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どうする住宅ローン?親子ペアローン契約で気になる注意点も徹底解説!

住宅ローンを親子ペアローンで検討したい方は必見です
「親子ペアローン」で住宅ローンを検討する時、デメリットはあるのか、注意点はどのようなところかと気になっている方もいるはずです。また、解決策も気になるのではないでしょうか。

本記事では、親子ペアローンを検討している方へ向けて、メリットやデメリット、注意点や解決方法をわかりやすく解説していきます。

親子ペアローンとはどのような住宅ローン?

親子ペアローンとはどのような住宅ローンなのでしょうか
親子ペアローンとはどのような住宅ローンなのでしょうか

親子ペアローンとは、その名の通り親と子が共同で住宅ローンを組む制度です。親子の収入や信用情報を合算すると、子がより大きな融資額を受けられるようになります。親子で共同保証人としてローンを組むことが特徴です。

親子で住宅ローンを組む方法は他に、親子リレーローンと収入合算の2つがあります。それぞれの特徴を比較すると、親子ペアローンの概要がとらえやすくなるので、以下に説明していきます。

親子リレーローンとの比較

親子リレーローンとは、親がまず住宅ローンを組み、一定の期間後に子がローンを引き継ぐ制度です。最初は親が住宅ローンの返済をし、一定の期間後に子が引き継ぐことで返済負担をサポートします。

親子ペアローンとリレーローンの比較表

  団信(団体信用生命保険)加入 住宅ローン控除
対象
親子ペアローン
親子リレーローン ×(※)

※ただし、例外で親も団信に加入できる場合がある

親子ペアローンと親子リレーローンの大きな違いは、返済期間の長さです。親子リレーローンとは前述のとおり、親が最初に返済をし、その後子どもが引き継ぐ返済方法です。そのため、親が返済をしている間は、子どもは返済をしません。返済をする人は1人です。一方で、親子ペアローンの場合、返済は親子同時におこないます。2人同時に返済していくため、返済期間も短くなります。

他にも、団信のかけ方が異なります。親子リレーローンは返済をする対象が1人で、団信は原則、子にかけるのが一般的です(ただし、金融機関によっては親子どちらでも団信に加入ができる場合もあります)。一方、親子ペアローンは2者同時に返済していくので親と子それぞれに団信をかけることになります。

住宅ローン控除は、利用条件を満たす場合に、親子ペアローンも親子リレーローンも親と子どちらも対象となります。

収入合算との比較

収入合算とは、親と子の収入を合算して、より大きな融資額を得られる制度です。収入合算には連帯保証型と連帯債務型があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 連帯保証型
    住宅ローンの返済で一方が主債務者となり、一方が保証人になる方法です。この場合、主債務者が返済不能とならない限り保証人に住宅ローンの返済義務は生じません。しかし、保証人が返済を肩代わりする場合、ローン残債の全額を支払っていかなければなりません。

  • 連帯債務型
    住宅ローンの返済を連帯しておこなっていく方法です。この場合、連帯債務者は主債務者とともに住宅ローンの返済義務を負います。もし、主債務者が死亡等で返済不能になった場合には、団信が適応され連帯債務者の返済義務がなくなります。

親子ペアローンと収入合算の比較表

  団信(団体信用生命保険)加入 住宅ローン控除
対象
親子ペアローン
収入合算 主債務者のみ 主債務者
(連帯債務型の場合は親子どちらも対象)

親子ペアローンと収入合算の大きな違いは、返済が偏ることです。収入合算とは、親と子の収入を合算して、より大きな融資額を得られる制度。審査が合算しておこなわれるだけで、その後の返済は主債務者となった人がおこないます。そのため、ローン返済の義務は主債務者が請け負います。返済をともにおこなうわけではないため、主債務者となった人に返済が偏ります。親子ペアローンの場合は、返済は親子同時におこないます。2人同時に返済していくため、返済負担も分担することになります。

他にも、団信のかけ方が異なります。収入合算方式では、返済をする対象は主債務者のため、団信も主債務者にかけます。住宅ローン控除は、主債務者に適用されますが、収入合算でも連帯債務型を選択している場合は親と子どちらも対象です。

親子ぺアローンを選択するメリットとは?

親子ペアローンを選択するメリットはどのような点なのでしょうか
親子ペアローンを選択するメリットはどのような点なのでしょうか

住宅ローンを親子ペアローンにするメリットはどのような点にあるのか解説します。

借入額を増やしても、返済期間は長くならない

親子が並行して返済を進めるので、返済負担を分担できます。このため、返済期間を短縮せずに借入額を増やせます。通常の住宅ローンと比べ、ローン契約数が増える分、借入額も上昇します。すると費用をかけて、こだわりのあるおしゃれな外壁や住宅のデザイン、設備のグレードアップなども検討できる可能性が高まります。

また、親子共同の住宅ローンならではの利点として、完全分離型の二世帯住宅も検討できます。家族それぞれが快適な住環境を手に入れつつ、適宜連携を保って暮らす選択も可能です。

親子それぞれでローンの設定ができる

住宅ローンを親子ペアローンで契約すると、親子それぞれが独自の金利や返済期間を選択できます。親子それぞれのライフステージや経済状況に合わせた条件設定が可能であり、個々の返済計画や目標に合わせた柔軟な契約ができます。この方法により、ローンの返済がよりスムーズに進みます。

それぞれが団信に加入できる

親子それぞれが団信に加入できるのもメリットです。親子ペアローンでは、個別の保険契約が可能なので、保険料や保障内容を自分たちのニーズに合わせて選択できます。これにより、家計の安定と将来のリスクへの備えがより柔軟におこなえます。

それぞれが住宅ローン控除を利用できる

それぞれが個別に住宅ローン控除を利用できるのもメリットです。住宅ローン返済の資金計画で見落としがちなランニングコストに対しても、この制度が一助となります。親子ともに所得税や住民税を納付している場合には、住宅ローン控除を活用して節税効果が期待できます。住宅ローン控除が利用できると、購入後もランニングコストへの負担が軽減されます。

親が65歳以上でも住宅ローンを組める

親子ペアローンは、親が65歳以上でも住宅ローン契約できるのも大きなメリットです。通常、住宅ローン契約者は基本的に「満65歳未満」が主流です。しかし、親子ペアローンでは申し込み時の年齢が満70歳まで引き上げられる場合があります。年齢的に親が単独でローン契約できない場合や、子だけでは希望する借入額を実現できない場合に、特にメリットが大きくなります。親子の連携によって、幅広い年齢層の家族が新しい住宅を手に入れる可能性が広がります。

親子ぺアローンを選択するデメリットとは?

親子ペアローンを選択するデメリットはどのような点なのでしょうか
親子ペアローンを選択するデメリットはどのような点なのでしょうか

住宅ローンを親子ペアローンにするデメリットはどのような点にあるのか見ていきましょう。

親子で返済支援がし辛い

親子それぞれが返済を抱えるのが、住宅ローンを親子ペアローンで契約する際のデメリットの一つです。そのため、協力が難しい場面も出てきます。一方が返済に行き詰まっても、他方も返済中のため、援助する余裕がありません。家計の変動や予期せぬ事態により、共同返済が困難になる場合があります。信頼とコミュニケーションが不可欠であり、慎重な検討が求められます。

相続に関する争いがおきる可能性がある

住宅ローンを親子ペアローンで契約する場合、相続に関する争いが生じる可能性があるのもデメリットです。親子ペアローンでは、返済負担割合に応じて住宅の所有権割合が設定されます。返済負担と所有権が異なる場合、所有権が少ないほうが贈与とみなされ、贈与税の課税対象になることも考えられます。親が亡くなると、住宅の親の持分に対して相続が発生し、親子以外のきょうだいも相続の対象になります。現実的に住宅の一部を現金化するのは難しいため、きょうだいの相続分を金銭で調整する必要が生じます。
相続人が複数いる場合、相続が複雑化し、トラブルの引き金となる可能性があります。

契約内容の変更が難しい

住宅ローンを親子ペアローンで契約する際のデメリットとして、契約内容の変更や解消が難しい点があります。ローン契約者の名義変更や保証人の解消は原則的に不可です。もし、変更が必要な場合は新たな審査が求められます。

住宅ローンの返済期間は長くなるため、途中で状況が変わることはしばしばあります。例えば、別居したいなどの要望が生じると、金融機関に相談し再審査が必要です。ただし実行は簡単ではなく、金融機関によっては追加ペナルティの可能性があります。また、住宅ローンは原則として一世帯に1つの利用が原則です。親子ペアローンの返済中に別の住宅ローンを組むことはできない点にも注意です。

親子ペアローンを検討する時の注意点は?

親子ペアローンを検討する時に注意すべき点は何でしょうか
親子ペアローンを検討する時に注意すべき点は何でしょうか

親子ペアローンを組む時に、いくつか注意すべき点があります。特に以下のような事態には注意しておきましょう。

住宅ローン破産

住宅ローンを親子ペアローンで契約する際の注意点として、住宅ローン破産のリスクが挙げられます。単独で契約するよりも融資額が大きくなるため、返済の負担も増加します。また、親子でローンを抱えているため、状況によっては援助が難しくなることも考慮すべき点です。経済的な変動や予期せぬ事態により、返済が困難になる可能性があるため、住宅ローン破産しないような慎重な計画と十分なリスク管理が求められます。

相続問題

住宅ローンを親子ペアローンで契約する際の注意点として、相続問題が生じる可能性がある点が挙げられます。抵当権の設定で、同居している子どもの相続権が制約されてしまうかもしれません。特に子どもが複数いる場合、財産分与の際に対立が生じるリスクがあります。親の持分は相続税の対象となるので、親子共同名義の住宅でも親の持分に税金が課されます。例えば、5,000万円の住宅で親が3,000万円を返済した場合、住宅の60%が親の持分となります。すると、親の死亡時に60%の住宅価格に相続税がかかります。こうしたポイントに注意が必要です。

他の借入

親子ペアローンの契約では、同時に他の借り入れが制約される場合があります。金融機関は貸付限度額や返済能力を総合的に判断します。そのため、住宅ローン返済中に新たな借り入れをおこなうのは不可となる場合があります。
急な資金需要や予期せぬ支出への対応が制約される可能性があるため、事前の計画が重要になります。

ライフスタイルの変化

親子ペアローンの借り入れ後に、結婚や離婚により親と別の住居に住みたいと希望する可能性もあるでしょう。しかし、ライフスタイルが変化して居住のスタイルを変えたいと希望しても、親子ペアローン契約中は、名義変更や解消は困難です。一度契約が成立すると、契約変更を望む場合には新たな契約を検討する必要があります。
将来の状況変化に対する柔軟性が制約されるため、ライフスタイルの変化をふまえ慎重なプランニングが不可欠です。

親子ペアローンで後悔しないためのトラブル対処法とは?

親子ペアローンで後悔しないためのトラブル対処法とは
親子ペアローンで後悔しないためのトラブル対処法とは

親子ペアローンを利用する際にはトラブルも想定されます。それらをふまえた対処法を紹介します。 

同居が前提と心得た対策をとる

一つ目は、同居で起こる問題の対処方法を考えておくことです。金融機関によっては、同居が契約条件となります。同居が必須な場合、別居は難しいので、最初から同居を継続しやすい間取りにしておくとよいでしょう。事前に、同居ルールを決めておくのも有益です。例えば、共有する設備の使用時間や方法を事前に決めておくなどが挙げられます。また、入口が完全に違う二世帯住宅を検討するのも一つの解決策です。

相続方法を話し合っておく

相続方法を事前に話し合えば、相続に関するトラブルを回避できます。例えば、親の持分の相続に関して、どのようなルールで分けるかを合意し、書面にまとめておくなどです。親が亡くなった際、住宅の持分や財産分与で揉めるのを防ぐための措置です。また、親の持分に対する相続税の取り決めも重要です。具体的な計算方法や支払い方法に合意をとり、将来の税金負担に備えておきましょう。

さらに、日頃から親子間のコミュニケーションを大切にし、家族の理解を深めておくことも重要です。家族全員が将来の状況を予測し、どのように対処するかを話し合うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

記事のおさらい

Q:親子ペアローンとは?

A:親子ペアローンとは、親と子が共同で住宅ローンを組む制度です。親子の収入や信用情報を合算すると、子がより大きな融資額を受けられるようになります。親子で共同保証人としてローンを組むことが特徴です。

Q:親子ペアローンのメリットとは?

A:親子で同時に返済が進むため、借入額を増やしても、返済期間が長くならないことがメリットの一つです。さらに、住宅ローン契約は親子それぞれで組むため、金利や返済期間もそれぞれで、団信加入や住宅ローン控除を受けるのもそれぞれでできます。さらに、親の年齢が65歳以上でも住宅ローンを組めることもメリットです。

Q:親子ペアローンのデメリットとは?

A:親子ペアローンでは、親子それぞれが返済をするため、相互の資金援助が難しいのがデメリットの一つです。また、相続で揉めたり、名義変更などの契約内容の変更が難しいなどがデメリットです。

Q:親子ペアローンにする時の注意点は?

A:他のローンを組んでも起こりうることですが、融資額が大きく設定できる分住宅ローン破産には注意が必要です。さらに、親が亡くなった時などで、相続が発生すると家族間でトラブルになる可能性があります。また、返済中は新たなローンが組みにくくなるなどの注意点があります。

Q:親子ペアローンのトラブル対処法とは?

A:同居が前提になるのをふまえ、同居しやすい環境づくりをしておくことや、事前に相続方法を家族で相談しておくなどの対応が必要です。

まとめ

本記事では、親子ペアローンを検討している方へ向けて、メリットやデメリット、注意点や解決方法をわかりやすく解説しました。親子ペアローンを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

長谷川賢努

執筆者

長谷川賢努

AFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士

大学を卒業後、不動産会社に7年勤務、管理職を務めたが、ひとつの業界にとどまることなく、視野を拡げるため、生命保険会社に業界を超え転職。しかしながら、もっと多様な角度から金融商品を提案できるよう、再度転職を決意。今までの経験を活かし、生命保険代理業をおこなう不動産会社の企画室という部署の立ち上げに参画し、商品、セミナー、業務内容の改善を担う。現在は、個人の資産形成コンサルティング業務などもおこなっている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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