【2026年版】住宅ローン控除はどのように変わった?利用時の注意点と関連する住宅税制を解説
記事の目次
住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得・増改築した方の金銭的負担を軽減するため、所得税や住民税が控除される制度のこと。毎年末のローン残高の0.7%に相当する額が所得税や住民税から差し引かれる制度です。一定の要件を満たす住宅では、最長13年間の控除を受けられます。
さらに省エネ性能が高い家や安全な場所にある家など、国が推奨する基準を満たす住宅では、控除の対象となる借入限度額が優遇されます。制度を利用する際には、入居した翌年の2月16日~3月15日に確定申告をおこないましょう。確定申告により、払いすぎた税金が還付金となって手元に戻ってきます。なお、会社員であれば2年目以降は勤務先の年末調整で手続きが完結するため、手間を抑えながら長期的な家計のサポートを受けられます。
2026年以降の住宅ローン控除はどのような点が変わったか

2026年以降の住宅ローン控除ではどのような点が変更されたのでしょうか。本章では、今回の住宅ローン控除の概要を見てみましょう。
住宅ローン控除の限度額と控除期間
以下は、2026年以降の住宅ローン控除の限度額および、控除期間を示した表です。
| 2026年 | 2027年 | 2028年 | 2029年 | 2030年 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借 入 限 度 額 ・ 控 除 期 間 |
長期優良住宅・ 低炭素住宅 |
新築 | 4,500万円(5,000万円)×13年 | ||||
| 既存 | 3,500万円(4,500万円)×13年 | ||||||
| ZEH水準 省エネ住宅 |
新築 | 3,500万円(4,500万円)×13年 | |||||
| 既存 | 3,500万円(4,500万円)×13年 | ||||||
| 省エネ基準 適合住宅 |
新築 | 2,000万円(3,000万円)×13年 | 支給対象外 (ただし、2027年末までに建築確認証を受けたものなどは2,000万円×10年) |
||||
| 既存 | 2,000万円(3,000万円)×13年 | ||||||
| その他住宅 | 新築 | 支給対象外 | |||||
| 既存 | 2,000万円×10年 | ||||||
| 所得要件 | 2,000万円以下 | ||||||
| 床面積要件 | 40平方メートル以上(ただし所得1,000万円超の者および子育て世帯などへの上乗せ措置利用者は50平方メートル以上) | ||||||
| 立地要件 | (2028年以降入居分から)土砂災害などのレッドゾーンへの新築住宅は適用対象外(建て替え・既存住宅リフォームは適用対象) | ||||||
出典:国土交通省 住宅ローン減税等の住宅取得促進策に係る所要の措置(所得税等)
※借入限度額のカッコ内は、子育て世帯(19歳未満の子を有する世帯または、夫婦いずれかが40歳未満の世帯)に適用される借入限度額
※買取再販住宅は、新築住宅と同等の支援水準、リフォームの借り入れ限度額・控除期間は2,000万円、10年
※災害レッドゾーン:土砂災害特別警戒区域、地滑り防止区域、急傾斜崩壊危険雨域、浸水被害防止区域、災害危険区域(都市再生特別措置法に基づく勧告に従わないものとして公表の対象となった場合に限る)
2026年以降の住宅ローン控除改定の概要
2026年以降の住宅ローン控除の変更点は以下のとおりです。
制度が2030年末まで5年延長
今回の改定では、2025年末に期限を迎える予定だった適用期限が、2030年末まで5年間延長されました。背景には、住宅価格の高騰やカーボンニュートラルの実現、そして少子高齢化にともなう世帯規模の変化などがあります。政府は、誰もが豊かな生活を実現できるよう、既存住宅の利活用促進と省エネ性能の向上を強力に後押しする方針を打ち出しました。今回の延長は、これから住宅購入を検討する層にとって、中長期的な視点で資金計画を立てやすくなる内容でしょう。
中古住宅の控除期間が13年へ拡大
これまで、中古(既存)住宅の控除期間は原則、10年間でした。今回の改定では、2026年以降の入居分からは、省エネ性能などの要件を満たせば新築住宅と同じ13年間へと拡充されます。これは、既存住宅市場の活性化を狙った変更です。これまでは税制面のメリットから新築が選ばれやすい傾向にありましたが、この改正で「性能のよい中古住宅を購入して自分好みにリノベーションする」選択肢を選びやすくなるでしょう。長期間にわたる控除は、住宅ローンの月々の返済負担を軽減する大きな力となり、中古住宅を選択するハードルを下げる効果が期待されています。
子育て・若者夫婦世帯への優遇
深刻な少子化への対策のため、子育て世帯や若者夫婦世帯に対する優遇措置が継続・強化されています。19歳未満の子を持つ世帯や、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯が対象で、借入限度額が通常の枠に1,000万円上乗せされる設定です。例えば、新築の長期優良住宅や低炭素住宅なら5,000万円まで控除対象となります。昨今の建築コストや地価の上昇により、若い世代が希望の住まいを手に入れるのは簡単ではありません。この上乗せ措置は、現役世代の住宅取得を強力にサポートし、ライフステージに合わせた柔軟な住居確保を助けるものになるでしょう。
省エネ性能と安全性の基準を厳格化
改定では、環境性能と防災面での基準がより厳格になりました。2050年のカーボンニュートラル実現を見据え、省エネ基準に満たない住宅は2028年以降、控除の対象外となります。また、安全性の観点から災害危険区域などで新築される住宅(建て替えを除く)も、2028年以降は適用対象外となる方針です。これから家を建てる際には、将来的な資産価値や安全性を守るためにも、高い性能基準をクリアした住宅を選ぶ必要があるでしょう。
床面積要件の緩和と利便性の向上
多様なライフスタイルに対応するため、床面積の下限を50平方メートルから40平方メートルへと引き下げる緩和措置は継続されます。さらに、今回の改定で新築だけでなく中古住宅にも対象が拡大されました。そのため、都心部のコンパクトマンションなどを購入する場合にも、住宅ローン控除の恩恵を受けやすくなるでしょう。また、所得税で控除しきれなかった分を翌年の住民税から9.75万円まで差し引く仕組みも維持されており、幅広い年収層がメリットを感じられるようになっています。ただし、所得制限や、子育て世帯向けの上乗せ措置との兼ね合いで面積要件が異なる場合があるため、制度利用の際は自身の条件を確認しましょう。
2026年以降の住宅ローン控除利用時の注意点

2026年の税制改正で、住宅ローン控除の適用期限が延長された点は、マイホーム検討者に大きな追い風になるでしょう。しかし、延長は単なる期間の引き延ばしではなく、社会の実現などの狙いがあるため、一定の猶予期間を経て、基準を満たさない住宅は支援対象外になる可能性があります。特に数年後の入居を視野に入れている場合、2028年に訪れるルールの転換を正しく理解する必要があるでしょう。税制上の恩恵を最大限に活用するために、性能と立地の両面でこれから求められる点を確認しておきましょう。
省エネ基準適合住宅でも2028年以降は対象外になる
これまで住宅ローン控除の対象で一般的だった省エネ基準適合住宅は、2028年を境に位置付けが変わります。省エネ基準適合住宅とは、断熱等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上を満たす住宅を指し、近年の税制改正では気候風土適応住宅なども含まれるようになりました。しかし、国がより高水準な長期優良住宅やZEHの普及を加速させるなか、基準が相対的に緩い省エネ基準適合住宅は、2028年以降の入居分から原則、控除対象から除外される予定です。
具体的には、建物の登記簿に記載される建築日付が2028年6月30日以前であれば救済措置が適用されますが、それ以降に完成・入居する物件では、住宅ローン控除が一切享受できなくなるでしょう。これから住宅の購入を検討される際は、2028年以降の入居になっても減税を受けられるZEH水準以上の性能の導入がおすすめです。将来の資産価値からも、性能の底上げは必須の選択となるでしょう。
災害レッドゾーンの新築は厳しくなる
2028年以降のルール変更で、建物の性能と同じくらい注視すべきなのが家を建てる場所に関する制約です。政府は国民の生命と財産を守るため、災害リスクが極めて高いエリア(災害レッドゾーン)での新築を抑制する方針を明確にしました。具体的には、土砂災害特別警戒区域や地滑り防止区域、浸水被害防止区域などの、大規模な自然災害時に甚大な被害が想定される場所で新たに住宅を建築した場合、2028年以降の入居分からは住宅ローン控除の適用が認められなくなります。
この規制のポイントは、あくまで「新築」が対象になっている点です。中古住宅の購入や、すでにその場所にある住まいの建て替え、あるいはリフォームでは引き続き控除の対象になりますが、未利用の土地を新規で購入して注文住宅を建てる際には、これまで以上に慎重な土地選びをしなければなりません。事前精査は、安全確保のためだけでなく、資金計画を成立させるための条件です。これからは検討している土地がハザードマップ上でどのような指定を受けているかを確認する必要があります。たとえ利便性が高く安価な土地でも、税制優遇を受けられないためにトータルの住居費が膨らむ可能性があるため、不動産会社や自治体の窓口で確認するようにしましょう。
住宅ローン控除の効果を高める住宅関連税制は?

住宅ローン控除の期間延長は、マイホームを検討中の方にとって心強いニュースです。しかし、住宅ローン控除以外にも、住まいに関する税制優遇は多く存在することをご存じでしょうか。2026年の税制改正では住宅ローン控除を軸としながら、リフォーム減税や固定資産税の優遇、さらに買い替え時の特例措置などの周辺税制も見直しがおこなわれました。
これらの制度は、住宅ローン控除と併用してさらにお得になる内容がある一方で、選択を誤ると一方が適用できなくなる可能性も。制度同士の相互関係を無視して進めてしまうと、数百万円単位の恩恵を逃しかねません。そこで本章では、住宅ローン控除とあわせてチェックしておくべき3つの関連税制と影響を解説します。
新築住宅にかかる固定資産税減額措置の5年延長
新築住宅を建てた際、一定期間(一戸建て3年、マンション5年)にわたり固定資産税が半分になる特例も延長されました。この制度は住宅ローン控除と併用可能のため入居初期の維持コストを抑えるのに有効でしょう。
住宅ローン控除との関わりで注意すべきは、2026年改正で導入された立地と面積の要件です。2028年以降、災害レッドゾーン内で新築された住宅は、住宅ローン控除だけでなく、この固定資産税の減額措置でも対象にはなりません。つまり、危険区域に家を建てると取得時の所得税控除と保有時の固定資産税減税の両方の選択肢を失ってしまいます。また、床面積要件が50平方メートルから40平方メートルへ緩和された点も共通しており、都心のコンパクトマンションなどでも、住宅ローン控除と固定資産税減額のセット適用が受けやすいでしょう。住宅の性能(長期優良住宅など)を高めると、住宅ローン控除の期間だけでなく固定資産税の減税期間も延長されるため、物件の性能を考える際の判断材料になります。
リフォーム減税(所得税・固定資産税)の延長と選択
耐震や省エネ、バリアフリーなどのリフォームをおこなった際に所得税や固定資産税が減額される措置が延長されました。この制度の住宅ローン控除との関わりで重要なことは、所得税に対して住宅ローン控除とリフォーム減税(投資型)のどちらがお得かを選択する点です。
リフォーム減税は、ローンを組まずに現金でおこなった場合でも工事費用の10%(上限あり)がその年の所得税から引かれます。一方、リフォーム資金をローンで賄う場合は、住宅ローン控除(10年〜13年)が適用できるでしょう。一般的に、10年以上のローンを組むなら住宅ローン控除のほうが総減税額は大きくなりますが、短期間のローンや現金支払いならリフォーム減税のほうが有利かもしれません。ただし、所得税の直接的な減税は原則、どちらか一方の選択制ですが、固定資産税の減額措置は住宅ローン控除と併用可能です。2026年改定では子育て対応リフォームの枠組みも強化されており、住居の性能を上げるのがローン控除の対象借入限度額のアップにもつながるため、両者の要件を同時に満たす設計が推奨されます。
居住用財産の買換え特例の延長と「併用禁止」の制限
自宅を売却して新しい家へ住み替える際の買換え特例も延長されました。これは、売却益が出た場合にその課税を将来に先送りしたり、売却損が出た場合に他の所得と相殺したりできる制度です。
売却益が出た場合に使える3,000万円特別控除などの特例を利用すると、原則、新居での住宅ローン控除は適用できません。そのため、売った時の税金をゼロにするか、買ったあとの住宅ローン控除を受けるか、どちらかを選ぶ必要があります。一方、売却損が出た場合の損益通算・繰越控除の特例は、住宅ローン控除との併用が可能です。2026年の改正では、住宅価格の高騰を受けて買い替えが難しくなっている層を支援するため、期限が延長されました。住み替えを検討する際は、売却時に得られる利益の額と、新居で13年間受けられる住宅ローン控除の総額を天秤にかけ、どちらが家計にとってプラスになるかを厳密にシミュレーションする必要があります。
出典:国土交通省 住宅ローン減税等の住宅取得促進策に係る所要の措置(所得税等)より
2026年の住宅ローン控除に関するよくある質問
2026年の住宅ローン控除に関するよくある質問をまとめました。
住宅ローン控除とはどのような制度ですか?
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、ローンを利用してマイホームを取得した際、年末のローン残高の0.7%を所得税や住民税から控除できる制度です。省エネ性能が高い家や子育て世帯には借入限度額が上乗せされ、2026年からは中古住宅でも最長13年間の控除が可能になりました。なお制度を利用するには確定申告が必要ですが、会社員の場合、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きが完結します。
2026年の住宅ローン控除はどのような点が変わった?
2026年の住宅ローン控除改定では、適用期限が2030年末まで5年間延長され、社会情勢に合わせた大幅な見直しがおこなわれました。注目点は中古住宅の支援拡充で、これまで10年だった控除期間が、省エネ性能を満たせば新築同様の13年へ延び、借入限度額も引き上げられている点です。また、子育て・若者夫婦世帯への優遇も継続され、住宅価格高騰への対策が強化されています。さらに、床面積要件が40平方メートル以上に緩和され、都市部のコンパクトマンションも対象となりました。一方で、2028年以降は省エネ基準に満たない住宅や、災害リスクの高いレッドゾーンでの新築が対象外となるなど、性能と安全性を厳格に問う内容へと変化します。
2026年以降の住宅ローン控除を利用する時の注意点は?
2026年からの住宅ローン控除は、2030年末までの延長が決定した一方で、2028年にルールが厳格化される点に注意が必要です。まず性能面では、現行標準の省エネ基準適合住宅が、2028年以降の入居分から控除対象外となります。今後はZEH水準以上の高い性能が必須となるため、長期的な視点での物件選びが欠かせません。
また立地も、2028年以降は土砂災害警戒区域などの災害レッドゾーンでの新築が適用対象外となります。これは、土砂災害や地震での被害を抑えるための対策のひとつといえるでしょう。将来的に「受けられるはずの控除が受けられない」事態を避けるため、性能と立地の両面で2028年の壁を意識した慎重な計画が求められるでしょう。
住宅ローン控除の効果を高める住宅関連税制にはどのようなものがある?
リフォーム減税や新築固定資産税の半額措置、買い替え特例などが主なものです。2026年の税制改正では、住宅ローン控除だけでなく関連税制もアップデートされました。リフォーム減税は、所得税に対しローン控除か現金優遇かの選択が必要ですが、固定資産税減額とは併用可能です。次に、新築固定資産税の半額措置は、住宅ローン控除と併用でき維持費を抑えられますが、2028年以降の災害レッドゾーン内での新築は両制度とも対象外となる点に注意しなければなりません。
最後に買換え特例ですが、売却益の特別控除を受けると住宅ローン控除が使えない併用禁止の制限がある一方、売却損の特例は併用できます。各制度の相関図を正しく把握し、トータルで有利な資金計画を立てる対策が重要です。
まとめ
2026年の住宅ローン控除改定は、適用期限の延長など安心できる内容が増えた一方で、住宅の質と安全性を厳格に問う内容へと舵を切りました。新築住宅だけでなく、中古住宅の控除期間が13年に拡大され、子育て世帯への優遇も継続されるなど、支援の幅は広がっています。一方で、省エネ性能が低い家や災害リスクの高い場所の新築住宅は、控除の対象外となってしまいます。
注意すべきは、2028年から始まる省エネ基準適合住宅の除外と災害レッドゾーンの制限を見越した早期の計画立案です。リフォーム減税や固定資産税の優遇など、ローン控除と相乗効果を生む周辺税制を賢く組み合わせる対応も欠かせません。制度の全体像を正しく把握し、ライフプランに最適な選択をして、理想の住まいと安定した家計の両立を実現しましょう。
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執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
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