Room103  

2020.7.27

同じマンションに暮らす4人の高校生

志向や趣味が反映されたそれぞれの部屋

美術 矢内京子

『ストロボ・エッジ』『アオハライド』などで知られる咲坂伊緒の人気コミックを実写映画化した『思い、思われ、ふり、ふられ』。同じマンションに住む由奈、和臣、そして親の再婚で姉弟となった朱里と理央。4人の高校生の思いが交差する青春映画だ。美術をつとめた矢内京子さんは、彼らの個性をどう部屋に反映したのか。

「この作品だな」とわかるような特徴的なものをつくりたい

今作の美術を手がけたのは、実写映画はもちろん、『若おかみは小学生!』など、アニメーションの美術設定なども手がける矢内京子さん。
「まずはじめに、朱里、理央、由奈、和臣、それぞれの部屋の平面図を原作をもとに描きおこし、そこから広げていきました」
 映画では、原作にある部屋の位置関係などが忠実に再現されている。当初は実際にマンションでの撮影が予定されていたが、イメージにあう物件が見つからなかったこと、撮影条件の問題からセットでの撮影に変更されたことで、より原作に忠実なものになった。

矢内さんがもっとも苦労したのは、4人のキャラクターの違いを部屋に反映させること。今回は理央は由奈の部屋を、朱里は和臣の部屋を飾り変えて撮影。家具や小物によって、その違いが表現されている。
「朱里の部屋は、由奈より少し大人っぽいところを出したいので、物がごちゃごちゃしていなくて、すっきりしている印象にしようと思いました。理央は、とにかくかっこよく、スタイリッシュなイメージに。

朱里の部屋のベッド。猫をかたどった特徴的なベッドヘッドは、原作にも登場。こちらは、映画のために制作されたオリジナルのもの。世界地図のピンは、朱里の行ってみたい場所。

無機的な印象を与える理央の部屋。基調となっている色はグレーで、その中に黄緑のアクセントがある。

由奈と和臣は、幼少期からこのマンションに住んでいます。由奈は両親に買ってもらった漫画などがいっぱい置いてあって、物が多くて、かわいらしい感じ。和臣は、映画が好きで、壁にはポスターが貼ってあって、いつも部屋にこもってDVDを観ています」

由奈の部屋のイメージカラーはパステルピンク。朱里の部屋のハッキリした色味とは対照的な色合いになっている。

映画好きの和臣の部屋。棚には数多くのDVDがあふれている。壁にはポスター。 「高校生が使うには小さい机とイスが置いてあります。それは親から小さい時に買ってもらったものをそのまま使っているという設定です」

矢内さんが咲坂伊緒さんの原作の映画化を手がけるのは『ストロボ・エッジ』に続いて2本目。
「今回は『ストロボ・エッジ』の感覚で始めたら、やることが盛りだくさんで、思ったよりも大変でした。最初作る予定のなかったセットを急に作ることになったこともそうですし、文化祭のシーンも、最初は『ここしか写らない』と言われていたのが、どんどん写る範囲が広がっていくんです(笑)。そうやってつくるものが膨大な量になっていきました」

三木孝浩監督へ最初に見せた文化祭のイメージボード。
「三木監督とは初めてだったので、最初は探り探りでした。
でも、この絵を見てすぐに『面白いね』と言っていただけ
て、そこからは安心してのぞむことができました。監督は、
自分が迷ったときに『こっちの方がいいんじゃない』と即
決で決めてくれるので、進めやすかったです」

だが、その作業も、周囲の人々の協力で楽しい作業になったと言う。
「神戸市内に倉庫を借りて、美術部、装飾部、全員で朝から晩まで準備していました。地元の専門学校生、大学生も協力に駆けつけてくれて、毎日手作業で、つくっていきました。撮影の何日も前からみんなで学校に行って、ひたすら飾りました。大変は大変でしたけど、楽しかったです」

今作で矢内さんが目指したのは、自分なりに自分が以前やった少女漫画原作の作品や他の少女漫画原作の作品との違いを出すこと。
「実際に違うものになったのかは、自分ではわかりません(笑)。少女マンガ原作の映画では、文化祭のシーンが登場することが多いんです。もちろん高校生が主役なので、背景になるのですが、各クラスが出し物をやっていたり、背景にしてはやることがいっぱいあります(笑)。
いつも、どうせ大変なことをやるなら、その学校ならではの特徴を出したいと思うんです。
『ストロボ・エッジ』のときは生徒全員でつくったという設定のペットボトルの船を中庭に吊って飾りました。今回は生徒たちのマスコット的な存在である犬の巨大なオブジェが登場します。クラスの垣根を越えて生徒全員でつくったという設定です。のちのち『ああ、この映画だった』とお客さんの記憶に残るような、特徴のあるものをつくりたいと思いました」

地上から2階に到達する大きさなの犬のオブジェ。生徒たちが開いた占いなどの出店が見える。

関東近郊に建つ3LDKのマンション。築年数は20年以上で、朱里と理央は、親の再婚を機に引っ越してきた。由奈、和臣は幼い頃からこのマンションで暮らしている。

映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#125(2020年8月号 7月21日発売) 『思い、思われ、ふり、ふられ』の美術について、美術の矢内さんのインタビューを掲載。
プロフィール

矢内京子

yauchi kyoko
2005年『ハリヨの夏』で美術監督デビュー。09年『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』で日本アカデミー賞最優秀美術賞を、種田陽平氏とともに受賞。主な作品に『あなたへ』(12)、『ストロボ・エッジ』(15)、『羊と鋼の森』(18)など。アニメーション映画『若おかみは小学生!』では美術設定を手がけた。『哀愁しんでれら』が21年公開予定。
ムービー

『思い、思われ、ふり、ふられ』

監督/三木孝浩 原作/咲坂伊緒 脚本/米内山陽子 三木孝浩 出演/浜辺美波 北村匠海 福本莉子 赤楚衛二 ほか 配給/東宝(20/日本/127min) 内気な高校生・市原由奈は、引っ越してきたばかりの山本朱里と友人になる。由奈は、子供のころに読んだ絵本に出てきた王子様そっくりの男の子が同じマンションに住んでいることを朱里に教える。由奈が朱里の家に行くと、そこには王子様そっくりの男の子がいて、なんと彼は朱里の弟だった。一方、朱里は由奈の幼馴染である乾和臣に惹かれていく……。8/14~全国公開 (C)2020「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (C)咲坂伊緒/集英社
『思い、思われ、ふり、ふられ』公式HP
https://furifura-movie.jp/
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