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住宅ローンを組む際に贈与税がかかるケースとは?回避する5つの方法を紹介!

住宅ローンを組む際に贈与税がかかるケースをご紹介します
住宅ローンを組む際に、契約者以外の人が費用を負担する場合は、贈与税の課税対象となります。
具体的にどのようなケースで、贈与税が課税されるのか気になる人もいるのではないでしょうか。
本記事では住宅ローンと贈与税の関連性や、贈与税を回避するための方法を解説します。

住宅ローンを組む際に贈与税が課税される4つのケース

住宅ローンを組む際に贈与税が課されるケースは4つあります

住宅ローンを組む際に贈与税が課税されるケースは以下の4つです。

  • 住宅ローンの契約者以外の人が頭金を負担した場合
  • 住宅ローンの契約者以外の人と共有名義で登記をした場合
  • 住宅ローンの契約者以外の人が返済をした場合
  • 住宅のリフォーム代を名義人以外が支払う場合

順番に見ていきましょう。

住宅ローンの契約者以外の人が頭金を負担した場合

住宅ローンを組む際に贈与税が課税される1つ目のケースは、住宅ローンの契約者以外の人が頭金を負担した場合です。

住宅を購入する際に住宅ローンを組む人は約8割と言われていますが、購入代金の全額を借りることができるケースは少ないです。
金融機関や購入者の属性などによって異なりますが、購入時にかかる印紙税や仲介手数料などの諸費用は自己資金で支払う人が多いと考えられます。

購入時の頭金を契約者以外の人が負担すると、本来であれば負担した金額の分は負担した人の所有権として登記する必要があります。
しかし、住宅ローンの契約者が100%の持分として登記をすることで、頭金を負担した人から贈与を受けたことになります。

不動産の登記情報は税務署も確認をするため、不動産登記の名義人以外の人が購入資金の一部でも負担していると贈与税の課税対象となる点には注意が必要です。
夫婦間だけではなく、親子間や兄弟間でも購入資金を援助するケースが考えられますが、贈与税の対象となってしまうため覚えておきましょう。

住宅ローンの契約者以外の人と共有名義で登記をした場合

住宅ローンを組む際に贈与税が課税される2つ目のケースは、住宅ローンの契約者以外の人と共有名義で登記をした場合です。

住宅購入時の出資額の割合と、不動産登記の際の持分割合が異なると、差額に対して贈与税が課税されます。
持分割合とは、不動産を共有名義で登記する際の自分の所有権の割合のことです。
持分割合は、基本的には出資した額と同等にする必要があります。

例えば、3,000万円の住宅を購入するケースに、夫が2,000万円、妻が1,000万円出資をすれば持分割合は夫が3分の2で、妻が3分の1とするのが一般的です。
しかし、夫と妻の持分割合を2分の1ずつにすることで、出資した金額と持分割合に差が生まれてしまうため、差額分の贈与を受けたとみなされます。

そのため、不動産を共有名義にすると贈与税の課税対象となる可能性がある点は覚えておきましょう。

住宅ローンの契約者以外の人が返済をした場合

住宅ローンを組む際に贈与税が課税される3つ目のケースは、住宅ローンの契約者以外の人が返済をした場合です。

住宅ローンの契約者以外の人が住宅ローンの返済をしていると、返済をしている人が契約者に対して贈与をしているとみなされます。

例えば、月々の返済額が15万円の住宅ローンを夫名義で契約したにも関わらず、妻が返済をしていると年間180万円の贈与をしていると扱われます。

180万円に対して贈与税が課税されるわけではありませんが、住宅ローンの契約者以外が返済をすると贈与税の課税対象となることを覚えておきましょう。

住宅のリフォーム代を名義人以外が支払う場合

住宅ローンを組む際に贈与税が課税される4つ目のケースは、住宅のリフォーム代を名義人以外が支払う場合です。

住宅を購入してから築年数が経過すると、経年劣化などによりリフォームを検討する人も多いでしょう。
また、中古住宅を購入しリフォームしてから住みはじめるケースも考えられますが、住宅の名義人以外がリフォーム代を負担すると贈与税の課税対象となります。

例えば、夫の名義で住宅を購入して妻の名義でリフォームをすると、贈与とみなされます。
ただし、リフォーム代金の一部を妻に負担してもらうケースもあるでしょう。

詳細は後述しますが、110万円以下であれば贈与税が非課税となるため、費用の一部を負担してもらう際は110万円以下に収めましょう。

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する5つの方法

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する方法は5つあります

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する方法は以下の5つです。

  • 住宅ローンの負担割合と物件の持分割合を同じにする
  • 金銭消費貸借契約を締結する
  • 暦年贈与の非課税枠内で贈与をする
  • 住宅取得等資金の非課税特例制度を利用する
  • 相続時精算課税制度を利用する

順番に見ていきましょう。

住宅ローンの負担割合と物件の持分割合を同じにする

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する1つ目の方法は、住宅ローンの負担割合と物件の持分割合を同じにすることです。

先述したとおり、住宅購入時の出資額の割合と物件の持分割合が異なると、差額に対して贈与税が課税されるため、贈与税を回避するためには割合をそろえる必要があります。

ただし、贈与を受けた人に一定の債務を負担させる負担付贈与を活用すれば、贈与税を回避もしくは軽減できます。
負担付贈与では、贈与を受けた金額から債務の負担額を差し引きした金額に対して贈与税が課税されるため、覚えておきましょう。

金銭消費貸借契約を締結する

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する2つ目の方法は、金銭消費貸借契約を締結することです。
急な出費などで住宅ローンの契約者が返済できなくなった際に、パートナーや親から借りることもあるかもしれません。

お金を借りる際に、金銭消費貸借契約を締結して返済する約束をすることで、贈与税を回避できます。
金銭消費貸借契約を締結する際には、貸主と借主双方が書類を保管しておきましょう。

暦年贈与の非課税枠内で贈与をする

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する3つ目の方法は、暦年贈与の非課税枠内で贈与をすることです。
先述したとおり、贈与税には非課税枠があり、1月1日から12月31日までの1年間で贈与される金額が110万円以下であれば、贈与税の課税対象とはなりません。

年間110万円以下が非課税となるため、毎年110万円以下を20年間続ければ合計で2,200万円が非課税となります。
ただし、相続開始前3年分の贈与額は相続税の対象となるため、注意が必要です。

また、2024年度の贈与から相続開始前3年分から7年分に延長されるため、節税対策で贈与を検討している人は早めに検討しましょう。

住宅取得等資金の非課税特例制度を利用する

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する4つ目の方法は、住宅取得等資金の非課税特例制度を利用することです。
住宅取得等資金の非課税特例制度とは、父母や祖父母などの直系尊属から住宅の取得を目的とした資金の援助を受ける際に、最大1,000万円まで非課税になる制度です。

非課税の限度額は住宅の質によって異なり、一般住宅は500万円、質の高い住宅は1,000万円が上限として設定されています。
住宅取得等資金の非課税特例制度を利用するためには、贈与を受ける人や対象となる住宅に制限があるため、国税庁のホームページで事前に確認しておきましょう。

相続時精算課税制度を利用する

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する5つ目の方法は、相続時精算課税制度を利用することです。
相続時精算課税制度とは、贈与を受けた人が2,500万円までの財産は贈与税が課税されず、贈与をした人が相続した際に相続税の課税対象とする制度のことです。

相続時精算課税制度を利用することで、贈与税を回避しながら他の制度よりも多額の財産を贈与できます。
住宅ローンの返済資金が必要な人にとって有効な手段ですが、暦年贈与の非課税枠とは併用できない点は、注意が必要です。

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する時の5つの注意点

住宅ローンを組む際の贈与税を回避するにはポイントがあります

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する時の注意点は以下の5つです。

  • 贈与のタイミング
  • 物件に居住するタイミング
  • 住宅取得等資金の非課税特例制度は父母どちらか一方のみ適用される
  • 贈与税が0円でも申告が必要
  • 遺産分割で揉めるケースもある

順番に見ていきましょう。

贈与のタイミング

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する時の1つ目の注意点は、贈与のタイミングです。
住宅取得等資金の非課税特例制度を利用して贈与税を回避するためには、住宅ローンを組んで購入した住宅に居住する前に贈与を受ける必要があります。

居住してから贈与を受けてしまうと、住宅取得等資金の非課税特例制度の要件を満たさなくなるため、贈与税の課税対象となります。
住宅取得等資金の非課税特例制度を利用する際には、贈与をするタイミングに注意しましょう。

物件に居住するタイミング

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する時の2つ目の注意点は、物件に居住するタイミングです。
住宅取得等資金の非課税特例制度を利用する際には、基本的に贈与を受けた年の翌年3月15日までに物件に居住する必要があります

ただし、災害によってやむを得ず居住することができない場合などは、贈与を受けた年の翌年12月31までに居住すれば制度が適用されます。
詳しく知りたい人は、国税庁の「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」を確認しておきましょう。

住宅取得等資金の非課税特例制度は父母どちらか一方のみ適用される

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する時の3つ目の注意点は、住宅取得等資金の非課税特例制度は父母どちらか一方のみ適用されることです。
住宅取得等資金の非課税特例制度で非課税となる金額が最大1,000万円であることを解説しましたが、父母それぞれから受け取る1,000万円が非課税になるわけではありません。

父母それぞれから1,000万円ずつ受け取った際には、一方の1,000万円には贈与税の課税対象となります。
夫婦で共有名義にしてそれぞれの直系尊属から1,000万円ずつ贈与で受け取れば、2,000万円を非課税にできます。

贈与税が0円でも申告が必要

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する時の4つ目の注意点は、贈与税が0円でも申告が必要なことです。
先述したとおり、たとえ夫婦間の贈与であっても贈与税がかかることがあり、一定額以上の贈与をおこなうと、贈与税の申告が必要です。

夫婦間での贈与には特別控除があるため、一定額以下の贈与は贈与税がかかりませんが、贈与税の申告漏れがあると加算税や延滞税を請求される可能性もあります。
そのため、贈与税の課税対象となる際には、贈与税の申告をおこない、税務署からの督促に備えることが大切です。

贈与税の申告期限は、贈与をおこなった年の翌年2月1日から3月15日までとなっています。
自分が贈与税の課税対象となるか判断ができない場合には、税理士や税務署に相談してみるとよいでしょう。

遺産分割で揉めるケースもある

住宅ローンを組む際の贈与税を回避する時の5つ目の注意点は、遺産分割で揉めるケースもあることです。
特定の相続人が多くの財産を引き継ぐことになれば、他の相続人と取り分の争いをする可能性があります。

被相続人が遺言を書いていて、特定の相続人が財産を受け取れなくなる際には、遺留分の請求ができます。
遺留分の請求をされた相続人は、主張された金額を金銭で支払う必要があるため、注意が必要です。

贈与税の非課税申告をする際の必要書類

0円の場合でも確定申告が必要となることを覚えておきましょう

最後に、贈与税の非課税申告をする際の必要書類を解説します。
贈与税の非課税申告をする際には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに必要書類を揃えて管轄の税務署に提出する必要があります。

主な必要書類は以下のとおりです。

  • 戸籍謄本
  • 源泉徴収票など
  • 新築、増築、取得した建物の登記事項証明書
  • 新築、取得した際の請負契約書や売買契約書の写し

請負契約書や売買契約書に記載されている住宅の面積などをもとに、贈与税の非課税制度を利用できるか判断されるため、大切に保管しておきましょう。

その他の書類に関しては、国税庁のチェックシートを確認してください。

まとめ

住宅ローンを組む際、契約者以外の人が費用を負担するなどのケースに贈与税の課税対象となります。
その他にも、住宅購入時の出資割合と共有持分割合が異なると、贈与税の課税対象となるケースがあります。
非課税制度などを活用すると贈与税を回避することができますが、注意点を把握しておかないと延滞税や加算税などがかかる可能性があるため、注意が必要です。
自分だけで判断が難しい場合には、税理士や税務署に相談することをおすすめします。

民辻伸也

執筆者

民辻伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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