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住宅ローンの本審査後や返済中に追加融資を受けられる?追加融資を受ける方法を解説

住宅ローンの本審査後や返済中に追加融資を受けられるのでしょうか
物価高により、住宅の購入価格も高騰しています。実際に国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅の住宅建築資金は年々上昇。令和元年度には全国平均3,235万円だったのに対し、令和5年度には4,319万円となり、この5年で1,000万円以上増えています。

住宅ローンの審査を受けたあとや、契約後に融資金額が足りないことがわかり、追加で融資を受けたいと考える方もいるでしょう。しかし、追加融資を受けることは可能なのでしょうか。本記事では、追加融資を受けられるのか、住宅ローンの返済中に追加融資を受ける方法を解説します。また、追加融資を受ける際の注意点も解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

住宅ローンの追加融資は受けられる?

住宅ローンの追加融資を受けることは可能です
住宅ローンの追加融資を受けることは可能です

結論からいうと、住宅ローンの追加融資を受けることは可能です。しかし、タイミングによって方法が異なるため、本章では本審査後と住宅ローンの返済中に分けて解説します。また、金融機関から借り入れをする場合、借入金の使い道が限定されます。車の購入費用や教育費など他の資金のために借入金額の増額はできないことを、あらかじめ理解しておきましょう。

本審査後の場合

住宅ローンの本審査後に、借入金額を増額することは可能です。しかし審査では、契約者の返済能力や物件の担保価値などを総合的に判断したうえで借入金額が決定されます。そのため、本審査後に借入金額を増やしたい場合は、再度審査を受けなければなりません。実際に、SBI新生銀行のホームページには次のように記載されています。

“Q. 住宅ローンの審査承認後に、借入金額・借入期間の変更はできるか教えてください。
A. 審査承認後に当初お申し込みいただいた借入金額・借入期間の変更をご希望の場合は、再審査が必要です。お電話もしくは住宅ローンマイページのメッセージにて担当者にご相談ください。ただし、審査結果によっては、変更ができない場合があります。”

引用:SBI新生銀行「よくあるご質問

再審査の際には、借入金額を増額する必要性を証明しなければなりません。また、増額分が大きければ、住宅ローンの返済額が増えるため返済が滞るリスクが高まります。金融機関から返済能力が足りないと判断されると、増額が認められない可能性もあるでしょう。

契約後の場合

住宅ローンの契約後の場合、借入金額は変更できません。住宅ローンでは金融機関と「金銭消費貸借契約」を締結します。これは、借入金額と同等の金額を返済するという契約のこと。この契約を締結すると、借入金額に同意したことになるため、住宅ローンの借入金額の増額はできません。しかし、他の方法で追加融資を受けることは可能です。次章で詳しく解説します。

住宅ローンの返済中に追加融資を受ける方法

住宅ローンの返済中に追加融資を受ける方法は2つあります
住宅ローンの返済中に追加融資を受ける方法は2つあります

金融機関と金銭消費貸借契約を締結すると、借入金額の増額はできません。しかし、住宅に関する資金が足りない場合、追加融資を受けることは可能です。本章では、2つの方法を解説します。

リフォームローンを組む

住宅ローンの返済中に追加融資を受ける方法として、リフォームローンを組むことが挙げられます。リフォームローンとは、購入した住宅のリフォームや増改築を目的としたローンのこと。下表は、リフォームローンと住宅ローンの違いをまとめたものです。

  リフォームローン 住宅ローン
担保設定 有担保・無担保両方のタイプあり 有担保・無担保両方のタイプあり
※一般的には有担保
審査 最短数日 事前審査:
3日~1週程度
本審査:
1~3週間程度
借入金額 10万~1,000万円など 30万~2億円など
金利 2~3%程度 0.5~2.5%程度
借入期間 1年以上15年以内など短め 最長35年が多い
団体信用生命保険(団信)への加入 商品ごとに異なる 多くの商品で加入必須

住宅ローンを組む際には購入する住宅を担保に借り入れますが、リフォームローンは無担保で借り入れることも可能です。そのため、住宅ローンの審査と比較すると、比較的通りやすい傾向にあります。しかし、金利が高かったり、借入期間が短く設定されているため、返済負担が重くなる可能性も。リフォームローンを組む際には、事前にシミュレーションをおこなうようにしましょう。

住宅ローンを借り換える

住宅ローンを借り換えることも、追加融資を受ける方法の一つです。借り換える際にはまず、これまで返済してきたローンの残債と、リフォーム費用を含めて新しい住宅ローンを借り入れます。そして、これまでのローンを一括で返済し、新しく借り入れた住宅ローンを返済していきます。借入金額は増えますが、低金利などよりいい条件のローンに借り換えられれば、返済額を減らせる可能性も。

また、ローンを一本化できるため、返済管理がしやすくなる点がメリットです。ただし、借り換える際には諸費用がかかるため、検討する際には事前にシミュレーションをおこない、メリットがあるかを慎重に判断しましょう。

リフォームローンを組むか借り換えるかの判断基準

追加融資を受ける方法として、「リフォームローンを組む」「住宅ローンを借り換える」の2つの方法を解説しました。しかし、どちらがいいのか迷われる方も多いでしょう。追加で借り入れる金額や、現在の住宅ローンの金利、返済期間などによっても異なるため、一概にどちらがよいのか答えることはできません。しかし一般的には、住宅ローンを借り換えたほうが、メリットが大きいといわれています。それは、リフォームローンは金利が高く、借入期間が短いため、返済負担が大きくなるからです。次の条件でシミュレーションしてみましょう。

<条件>
住宅ローンの残債:2,500万円
残りの返済期間:20年
返済金利:1.31%(全期間固定)
リフォーム費用:500万円
リフォームローンの返済金利:3%
リフォームローンの返済期間:15年

<住宅ローンに加え、リフォームローンを組んだ場合>
まずは住宅ローンとは別に、リフォームローンを組んだ場合の返済額のシミュレーションをおこないます。

  住宅ローン リフォームローン 合計
月々の返済額 11万8,464円 3万4,529円 15万2,993円
総返済額 2,843万1,411円 621万5,235円 3,464万6,646円

今回の場合、月々の返済額は15万2,993円となりました。収入次第では、返済が厳しいと感じるかもしれません。

<住宅ローンを借り換えた場合>
次に、住宅ローンを借り換えた場合のシミュレーションをおこないます。

  住宅ローンに借り換えた場合
月々の返済額 14万2,157円
総返済額 3,411万7,693円/td>

月々の返済額は14万2,157円となり、先ほどより約1万円減らすことができました。なお、今回は同じ金利(1.31%)でシミュレーションをしていますが、さらに低金利のローンに借り換えられれば、より返済負担を軽減できるでしょう。ただし、先述したように借り換え時には諸費用がかかるため、諸費用を含めてメリットがあるか、シミュレーションをおこないましょう。

住宅ローンの追加融資を受ける際の注意点

住宅ローンの追加融資を受ける際の注意点を解説します
住宅ローンの追加融資を受ける際の注意点を解説します

追加融資を受けたい時には、いくつかの注意点があります。追加融資を受けるメリットを最大限にするためにも、しっかり押さえておきましょう。

再度審査を受ける必要がある

リフォームローンを組む場合でも、住宅ローンを借り換える場合でも、再度審査を受ける必要がある点に注意しましょう。特に、住宅ローンの借り換えでは借入金額が大きくなるため、返済能力があるか、厳しく審査がおこなわれます。また、審査では返済能力だけではなく、物件の担保評価も確認されます。基本的に物件の資産価値は、築年数が経つにつれて減少。担保評価が著しく低下している場合は審査に通らず、借り換えできないおそれもあります。審査結果によっては、借り換えできない可能性もあることを理解しておきましょう。

諸費用がかかる

諸費用がかかることも、追加融資を受ける際の注意点の一つです。しかし、リフォームローンは事務手数料などの諸費用がかからないことも。また担保が不要な場合、抵当権を設定する必要がないため、その分費用を抑えられます。抵当権とは、ローンの返済が滞った場合、金融機関が残債を回収するために、担保から優先的に回収する権利のこと。ただし、金融機関によって諸費用は異なるため、事前に確認しましょう。

一方、住宅ローンを借り換える場合には、さまざまな諸費用がかかります。具体的には、次のとおりです。

現在の住宅ローンの返済にかかる費用 全額繰り上げ返済手数料
保証会社事務手数料
抵当権抹消費用
現在の住宅ローンの返済にかかる費用 印紙税
融資事務手数料
保証料
抵当権設定費用
司法書士への報酬料
その他 団体信用生命保険料
火災保険料
地震保険料

借り換える場合には借入金額が高額になるため、諸費用もその分高くなります。融資事務手数料は、借入金額の2%前後に設定されているところも。例えば、借入金額が3,000万円の場合、融資事務手数料のみで60万円が必要です。住宅ローンを借り換える際は、借り換え後の返済額だけでなく、諸費用も含めてメリットがあるかを判断しましょう。

他の用途には利用できない

リフォームローンや住宅ローンは、他の用途には利用できない点に注意しましょう。金融機関は、ローンの説明書や契約書に資金使途を明記しています。他の用途に利用した場合は契約違反となり、最悪の場合にはローンの一括返済を求められる可能性もあります。実際に、イオン銀行の「住宅ローン規定」には次のように記載されています。

“第1条
4.借主は、本ローン契約による借入金を借入申込時の資金使途およびこれらに供する諸費用のみに使用します。”

引用:イオン銀行「住宅ローン規定

また、次のようにも記載されています。

“第17条
2.次の各号の事由が一つでも生じた場合には、借主は、銀行からの請求によって、本ローン契約による債務全額について期限の利益を失い、借入要項記載の返済方法によらず、直ちに本ローン契約による債務全額を返済するものとします。
(2)借主が銀行または保証会社との取引約定並びに本規定の一つにでも違反したとき。”

引用:イオン銀行「住宅ローン規定

期限の利益とは、わかりやすくいうとローンを分割して返済できる権利のこと。つまり、借入金を資金使途以外に利用すると、一括返済を求められる可能性があるということです。住宅以外の目的で融資を受けたい場合は、目的に合った商品を選びましょう。

住宅ローン控除の控除額が変わる可能性がある

追加融資を受けると、住宅ローン控除の控除額が変わる可能性がある点に気を付けましょう。住宅ローン控除は年末時点の住宅ローン残債に応じて、一定の割合の税金が控除される制度です。住宅を購入した時だけではなく、リフォーム時にも適用できます。しかし、ローンの返済期間は10年以上でなければ適用できません。例えば、返済期間が10年未満のリフォームローンを組んだ場合、リフォームローンの分に関しては、住宅ローン控除そのものが受けられなくなります。

また、住宅ローンを借り換えた場合、借り換えによって住宅ローン控除の適用期間が延長されるわけではない点に注意しましょう。例えば、住宅ローン控除の適用期間が残り2年で、新しく住宅ローンを借り換えた場合。控除期間が10年延長されるわけではなく、適用期間は残り2年のままです。新しく組むローンによって、控除額が変更する可能性がある点に気を付けましょう。

返済計画を見直す

追加融資を受ける際には、必ず返済計画を見直しましょう。追加融資を受けると返済額が増え、家計の収支が変化します。場合によっては家計が圧迫され、返済が苦しくなるおそれもあるでしょう。ローンの返済期間を長くすると、毎月の返済額が減らせ、負担を軽減できます。しかし、元本の減りが遅くなることから、利息負担が増え、結果として総返済額は増加します。追加融資を受けたあとの家計状況をシミュレーションし、無理のない返済計画を立てましょう。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談すると、適切なアドバイスが受けられるでしょう。

まとめ

本記事では、住宅ローンの追加融資を受けられるのかについて解説しました。本審査後であれば、追加融資を受けることが可能です。ただし、再度審査を受けなければなりません。住宅ローンの契約後に借入金額は変更できないため、追加融資を受けたい場合は、リフォームローンを組むか、住宅ローンを借り換える方法があります。しかし、返済額が増える可能性が高いため、返済計画を見直しましょう。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、無理なく返済できる範囲で追加融資を受けることが大切です。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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