『勝手にふるえてろ』の大九明子監督がメガホンをとった『美人が婚活してみたら』。婚活を通して自身の人生と向き合うことになる女性の姿を痛々しくも爽快に描く。誰もが認める美人のタカコ(黒川芽以)は、不毛な恋愛ばかり続けてきた。美術監督の秋元博さんは、「タカコが結婚できないワケ」を考えながら、その住まいを形にしていったと語る。1Kの小さなマンションには、タカコをカタチづくる様々なものが詰まっていた。
“過去の恋愛”に溢れた部屋になるように
不毛な恋愛を続けていた32歳独身のタカコは、人生を変えようと「婚活」を決意する。彼女がひとり暮らしをしているのは、隅田川沿いのマンション。ベランダからスカイツリーを望む眺望の良い部屋だ。
「タカコの部屋をいくつかロケハンしていく中で、ベランダからスカイツリーが見えるロケーションの良い部屋があったんです。下町の気取らない感じが、タカコっぽいなと思いました。
大九監督も『このベランダいいね』とおっしゃって、台本にはなかったのですが、そこからタカコは下町に住んでいて、その部屋からはスカイツリーが見えて……と、綿密な設定が決まっていきました。ただ、その部屋は規模が少し広かったので、部屋の中は別の1Kのロケセットにして、ベランダのシーンだけそのスカイツリーの見える部屋を使うことにしました」
「タカコの部屋をいくつかロケハンしていく中で、ベランダからスカイツリーが見えるロケーションの良い部屋があったんです。下町の気取らない感じが、タカコっぽいなと思いました。
大九監督も『このベランダいいね』とおっしゃって、台本にはなかったのですが、そこからタカコは下町に住んでいて、その部屋からはスカイツリーが見えて……と、綿密な設定が決まっていきました。ただ、その部屋は規模が少し広かったので、部屋の中は別の1Kのロケセットにして、ベランダのシーンだけそのスカイツリーの見える部屋を使うことにしました」
美大を卒業し、WEBデザインの会社へ入社。秋元さんは、そんなタカコの背景を部屋の中へ反映させている。
「美大卒だから、一点ものの小物が好きじゃないか。デザイン系なので原色や柄物が好きだろう、などと考えて、部屋の中を飾っていきました。棚にはデッサン用の手の模型や、デザインの本、絵画などの教材も並べています」
なかでも印象的なのは、部屋の照明。ピンクやイエローのあかりをキラキラと幻想的照らし幻想的な雰囲気を醸し出している。
「このペンダントライトは、大九監督が気に入って使うことに決まりました。『タカコがこれを手で回したら面白い画になるよね』とおっしゃって、現場でお芝居も広がっていきました」。
「美大卒だから、一点ものの小物が好きじゃないか。デザイン系なので原色や柄物が好きだろう、などと考えて、部屋の中を飾っていきました。棚にはデッサン用の手の模型や、デザインの本、絵画などの教材も並べています」
なかでも印象的なのは、部屋の照明。ピンクやイエローのあかりをキラキラと幻想的照らし幻想的な雰囲気を醸し出している。
「このペンダントライトは、大九監督が気に入って使うことに決まりました。『タカコがこれを手で回したら面白い画になるよね』とおっしゃって、現場でお芝居も広がっていきました」。

あえて女性っぽい色を避けて、グリーンやイエローを取り入れた室内。アンティーク風の木の家具には暖かみを感じる。「一見冷たそうにも見えるけど、素は暖かい。まさにタカコみたいな部屋にしたいなと思ったんです」
「男に流されやすいタカコ」の部屋には、ここそこに昔の男の影も見える。阪神タイガースのメガホンや、力士の人形、東南アジア系の置物に昔の男と貯めていた貯金箱まで。
「小物1点1点に僕や装飾の宮本(恵美子)さんの意図があって、タカコのバックボーンを反映させています。あえて監督に言わないで飾ってあるものもあったのですが、大九監督は大の相撲ファンで、相撲の小物にはいち早く気づいて、カメラに映るように動かしていました(笑)」
「小物1点1点に僕や装飾の宮本(恵美子)さんの意図があって、タカコのバックボーンを反映させています。あえて監督に言わないで飾ってあるものもあったのですが、大九監督は大の相撲ファンで、相撲の小物にはいち早く気づいて、カメラに映るように動かしていました(笑)」
部屋のなかにはモノが多い印象なのは、タカコがモノを捨てられないという性格から。
「ガチャガチャはしているけど、そのなかにもセンスは感じられるように意識しました。『かっこ悪く』はしたくないけど、『かっこいいでしょ?』という部屋にはしたくない。その足し算、引き算は難しかったです」
「ガチャガチャはしているけど、そのなかにもセンスは感じられるように意識しました。『かっこ悪く』はしたくないけど、『かっこいいでしょ?』という部屋にはしたくない。その足し算、引き算は難しかったです」

ミニマムな女性の一人暮らしにぴったりの1Kの間取り。映画にはあまり登場しないが、水回りのスペースもしっかりとってあるのが嬉しい。収納は小さめながら、アンティークの家具を配置してセンス良く整理している。
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#117(2019年4月号 2月18日発売)
『美人が婚活してみたら』の美術について、美術監督 秋元さんのインタビューを掲載。
『美人が婚活してみたら』の美術について、美術監督 秋元さんのインタビューを掲載。
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Profile
プロフィール

美術監督
秋元博
akimoto hiroshi
75年神奈川県生まれ。テレビ朝日クリエイト所属。テレビドラマ、バラエティ番組、映画、CMから店舗デザインまで幅広く活動。おもな作品にドラマ『グッドパートナー』(16)、『奪い愛、冬』『黒革の手帖』(ともに17)など。大九監督作品には、『でーれーガールズ』(15)以降すべての作品に参加している。近作にドラマ『未解決の女』『ヒモメン』(ともに18)、映画『ピンカートンに会いにいく』(18)がある。
Movie
映画情報

美人が婚活してみたら
監督/大九明子 原作/とあるアラ子 脚本/じろう(シソンヌ) 出演/黒川芽以 臼田あさ美 中村倫也 田中圭 配給/KATSU-do (19/日本/90min)
32歳、美人WEBデザイナーのタカコは、過去付き合った男に3人連続で妻帯者であることを秘密にされていた。不倫体質に嘆くタカコは、親友のケイコに励まされ「婚活をする!」と決意。早速婚活サイトへ登録するのだが……。3/23〜全国公開
©2018吉本興業
美人が婚活してみたら公式HP