住宅は高額な買い物のため、個人の信用力や返済能力など、もともと審査が厳しい傾向にあります。おまとめローンでは、住宅ローン以外の借り入れも含めるため、借入額も増えます。そのため、より審査が厳しくなる傾向にあります。頭金を入れる、返せるローンは先に返すなどして、借入額を少しでも減らすと、審査もスムーズになるでしょう。
金利が高くなる可能性がある
おまとめローンを利用するデメリットの2つ目は、金利が高くなる可能性があることです。例えば、北日本銀行の「住宅ローンASUMOおまとめプラン」は、通常の住宅ローンの金利に0.2%上乗せされます。住宅ローンは他のローンと比べて、相対的に金利が低く設定されています。おまとめローンに切り替えることで金利が高くなってしまい、結果として総返済額が増える可能性があります。月々の返済額は減っても、金利が高くなり、総返済額が増える場合もあるため、必ずシミュレーションをしましょう。
利用できる金融機関が限られる
おまとめローンのデメリットの3つ目は、利用できる金融機関が限られることです。おまとめローンでは複数のローンを一本化できますが、住宅ローンを組み入れることができる金融機関は多くありません。
下記の金融機関では、住宅ローンを組み込めるおまとめローンを取り扱っています。
- 住信SBIネット銀行「住宅ローン(住宅ローンプラス)
- 日本住宅ローン株式会社「ザ・おまとめ」
- JAバンク兵庫「おまとめ住宅ローン」
- JAバンク熊本「おまとめ住宅ローン」
- 北日本銀行「住宅ローンASUMO おまとめプラン」
- トマト銀行「トマトおまとめ住宅ローン」
金融機関によっては、カードローンがおまとめの対象外となっているものがあります。何のローンをまとめられるのか、よく確認しておきましょう。
手数料がかかる
おまとめローンを利用するデメリットとして、手続きをする際に手数料がかかる点も挙げられます。金融機関によって異なり、借り入れ金額の1.1%や2.2%に相当する金額などとなっています。
例えば、おまとめローンで、住宅ローンが3,000万円、他のローンが500万円の借り入れを利用する場合、手数料1.1%の時は38万5,000円となります。2.2%の時は77万円です。大きな金額となるため、手数料を払ってでもおまとめローンを利用するか、よく検討しましょう。
住宅ローンをおまとめローンに一本化するためのポイント

おまとめローンをうまく活用するためのポイントを解説します。具体的には次の2つです。
- 借り入れている金利より低いものを選ぶ
- 毎月の返済額を下げすぎないようにする
上記のポイントを考慮することで、おまとめローンをより効果的に活用できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
借り入れている金利より低いものを選ぶ
おまとめローンを利用すると、金利が上がる可能性があります。金利が上がると総返済額も増えることから、金利は今借り入れているものよりも低いものを選ぶようにしましょう。事前に返済シミュレーションをし、返済額がどう変化するか確認することが大切です。
毎月の返済額を下げすぎないようにする
おまとめローンでは、月々の返済額を減らし、家計負担を軽くできます。しかし、返済額を下げすぎてしまうと、返済回数・期間が延び、総返済額が増えてしまいます。メリットを活かせるよう、返済金額を下げすぎないように設定しましょう。
まとめ
今回は、住宅ローンを他のローンとまとめられるかについて解説しました。おまとめローンを活用すると一本化できますが、利用できる金融機関が限られていたり、手数料がかかったりなど、デメリットもあります。
しかし、返済がまとめられる分、月々の返済額が抑えられ、返済計画が立てやすくなります。事前にシミュレーションをおこない、メリットを活かせるのかよく考えてから利用しましょう。

執筆者
民辻伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ