1957年に書かれ、後世の小説や映画、アニメーションに多大な影響を与えたロバート・A・ハインラインの古典SF小説『夏への扉』が、世界で初めて実写映画化される。1995年と2025年を舞台に展開する本作へ、美術の井上心平さんはどのように臨んだのか。
1960年代のアメリカンハウスのようなテイストを持った一軒家
今作の主人公は、科学者の高倉宗一郎。シリコンバレーのIT企業の多くが革新的な発明をガレージで行ったように、宗一郎もガレージを改造した研究室で日々、研究に励んでいる。宗一郎の家は、1960年代のアメリカンハウスのようなテイストが取り入れられている。
「脚本を読んで、宗一郎はあまり普通の家に住んでいるというイメージが湧かなかったんです。直感として、ちょっと個性的な家にしたいと思いました。それを三木孝浩監督に提案したら、賛同してもらえました」
「脚本を読んで、宗一郎はあまり普通の家に住んでいるというイメージが湧かなかったんです。直感として、ちょっと個性的な家にしたいと思いました。それを三木孝浩監督に提案したら、賛同してもらえました」
例えば、宗一郎の家で目につく、たくさんのドア。
「『夏への扉』というタイトルなので、ドアをたくさんつけたかったんです。猫のピートが歩いていくカットは、どんどん扉を開けていく感じがして面白かったです」住居部分と研究室をつなぐところにもあるドアについては、「設定、脚本にはなかったのですが、住居部分と研究室の間に前室のような空間をブリッジとしてつけました。それは三木監督も気に入ってくれました」
「『夏への扉』というタイトルなので、ドアをたくさんつけたかったんです。猫のピートが歩いていくカットは、どんどん扉を開けていく感じがして面白かったです」住居部分と研究室をつなぐところにもあるドアについては、「設定、脚本にはなかったのですが、住居部分と研究室の間に前室のような空間をブリッジとしてつけました。それは三木監督も気に入ってくれました」
研究室の中には、研究に用いられる様々な機材が並ぶ。デスクなどは、俳優たちが自由に動けるように配置されている。
「普通だったら机の位置は、壁際に配置すると思うんです。でも、今回は少し中心に突き出すように置いています。そうすることで、役者さん、カメラがよりフレキシブルに動けると思いました」 本作はレトロなインテリアのリビング、SFらしいガジェットにあふれた研究室、下町の食堂、まるで香港のダウンタウンにあるようなアパートまで、様々な舞台が登場する。
「普通だったら机の位置は、壁際に配置すると思うんです。でも、今回は少し中心に突き出すように置いています。そうすることで、役者さん、カメラがよりフレキシブルに動けると思いました」 本作はレトロなインテリアのリビング、SFらしいガジェットにあふれた研究室、下町の食堂、まるで香港のダウンタウンにあるようなアパートまで、様々な舞台が登場する。
「夏菜さんが演じた白石が2025年に住んでいるぼろアパート。あそこはむしろ95年より古い感じです。様々なテイストのものが混じったシャッフル感は面白いと思いました」その多様なセットや衣裳について、主演の山﨑賢人さんは「毎日ワクワクしながら現場を過ごしました」とコメントしている。
「賢人くんは、家と研究室を気に入ってくれていた感じでした。」井上さんは、今回、自由度が高い現場だったと語る。
「自分の想像力をフルに働かせてつくりました。もともとヴィンテージやレトロ感は、好きだったので、やっていて楽しかったです」
「賢人くんは、家と研究室を気に入ってくれていた感じでした。」井上さんは、今回、自由度が高い現場だったと語る。
「自分の想像力をフルに働かせてつくりました。もともとヴィンテージやレトロ感は、好きだったので、やっていて楽しかったです」
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#129(2021年4月号 2月18日発売)『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』の美術について、美術の井上さんのインタビューを掲載。
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Profile
プロフィール

美術
井上心平
inoue shimpei
74年兵庫県生まれ。磯見俊裕氏に師事。近作に『そこのみにて光輝く』(14)、『オーバー・フェンス』(16)、『武曲』(17)、『生きてるだけで、愛。』『きみの鳥はうたえる』『赤い雪』(すべて18)、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』『町田くんの世界(ともに19)、『ロマンスドール』『糸』(ともに20)などがある。
Movie
映画情報

夏への扉 ―キミのいる未来へ―
監督/三木孝浩 原作/ロバート・A・ハインライン 脚本/菅野友恵 出演/山﨑賢人 清原果耶 夏菜 眞島秀和 浜野謙太 / 藤木直人ほか 配給/東宝 アニプレックス (21/日本/119min)
科学者の高倉宗一郎(山﨑賢人)は、亡き養父・松下の会社で研究に没頭していた。彼は松下の娘・璃子(清原果耶)と愛猫ピートを家族のように大切に思っていた。 しかし、研究の完成を目前に控えながら、宗一郎は罠にはめられ、冷凍睡眠させられてしまう。目を覚ますと、そこは2025年だった……。近日公開
©2021映画「夏への扉」製作委員会
夏への扉 ―キミのいる未来へ―公式HP