Room99  

2020.2.25

クリエイターの夢破れ帰ってきた

再生回数ひとケタのYouTuber、三田が暮らす部屋

美術監督 安藤秀敏

トップクリエイターを目指すも、東京で夢破れ故郷へ戻った三田。町役場で働く彼は、町長から命じられて、町おこしのプロモーション動画を制作することになる。センスゼロの三田を見かねた同僚の真鍋は、「踊ってみた」動画制作を提案。やがて、三田はかつてご当地アイドルだったニナの存在を知って……。美術監督の安藤秀敏さんは『踊ってミタ』に登場するキャラクターたちを、美術にどのように反映させていったのか。

くすぶっている20代男子の、ものが少ない部屋

三田は東京から戻ってきて間もないという設定。部屋にはまだものが少なく、開けていない段ボールも無造作に置かれている。 「三田が上京した後、部屋はお母さんに片付けられているという設定。かっこいいものに憧れている三田が買ったものと、子供の頃から残っているものが混在していて、 “ちぐはぐさ”が出るようにしました」
 安藤さんが飯塚俊光監督の作品に参加するのは、『ポエトリーエンジェル』に続き2作目。監督からのオーダーは「なにをやってもすべて中途半端というミタの人物像を反映して欲しい」というもの。
「監督のこだわりはピンポイントでした。世代が近いこともあり、『くすぶっている20代の男子』といったキーワードだけで、事細かく決めずとも、イメージを共有できました」

トップクリエイターを目指していた三田。本棚にはクリエイティブに関する本も置かれている。

本作の舞台は春野山町という架空の都市。大部分の撮影は、栃木県の足利市で行われた。 「足利にはフィルムコミッション(足利市映像のまち推進課)があって、映画やドラマを誘致して、撮影で町を盛り上げようという熱量が高いんです。これまでも多くの作品が、この街で撮影されています。今作でもフィルムコミッションの方々が尽力してくださって、三田やニナの家を見つけることができました」

三田が働く町役場は、使われていない水道施設に建てられ
たロケセット。広報の部署であるシティプロモーション課
の部屋には観光名所のチラシが置かれている。

ニナの通う学校の撮影地は、旧足利西高校。これまで『ちはやふる』『斉木楠雄のΨ難』『今日から俺は!!』など、数々の作品のロケ場所となっている。 「今作はたまたま旧足利西高校でのロケ100作目になりました。撮影中に市役所の方が来られて、地元の新聞にも撮影の模様が掲載されました」  同時に市民からも、サポートが得られたと言う。 「足利の方たちは撮影に慣れていて、協力的な方が多いんです。エキストラだけでなく、ボランティアスタッフへ応募してくださる方もいます。三田の部屋を飾る際、ボランティアスタッフの方々に手伝っていただいて助かりました」

春野山町と違い、足利は活気がある町と安藤さん。プロデューサーの方によると、市内には佐野ラーメンのお店も多くあったとか。

クライマックスに登場するライブハウス。「シティプロ課の人たちが、イベントを行うシーンがちょうどいいダサさが出せたと思います。「市役所の職員の人ががんばってつくったけど、まだダサいよね」という感じがうまく出せたと思います。

ニナの家の食卓シーンでは、安藤さんが美術監督として料理の腕を振るった。
「この家で撮影した日は、2階で部屋を飾って、1階の台所ではシーンに登場する料理をつくって、とバタバタでした。ニナと母親が食事する場面のためにつくった野菜炒めが思いのほか美味しくできて、若手の助監督やスタッフが台所の隅でむしゃむしゃ食べていたのは覚えています。本当に『スタッフが美味しくいただきました』(笑)。難しい料理は、フードコーディネーターさんにお願いしますが、ちょっとした家庭料理ならば美術部の範疇です。普段、家で料理をすることはあまりないのですが、撮影現場ではどこでも料理がつくれるように、包丁、まな板、カセットコンロ、調味料など、いつも車に積んでいます」

ニナの母親の料理は安藤さんの手によるもの。独学で料理を覚え、普段料理はあまりしないが、スパイスからカレーをつくることが趣味とのこと。

足利の市街地から少し離れた三田の実家である一軒家。ここから三田は15分かけて町役場に通っている。

映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#123(2020年4月号 2月18日発売) 『踊ってミタ』の美術について、美術監督の安藤さんのインタビューを掲載。
プロフィール

安藤秀敏

ando hidetoshi
83年茨城県生まれ。17年に『ポエトリーエンジェル』で美術監督としてデビュー。飯塚俊光監督作品の美術は本作が2本目。そのほかの作品に『わたしは光をにぎっている』(19)など。『静かな雨』が公開中。公開待機作に『君がいる、いた、そんな時。』『ターコイズの空の下で』『海辺の金魚』などがある。
ムービー

『踊ってミタ』

監督・脚本/飯塚俊光 出演/岡山天音 加藤小夏 武田玲奈 中村優一 ほか 配給/東映ビデオ (20/日本/105min) 東京で映像作家になるという夢が破れた三田は、故郷の春野山町役場シティプロモーション課で働いていた。ある日、町を活性化しろとの町長・丸山の命令で観光動画を制作することになる……。3/7~新宿シネマカリテほか全国順次公開  (C)2020「踊ってミタ」製作委員会
『踊ってミタ』公式HP
https://odottemita-movie.jp/
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