『ストロボ・エッジ』『アオハライド』などで知られる咲坂伊緒の人気コミックを実写映画化した『思い、思われ、ふり、ふられ』。同じマンションに住む由奈、和臣、そして親の再婚で姉弟となった朱里と理央。4人の高校生の思いが交差する青春映画だ。美術をつとめた矢内京子さんは、彼らの個性をどう部屋に反映したのか。
「この作品だな」とわかるような特徴的なものをつくりたい
今作の美術を手がけたのは、実写映画はもちろん、『若おかみは小学生!』など、アニメーションの美術設定なども手がける矢内京子さん。
「まずはじめに、朱里、理央、由奈、和臣、それぞれの部屋の平面図を原作をもとに描きおこし、そこから広げていきました」
映画では、原作にある部屋の位置関係などが忠実に再現されている。当初は実際にマンションでの撮影が予定されていたが、イメージにあう物件が見つからなかったこと、撮影条件の問題からセットでの撮影に変更されたことで、より原作に忠実なものになった。
「まずはじめに、朱里、理央、由奈、和臣、それぞれの部屋の平面図を原作をもとに描きおこし、そこから広げていきました」
映画では、原作にある部屋の位置関係などが忠実に再現されている。当初は実際にマンションでの撮影が予定されていたが、イメージにあう物件が見つからなかったこと、撮影条件の問題からセットでの撮影に変更されたことで、より原作に忠実なものになった。
矢内さんがもっとも苦労したのは、4人のキャラクターの違いを部屋に反映させること。今回は理央は由奈の部屋を、朱里は和臣の部屋を飾り変えて撮影。家具や小物によって、その違いが表現されている。
「朱里の部屋は、由奈より少し大人っぽいところを出したいので、物がごちゃごちゃしていなくて、すっきりしている印象にしようと思いました。理央は、とにかくかっこよく、スタイリッシュなイメージに。
「朱里の部屋は、由奈より少し大人っぽいところを出したいので、物がごちゃごちゃしていなくて、すっきりしている印象にしようと思いました。理央は、とにかくかっこよく、スタイリッシュなイメージに。
由奈と和臣は、幼少期からこのマンションに住んでいます。由奈は両親に買ってもらった漫画などがいっぱい置いてあって、物が多くて、かわいらしい感じ。和臣は、映画が好きで、壁にはポスターが貼ってあって、いつも部屋にこもってDVDを観ています」
矢内さんが咲坂伊緒さんの原作の映画化を手がけるのは『ストロボ・エッジ』に続いて2本目。
「今回は『ストロボ・エッジ』の感覚で始めたら、やることが盛りだくさんで、思ったよりも大変でした。最初作る予定のなかったセットを急に作ることになったこともそうですし、文化祭のシーンも、最初は『ここしか写らない』と言われていたのが、どんどん写る範囲が広がっていくんです(笑)。そうやってつくるものが膨大な量になっていきました」
「今回は『ストロボ・エッジ』の感覚で始めたら、やることが盛りだくさんで、思ったよりも大変でした。最初作る予定のなかったセットを急に作ることになったこともそうですし、文化祭のシーンも、最初は『ここしか写らない』と言われていたのが、どんどん写る範囲が広がっていくんです(笑)。そうやってつくるものが膨大な量になっていきました」
だが、その作業も、周囲の人々の協力で楽しい作業になったと言う。
「神戸市内に倉庫を借りて、美術部、装飾部、全員で朝から晩まで準備していました。地元の専門学校生、大学生も協力に駆けつけてくれて、毎日手作業で、つくっていきました。撮影の何日も前からみんなで学校に行って、ひたすら飾りました。大変は大変でしたけど、楽しかったです」
「神戸市内に倉庫を借りて、美術部、装飾部、全員で朝から晩まで準備していました。地元の専門学校生、大学生も協力に駆けつけてくれて、毎日手作業で、つくっていきました。撮影の何日も前からみんなで学校に行って、ひたすら飾りました。大変は大変でしたけど、楽しかったです」
今作で矢内さんが目指したのは、自分なりに自分が以前やった少女漫画原作の作品や他の少女漫画原作の作品との違いを出すこと。
「実際に違うものになったのかは、自分ではわかりません(笑)。少女マンガ原作の映画では、文化祭のシーンが登場することが多いんです。もちろん高校生が主役なので、背景になるのですが、各クラスが出し物をやっていたり、背景にしてはやることがいっぱいあります(笑)。いつも、どうせ大変なことをやるなら、その学校ならではの特徴を出したいと思うんです。
『ストロボ・エッジ』のときは生徒全員でつくったという設定のペットボトルの船を中庭に吊って飾りました。今回は生徒たちのマスコット的な存在である犬の巨大なオブジェが登場します。クラスの垣根を越えて生徒全員でつくったという設定です。のちのち『ああ、この映画だった』とお客さんの記憶に残るような、特徴のあるものをつくりたいと思いました」
「実際に違うものになったのかは、自分ではわかりません(笑)。少女マンガ原作の映画では、文化祭のシーンが登場することが多いんです。もちろん高校生が主役なので、背景になるのですが、各クラスが出し物をやっていたり、背景にしてはやることがいっぱいあります(笑)。いつも、どうせ大変なことをやるなら、その学校ならではの特徴を出したいと思うんです。
『ストロボ・エッジ』のときは生徒全員でつくったという設定のペットボトルの船を中庭に吊って飾りました。今回は生徒たちのマスコット的な存在である犬の巨大なオブジェが登場します。クラスの垣根を越えて生徒全員でつくったという設定です。のちのち『ああ、この映画だった』とお客さんの記憶に残るような、特徴のあるものをつくりたいと思いました」
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#125(2020年8月号 7月21日発売)
『思い、思われ、ふり、ふられ』の美術について、美術の矢内さんのインタビューを掲載。
『思い、思われ、ふり、ふられ』の美術について、美術の矢内さんのインタビューを掲載。
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Profile
プロフィール

美術
矢内京子
yauchi kyoko
2005年『ハリヨの夏』で美術監督デビュー。09年『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』で日本アカデミー賞最優秀美術賞を、種田陽平氏とともに受賞。主な作品に『あなたへ』(12)、『ストロボ・エッジ』(15)、『羊と鋼の森』(18)など。アニメーション映画『若おかみは小学生!』では美術設定を手がけた。『哀愁しんでれら』が21年公開予定。
Movie
映画情報

思い、思われ、ふり、ふられ
監督/三木孝浩 原作/咲坂伊緒 脚本/米内山陽子 三木孝浩 出演/浜辺美波 北村匠海 福本莉子 赤楚衛二 ほか 配給/東宝(20/日本/127min)
内気な高校生・市原由奈は、引っ越してきたばかりの山本朱里と友人になる。由奈は、子供のころに読んだ絵本に出てきた王子様そっくりの男の子が同じマンションに住んでいることを朱里に教える。由奈が朱里の家に行くと、そこには王子様そっくりの男の子がいて、なんと彼は朱里の弟だった。一方、朱里は由奈の幼馴染である乾和臣に惹かれていく……。8/14~全国公開
(C)2020「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (C)咲坂伊緒/集英社
思い、思われ、ふり、ふられ公式HP